理を超える者   作:クズ餅

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コロナの影響で引越しが遅れるので初投稿です。

最近外に出ることがないので、最寄りのゲオとかで映画やアニメを見漁ってます。あれですね、ヨルムンガンドめっちゃ面白いです。それ見た後にデッドプール2と翔んで埼玉みてました。
親に、お前の情緒どうなってんの?と言われました。

あと、感想でリヒト君と引き分けた人が全員にバレてるのホント草なんですが。
その話は今後暇があれば書くつもりです。まあ、それまでには軽くキングの掘り下げた戦闘描写書いとこうと思います。


神を呪う狂信者

今から少し昔、シンオウ地方のとある洞窟には、ひとつポケモンの群れがありました。彼等は将来強大な力を持ち、他を圧倒するようなポケモンになれる存在でした。

その群れはガブリアス、及びその子供たるフカマル達のものであった。

 

獰猛で狡猾、そして圧倒的な破壊力を持つ彼等は、シンオウ地方でも一部にしか生息しない。そこは強者しか生存出来ない魔窟であり、故に群れはそこに住んでいたのだ。

しかし、いくら獰猛であろうと家族ではある。それ故に群れ同士で助け合い、その穴蔵で暮らしていた。

 

 

しかし、その事件が起こったのは、一匹のフカマルが生まれた事からである。

 

とあるつがいから生まれたのは、全くの異端…色違いの個体だった。そのフカマルは、通常ではありえない、体表が鮮やかな紫色であった。まるで危険な毒のような、紛うことなき紫であった。

故に、そのフカマルは群れから迫害を受けた。当たり前である、野生動物でさえ突然変異で起こるアルビノなどを嫌い群れから遠ざけるのだ。その迫害は起こるべくして起こり、フカマルは幼き身のままその魔窟に放り出されたのだ。

 

生まれて間もない幼子を、強者のひしめくその暗闇へ、なんの庇護も無く。

 

殺すつもりだったのだろう、そのフカマルの親でさえそれに賛同したのだ。異端は排除すべきだと、不吉は取り除くべきだと。そうして群れはいつしかそのフカマルを忘れ、またいつも通りの時が流れた。

 

 

そんなある日、群れの大人達が次々に殺されるという事件が起こった。

 

弱肉強食の魔窟とはいえ、彼等はその中でも最上位に位置する種族である。ドラゴンタイプという圧倒的な力を持ち、更にその中でも最上位に生まれた彼等が、まるで虫けらのように殺されたそれに、群れは恐怖に襲われた。

毎日毎日、いくらかのガブリアスが消えていった。それ故に庇護されるべき存在であったフカマル達が他の存在に狙われるようになり、次々に群れの者たちは消えていった。

 

そして、そんな恐怖が続くある日、他のポケモンに襲われていたフカマル達が逃げた先に、それは存在した。

そこには、夥しい死体があった。見ればそれは全て同じ種族であり、それをフカマル達は見たことがあった。それは、自分達の群れのガブリアスだったのだ。

その光景に、思わずフカマル達は後退りその場から逃げ出した。しかし彼は別のポケモンに襲われている途中であり、そんなことをすれば、後ろから追い掛けてくるものと鉢合わせしてしまう。

 

そして、その予感は的中し、フカマル達はその退路を巨大な岩に塞がれた。

そこには、巨大な巌のような体躯をしたポケモン_ゴローニャが居た。そしてそのゴローニャは、舌なめずりをして下卑た笑顔を浮かべると、その腕をフカマル達へと伸ばし__

 

 

 

 

 

__その身体を、バラバラにされて崩れ落ちた。

 

 

突然崩れ、死を晒したゴローニャ。その光景に理解が追いつかず、尻餅をつく。しかしそこである考えに至った。それは、そのゴローニャを無残に殺した者が、まだ居ると。

 

そうして、なけなしの力を振り絞って辺りを警戒するフカマル達。そして一匹のフカマルが、それを発見した。

 

 

 

 

 

 

体表が、鮮やかな毒のような紫色に覆われた、一匹のガブリアスを。

 

それは、積まれたガブリアス達の死体の上に腰掛けており、こちらをじっと見つめている。その視線に気付いたフカマル達は、その視線に、そしてその体躯に硬直した。

 

 

なぜならそれは、自分達と同じ時期に生まれ、そして捨てられたフカマルと、全く同じ特徴だったからだ。

 

 

