アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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宴会-1

 アインズは第四・第八を除く守護者とメイド達の代表であるユリとセバスを連れ博麗神社に移動すると既に会場はお酒の匂いが充満していた。

 

「(時間は間違っていなかった筈だがな……)」

 

 連絡された時間より大分早く宴会は開始され、参加者の半分は既に酔っていた。

 

 理由はどこぞの酒呑童子が『前祝いだー』と言って準備が整っていないのにもかかわらず宴会をおっ始めたからである。

 

 幾つかのグループに分かれ会話を楽しんでいた。

 

 妖怪、幽霊、鬼、魔法使い、他にも様々な種族が集結していた。

 

「(百鬼夜行かな?……だがこれは宴会だからなんというのだろうか?)」

 

 少しこの場の雰囲気に押されたアインズに話しかけたのはやはり彼女であった。

 

「あら、アインズにシャルティア。遅いじゃない。早くこっちに来て呑みましょうよ。」

 

 紅魔館の主レミリア・スカーレット、その横には妹のフランドールが見えた。

 

 何があったかは知らないがシャルティアは妹の姿を見るとビクッと体を震わしていた。

 

 アインズがレミリアの元に行こうとすると周りのメンバーもついて行こうとした。

 

 流石にこの人数がゾロゾロと移動するのはマズイと感じたアインズは守護者達に言った。

 

「ついてこなくても良い……

お前達もこれを期にシャルティアを見習って外との繋がりを作ったらどうだ?」

 

 アインズが休暇というシステムをナザリックで採用してからも殆んどの者は遊びにも行かずナザリックで働いている。

 昔と違って皆が意思を持ち考えて動いているのだからその視野をナザリックだけで止めるのはアインズ的にもNPC本人的にももったいない。

 

 今日、皆を連れてきたのは自分の護衛などではない。

 シャルティアの様にナザリックの外の者との関係を築く理由もあった。

 

 

 アインズに言われると守護者の面々はそれぞれ動き出した。

 

 アウラとマーレは魔理沙を連れてアリスやパチュリーのいるグループに入っていった。

 

 コキュートスは辺りを見渡し、異変の時に手合わせした二刀流の戦士と月兎を探していた。

 

「……成る程、そういうことですか。では………」

と言葉を漏らし、行動をはじめたデミウルゴス。

 

 何が成る程なのかはわからないが、デミウルゴスは意外な行動をとった。

 

 八雲紫、西行寺幽々子、八意永琳、風見幽香などの幻想郷最強クラスであり各勢力のトップの者達が呑んでいる溜まり場にしれっと入っていった。

 

 それを見た中堅以下の妖怪達は

『チャレンジャーだな………』

と思わざるえない。

 だがデミウルゴスなら彼女達の輪に入ってもなんら問題はないだろうとアインズは確信していた。

 

 

 デミウルゴスまでがそれぞれ行動を起こしたにもかかわらずやはりそれでもアインズの側を離れないものがいた。

 

 シャルティアとセバスは紅魔館のメンツとの絡みが多いから良い。

 ユリはそれでもアインズの側でお世話するのがメイドの務めだと考えているのだろう。

 

しかし、アルベドの場合は違った。

 

「アルベド……お前も誰かと関係を持つのも悪くないと思うぞ?

ほら異変の時に一緒にいた八雲や八意も向こうにいるぞ?」

「命令ならばそうします。

しかし、必要以上にナザリック以外の者に干渉する気はありません。」

 

 アルベドは幻想郷(ここ)の連中のことがあまり好きじゃない。

 

 馴れ合いや余分な感情移入は逆に困るが適度な対人関係を築く事は大切だ。

 特にここの連中は同じ妖怪と言うカテゴリーを共有しているだけに敵にもなり得るが味方にもなり得る。

 

 現にレミリアや輝夜の様にアインズとそれなりの関係を築いた者もいる。

 

