アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

10 / 43
今回は加筆多目です。感想待ってます。


竹林-1

-----藤原邸-----

 

 妹紅宅に泊まった夜、サトルは途中で目を覚ました。

 

「どうされましたか?」

 

 睡眠の必要のないナーベラルが警戒をしてくれていた為、小さい声で話しかけた。

 

「何でもない、少し夜風に当たってくる…

護衛はいらない」

 

「そうはまいりません…いつ妖怪に襲われるやも…」

「だからこそ、今度はお前が休め」

 

 若干、威圧するように言ったサトルの言葉にナーベラルはようやく従った。

 

 いくら休まなくても良い体でも精神的な疲れは出るかもしれない。

 必要な時に完璧なパフォーマンスをする為には十分な休息が必要だとナザリックでアインズがよく言っていることだ。

 

「…わかりました。」

 

 というのは今回は建前であり、ただサトルが一人になる時間が欲しいだけだ。

 こうでもしないと自室以外で一人になることが出来ない。

 護衛と称し最低1人の従者がつくようになっている。

 

 それもナザリックの皆が唯一の主人を万が一でも失うことを恐れている。

 

「こうでもしないと一人にしてくれないんだよな…」

 

 外に出ると、月明かりがとても綺麗で竹林の隙間から降りてくる光がとても綺麗であった。

 

 カランッ

 ザバーッ!

 

 風と竹の葉の擦れる音以外に何かが動いている音がした。

 サトルは音がした方を警戒した。

 すると井戸の前に一人の女性がいた。

 家の主、藤原妹紅だった。

 

 妹紅は水を被っており、白髪は水滴が付いていた。

 その水滴は月明かりに反射して幻想的な光が出ていた。

 

「おぉ、アンタも水浴びか?

今日は暑いからね。」

「いえ、そこまでは。

風にあたりにきただけです。」

 

「だったらちょっと話をしないか?

どうも、アンタのツレがいると警戒されて思うように話せない。」

「(だろうなぁ)」

 

ナーベラルの警戒には威嚇も含まれているのだから仕方ない。

 

「慧音から聞いたよ。アンタ、里で魔法を使って商売やりたいんだって。中々難しいぞ。

魔法を使うなら里から出た方がいいし、里に残るなら魔法も外の人間だという利点も捨てるべきだ。」

「それはご自分の経験からですか?」

 

 この藤原妹紅という女性は里の顔役である上白沢慧音の友人であり、妖怪たちの護衛としてそれなりに信頼されている。

 竹炭も妖怪警護も里を拠点とした方が効率がいいのに彼女はこんな妖怪がいつ出てもおかしくない所で一人暮らしている。

 

 彼女自身が人嫌いというだけかもしれないが、そうなるための原因がそこにはあるはずだ。

 

「ここの管理者の隙間から言葉を借りるなら

 

『幻想郷は全てを受け入れる。』

でも…『人里は人以外を拒絶する』

……」

 

「どういうことですか。

貴方は妖術を使えるだけで人間だと聞きましたが?」

 

 少なくともサトルにはそう見える。

 

「人と違う力を持つことには変わらない。

 

里のやつは外の人間だとわかるとすぐに直ぐに慧音の所に案内されたろ。

 

あれは厄介ごとを慧音に押し付けてんだよ。」

 

 サトルからしたらそんな感じには見えなかったが、そういう考え方もできるなと少し納得した。

 

「慧音が里の中で評価が高いのは事実だか、あいつも少し混ざってるからな。」

 

「(そうなのか…あの人も。)」

「アイツが寺子屋やってることをよく思わないやつも実は居るんだよ」

 

「でも…だからこそ未知の技術を持つかもしれない外の人間や魔法・妖術を使う奴をみんな慧音に押し付けて問題が起きたら慧音ごと…ってな。

慧音はわかっててやってるし、どのみち困ってるやつを見逃せないんだよな。」

 