『……弱い、弱すぎる。こんな奴らに私は捨てられたの?爪で死ぬ、牙で死ぬ、脚で死ぬ、何をしても死ぬ虫けら共に』

 

 

虚ろに呟かれたその言葉に、フカマル達は怒り、そして怯えた。こいつは確かにあの時のフカマルだ、だがそんなはずは無いと。そんなことはあってはならないと。

何故、何も知らぬ幼子を捨てたのに、お前が生きているのか。あの地獄の中で何故お前は生き延び、そしてこの惨状を引き起こす程の力を手に入れたのか。

 

何一つ、理解出来ない。現実として受け入れられない。

 

 

『残っているのはお前らだけ……ねえあんたら、この中に私の親って居る?どれも一瞬で死ぬから分かんないんだよね』

 

そう言うと、ガブリアスはその死体の山からいくらかを投げ寄越す。その中には、そのガブリアスの親は居なかったが、それでもフカマル達の親がいくらか存在した。

そして皆一様に、恐怖に顔を引き攣らせて死んでいた。

 

 

『殺した私が憎い?それはごめんなさいね、私はやられたことをやり返しただけ。恨むならそいつらを恨みなさい。私を捨てて、お前らみたいな雑魚を育てた群れに言いなさい、あの世で』

 

 

その言葉が聞こえた頃には、もう既に手遅れだった。

気づけば、目の前からカブリアスは消えていて、そして後ろから強烈な殺気がしていた。

振り向こうとしたが、その耳に風を切るような音が聞こえた。恐らく、その腕を横薙ぎにしているのだろう。もはや振り返ることしか出来ないが、それよりもその凶刃が首に届く方が速いだろう。

そう、スローモーションになった世界の中で思ったフカマルは、その迫り来る死に、最早抗えないと力を抜き___

 

 

 

 

 

 

『『師よ、突然呼び出されたから何も聞かなかったが、これで良いのか!?』だってさ、マスター』

 

「……上出来だ、エンキ」

 

 

突然現れた人間とポケモンが、そのガブリアスを吹き飛ばした。

そこにいたのは、まるで雪のような白い髪を靡かせた、無機質なまでの無表情を浮かべた少年と、一匹のゴウカザルだった。

理解の及ばない光景に、フカマル達が硬直していると、それを見つけた少年が一匹のポケモンに指示をする。そしてそのポケモンはフカマル達に近寄ってきて、言った。

 

 

『別に可哀想だとは思わないけど、死にたくないよね?なら逃げた方が良いよ?今からエンキが暴れるからこの洞窟崩壊するかもしれないし』

 

 

その言葉を聞いたフカマル達は、一目散に洞窟の外へと向かった。未だかつて外に出たことの無いフカマルだったが、死を目前にしたならばその葛藤を些細なことだろう。

そうしてフカマル達が逃げ出した後、突然物音がしたと思うと、そのガブリアスが起き上がっていた。

その目には、狂気的なまでの殺意が浮かんでいた。

 

 

「……協会の情報は本当らしいな…同族殺しの特異個体、確かに存在したらしい」

 

『今度はなに?虫けらが終わったら化け物でも出てきたの?』

 

『お仕事に来たの!貴方の所為で生態系がおかしくなってるんだって!』

 

『まあ別に恨みは無いんだけどな、鍛錬の一環としてぶっ飛ばされてくれ!』

 

『殺す!』

 

 

そうしてそのガブリアスは、その身を低くして突貫した。

 

 

『速さ良し!シバきがいがあるな!』

 

そしてその突貫に、笑顔でゴウカザルは構えた。

 

 

 

 

 

これが、私__ヴィーラがリヒト様と出会った、忘れたい汚点であり記念すべき日である。

あの日から私は多くを経験した。親の愛を知らぬ私を見捨てずに育て、そして現在の私を形成するに至った。その過程では、今の私では考えられない程の粗相をした。何度も反発し、殺そうとした。到底人間に放つような技では無いものを振るったりもしたが、それでもリヒト様は私を見捨てなかった。

 

まるで、子を愛し、柔らかく抱きしめてくれるように私に寄り添い続けてくれた。

私を含め、皆リヒト様の元に集まった者たちは、何処か訳ありでいて、そして世界からズレたような存在だらけだ。それ故にあるじ様以外には受け入れられず、私もあのままならいつか誰かに殺されていただろう。

 

