アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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異変-8

-----1面ボス・第3階層-----

 

 舞台が完全に下の階層に移ったが吸血鬼たちの戯れはまだまだ続いていた。

 

「物質破壊能力とは………流石はレミリアの妹でありんす。

厄介なスキルを保有してるでありんすね。」

 

 伝説(レジェンド)級・神器(ゴッズアイテム)級でフル装備しているシャルティアの耐久力は非常に高い。

 しかし、その高い耐久力を持つ武装でさえ、フランの能力『すべてを破壊する程度』の能力の前では紙装甲同前だ。

 今はフランの能力の対象に入らない様にするのがやっとだ。

 

「ペロロンチーノ様に作って貰った大切な防具を壊されるわけにはいかないでありんす。

悪いけど切り札を使わせてもらいます。」

 

シャルティアはスペルカードを取り出し、宣言した。

 

センシ(鮮屍)『エインヘリアル』!!!」

 

 シャルティアは自分の切り札、物理攻撃しか出来ないが自分と同じだけの戦闘力を持つ分身を生み出すスキルを発動させた。

 

「これもスキルでありんす。

二体一が卑怯とは言わせないでありんすよ。」

 

 シャルティアのスキルをみてはしゃぐフラン。

 

「お姉ちゃん凄〜い!!

じゃあ、私も!」

 

「え?………私()?」

 

不穏な言葉を放ちながらフランも新しいスペルカードを宣言した。

 

「禁忌『フォーオブアカインド』……」

 

 フランは4体へ分身するスキルを発動させる。

 これには流石のシャルティアも驚きだ。

 

「『二体一が卑怯とは言わせない』だったよね〜。」

 

「………そ、そ、そうね。………」

 

フラン(×4)は狂気を孕んだ瞳でシャルティアに笑顔を向ける。

身の危険を感じざるえないシャルティアは横で見ているレミリアに視線を送る。

 

「シャルティア……頑張って♪」

 

「あぁ…はい…」

 

なんとも覇気のない言葉がシャルティアから漏れる。

 

 

 

 

 

-----2面ボス・第5階層-----

 

 

一方、コキュートスとうどんげ、妖夢の戦いは熾烈を極めていた。

 

うどんげの凄まじい数の銃弾がコキュートスに放たれるが、すべてがその硬い甲殻により弾かれる。

 

「ナンダ、ソノヒョウロク弾ハ………

我ガ装甲ヲ貫キタクバモット骨ノアル物ヲ用意セヨ!!」

 

コキュートスが現在発動しているスペルカード

『武士道「銃ナンテ捨テテカカッテコイ」』

はアイテムやスキルで相手の行動を制限するものである。

 

 遠距離攻撃弱化・遠距離攻撃耐性強化・近接攻撃強化・状態異常系攻撃弱化・空間系攻撃無効化などのバフを全体にかけ、遠距離戦を捨てて近距離戦に絞らせるものだ。

 

 一見、接近戦が得意なコキュートスに有利すぎる状況だがそうでもない。

 近接攻撃強化の恩恵は相手も同じでありコキュートスはこれを発動している間は一部を除き、スキル・魔法が殆ど使えない状態である。

 

 相手がコキュートスと同格以上の相手なら例え遠距離型でもデバフをはねのけるだけの対策が取れるのだが、その実力が発展途上の二人には憎たらしいほどに嵌っていた。

 

 うどんげの座薬弾はほぼ効かない、レーザー系の攻撃もあの装甲と武器でいなされてしまう。

 

 うどんげの援護射撃がほぼ意味をなさない状況である。

 

 うどんげのスタイルはバランス型であり、接近戦もそつなくこなす。

 しかし、目の前の光景がうどんげの足を止めていた。

 

「人符『現世斬』!!」

 

 妖夢が目にも止まらぬ速度でコキュートスに切り掛かる。

 その威力はバフの影響でいつものそれを凌駕する。

 

しかし…

 

「武刃『明王撃』ィ!!」

 

全力の突撃を止められ、はたまたはそれを打ち返される妖夢。

 

 妖夢は実感する。

 この男(虫だけど)の剣術の腕は自分のそれを遥かに凌駕すると………

 それは端から見ていたうどんげも同じ思いであった。

 

 それでも向かっていこうとしている妖夢にうどんげは肩に手を置き、止める。

 

「妖夢………やめよう。今の私達じゃ普通に戦っても勝ち目はないよ。」

 

うどんげの言葉に表情をムッとさせ答えた。

 

「じゃあ、どうしろっての!」

 

いつになく真面目に答えるうどんげがそこにいた。

 

「ちょっと無茶な戦いをしてみようと思うわ。

妖夢、しばらく私がアイツの相手をするからその間に力を溜めてて………

アイツが防げないくらいとびっきりの奴を用意してね…………」

 

「サセルト思ウカ?

