アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

22 / 43
異変-6

-----4面道中・第七階層『溶岩』-----

 

 蓬莱人コンビとデミウルゴスの弾幕ごっこは終盤、デミウルゴスの数々の範囲攻撃を回避し、輝夜が優位に進めていた。

 

(……どれもこれもユグドラシルのスキルや魔法をベースに作り上げたスペルカードばかりね。

しかし、ユグドラシルをやり込んだ私はその攻略法を熟知しているわ。)

 

(やれやれ、ここまで完璧に避けられるとなると同郷者(ユグドラシルプレイヤー)本人と見て間違いなさそうですね。

………アインズ様の言う通りこの辺で負けておくのが良いでしょう。

戦術的勝利なんていくらでもくれてやりますよ。

全てはアインズ様……ナザリックの為。)

 

 

 デミウルゴスは芝居掛かった口調で最後のスペルカードを宣言した。

 

 

「この私をここまで追いつめるとは……

後悔するが良い!!ラストスペル!

偽神『悪魔の諸相:完全なる悪魔』!!」

 

 デミウルゴスは悪魔の変身能力を発動させた。

 普段、体の一部にしか発動させない変身を全身にかけ、更におぞましき肉体強化を施し。

 デミウルゴスはメキメキと音を立て異形の者に変身した。

 

 ナザリックは異形種のプレイヤーに作られただけあって異形の姿を持つ者が多い。

 ぱっと見は人間とそう変わらない姿をしていても真の姿を現せばその禍々しい姿に普通の人間は恐れ慄くだろう。

 

 

 永琳は弓を引き矢をデミウルゴスに向けた。

 

 デミウルゴスはドスの効いた声で返す。

 

「人間風情が調子にのるなよ………」

 

 

 デミウルゴスのラストスペルによる戦いが再開された。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※

 

 その様子を見ていたアインズは玉座の間で物思いに耽る。

 

 

(あの輝夜とかいう姫、何者なんだ?…

ナザリックの攻略法を知っている事は言うほど驚きではない。

その把握率に差はあれど攻略法を知っている連中は少なくない。

1〜7階層ならあの大戦の人間なら知っているだろうし、w○kiで調べればある程度出てくるからな…

しかし、彼女は我々の理念さえ知っていた…

『かぐや』か……何か聞いた事がある気がするが思い出せない……)

 

 

※※※※※※※※※※※※※

 

 

 アインズが考え事をしている間にも蓬莱人コンビはデミウルゴスさえ突破し、ついに前人未到の第9・10階層に踏み入れようとしていた。

 

「さっきの悪魔、歯ごたえを感じませんでしたね。実力を隠しているのでしょうか?」

「あら?永琳はそう読むの。私は違うと思うわよ。」

 

「どういう事ですか?」

 

「そのままの意味よ。

彼は戦闘関する能力は惜しみなく出してきたけど何かを隠してる…

つまりそれは直接戦闘に関係ないものである可能性が高いわ。

大分頭の良い雰囲気を醸し出しておきながらラストスペルが身体能力強化の力技っていうのがその証拠よ。

こちらは実力は出したからそちらも力を示せって言いたそうだったわよ。」

 

「そして私たちの情報を見事に引き出したという風ですね。

プライドは低い方には見えませんでしたのに簡単に勝利を捨ててきました……それだけここの主人に対する忠誠が高いようですね。」

 

(そう考えるとここの主人は彼の創造主かしら?…)

 

 とは言え、さすがの輝夜も誰が何を作ったのかなんて事知るはずもない。

 

 そして現役時代、一度たりとも踏み入れた事のない領域へと足を踏み入れるのであった。

 

 

「永琳、こっから先が本番だから気を引き締めていくわよ。」

「はい。」

 

 

-----第9階層-----

 

 そして、二人は最深部へと足を踏み入れる。

 

 

「前までの階層とは打って変わって豪華な飾りね。

月の実家とどちらが豪華かしら?」

「私はなんとも………」

 

 

 すると今度は二人の目の前に美しき堕天使が舞い降りた。

 

「お待ちしておりました。

私、ナザリック地下大墳墓の守護者統括、アルベドと言うものです。」

 

 

「待っていた?私たちを?」

 

 

「はい、お二人のすばらしい弾幕ごっこを拝見した我が主人が是非とも直接会いたいと……」

 

 このアルベドという女性がここを任されたボスなのは間違いなさそうだ。

 それを素通りさせてくれるのは嬉しい話しだ。

 

 

「それは嬉しいわ。

行きましょう。永琳」

「はい。」

 

 二人が歩き出そうとするとアルベドは永琳の首元に斧を突き出した。

 

「どういうつもり?」

「申し訳ありません。お呼びしているのはこちらの女性だけでして、従者の方はこちらでお待ちください。」

 

「そういう事ね……」

 

 二人を分断させることが狙いか……

 姫を一人にするのはまずいと思い、永琳は輝夜の方に目を向けた。

 

