グラブルしてたのとワイルドエリアで遊び倒していたので遅れました。あと別のやつを懲りずに連載を始めたのでそれも関与しています。すみませんでした。
ちょっと前にミュウツーきてたのでソロ討伐目指しましたが、どうしても無理でした。あれやばいですね、吹雪された時に自分の手持ち含めて全部飛ばされた時には唖然としました。
それはそれとしてあの毒ロッカーマジで許さん、何回失敗したと思ってんだばくおんぱ連打しやがって。絶許。
リヒトが居なくなってからの三週間、シロナとて何もせずに居た訳では無い。そもそも、最初はリヒトの無事を祈っていた訳でもなく、ただただ依頼から逃げられたと思っていたのだ。
だからこそ、彼女は自分の持つあらゆる手でリヒトの存在を洗い出そうとした。
だが、チャンピオンでもあり、名の知れた研究者でもあるシロナは多くのパイプを持っているのだが、そのどの人物や機関に頼もうとも、行方が分からなかった。
それでも、彼女は探した。どうせ何処かに逃げたのだと、何も言わずに何処かへ逃亡したのだと、自分へと言い聞かせ続け。
そしてシロナは、正式な研究チームという名目で募られた捜索隊で、テンガン山へと向かった。標高が高くなるにつれて凶悪になるポケモン達に苦戦しながら、彼女は狂ったように進んだ。
__居ない筈がない、彼はきっとそこに居るのだ。そこで平然としているのだ。
そう、自身の内から這い上がるその事実から、目を背け続けていた。
そして、現実から目を背け続けたシロナがたどり着いた先にあったものは___
__血に濡れた、リヒトのマフラーだった。
出発する前に、シンオウ地方で過ごす上で必要となるとして、彼に他ならぬシロナがプレゼントした白いマフラー。それが、山の途中で無惨に打ち捨てられていた。
「…嘘、よね?貴方がそんな簡単に……」
呆然とするシロナは、思わずそのマフラーを拾い、注視する。まだ彼のものと決まった訳ではない、他の誰かの、同じ品かもしれない。そう一縷の希望を持って見たそれには、予想通りであり、期待外れのリヒトの名前が記されていた。
「__ぇあ」
喉から、声にならない声が出る。理解出来ない、理解したくない。それを理解してしまえば、かつてない絶望が自身を襲うようで、脳が理解を拒んでいた。
だがそれは同時に、その事を脳がどこかで理解しているという事であり、そうなってはもう、手遅れだった。
リヒトは、テンガン山で死んだのだと。シロナは悟ってしまった。
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その後のシロナといえば、まるで生きた屍のようだった。
リヒトの死を確認した後、調査隊を引き連れて下山した後に、彼女は協会に事実を伝えたのち、ホウエンへと飛んだ。
自分が殺したようなものだ、その贖罪をする為に、そしてその事実を伝える為に。どれだけ詰られようが、それが自分に出来る事だと。暗く生気のない姿でシロナは、ホウエンに向かっていった。
だがそこで待っていたのは、シロナの想定していたものではなく__
「妄言はその辺にしておいたほうがいいよ」
己への、嘲笑だった。
ホウエンに着いた時、空港で待ち構えていたのは、ホウエンリーグチャンピオンのダイゴだった。どこから聞きつけたのか、あるいは協会の根回しなのかは分からないが、車を用意していたダイゴに連れられ、シロナはデボンコーポレーションへと通された。
そして、そこで事の次第を報告した。自分がリヒトに依頼を出し、返ってこなくなった。そしてそこでリヒトのものと思われる血濡れのマフラーを発見した事。
そして、それがリヒトの血であるという結果が出た事。
全てを話した、包み隠さず事実を話した。その場の事を、己の罪を、全てをさらけ出したシロナに、ダイゴはそう言い放ったのだ。
「……どういう…事よ!」
「君こそどういうつもりだい?確かにあそこは危険地帯だ、一度確認に行ったが野生のポケモンも化け物だらけだった。昔シロガネ山に行った時の事を思い出したよ」
「なら分かるでしょ!あそこでリヒト君は__」
「自惚れるな」
唐突に突きつけられたその言葉に、シロナは思わず押し黙る。その言葉に込められていたダイゴの、強烈なまでの感情に口を塞がせられた。
