アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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異変-3

 異変開始から少し前に遡る。

 

 アインズは各ステージを守護する守護者を集め、作戦を伝えていた。

 

 

「以上がこの幻想郷で異変を起こす際のルールだ。

皆にもこのルールを守った上で各ステージを守ってもらいたい。」

 

 

「一つ質問がありますがよろしいでありんすか?」

「何だ、シャルティア……」

 

 

 

「このルール……明らかに解決者側が有利なルールになっているのは気のせいでありんすか?」

 

 

 その通り、スペルカードルールを採用した異変は解決者が精神的に諦めない限り解決者側に負けはなく、いくらでも再挑戦が出来るルールになっている。

 

 

「そうだ、誰かが解決をしないと異変が終わらないからな。」

 

「我々が勝つことができないルールなど律儀に守る必要があるのですか?」

 

 確かにその通りだ。

 ルール上、仕方の無いものであってもナザリックが負けることなど守護者にとってこれ程、屈辱的なものは無い。

もちろん、アインズとて同じ気持ちだ。

 

 

「…………それはだな、シャルティア………」

 

 アインズが少し気まずそうに訳を話そうとするところをデミウルゴスがかわる。

 

「アインズ様、僭越ながらここは私が説明いたします。」

 

「そうか……なら任せる。」

 

 

 

「では……………

 

シャルティア、ルールを守る事はそれと同時にルールに守られることにつながるのです。

 

アインズ様にかかればこの異変で勝ち抜く事は容易いかもしれません。

 

しかし、それをすればこの世界の妖怪たちを丸ごと敵に回すことになります。

 

今回の異変の犠牲者になるような雑魚妖怪たちがいくら束になろうとナザリックはもろともしません。

 

ですが、この世界にも我々守護者に匹敵する程の実力を持った存在がいることも確かです。

 

最初に出会った八雲紫、シャルティアと互角に戦ったレミリア・スカーレット、そしてナーベラルの報告にあった不死の人間、藤原妹紅や蓬莱山輝夜。

 

彼らが手を組めばその戦力は強大です。

勿論、我々は必死で戦いますが被害がゼロとまではいかないでしょう。

 

アインズ様はそれを警戒しているのです。」

 

 

 アインズ…いや、モモンガはギルド長としてこのナザリックを守る事をこの身尽き果てるまでの使命としている。

 

そのためには無駄な戦いは避けなければならない。

 

 デミウルゴスはわざとそのような言葉を使ったが、被害の中には守護者達も含まれる。

 

 

 この世界でNPCの復活が可能かの検証はまだしていない。仮にできたとしても守護者達の復活には莫大な費用がかかる。

 この世界での収入が画一しないうちは資金不足で守護者の復活が叶わない可能性もある。

 

 アインズはナザリック以上に失いたく無いのだ、仲間達が残したNPC(子供)達を。

 

「なので彼らにとっての共通の敵であるルールを破る者にならない様に我々はルールを守る必要があるのです。」

 

 

「………わかったでありんす。デミウルゴス

しかし、それでも負けると分かっている戦いに挑むとなると気が引けますわね。………」

 

 シャルティアは悲しい顔で答えた。

 敵が勝利を約束された剣を持つなら、異変を起こす妖怪は敗北の星に生まれていると言っても過言では無い状況だ。

 

「ボクたちがそんな奴らが気にならないくらい強ければ……アインズ様も気になさらずにいられるのに…………」

「不覚……」

 

 シャルティアの悲しむ言葉にマーレ、そしてコキュートスが続いた。

 

「フフッ…お前達…そう悲しむで無い。

私は嬉しいのだよ。

この世界にも我々と張り合える存在が居て、お前達を守れて………

そして、この世界にも全力で戦えるルールがあってくれて。」

 

ルールの無い環境はただの戦争でしか無い。

悟が一番輝いていた時と同様、仲間がいて敵が居て、ライバルたちが居て、目標があり楽しめる世界。

ユグドラシルから幻想郷へルールが変わろうともそれは変わらない。

 

 アインズの笑みとともにアルベドも初めからアインズの意図を汲んでいたのか笑みを浮かべる。

 

「それに例え負けが決まった戦いであっても、ただで負ける気は毛頭無いのでしょう?