言ッテオクガサッキノ様ナ弾幕デハ時間稼ギニモナラナイカラナ。」

 

うどんげはキリッとコキュートスに向かって強い視線を送った。

 

 

「そう、私の射撃じゃあこのフィールドで装甲を抜くことは難しいわ…

だったら拳で殴ればいいだけのことよ!!」

 

うどんげはブレザーの袖を引きちぎり靴も靴下も脱ぎ裸足となった。

 

「(何ヲスル気ダ?………)」

 

「師匠に貰ったこの薬を………」

 

うどんげはポッケから薬を取り出した。

 

 先ほど薬を毒霧の様に散布して恐怖公の部下を倒そうとしていた。

 同じことをしてもこのフィールドでは殆ど意味が無いはず…………

 コキュートスがその様なことを考えているとうどんげの行動はそれを上回った。

 

 

 

 

 

「自分に使って!!!!」

取り出した薬を自分の口元に躊躇なく持っていく。

 

 

 

 

 

「ドーピングじゃないですか!?」

「ドーピングジャナイカ!!」

 

ついつい、妖夢もコキュートスもツッコミを入れてしまった。

 

ビキッ!!ビキッ!!

と嫌な音がうどんげの体から響く。

筋肉や神経の強制的な活発化により体全体が悲鳴をあげている状況だ。

血管が浮き出て筋肉は盛り上がる。

何処ぞの格闘ゲームのファイターの様な体つきになってしまった。

 

 銃が効かないなら拳で殴れば良い………

 相手の方が強いなら圧倒的力で押し殺せば良い……

それがうどんげの出した結論である。

 

 しかし、見せかけだけの筋肉ではコキュートスには通用しない。

 だが、それが本物であることは次の攻撃により証明される。

 

トーン!トーン!トーン!

 

 その体でうさぎらしく飛び跳ねるうどんげ。

 次の瞬間、コキュートスは上昇した身体能力に驚愕するのであった。

 

「音が………遅れて………聞こえる………よぉ!!!!」

 

うどんげのスピードは普段の限界を軽く超え、コキュートスの懐に飛び込んだ。

 

 鈴仙ファントムとでも言えば良いのか、某生徒会長と同じ事をやってくれたうどんげ。

 この技が誰の影響で作られたのかは言うまでも無い…………

 

 

 コキュートスの腹部に見事な掌底を打ち込んだ。

 

「ヌォォォ!!貴様ァ!!」

 

 

 壮絶な肉弾戦を繰り広げ始めたうどんげとコキュートス。

 

 明らかに体に負担をかける戦いにうどんげの身を心配する妖夢。

 

「早く、準備をして!

この力は長続きしないし、コイツを倒し切ることも出来ない!!」

 

「でも、そんな戦い方したら体が壊れちゃうよ………」

 

「大丈夫!!無理するのは慣れてるから!

(主に師匠のお仕置きで)」

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

「へくちゅっ!…………」

「あらあら、見かけによらず可愛いくしゃみをするのね。」

 

9階層とどまった永琳はアルベドと共に輝夜の帰還を待っていた。

 

 輝夜本人をアインズの元に送り届けることが目的だった永琳にこれ以上戦う理由は無い。

 出来れば一緒について行きたかったが、輝夜の事だから無事に帰って来るだろうと思い、今は軽くアルベドと雑談を交わしていた。

 

「きっとうどんげだわ……

帰ったらお仕置きをしてあげないと…………」

 

「…………よくわからないけどその子はご愁傷様ね……」

 

 なぜ噂の対象までわかるのかは謎だがうどんげの異変後の追い打ちが確定していた。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 そして最深部では今まさに輝夜とアインズの戦いのゴングがなろうとしていた。

 

 元ユグドラシルプレイヤー同士の新しい弾幕ごっこの始まりであった。

 

 

 

「あの時の輝きは今は無い……

お互い立場も護るものも変わってしまった……しかし、肉体も魂も死しても遊びを楽しむ心は残っている!

さあ、あの時の続きを始めようでは無いか!」

 

 

「月には叢雲華には風、美しき時は儚きもの、一瞬の輝きである今宵を共に楽しもうぞ…………

蓬莱山輝夜………参ります。」

 

 

「「さあ、楽しい『弾幕ごっこ』を始めましょう。」」

 

 

掛け声と共にアインズは最初のスペルカードを宣言した。

 

魔導『死霊魔導ノ成レノ果テ』(〈スケルトンメイジ複数召喚〉)!」

 

アインズの周りにアインズに近しい姿をした五体のスケルトンが杖を持って召喚された。

 

そしてそのスケルトンから無数の魔法矢が放たれた。

 

魔法矢(マジックアロー)

 

無数の矢は輝夜に向かってとんできた。

 

「難題『龍の頸の玉-五色の弾丸-』」

 

輝夜の開幕スペル。

五色の弾丸がスケルトンメイジの矢を相殺し、更に五体それぞれを撃破した。

 

「ユグドラシルの魔法は弾幕ごっこには向かない!