目の前のダイゴは、リヒトが死んでるなんて1ミリも思っていない、しかし怒りを浮かべていた。何故か?それは……
「たかがあの程度の雑兵に彼が破れる筈がない、彼ならば虫けらの如く払いのけられる。手傷を負うなんて考えられない。まあちょっとドジな所もあるから、岩とかで切ってそれの止血だろうね」
「そんな訳ないじゃない!あの場でそんな事が起こっている訳が無い!あなたもそうよ!依頼を出した私も、そこまで盲信している貴方も、彼を過信し過ぎなのよ!彼だって人間よ、死にもするわ!」
ダイゴの言葉に、思わず堰を切ったように溢れ出すシロナの言葉。しかしそこには、自身の過ちを責めるような言葉が多く、まるで目の前に自分が居るような話し方だった。
だが、怒り言葉を発するシロナを、ダイゴは冷めた目で見つめていた。まるでつまらないショーを見せられているように、興味のないものを眺めるように。
「僕から言わせてもらえば、君も世の人間も、リヒト君の事を過小評価し過ぎなんだよ。彼も人間だ、だから?君も見ていただろう?彼がやろうとする事は全てやり遂げられ、彼の行く手に塞がるものは全て塵芥のごとくなぎ倒される。未だにそこが知れず、そして限界がない」
滔々とリヒトについて語るダイゴ、普段から無口ではないが、そこまで多く語るという訳では無いダイゴに有るまじき流れるようなその言葉。それらにはリヒトという少年に対する思いが見えていた。
だが、一番目に付いたのは、話しているダイゴの眼だった。
あれは、何かに狂っている眼だ。
「僕は自他共に認めるくらい鉱物が好きだ、何故なら何者にも穢されぬ程に硬くそして美しいからだ。物質どうしが繋がり合い長い時間を掛けて結晶化されたそれはなんとも言えぬ美しさを持っている。でも僕はあの日、僕の運命に出会ったのだ!」
感極まったように立ち上がると、その感情の大きさを表すかのように両の手を広げ、天を仰ぎ見る。それは今は居ない何かを見上げるように、そして祈るように、
「彼こそが!僕が求めていた究極系!誰にも汚されること無く、誰しもを寄せ付けぬ反則的なまでの硬さ!他を蹴散らし、全てを睥睨するかのような強さ!そしてそれらは全てが彼と彼の手持ちが作り上げた強固な繋がりから生まれた恐ろしいまでの美しさ!嗚呼、あの日ようやくミクリが美しさに拘る理由が理解出来た!」
それは、狂気だ。リヒトという少年に狂い、そしてそれを神格化している狂信者だ。あの日シロナが戦ったヴィーラも彼に狂っていた、それと同等に狂っていた。
怖気を感じたシロナを他所に、ダイゴは更にヒートアップすると、突然シロナの方を向くと、その狂気に染まった両眼を見開いた。
「そんな彼が、
自らに詰め寄る狂気に、シロナはたじろぎ後ずさる。しかしそれでもその眼からは逃れられない。逃してはくれない、自身の信仰対象を穢そうとした者を、そう簡単に逃がしはしない。
「彼の死体を見つけたのか?彼の臓腑がぶちまけられ、屍となったその様をその目で見たのか?無様に野生のもの達に群がられる餌となった彼を君は見たのか?見てないのか?ならば僕が君に言えることは一つだけだ
__
「この世界の人々は、未だに本気を出していないのでは?と。彼の強さのメカニズムは未だに解明されてはないが、とある博士との研究で分かった事がある。それは彼のポケモンの異常性だ」
そう言うと、興奮していたダイゴは一度語気を鎮めると、ソファに座ってコーヒーを飲んだ。だがその眼の狂気は未だに消えてはおらず、今にも飛び出さんと荒ぶっている。
そしてコーヒーを嚥下すると、静かに足を組み目を閉じた。そして何かを思い出したように笑うと、傍に控えていた男性にコーヒーを頼んだ。
「でも僕は最近機嫌がいいんだ。こんな僕の、周りとはズレているとしか言い様のない考えにも理解を示してくれる友人が出来たからね。少々歳は離れているが、それでもこの歳でこれだけ純粋な友人が出来るとは思わなくてね」
そういうと、少年のような無邪気な笑顔を浮かべてコーヒーを受け取る。そしてそれに口を付けると、何かを思い出したのかふと顔を上げた。
「そうだそうだ、彼が生きているという決定的な証拠を忘れていたよ」
「決定的な…証拠?」
今までの狂気がなりを潜めさわやかに言い放たれたその言葉に、思わず飛び付くシロナ。それに笑顔で答えると、ダイゴは近くに居た人間に、ひとつの資料を持ってこさせた。
