歌姫の犬はモノマネと恋に追われる『完結』   作:南野

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ヒロイン増えます、南野です。

もう少しで完結編を制作するのでしばらくお待ちを。時間かかったら、閑話休題や番外章とか出して時間繋ぐかも。

それではどうぞ!


第二二章 「犬、少女、そしてキラ星」

「嶺君!こっちだよ、早く早く!」

「ちょっと待ってくれ日菜、俺は体力がない、だからそんなに急がれると息ができない」

「もー、だらしないなぁ嶺君は」

 

 時刻は大体午前と午後の間くらい、正確に言うと大体夜の11:30頃である。この俺湊嶺は、なぜ俺を誘ってきたかわからないがここにいる女の子、氷川日菜と共に夜の刻家からちょっと離れた山の奥にいた。そもそもどうしてこうなったのかは少々時を巻き戻さなければならない。

 

 

 ほんの少し前のことであった、この日は珍しくバイトとRoseliaの練習と学校のトリプルスリーがものの見事に休みであった俺は、久しぶりに姉である湊友希那の歌声を聞きながら、のんのんびよりしようとしていた。その時に不意に鳴り響いた携帯電話、嫌な予感が胸をよぎったが自分自身に冷静になれよと言い聞かせて電話を取った。電話の相手はPastel*Palettesと言うアイドルに所属しており、Roseliaの一員である氷川紗夜の妹である氷川日菜であった。最近日菜はよく俺に連絡をくれる。一緒にどこかへ出かけようとか、姉である紗夜についてるんってきたことを報告してほしいとかだ。ただ一つ気がかりなのが、一緒に出掛けている時もよく俺の腕に抱き着いてきたりしているところである。同じ双子の二番目の位置にいて過ごしやすいからか、距離が近いのだ。一応日菜には紗夜が俺に告白してきたことを言ってはいないのだが、こうして何度も腕に抱き着かれているとRoseliaの皆に会った時の恐ろしさったら無いのだ。先日も日菜に抱き着かれているところをRoseliaの皆に見られてとんでもないことになった。

 とある一途の筑前煮ギャルは「ヒナと嶺がイチャイチャシテル、アタシ達より日菜の方がイインダ、嶺はアタシ達より日菜と一緒にイタインダ、今まで幼馴染のアタシにかけてくれた嬉しい言葉の数々は心から言ってなかったの?それとも嘘だったの?あの頃のアタシに対して優しい嶺はどこへ行っちゃったの?……分かった、アタシとは遊びだったんだネ、そんな嶺はイラナイ、処分しないと」とか言ってカッターをカバンから出した時には全力で止めた。

 とある水色ヘアーの風紀委員は「私より日菜ですか、私なんかよりやっぱり日菜がいいんですね、せっかく勇気を出して告白したのに、やっぱり日菜は私から色々なものを取り上げていくんだわ。私の愛しい人でさえも……ねぇ嶺君、私の何がいけないの?日菜と私の違うところって何?髪の短さ?それとも表情の明るさかしら?……嶺君がショートヘアーが好きならこの髪も切り落としてあげる、嶺君が明るい子が好きと言うなら明るくなれるように努力するわ、嶺君が音楽を辞めろっていうなら辞めるし、嶺君のいう事なら何でも聞くわ、だから私を捨てないで、私だけを見て、私だけを愛してよ……」とか泣きながら言ってハサミで髪を切ろうとしたので全力でなだめた。

 とある魔術の図書委員は「……嶺君?私のこと愛してるよね?……愛してるって言ってよ……私は嶺君のことなんでも知ってるんだよ?……それなのにどうしてほかの女の元へ行くの?ねぇ、何で?やっぱりこのままじゃダメだったんだね……嶺君がほかの女を見られないようにやっぱり閉じ込めないと、二人だけの世界にしないと、嶺君はいつまでも私のことを見てくれない……だから、ね。こっちへおいでよ嶺君、私が抱きしめてあげる。私といた方が楽しいし、私といた方が心地いいし、私の方が裏切らないし、私の方が嶺君を全ての面で満足させてあげられるんだよ?……だからね、コッチニキテヨ」とか言ってスタンガンを俺に向けてきたので全力でメンタルカウンセリングした。

 とある中二病の高校生に関しては「嶺兄ぃってさ、本当に女の子大好きだよね……どうしてあこに振り向いてくれないのかなぁ……あこも嶺兄ぃに薬使ったらイイノカナ?」とかとりあえず誤解を解くために頑張った。

