アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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竹林-3

-----迷いの竹林-----

 

「……お前の相手は私だろうが!!

蓬莱『凱風快晴-フジヤマヴォルケイノ-』!!」

 

3人の交錯はスペルカードの暴発を産んだ。

 

「邪魔するなぁ!!」

 

 二人の力がぶつかり大爆発を生む。

 サトルは妹紅が割り込んだ時、押されて距離を離された為巻き込まれなかった。

 

 爆発の中から妹紅が落ちてくる。

無理に間に入った為、爆破により黒焦げになっていた。

 

 爆煙の中から輝夜が出てきた。

 

「くっ………」

 

 

 

 

 

 輝夜も無事じゃ済まされず、大ダメージを抱え、弱々しくそのまま飛んでいった。

 

 

「……サトル様、ご無事で何よりです。」

「ああ、だが彼女は助けられなかった……」

 

人が焦げる異様な匂いがその場を漂う。

これは流石に死んでいるだろう。

 

 アンデッドの時は人が傷ついたり死んだりする様子を見てもなにも感じなかった。

 しかし、今のサトルは一時的ではあるが人に戻っており、精神的ダメージをもろに受けていた。

 

 自分のせいで死んだ……そんな風に思っているのだろう。

 

「この死体の処遇はいかがなさいますか?」

 

 ナーベラルの言葉により、落ち着きを取り戻すサトル。

 この死体の処遇に対して思考を巡らす。

 

 藤原妹紅は優秀な人間だ。

 このままアンデッドにしてナザリックで働かせるのも悪くは無いだろう。

 絶対服従状態にもできるし情報も聞き出せる。

 

 しかし、彼女はこの世界でお世話になった人間の一人だ、そんな彼女を死んでもなお服従させ働かせるのは申し訳ない。

 ここはやはり純粋な生者としての復活を施し、本人には一命を取り戻したなどの言い訳をしようでは無いか。

 復活に使用するアイテムは高価なものだが、自分を庇ってくれたことを考えればやすいものだ。

 

サトルが復活のアイテムを取り出そうとした瞬間、驚きの現象が起きた。

 

がっでにごろずな(勝手に殺すな)

「!!!」

「!!!」

 

黒焦げになった死体が目を覚まし声を上げた。

 

ちょっどまっでろ(ちょっと待ってろ)のどがやげでうまくごえがだぜない(喉が焼けてうまく声が出せない)………

ふぅ……戻った。」

 

 信じられない光景だ。

 黒焦げだった体がみるみるうちに癒えていくでは無いか、人間がこれほどまでの回復力を持っているはずが無い。

 

 ありえない状況に警戒したナーベラルがサトルと妹紅の間に入り武器を握ったがサトルがそれを止め、妹紅に話しかけた。

 

「…妹紅さんって人間じゃなかったんですか!?」

「…いや、ちょっと妖術が使えるだけで基本的にはただの人間だよ。

…ただのちょっとばかり【不死】なだけだ。」

 

サトルは妹紅の言葉に驚きながらも少しずつ納得していく。

 

「(純粋な不死者か…

確かに吸血鬼とかいるこの世界になら居てもおかしくないけど………

肉体が人間のままで不死身になれるんだなぁ………

確かに傷がみるみる内に治っていくな……

治癒ってより時間が巻き戻っていくみたいだ…………)」

 

 

 何とも珍しい体質だ。

 そう言えば日本の言い伝えに人魚の肉を食べると不老不死になれるって言うのがあるって聞いたことがある。

 他にも日本の言い伝えには不老や不死の言い伝えが幾つかある。

 ナザリックにいる末っ子メイドも不老の人間だった。

 

 

「あのさ、そんなにジロジロ見るなよ、品定めされてるみたいだ……」

 

 

「……ああっ!!ごめんなさい!…」

 

慌てふためくサトル。

 

「お前たち魔法使いから見たら私の体なんて良い観察対象か実験材料ぐらいにしか思ってないだろうしな。

さっきもなんかしようとしてたし……」

 

「そんなこと無いですよって、あー違う。そうじゃなくて、えーと。」

「何だ?私の体に興味があるのか?……あんな美人を侍らせといて?…酔狂なやつだな。」

 

暇つぶしに変態か狂心者、どちらかのレッテルを貼られるやりとりをふっかけられるサトル。

 

結果的には必要なかったことだが、それでもやはり助けに来てくれたことは妹紅も嬉しく、少し機嫌が良さそうだ。

 

そんなやり取りをしている内に、十分回復した妹紅は立ち上がり移動を始めようとした。

 

 

 

「おい!行くぞ。家に帰ったら説明してやる。あいつが何なのか……私が何なのか……

 

言いたかないけど捲き込んじまったしな。」

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

-----迷いの竹林・藤原宅-----

 

 妹紅の家にたどり着いた三人は妹紅から事情を聞いていた。

 