あなたがモンスターを召喚して弾幕数を稼ぐ方法も予測できたわ!」

 

「そうか……しかし、これまでは予測できないだろう。」

 

被弾し、バラバラになったスケルトンの残骸から髑髏だけが宙に浮き、アインズの周りをグルグル回りだした。

 

髑髏は口を開き、口から魔法矢をはじめとする射撃魔法を連発し始めた。

 

輝夜はその攻撃を慌てて回避した。

 

「おっと………成る程………オプション攻撃ね………洒落たことしてくれるじゃない………」

 

これは魔理沙の「オーレリーズサン」やパチュリーの「賢者の石」を見てアインズが作ったものだ。

 魔法の種類は召喚であり、常にアインズの周りを飛び回り射撃魔法を打ち続けるスケルトンメイジを召喚するものである。

 

 これはアインズがアンデッド生成スキルを応用して作った改造スケルトンであり、本体は頭部のみである。

 ちなみに召喚時にMPは消費するが、射撃魔法のMPはスケルトンに依存している。

 MPがゼロになったら消滅するが、そうなったらまた新しく召喚し直すつもりらしい。

 

 また、最初に体ごと召喚したのはデコイ…囮である。

 

「次はこちらの番だ。

絶望符『星の終焉』(〈暗黒孔〉〈獄炎〉〈朱の新星〉)!!」

 

 次にアインズが宣言したスペルカードは複数の魔法を複合・同時発動させて作った弾幕。

暗黒孔(ブラックホール)〉の力で敵を引き寄せながら渦の中心からは黒い炎が飛び出してくる。

 更にアインズがばらまく炎弾が引き寄せられ、引っ張られながら前と後ろから弾幕が飛んでくるため非常に避けにくい。

 

 丁度、伊吹萃香に似た弾幕があったが彼は萃香に会っていないので偶然似たような弾幕を自分で考えたのだろう。

 

 

「神宝『サラマンダーシールド』!!」

 

輝夜は神宝の一つ、「火鼠の衣」を使い火を防ぎそこから放たれた弾幕によりアインズの弾幕を吹き飛ばした。

 

 

「ほう?…相変わらず良いアイテムを持っているな…」

 

「まぁね。

…こっちでも向こうでも珍品コレクターを名乗ってたからね。

言っておくけどあげないわよ。」

 

 

 弾幕ごっこに戦い慣れているアインズを前に輝夜は思考を巡らした。

 

「(誰が入知恵したのか……

弾幕ごっこ………スペルカードルールを熟知している。

使っている魔法は確かにユグドラシルのものだけどそれをベースにスペルカードに改造している。

あいつが幻想郷に来たのは最近の筈なのに

誰かが裏で糸を引いている?…

紫か?…いや、あのスキマなら助言はしても技術的な協力はしない筈…

なら…

…いや、そんなことはどうでも良い。

今は目の前の戦いを楽しむことが一番ね。)」

 

輝夜はニヤリと笑い、アインズに話しかけた。

 

「弾幕ごっこは素人だから手加減してあげないといけないと思ってたけどその必要はないようね。」

 

 アインズはこの世界に来て一番力を入れていたスペルカードの研究が実を結んだ事に喜びながら輝夜に謙遜で返した。

 

「いえいえ、ここの連中のスペルカードに比べたら美しさに欠けますよ。

…どうも自分は効率重視の考えに引っ張られて自由な発想が出来ない………」

 

「その気持ちわからなくもないわ。」

 

輝夜もアインズと同じように弾幕ごっこが存在しない土地の出身者。

 

 自分の能力が弾幕ごっこには不向きであるため、能力を使うスペルカードは数える程もない。

 だからアイテムを使ったスペルカードを作り異変に挑んだ過去がある。

 その為、アインズの気持ちがわからなくもないと言ったのだ。

 

 挨拶代わりの開幕戦は終わりだ。

 腹の探り合いはこのぐらいにして本気でぶつかり合うことを望んだアインズは輝夜に挑発をかけた。

 

「それで?……この程度か?…」

 

アインズの挑発に乗り、輝夜は眉間に力を入れて答えた。

 

「調子に乗るなよ。クソ餓鬼が………」

「年齢詐称姫が本性を現したようだな。」

 

 

 

 

 

 

各階層で激化する弾幕ごっこ…

 

 皆が異変解決の為に動いていた中で一人だけ違う目線でこの異変に参加していたものがいた。

 

 

※※※※※※※※※※※※※

 

 

『(月の姫さんに先を越されたのは残念だけど、この程度の障害ぐらい切り抜けて貰わないとね…

 

待っててね……さ と る )』

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 


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