 俺の姉は……うん怖いよマジで。「嶺、家に帰ったらオシオキするから覚悟しなさい。……やっぱりまずはRoselia全員で嶺を洗脳するしかないのかしら(ブツブツ)」俺は何も聞こえない、聞いていない。その後しっかりと姉に怒られた。ふと思ったのだが、その時の日菜が少し怖い目で俺のことを見ていたのは気のせいだろうか?まぁ、そういうわけで話がそれまくったが日菜と出かけたらRoseliaの皆が怖いので日菜にはあまり抱き着かない方がいいといった、日菜は納得してくれていたが、やはり眼に生気がなかった気がするのはなぜだろうか?だが、Roseliaの中では俺の必死の説得のおかげで日菜と遊んでもいいがたまにはRoseliaのメンバー一人一人とデートするのを条件とされることになった。まぁ、俺としてはバイト代の使い道はスタジオ代しかないので、お金は余ってるから今度奢ろうかな。そして事故が起こるのではないかと言うくらいだいぶ脱線した話をしたが、本題に戻ろう。日菜からとある連絡があったところだったか、そうだ、携帯で日菜から電話が来たのだ。確かこんな感じだった。

 

「嶺君!星を見に行こうよ!」

「星か?なんで急にまた」

「今日は天気がいいから星が良く見えるんだー嶺君にあたしの穴場を見せたいから一緒に見ようよー!」

「分かった、今日は暇だからいいぞ。何時だ?」

「本当!時間はねー……12時かな!」

「12時ならとっくに過ぎてるけど?」

「夜だよ!」

「マジで?」

「うん!」

 

 俺はとんでもないお願いを聞いてしまったと後悔すると同時に電話を切った……そんなわけでこの時間帯に俺と日菜が向かったのは山だった

 

「嶺君!もうすぐだよ、頑張って」

「やっとか、だいぶ歩いたな」

「ここの方が良く見えるんだ」

「うおっ!?すっげぇなこれ……」

 

 俺は日菜が立ち止まった場所に立ち上を見上げると無数の星が広がっていたそれはまるでライブステージのライトアップのように明るく、それ以上に星たちがキラキラドキドキしながらルンピカビームしているくらい綺麗だった。

 

「星ってさー、こう見えても何十億も生きているんだよね。あたしたちの生きている時間なんて小さく見えるくらい」

「それは天文部の知恵か?」

「そうだよ!……ってあれ?あたしが天文部なの嶺君知ってたっけ?」

「紗夜から聞いたんだよ、何でも部員は一人だそうだな」

「そう、おねーちゃんが言ってたんだ……嶺君とおねーちゃん仲いいよねやっぱり告白されてるから?」

「そりゃRoseliaの仲間だか……ん!?なんで知ってんだ?」

「おねーちゃんが教えてくれた、「日菜に嶺君は渡さないから」だってさー」

「俺はどうすりゃいいのか未だにわからないな、あいつらは全員魅力的だし、三人とも大好きなんだ。でもその中の一人を俺が選ぶなんていくことをしないといけないのは正直怖い」

「そっか、あたしにはわからないなー本気でそう言ってくれた人なんていないし、本気であたしと向き合ってくれた人なんておねーちゃんや嶺君、後はPastel*Palettesの皆くらいしかいないもん」

「それもそうだ「でもね、嶺君」ん?」

「あたしは嶺君が本気で選んだ人がいるならそれを応援するよ。でも、嶺君が他の人を思って選択を後悔する人ならあたし許さないから」

「それはいろんな人に言われたことだ、全力で考えるさ」

「後、なるべく早く答えを出さないと女の子は逃げちゃうよ!」

「……善処する。と言うか、珍しいな。日菜なら「おねーちゃんを選んでね!嶺君!」とか言いそうなのに」

「あはは!嶺君流石に今のあたしの真似は似てなかったよー」

「初めてだな、似てないといわれたのは。やはり俺はこの程度だったか」

 

 俺は初めて人にモノマネが似ていないといわれたので、少しがっかりしたようなほっとしたような気分になった

 

「……えっとね理由は二つあるんだ、一つは嶺君に告白したのがあたしの身近な人だってことだよ。おねーちゃんやリサちーに燐子ちゃん。みんなRoseliaのメンバーだしあたしの大切な人だからさ」

「そうか、だから紗夜だけの味方はできないってことか。それで、あと一つは「あたしも嶺君が好き」は?」

「おねーちゃんのことで色々おねーちゃんの相談に乗ってたのは嶺君でしょ?だから最初はあたし嶺君はおねーちゃんの味方だと思ってたんだ。でも、嶺君はあたしのことも気にしてくれた。それだけでも嬉しいんだけどね、あたしが人の気持ちを考えているかいないかっていう話をしたでしょ?嶺君は笑わないであんなに真剣に考えてくれたし、何よりあたしの事を、あたし自身のことを見てくれる嶺君だから、あたしは嶺君のこと好きになっちゃった」