この世界で一番強い存在、それは集団としての人間だ。

 

幻想郷が成立して百年ほど経っているらしいがその間人里の状況はほとんど変わってないらしい。

 

それこそが幻想郷を維持できている理由でもあるが少しおかしい。

 

サトルの様な外来人は時折姿を表すし、強大な力を持つ者が近くにいればそれに対抗する力を身につけようとするのは当然だ。

 

いくら妖怪が人里に手を出せないとしてもそのルールも妖怪が作ったもの、いつ反故にされてもおかしくはない。

 

にもかかわらず変化がないのはよほどこの世界の呪いとも言える悪習が染み込んでいるのであった。

 

「(中々この世界も業が深い……

いや、どこでも同じなんだな。)」

 

サトル基い、モモンガがユグドラシルで迫害を受けたのは他人と違う姿をしているからである。

人は自分たちと違うものを拒絶する。

この人もまたその被害者である。

 

「慧音はまだうまくやってる方だよ。

香霖堂の亭主は元は人里で働いていたが、やはり今は外だ。

アイツも半妖だからな。

霧雨は魔法の力を手にした途端親から勘当だぜ、元々人里の人間なのに。

本人は自由意志で外にいると言ってるけどそう誘導させたのは周りだよ。」

 

人里での活動の基板を作りたいと思い人里に出た。

自分には他に大した特技もないから魔法を売りにしようと考えたが、その考えは浅はかであったとサトルは後悔した。

 

「とまぁ、柄にもなく語っちまったが、これはあくまでもわたしの考えの一つだ。

里にも良い奴は居るし今言った風習も宗教じみた強制力もないよ。

店のこともまぁ、やるだけやってみろ。

 

案外、アンタみたいな奴が里を変えるのかもな。」

 

 なんだかんだで心配されていただけの様だ。

会ったばかりの自分達を心配するとはこの人達は本当にいい人たちなのだろう。

 

 その後二人は大人しくそれぞれの床につき夜を明かす。

 

-----迷いの竹林------

 

後日、慧音の紹介で人里にある空き家を使って良いと言われ、そこに滞在しながら藤原妹紅の元で仕事を始めたサトルとナーべの二人は今日も迷いの竹林に来ていた。

 

 

 

シャカッ!!……………シャカッ!!……………

 

石と土の混ざる地面に鍬が刺さる音が響く。

 

「ふぅ………………ふぅ………………」

 

サトルは中腰の体を一旦伸ばし、汗を拭う。

 

今日は妹紅とナーベと共に迷いの竹林にタケノコを取りに来ていた。

 

妖怪関連の仕事は主に退治に護衛、つまり依頼してくる人間が居なければ仕事がない。

妹紅自身も本業は竹炭を売って生計を立てている。

 

仕事がないからといって何もしないでいるわけにもいかず、妹紅の手伝いをする事でしのいでいる。

 

しかし、この仕事も考えようによっては色々参考になる事が多い。

迷いの竹林は妖怪も生息してる上、妖精のイタズラの所為で道にも迷いやすい。

そういった者の対処の仕方を覚えるには最適な仕事である。

 

「何だよその掘り方は、そんなんじゃタケノコが傷つくし、いつまでたっても抜けやしないぞ。」

「はぁ…………すいません。」

 

サラリーマンだったサトルにとってこの手の仕事は経験がない。

レベルダウンして下方修正を受けたとはいえオーバーロードのスペックを引き継いでいるため体力や筋力面は常人のそれを凌駕している。

だが、そういったスペックとは関係なく、経験のないタイプの仕事は上手くいかないものだ。

 

「何だよその屁っ放り腰は………もっと、下半身を安定させて体重をかけるように………」

「(何事も経験だな……………)」

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

仕事が終わり、帰路につく。

タケノコ狩りでは散々だったが、途中でちょっかい出してきた妖精は上手く対処出来たので良かった。

 