「蓬莱人!?」

「そう、不老不死の妙薬【蓬莱の薬】を飲んだ死ぬことが許されない人間になっちまったんだよ私達は。」

 

「達はって言うと………」

「さっき、戦った輝夜もそうだ。

まあ、あいつは元々が地上人(・・・)じゃないけどな………」

 

「つまり、さっきの傷は………」

「もう、とっくに治ってるだろうな。」

 

 その事実を聞いてため息を吐くサトル。

さすがに死んではいないとは思っていたが回復力が半端ない不老不死と聞いては肩を下ろしたくもなる。

 

「まあ、あいつは私が関わらない限り人間には無害な存在だからな。

しばらくあの辺に近づかなきゃ大丈夫だろ。」

「はあ……」

 

 引き続き、二人は妹紅と輝夜について聞いた。

 

 彼女の名前は蓬莱山輝夜、月のお姫様……つまりおとぎ話で出てくるかぐや姫らしい。

 

妹紅さんも実は凄い人だった、彼女の父親はかぐや姫に求婚した貴公子の一人らしい……

 

でも後の世界に語り継がれたおとぎ話とは少し違うみたいだ。

かぐや姫が月に帰ってなかったり、宝の数々が本物だったり。

そういえばさっき、【火鼠の衣】って言ってた。

見立て通りなら確かに神アイテムに匹敵する代物だろう。

 

本当にこの幻想郷では何でもありだな。吸血鬼の次はおとぎ話の住人かよ……

ゲームの中の住人である自分たちも大概だけど………

 

今は、幻想郷の迷いの竹林の最深部に構える【永遠亭】で従者やウサギと一緒に暮らしている様だ。

 

従者が月の医学を修めた薬師で蓬莱の薬の製作者らしい。

蓬莱の薬……使うかどうかは別として非常に興味のある代物だな。

 

その薬師が今は開業して診療所をやっているらしく里で急患が出ると妹紅が迷いの竹林を案内するらしい。

妹紅の護衛任務のほとんどがこれらしい……

 

あれ?……じゃあそのたびに彼女に会いに行ってるってこと?

憎しみ合ってるけど多少の同族意識があるのかな?

喧嘩するほど仲が良いってよく言うけどこの人達の場合は殺しあうほど仲が良いってやつかもな。

 

 

……なんか………ますます助けに来ない方が良かった気がする…………

 

 

 

一通り話を聞いた後、一休みして今日の仕事を終わらせた。

 

帰り際、妹紅が今後の事を話す。

 

「さっきも言ったけど念のためしばらくはこの辺に近づかないほうが良い。

慧音には話はつけとくからおとなしく慧音の手伝いでもしててくれ。」

「はい、そうさせてもらいます。」

 

しばらくは妖怪家業は中止かな…

せっかく始めたばかりなのに……

でも、さっきみたいなのにホイホイ遭遇するわけにもいかないからな……

 

「でも、予想以上の腕前だったぜ。

あれだけ戦えれば余程の相手じゃなければ何とかなるだろ。

慧音には強く推薦しとくよ、頼りになるから仕事を回すと良いってな。」

 

「それは助かります。

では、失礼します。行くよナーベ。」

 

 

 

 

人里に帰る二人を珍しく、手を振り見送る妹紅、二人の姿が見えなくなると今日の事を振り返る。

 

「(……他人に助けられるなんて慧音の時以来だったな………)」

 

 

 

 

 

帰る途中、サトルはずっと気になっていたことに考えを巡らせる。

 

『さっきの魔法をどこで覚えたぁぁ!!』

 

つかみ掛かってくる輝夜のセリフ、動揺させることを目的に組んだ作戦とは言え、驚き方が異様だった気がする……

 

「(まるで我々の魔法が何なのか知っている雰囲気だったな………

次はアインズとして探りを入れようか……

そのまえに準備できる事はしっかりやっておかないとな……)」

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

-----永遠亭-----

 

 

傷ついた輝夜は不老不死の力よりその傷を完全に回復させ、帰宅。

今は汚れた体を洗うため風呂に入っていた。

 

「ふぅ〜………

生き返るわ〜……って死ねないけど……」

 

輝夜は熱いお湯で温まりながら先の戦闘を振り返る。

 

「(あの魔法は間違いなくあのゲームの……

という事はあいつらは外来人?……

いや、外来人であっても知っているだけで使う事は出来ないはず。

 

………能力持ちの外来人がそれっぽい魔法を作った?………

 

それが一番しっくりくるけど、どこまで再現できてるかによって厄介なことに成りかねないわね……

 

そう言えば異形種の妖怪団体が幻想入りしたって隙間の式が忠告してたわね。

 

関連があるとしたらますます厄介になりそうね。)」

 

 輝夜が考え事をしていると扉の向こうから声が聞こえる。

 

「姫様……着替えはここに置いておきますね。」

 

「ありがとう、永琳………

ねぇ、永琳。調べておいて欲しいことがあるんだけど………」

 

 

 


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