 しかし、それが逆に気に入らないのだ。

 

 同盟相手のトップ同士として対等な関係を築いているレミリア、同じユグドラシルプレイヤーとして同じ目線で話し合える輝夜、そして何故だかは知らないがこの幻想郷でおそらく誰よりもアインズの事を熟知している様な素振りを見せる八雲紫という存在。

 

 彼女達という存在がアインズの近くにいることが気に入らないのだ。

 

 主を誘惑する害虫としてなのかそれとも自分では出来ないアインズと同じ目線にいる彼女達に対する嫉妬なのかそれはわからないがアインズが原因なのは確かだろう。

 

「(全く………誰に似たんだか………

タブラさんはこんなんじゃなかったから

原因はアレだろうな…………)」

 

 NPC達の思考回路は基本的には設定に依存し、設定に書かれていなかった部分は創造主に依存する。

 アインズは転移直前にアルベドの設定に『モモンガを愛している』と言う一文を付け足したことに深く後悔した。

 

「いいじゃない!いいじゃない!

その子も一緒にさ!呑みましょうよ〜

私、自分の気持ちに正直な子は好きよ〜」

 

 先日、あれだけ失礼な事を言われても尚変わらずに接してくれるレミリアの心の広さには感謝しかない。

 

 アインズ達はレミリアの隣に座る。

 シャルティアが横で正座するとその膝にフランが飛びついてきた。

 

「シャルティアお姉ちゃん!約束通り今度遊んでくれるよね!」

 

「わっ!遊び相手が私だけだとすぐに飽きるでありんすよ。

そこにいるアルベドなら守護者随一の防御力でありんすからちょっとやそっとじゃ壊れないから安心して遊べるでありんすよ。」

 

シャルティアが少し引きつった顔で答える。

なんとか興味の方向を変えようとしていた。

 

「シャルティア!私を巻き込まないで!」

 

 異変でひどい目にあったシャルティアはなんとかフランの興味を逸らそうと必死だ。

 

「ほらほら、お猪口を持ってさ〜

たまには日本酒も悪くはないわよ〜」

 

 

 レミリアは既に酔っ払っている。

 こんな小さい子にお酒なんか飲ませるんじゃないと怒りたくなるが実年齢はアインズよりもはるか年上の500歳。

 

 周りを見渡しても見た目だけなら年端もいかない少女達が飲みに呑んでいる。

 しかし、見た目には反してほとんどが人の寿命をとうに越した者達、平均年齢が3歳ちょっとのナザリックの面々で対抗できるのかの一抹の不安を抱くアインズであった。

 

「いや………この体だと飲めないのだが………」

「そんなこと言わず。ほらほら、咲夜(・・)、注いであげなさい。」

 

 アインズがレミリアに目を向けるとそこには小さい背中に隠れる咲夜がたいた。

 

 先日見かけた包帯等は取れており、傷だけなら完治している。

 しかし、見えない所の傷はまだ癒えてないのか決してアインズと目を合わさず肉食動物に襲われる小動物のように震えている。

 

「………お、お嬢様………しかし………それだけは…………」

 

ガクガク震えながら主人に懇願する咲夜。

 

「やりなさい…………命令よ。」

 

急に真面目な顔つきになったレミリアは咲夜にきつく言う。

 

「…………かしこまりました…………」

 

観念した咲夜が返事をした。

咲夜はアインズの横に座り熱燗を差し出した。

 

その手はガクガク震えていた。

 

「(…ああ〜なるほど、トラウマの克服か。)」

 

咲夜とアインズの距離が縮まるほど震えが大きくなる。

恐怖がどんどん高まっていくのがわかる。

 

 あの時の〈絶望のオーラ〉による恐怖が蘇っているのであろうか。

 

 そして、小さなお猪口にそんな状態でうまく注げるわけもなく、アインズの手にお酒がかかってしまった。

 

「おい…………」

 