「昔彼が件のはっきんだまを僕に見せてくれた事があってね、その際に入手の経緯を聞いたんだ。マニアとしての血が騒いだのだが、聞けばそれは無理だと思える代物さ」
そういうと、手元にあった資料の1枚をシロナに手渡す。それを受け取り、内容に目を通すと、思わずシロナは立ち上がり目を見開いた。そこにあったのは、今回の決定的な証拠となりうる、下手人の情報だった。
「三年前にシンオウ地方で二つの異常な力の観測が行われたっていう話を君から聞いてね、その2つともが彼の仕業だったんだが。一つはシンジ湖での彼の私闘、そしてもう一つが……」
「シンオウ地方に伝わる伝説のポケモン、反物質を司る世界の裏側の主、ギラティナと彼の交戦だ。そしてはっきんだまはその際に獲得した戦利品さ」
そこに書いてある記録は、リヒトとダイゴの会話内容の書き起こしであり、そこには明確に、彼の言葉で書かれている事実が記されていた。
『テンガン山でギラティナと交戦した』と。
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そこには、見渡す程の闇と、大地があった。
夜のように深い闇が広がる空に、草木の生えぬ不毛の大地。そしてそれにも関わらず溢れ出す水が滝を成し、轟轟と水音を鳴らしている。
しかしそれだけでも異常とも言える光景だが、それを何よりも際立たせる…否、それらを消し去るほどの異常性があった。それは__
その大地は、何も無い暗闇に浮いていて、それに類似した島が多くその周りの空中に浮かんでいたのだ。
逆さまに、横に、斜めに浮いている島群。まるで重力を感じさせないそれらの異常性の中で、ただ一つ、やけに目を引く島があった。
その島は、まるで神殿のような石造りの建物と、門。そして荘厳な玉座があった。
質素でありながら、神聖さを失わないその玉座。その高潔さを表すかのように白いその玉座には、一つの人影があった。
そこに居たのは、リヒトだった。
足を組み、肘掛けに肘を付き、肘を着いた腕の拳に顔を乗せたリヒトは、その双眸を閉じていた。眠るように閉じている双眸は開かれるような気配を感じず、そしてその身体は双眸に合わせるように身動ぎ一つしない。
すると、そんなリヒトが影に覆われる。
その影の持ち主は、その暗闇を飛翔しリヒトの元へ一直線に向かってくると、突然姿を変えて着地した。着地の際に舞い上がった土煙が晴れると、そこにいたのは、正しく神だった。
六本の足を地に着け、黒き一対の翼に赤い爪を持つ。銀色の体表に、まるで黄金の兜を持ったようなその神_ギラティナは、ゆっくりとリヒトの前へと進むと、その玉座に不遜に座るリヒトに対してその頭を近付け__
__地に頭を着け、平服した。
『おお、我が主、我が光、我が羨望。リヒト様、ようこそお越しくださいました。この卑賤な身の私めの為にわざわざその貴重な時間を割いて頂き、感謝の極みであります。嗚呼、この望外の喜びを表す言葉を持ちえぬ私をお許し下さい……』
全身全霊の、平服であった。その様は臣下のそれではなく、言うならば奴隷のようなまでの浅ましさを含んだ平服だった。自身の全てを握られていて、目の前の存在には決して適わないという姿勢を表した姿だった。
一柱の神の無様とも言える平服、そしてそれを向けられるリヒト。異常な世界の、異常な場所での異常な光景。だがそれでもリヒトの顔はまるで何も映してはおらず、その様をただの無として捉えているような顔はだった。
そしてギラティナは更に進むと、玉座に座るリヒトのその足に頭を擦り付け出した。己がリヒトの下であり、下賎な身なのだと刻みつけるように。
そしてそれを空虚な瞳で睥睨しているリヒトは___
「(いやこら拉致だよ!!!!!)」
そう、心の中で叫んでいた。
なにがどうしてそうなった。
本気強要おじさんとなったダイゴさん、貴方メガネとか掛けてません?
あとギラティナの話しは、恐らく次から掘り下げると思います。無駄に周りに心労を掛けておいてこの様とはこのアホ大丈夫だろうか。
尚攫われてからかなりの時間あそこに拘束されると思うと可哀想やなぁと思ったり思わなかったり、でも結局思わなかったりしました。
あとちょいちょいリヒト君が酷い目に会うの期待してるニキ多そうで僕は嬉しいです。