「正気かよ……」

「だからね、嶺君。嶺君が誰を選んでもあたしは応援するけど、これだけは言わせて。……湊嶺君、あたしは貴方が好きです。あたしと付き合ってください」

 

 正直大変なことになりすぎて頭が痛い。この俺が、犬と呼ばれた俺が、Roseliaの女の子三人に告白されて、さらにはアイドルである日菜にまで告白されるなんて。どうして俺なんだろう、俺は友希那より歌は上手くないし、リサや紗夜、燐子みたいに楽器なんて弾けるわけない、日菜より天才じゃないし「嶺君は自分を批判しすぎだよ」日菜が俺の考えを読み取ったように声をあげた

 

「どうせ嶺君のことだから、自分とRoseliaの皆を比較してるんでしょ?」

「……なんでわかったのか知らんが、その通りだ。俺は何もない。唯一できるのはモノマネだが、そんなものよりRoseliaやPastel*Palettesみたいに真剣にバンド活動している方が充実してるし、夢もある。それに、みんな将来絶対有名になるなら、そんな人たちと俺が一緒にいるのは「間違いだって言ったら怒るよ」!?」

「いい、嶺君。将来なんてわからないよ、RoseliaもPastel*Palettesも、あたしや友希那ちゃん、リサちー、おねーちゃんだってみんな同じ。どれだけバンドをやっていても、将来なんてわからないよ。それに、今が充実しているのは嶺君だってそうでしょ?」

「俺が充実してる?」

「そう、嶺君も今はあたし達の事務所でバイトしてるし、鉄君とモノマネしてるじゃん。Roseliaのみんなとも何かをしているならそれは充実しているって事なんじゃないかな?」

「俺は、いつも不安なんだよ。みんなが頑張っている姿とか、みんなが凄いことしている姿とか、そう言うのをみたら自分なんて小さく見える」

「でもそれって嶺君が誰かを選ぶのって関係無いよね?」

「いや、本当にこの人と俺が釣り合うのかって思うだろ?」

「それはあたしだって思ってるよ?あたしって天才ってよく言われるから嶺君がいつかあたしに嫌気が差すんじゃないかって」

「それは絶対無いよ。だって俺は日菜やRoseliaのみんなが大好きだから……あ、そう言うことか……」

「そう、嶺君がみんなの事が好きなように、みんなだって嶺君の事が大好きなんだよ?それなのに自分を下に見たらそれはみんなが嶺君を好きになったって言う選択を無下にしてるのと同じなんじゃないかな?」

「……隣の芝生がってやつか。なんか俺、大事な事を忘れてた気がする。みんなが俺を想ってくれるなら、それに俺も応えないといけないんだな」

「そうだよ、嶺君。だから……ね?」

 

 そう言うと日菜は俺にキスをしてきた、リサにもされたが、それとは違う唇の感触が俺を驚かせ、尚且つこの子が本当に俺を愛してくれている事が伝わる、そんな優しいキスだった。

 

「……リサちーが嶺君にキスしたって言ってたから嶺君からして2番目だけど、あたしにとってはファーストキスだよ。だから、正直あたしを選んで欲しいな嶺君」

「この満天の星空の中で告白されたら本来は応えないといけないんだが……まだ、応えが決まってない。すぐに決めるから、少し待ってくれないか?」

「うん、あたしは待つよ嶺君が好きだから。だけど、一つだけ約束して」

「約束?」

「そう、約束。もし嶺君があたしを選んでくれるなら、今度は嶺君からキスしてよ」

「……分かった。もし俺が日菜を選んだら、そうする」

「うん!それでよし、それじゃあ嶺君、まだ時間があるから星を見よう!」

「ああ、そうだな」

 

 俺達はその後夜のキャンパスに描かれている小さな光の集合体を観ながら談笑をしていた、その時不意に見せる彼女の笑顔や横顔に不覚にもときめいてしまった俺がいた、これから俺は大変な決断を迫られるが、それに対して俺が誠心誠意応えていかないと彼女達に失礼だと改めて理解した。

 

「……ねぇ、嶺君」

「どうした?日菜」

 

 不意に彼女が俺に声をかけたと思った矢先、まるでこの星達のように輝いた満面の笑みでこう言った。

 

「絶対あたしを選んでね!」

「……真剣に考える」

 

 彼女の笑顔にトキメキが止まらなくなりながらも、僅かながらの理性を保ちながら俺はこの星空の下で無難な答えを言っておいた。

 

 俺が選ぶ大切な人、それを考えるだけでも、今は真剣になれる。俺が本気で好きな人は誰なのかを今日一日考えさせられた。

 




いよいよ佳境に入ってきたのでさっさと峠を越えたいと思います。

それではまた次回!小野・フィナーレ!

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