「タケノコ狩りはお粗末だったけど、妖怪退治の方はまあまあだったな………

これなら護衛の方は直ぐに任せられるかもな。

でも、妖怪の山や霧の湖には強力な妖怪がいるから気をつけろよ。」

「…………この辺には危険な妖怪が居ない…………ということですか?」

 

何気なくサトルが放った言葉に妹紅が少し反応した。

 

 

「まあ、妖怪より厄介な奴が居るからな…………ここには。」

 

 

妹紅からこの世界における妖怪退治屋の仕事について教えてもらった。

 

妖怪退治は基本的にはこの世界を維持する結界を護る博麗の巫女の仕事だ。

 

妹紅も頼まれればするが基本的には巫女だけで手は足りている。

 

では、なぜ慧音は妖怪退治の仕事を勧めたのか……それは緊急時人里を守れる人は一人でも多い方が良いからだ。

 

強力な妖怪は異変を起こす。そんな時、異変を解決するのは巫女の仕事だが里を守るのは自分達、里の者である。

 

そんな時少しでも妖怪に対抗できる存在がいてくれば多くのものを守れるというわけだ。

 

妖怪退治家業を行うのは巫女だけではない、最近では道具屋の娘も魔法を覚えて参加している。

だから妖怪退治だけでは暮らしていけないかもしれない、だが少しでも成果が出れば名が売れる。

 

そうなれば商売を始めるのにも役に立つだろうと言っていたが、先日の話を聞くと成果を上げればあげるほど里から遠のきそうだ。

 

 強すぎると拒絶されるが妖怪退治業は強さも信頼のうちと矛盾を抱えていた。

 

 

「(妖怪退治だけでやっていけそうにないな。何か自分の持ってる魔法でなんか商売になりそうなもの無いかな………

サーチ系の魔法で探偵家業……需要なさそう

転移系の魔法で運送業……クリエイト魔法で建築業……後考えられるのは……)」

 

 サトルが考え事をしながら歩いていると竹の隙間から人が現れた。

 

がさっ………

 

 その人を確認した瞬間、隣の妹紅の血相が変わった。

 

 

 その人は女性、まるで日本人形の様に黒く長い髪をなびかせ立派な着物を着ていた。

 

 妹紅はまるで親の仇にあった様に怒りで顔を歪ませながら名を呼んだ。

 

「か……輝夜!………」

「あら、妹紅………」

 

「(知り合い?……でも、いい関係じゃなさそうだ。)」

 

緊迫した空気の中、二人は物騒な話を始めたい。

 

「ちょうど貴方をぶっ殺しに行こうかななんて思っていたところよ……」

「へっ!永遠亭のお姫さんがわざわざ殺されに来るなんて……どういう風の吹き回しだよ!」

 

 

 

「調子に乗るなよ、竹林ホームレスが…」

「ほざいてろ、蓬莱ニート!!」

 

 

 

 すると妹紅が自分のタケノコをサトルに投げ渡し、言った。

 

「悪いが先に帰っててくれないか………

道はわかるだろ。………」

 

 二人の間になにがあるのかは知らないが、ここは一先ず、言うことを聞いておくべきだろう。

 

 一見ただの人間に見えるがこんな場所に不釣り合いな姿で現れた女性。

 なにか隠し持っているかもしれない。

 

 

「ナーベ………」

「はい。」

 

 サトル達はこの場から離れていった。

 

 

「………嫌に大人しく通してくれたじゃねぇか。」

「一般人に手を出す程落ちぶれては無いわよ。

まぁ、あれの壁になって一方的に殺される貴方を見るのも悪く無いと思ったけどね。」

 

「十分、クソだよ!」

「あらあら、はしたない言葉を使うのね。

昔はお淑やかなお嬢さんだったのに時は人を変えるわね………」

「変えたのはテメェだろ!!」

 

 宿敵がぶつかりし時サトルは何を思うか。


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。