「大丈夫よ。

ここの主人とやらとは一度二人で話したかったし。

こちらがルールを守っている限り彼方もルールを守らないといけないのは確かだし。」

 

 確かにここまでやって今更そんなリスクを負うとも思えない。

 

「そうですか…」

 

 

※※※※※※※※※※※

 

-----第10階層・玉座の間-----

 

 

 前の階層にアルベドと永琳をおき、ここのメイドの一人、ペストーニャ・S・ワンコに案内され輝夜は玉座の間に連れてこられた。

 

 豪華な扉、豪華な壁や天井。

 そしてその真ん中に佇む豪華で大きめの椅子。

 

 そこに座るアインズはローブで隠した顔を見せた。

 

 

「ようこそ、侵入者。

私はここ、ナザリック地下大墳墓の主人。

アインズ・ウール・ゴウンというものだ。

この度は貴殿の美しくもすばらしい戦いを見させてもらいここに来てもらったのだが、まずは一つ尋ねたい事がある………

 

 

貴様は何者だ?………」

 

 

 

アインズは輝夜をギラリと睨みつけた。

 

 

「少ない筈なんだよ……

ナザリックをアインズ・ウール・ゴウンをここまで熟知している人間は……」

 

さらに輝夜にプレッシャーをかける

その背中には絶望のオーラが見える。

 

 

アインズだけに喋らせて黙っていた輝夜がようやくしゃべりだした。

 

「ふふふ…………

ふふふはっはっはっ!!!

 

やっぱりあなただったのね………

そうよね、あなたしかないわよね。

あなた程ユグドラシルに……いえ、アインズ・ウール・ゴウンに入れ込んでた人は居なかったわよねー!!!」

 

急に高笑いする輝夜に軽く殺意が湧きながらもアインズは確信を得た。

 

「やはり、元ユグドラシルプレイヤーか……

それでお前は誰なんだ?」

 

「え?………まだ、分からないの?

結構ヒントをあげてると思うんだけどね。

まぁ、あなたとは直接絡むことは少なかったわね。

今の姿とゲームの時の姿とは違うし。

私と絡みが多かったのはあけみちゃんとやまいこさんだったし。」

 

輝夜は笑いを止め、真面目に自己紹介をした。

 

「それでは、改めまして……

当時ユグドラシル・ギルドランキング36位

ギルド名『御伽噺の住人』ギルド長

プレイヤー名『てるよ』…どう?思い出してくれた?」

 

「御伽噺の住人?…まさか!?

竜宮城の自宅警備員!なんちゃってお姫さまのアイテムコレクター!」

 

「なんでそういうことばかり覚えてるのよ!!あとなんちゃってって何よ!!正真正銘の姫だし、皆のアイドルやってたし!!」

 

「アイドル(笑)………」

「ちょっ!!」

 

 ギルドランキングのトップ10にはアインズ・ウール・ゴウンを除けば少人数ギルドは無かった。

 しかし、ランキングを少し下げればランクインする少数ギルドが存在した。

 その一つがギルド『御伽噺の住人』であった。

 非常に共通点の多かったアインズ・ウール・ゴウンとは幾度となく剣と魔法を交える関係であり、そこから友情が生まれたメンバーも多々いた。

 

 共通点とは少数ギルドである事、そして非常に凝ったキャラメイクが施してあるプレイヤーで構成されたギルドであった事だ。

 

 異形種で構成されたアインズ・ウール・ゴウンとは違い、そのギルドに所属していたプレイヤーは皆、「御伽噺の登場人物になぞったキャラメイク」が施されていたのだ。

 

 その為、てるよの「かぐや姫」を始めアインズ・ウール・ゴウンに負けず劣らずの濃いメンバーが集っていた。

敵拠点(鬼ヶ島)攻略戦に長けた侍、金色に輝き戦闘力が増す猿ほか、東洋ばかりではなく西洋の御伽噺からは炎熱系魔法使いのマッチ売りや右腕が機械鎧(オートメイル)の隻腕の海賊、春眠暁を覚えない(よく寝落ちする)眠れる森の美女など、そうそうたるメンバーであった。

 その中でも輝夜が演じた「てるよ」はログイン率ナンバーワン、希少アイテムの収集家であり癖の強いギルメンを纏めるギルド長であった。

 

 ただ、お姫様らしいお姫様を演じていたはずなのにいつの間にかボロが出てギルメンからつけられたあだ名は「なんちゃって姫」、皆のアイドルをやっていると思っているのは自分だけであり、むしろ皆にちやほやされていたのは『乙姫』役の女の子の方であったとか。

 

 悪評高いアインズ・ウール・ゴウンと交流があった事を知っている者は殆ど居ない。

 寧ろ、幾度となく突貫していく御伽噺の連中を見て仲が悪いと思われていたほどだ。

 

 しかし、いい好敵手の存在もゲームを楽しむ大切な要素である事は確かである。

 

 

 

 

 

 そしてアインズは彼女達のギルドとの思い出を思い出していた……

 

 

 

 


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。