アインズ様………

そのために宝物殿へと足を運んだのでしょう。」

 

 その言葉に守護者の期待が集まる。

 

「流石はアルベドだ。私の真意を見抜くとは…………」

「勿論であります。愛する人の気持ちがわからぬ女などいません。」

「そ………そうか…………」

 

 

 アレを見られたくなかったから一人で向かったのだが、なぜ知っているのだろう。

 アルベドの猛烈アピールに戸惑わざるえないアインズ。

 

 下がった士気が戻ったところでアインズは戦いに赴く彼らにとあるアドバイスをした。

 

 

「皆…敵の力は未知数、心していけ。

だが、相手も我々の力を知らない…

普段は対策がとられていてあまり通用しない戦法を使ってみるといい、おそらくうまくハマるぞ。」

 

これにはもう一つの意図がある。

逆にこの戦法をもろともしない者が居るのならそいつはユグドラシルプレイヤーである可能性が高い。

最初に八雲紫が言った「同じ様に(・・・・)転移した(・・・・)ユグドラシルプレイヤーが居ない」という言葉が偽りである可能性もあるからだ。

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 そして時は戻りナザリックから溢れ出した屍人の異変を解決するため、各勢力の代表者がナザリックの最深部を目指していた。

 

 

ダダダダダダッ!!

 

「ヒャッハー!汚物は消毒だぜ!!

……快感♡」

 

 元、ユグドラシルプレイヤーの輝夜は月の技術仕込みのマシンガンで幾多の屍人を葬っていた。

 

「姫様、色々と自重してください。」

 

「良いでしょう。リアルゾンビゲーなんて中々出来るものじゃ無いし、楽しみましょうよ。

どうせ、ナザリックに入ったら集中していかなきゃ命がいくつあっても足りないんだから。」

 

ゲーム時代のままでもナザリックの戦力がハンパ無いことを輝夜は知っていた。

 

 

「そう言えば先程借りがどうとか言ってましたけど、ゲームの中で何があったんですか?」

「ああ、大したこと無いわよ。

ちょっとしたことが原因でギルド間戦争になっただけ……

お互い濃いメンツだったから後半は楽しんでたけどね。」

 

「ちょっとした原因とは?」

「ギルメンが『ハロウィーン!!』って言ってナザリックに突貫した………」

 

「原因がコッチじゃないですか………で?何が借りなんですか?」

「最終的にナザリックを攻略できなかったことに対しての借りよ。結局『二十』も使わせられなかったし。」

 

「……なんだかよくわかりませんが…わかりました。」

 

 

「それより、私が頼んだ薬は用意してくれたの?」

「ええ、それは勿論です。」

 

「それならいいけどユグドラシルみたいに対策魔法が無いから永琳の薬である程度補わないといけないからね。

…………でも、言ったままの効果がある薬を作れるなんて流石は永琳よね。」

 

 

ナザリックのギミックを知っている輝夜は対策を整え、ナザリックに入っていった。

 

 

「そろそろ、かしら………」

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

 アインズにとって不安要素は三つある。

一つは前述の様に我々の力を把握しているユグドラシルプレイヤーという存在。

 

 しかし、現状いるかいないかわからない存在ゆえに最も問題なのは残り2つである。

 

それは博麗神社の巫女と言う存在だ。

 

 

 この幻想郷の設立に携わる一族であり、妖怪と人間の共存するこの世界の楔そのものである。

 

 先日、サトルの姿で彼女を見た時はレベルとしては80後半ぐらいだろうか……

弱くは無いが最強には程遠い。

 

 稗田阿求が歴代で最も修行不足であると称しているのも理解できる。

 

 しかし、彼女の実績がアインズの不安を物語っていた。

 

 いくら、解決者側が有利とはいえ人間である限り体も心もいつかは折れる。

それなのに輝夜や紫の様に桁外れの体力をもち、実力も100レベルに到達しかかっている妖怪たちを相手に勝ちをもぎ取ってきたのには何か理由があるはずだ。

 今代の博麗神社の巫女、博麗霊夢が。

そしてこのスペルカードルールが採用される前の巫女が妖怪たちを退けていた理由が……

 

 例えば……博麗の巫女の幻想郷に置いての絶対性だ。

 

 妖怪たちは博麗神社の巫女に勝てないなどといった世界の法則に近い者があるかも知れない。

 

 まるで漫画の主人公の様な特性だが、この世界の設立に携わる存在ならそんな力を持っていても不思議では無い。

 

 そんな者が相手ではアインズとて博麗神社の巫女から勝利をもぎ取ることが不可能になる。

 一応、それらを踏まえて対策を立てているが機能するとは限らない。

 

 

 

 そして最後に最も怪しいのが八雲紫と言う存在だ。

 

 

 

 

 

 彼女が何を企んでいるのかを未だに測りきれずにいる。

 この世界に来たばかりの自分達に情報をくれ、特殊な式を与え、そして今、異変解決のために動いている。

 

 彼女の行動には矛盾がある。

 こちらに異変を起こす様にけしかけておきながら一番の障害とともに異変解決のために動いている。

 

 

「(奴の目的は博麗の巫女と我々を戦わせること?…………ならば勝つことが奴の目的なのか……もしくは負けることが?

 

どちらかだとしてその思惑に乗るべきか否か…………)」

 

 

アインズは一人玉座の間にて考える。

ここまで勝ち残ってくる異変解決者を待ちながら。

 


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