だが、そんな私達をリヒト様は受け入れた。けして見捨てず、そして導いてくださった。

それは、世間からしたら親のような存在となるだろう。だが、幼くして両親に捨てられた私には、そのような低俗な存在と一緒にしたくなかった。それ故にリヒト様について悩んでいた私は、ある日答えを見つけた。

 

 

それは、人間が信仰するという神という存在だった。

それは既存のものとは隔絶した超越的な存在であり、あまねく全てを見守り、愛し、そして導く存在であると。

 

それを聞いた時、私はまるで雷に打たれたような衝撃が走った。

 

神、まるでリヒト様の為にあるような言葉に、私は確信した。リヒト様こそが神であり、唯一無二の絶対神なのだと。

なればこそ、私が蓋をした復讐心という黒い感情は、別の形となった。

 

なぜ、世界にはリヒト様以外に神と呼ばれる存在が居るのだろう。あの日の私を救いもせず、世界に呪いと不幸が撒き散らされている現状を救いもせずに、ただ崇められているような存在共がのうのうとのさばっているのか。

ただ管に、それが許せなかった。神を名乗るなど、我等が神と同列の存在だと嘯く者が居ることなど、私の信仰心が許さなかった。

 

 

だから私は、リヒト様に仕えると決めた時に誓ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

この世に溢れる欺瞞の神共を、残らず鏖殺すると。

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

突如として自宅を襲撃されたリヒトは、目を開けると不思議な世界に迷い混んでいた。

 

暗闇ではないかという程に澱んだその空間、その中の一つの大地に降り立っていたリヒト達。しかしその大地は宙に浮いていて、似たような島をいくつも見受けられる。

見渡す限りの異常な光景、それ等を見渡したリヒトは、一度それ等を視界からシャットアウトするように目を閉じた。

 

 

「(プラチナかよぉ!俺ダイヤモンドは覚えてるけどこっちは知らねえよ!!てかなんのイベント?テンガン山以外でいきなり襲われるとか無かったやん!これがシンオウスタンダードか!?)」

 

お前がイレギュラーなだけだ。

内心騒ぎ散らすリヒト、しかし状況がそんなことでは変わらないと見ると、一度落ち着き腰を見る。そこには、待機状態のボールが二つ着いてあった。

 

 

「(中は…ヴィーラとキングか。よし当たりだ!本音を言えばヴィーラよりもエンキの方が良かったけど、背に腹はかえられないし、何よりなんかあってもキング居るし)」

 

 

そう心の中でガッツポーズを取ったリヒトは、改めて周りを見渡す。そこにあるのは相も変わらず不毛の大地の群れと暗い空だけ、呼び出した主たる存在が見当たらず、リヒトはボソリと呟いた。

 

 

「…畏れか、なんとも矮小なものだ(訳:こえー、クソザコナメクジ呼び出して何するつもりなん?)」

 

その言葉を聞いた瞬間、突如として強烈な威圧感を感じた。その発信源たる後方を、リヒトは振り返らずにチラリと視線を向けた。そこには__

 

 

 

__その顎を大きく開き、今にもリヒトを殺さんとするギラティナが居た。

 

 

彼我の距離は凡そ3メートル、リヒトのポケモンは皆一線を越す異常な者ばかりではあるが、それでもこの距離ではどうだろうか。ましてや相手は伝説上の存在、そしてその力故に()()()()()()()()()のだ。

そのどうしようも無い程の絶望的な間合いに、リヒトはその危険すら忘れてそれを眺める。そして、その顎がまさに自身を食いちぎらんとした時、思わずと言ったように呟いた。

 

 

「…ギラティナか、伝承上の存在。世界の裏に潜む()か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神…だと?』

 

 

その言葉が聞こえた瞬間___

 

 

 

 

 

__大きく開いていたギラティナの顎が、下からの打撃で強制的に閉じられた。

 

突如発生した強烈な力場の発生に、理の存在せぬやぶれた世界を揺るがせた。それにリヒトは少しだけ目を細めると、目の前で起こった事の真相に気付き、吐きそうになった。

 

 

「(あ”ぁ”〜もうやだ〜!!()()()()()()()()()()()()()())()

 

 

というか、発狂していた。もしリヒトが表情を表に出せたのならば、人間に有るまじき顔面の崩壊が起こっていただろう。

それが隠せたのが、リヒトにとって幸運なのか不運なのか。

 

 

まあ、不運だろうが。

 

 

 

__________________________

 

とてつもない轟音と、凡そ生き物から発せられる筈のない音を立てながら後退したギラティナ。攻撃された本人たるギラティナがリヒトの方を見やると、そこには、()()()()()