 恐怖の対象に対し失礼な事をしてしまった。

 それにより咲夜の恐怖は最高値に達してしまった。

 

 見るに見かねたセバスが助け舟を出した。

 

「申し訳ありません。アインズ様、失礼します。」

 

セバスは優しく咲夜を支え耳元で囁いた。

 

「落ち着いて………深呼吸をしなさい……

大丈夫、我が主人はあの程度のことであなたを殺す程心の狭きお人ではありませんよ。」

 

 咲夜は言われた通りに深呼吸をして、セバスから渡されたお絞りでアインズの手を拭いた。

 そしてセバスの助けを借りてようやくお酒を注ぎ直しアインズの前から下がった。

 

 

「はあ……はあ………はあ………」

 

 よほど息の詰まる状況だったのか離れた瞬間息を荒立たせる咲夜。

 

 そんなお疲れな咲夜の肩を叩き、レミリアは言った。

 

「お疲れ様、あとは向こうで休んでいなさい。」

 

「ありがとうございます。…………

では失礼します。…………」

 

アインズもセバスに一つ命令をした。

 

「セバス………向こうで見てやれ………」

「はっ。」

 

 

 セバスに支えられレミリアとアインズのグループから離れる咲夜を見ながらレミリアは言った。

 

「ありがとね、アインズ。

付き合ってもらって…………」

 

「別に構わない………ああ、なったのは私にも責任があるからな………

それよりもアレはリハビリのつもりか?

物凄い荒療治に見えるんだが…………」

 

「そんな所ね………

ウチの自慢の忠犬も牙を折られたままでは居られないからね。…………」

 

 確かに牙を折られた紅魔館の忠犬も研ぎ直せばナザリックにだって対抗できる切り札になり得る。

 元々時間操作という強力な力を持っているだけにその期待は大きい。

 

「(従者の意識改革をする為に心を折らせ、治療方法も荒療治………

納得は出来るがなんというメチャクチャなやり方だ…………)」

 

「あなた達には感謝しているのよ。あんな事をした咲夜を気にかけてくれるなんて……」

 

 レミリアが言っているのはセバスの事であろう。

 休暇の時、セバスは紅魔館を訪れることがある。

 

 基本的には妖精メイドの指導と門番との組手などなのだが、咲夜の様子も時折気にしているようだ。

 セバスの思想はナザリックでも珍しい人間よりの考え方だ。

 そんなセバスとしては妖怪屋敷の唯一の人間である咲夜が多少気になるようだ。

 

「私は何も言っていない。

セバスが勝手にやっている事だ。」

「でも黙認はしているじゃない。」

 

「まあ、そうだが……」

 

とは言えこの咲夜についでもらったお酒をどうするのかが悩みどころだ。

 

 ここまでしてついでもらったにも関わらず呑まないのも失礼だがこの姿じゃダダ漏れなのだから。

 

「この間みたいに人型の姿に変身すればいいじゃない。」

 

 レミリアが言った。

 しかし、あの姿は人里で情報収集に使用する事にしたから不特定多数がいるこのような場では使いたくないのだ。

 

 アインズが考え事をしていると後ろから声をかけられた。

 

「悟〜せっかくあなたの為に式を組んだんだからこういう時に使わないと〜」

 

 後ろから酔っ払っている八雲紫に小突かれる。

 

 そして気づいたら人間の姿になっていた。

 式を使わなくても能力者本人なら容易いのだろう。

 

「(コイツ……………)」

 

 周りはグループを組んでさらに酔っ払っているから変身の瞬間を見た者は殆どいないだろうが………

 しかし、流石に会った時から何かと馴れ馴れしい紫に苛立ちを覚えていると最悪のタイミングで最悪の人と鉢合わせるのであった。

 

「サトル?………なんでお前がこんなとこにいるんだ?」

 

 

 人里で世話になった藤原妹紅と横には上白沢慧音であった。

 

 

 

 


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