 

背を向けているリヒト、まるでその背中を護るように立ち塞がるヴィーラ。しかしその目はあの日、リヒトを攻撃しようとしたルカリオに向けるものよりも強烈な感情が渦巻いていた。

 

 

『偽り、欺瞞、鍍金の神。そちらから現れてくれるとは好都合です』

 

 

その目には、悠久を生きるギラティナでさえ初めて目にするような、殺意と狂気が、まるでギラティナを縛り付けるように向けられていた。

多くの世界の敵を葬ってきた神たる者であっても、そのような異常性を見たのは初めてであるが為に、少しだけ固まっていた。だがそれを知ってか知らずか、ヴィーラはゆっくり、近づいていた。

 

 

『成程、引き込まれるまでキングが何を言っているのかさっぱりでした。私の仕事などをそうそうある筈もない、なればこそ私より優れたキングが居た方がいいだろうと。しかし我等の頂点はやはり慧眼でした』

 

 

一歩、また一歩と近付くヴィーラ。それをただ眺めていた訳では無いギラティナは、その目の前の敵の戦力を測っていた。

確かに有力な個体だ、だがしかし存在の格が違う。有象無象の中から生まれた個体としては最上級ではある、しかしそこには絶対に埋められない巨大な壁があるのだと。

そう、考えていた。だがその考えを、ギラティナは他ならぬ自身で棄却せねばならなかった。

 

 

『(これは…何者だ?その中に居た時とは別物に…私と相対した途端に、()()()()()()()()())』

 

 

決して届かぬと思われたその矮小な存在。それが一歩自身に近付く事に、格段に脅威度が跳ね上がる。そしてその勢いは、自身にその牙を届かせるのではと言わんばかりの領域まで上がっていた。

 

『リヒト様に仕える聖職者として、私は貴方に神の意を伝えましょう

 

 

 

 

 

 

『満場一致、一片の疑いもなく死刑です。貴様に存在理由は今をもって無に帰した、大人しくその首を差し出しなさい』

 

 

咄嗟に毒のようだと形容したそれは、確かにそうだろうとギラティナは自身の感性を肯定した。その小さな体躯で、矮小な存在で、しかして自身を殺しうる致死量の毒を秘めている。

まるでスズメバチのようだ、人間とは明らかに生き物として力関係が決まっている筈なのに、それでも殺しうる可能性を秘めている。

 

 

『望まぬ力に振り回され、生みの親に監禁されたお前には、個人的にも同情しましょう。それ故に他人に祭り上げられる等も仕方ないように思えましょう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!私にとって神とは唯一無二たるリヒト様その人なのだから』

 

 

そして、ゆっくりと近づいていたヴィーラは、初めてその歩みを止めた。その時にはもはや両者の間に間合いと呼ばれるものは無く、肌と肌が触れ合い、吐息が当たる程に密着しうる程接近していた。

そして、ギラティナの感じていた存在の膨張も、ピークに達していた。それを感じ取ったギラティナも、目の前のヴィーラを改めて脅威と認め、構えた。

 

 

『執行、開始。我が身は神の神罰の具現化であり、その首を落とす大鎌である』

 

『特異因子の存在を確認、世界の均衡の為に排除する。好きに恨め、その権利が貴様等にはある』

 

 

体躯の違うその両者、距離さえない、お互いの間合い等とうの昔に入っている両者は、一時もお互いから目を離さない。そして息遣いがだんだんと消えていくなかで、どちらとも言えず身動ぎをした瞬間__

 

 

 

 

 

 

 

__絶死の一撃が、世界を置き去りにする程の速度で激突した。

 

 

 




オリ特性 「殺神衝動」
自身より種族値の高い相手と戦う時、また世界に一体しかいないポケモンと戦うとき、開始時全てのステータスに三段階強化。ターン経過でもう三段階強化。
また通常時、ターン経過で攻撃、特攻、素早さが一段階強化。
実機ならゲーム機放り捨てる位のクソ仕様。

ちなみにヴィーラちゃんはルクス君より強いです、手持ちの力関係を表すと……

キング>〜超えられない壁〜>エンキ>ヴィーラ>>>ルクス>???>ラピスです。皆さん聞きました?これで3番手なんですよ?


限定的な擬人化について

  • 伝説だけならあり
  • 普通のポケモンでもおk
  • …すぞ。
  • マジェスタス重山

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