アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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宴会-2

 宴会でレミリア・スカーレットや八雲紫と接点を持っている事を妹紅と慧音に気付かれてしまった。

 

 

「サトル……なんで流れ者のあんたがレミリアや紫と仲良く飲んでんだよ。」

「それはですね……」

 

 

 サトルが返答に困っていると紫が口を挟んできた。

 

「どお?うちの秘蔵っ子は人里でも色々役に立ったでしょう?」

「「秘蔵っ子!?」」

 

いきなりの秘蔵っ子発言に驚く妹紅と悟本人。

 

「今回の異変を起こした一派と同郷だから連れてきたんだけど期待以上の活躍でね。お姉さん嬉しいわ〜」

 

 同郷というか同一人物なのだが、人里では身分を隠したいから紫としてはいいフォローだ。

 同じ魔法を使うことを少しは疑問に思う奴もいただろうが言い訳が立つ。

 

 

 紫の冗談を横に慧音は一人納得と言った所であった。

 

「なる程、彼らの宿敵かなんかだったのかな?ならばこのタイミングでの幻想入りも納得がいく。

 …通りで今回の異変の対応が完璧だと思ったよ。

 魔法を使って人里で商売なんて希有な考えを持つ者、そうそう現れる物じゃないし。

里の禁忌(人の妖怪化)を促す考えに八雲紫が干渉しないのもおかしいと思っていたら、既に手中であったか。」

 

「理解が速くて助かるわ。」

 

「しかし、それなら初めから言ってくれれば良いものを………紫は確かに妖怪だが、幻想郷のルールやバランスには人一倍気を使う妖怪の賢者だ。ならば私ぐらいには話しておいて欲しかったな………」

 

「あら?慧音、それは寂しいの?悔しいの?」

「からかうな!里においての後見人みたいなものだからな…お前たちが何かしでかしたら私の責任になる!」

 

 

 紫は悟に抱きつき頭を撫でながら語る。

大の大人が子ども扱い……

 まあ、確かに数百歳を超える妖怪からしたら悟なんて赤子同然だ。

 

「そういう事なら里のものにも黙っておくよ。」

 

 サトルと紫達が一緒にいた理由はわかったが、どうにも負に落ちない様子の妹紅であった。

 

「そっちの淫魔と吸血鬼は今回の異変を起こした一派の連中か?

お前らもなんでサトルと一緒にいるんだよ。」

 

 妹紅の矛先がシャルティアとアルベドに向かう。

 

「あなたには関係ないでありんす。」

「今回の異変で人里に被害が出なかったのは彼のお陰。

礼をするのは当然でしょ。」

 

「そうかい、でもな。

コイツに手を出したらただじゃ置かないからな!」

 

 そう言ってシャルティアにアルベド、そして紫やレミリアまで警告する。

 

 本人に自覚はないが、サトルは妹紅にとって妖怪護衛の仕事の後輩。

 経験も力もこれら幻想郷の重鎮たちに及ばない為自分が守ってやらないとという気持ちがある。

 

「(コイツ、アインズ様に気に入られているからと言って調子に…)」

「(…何も知らない単細胞が…)」

 

 慣れている他のものはともかくシャルティアとアルベドには十分な挑発であった。

 

「(まずいか…)」

 

 そこに良い感じに妹紅に突っかかってくれた人がいた。

 

「あ〜ら、ごめんなさ〜い。」

 

その人はわざとぶつかり妹紅は転びそうになった。

 

「輝夜!てめぇ!」

「あ〜ら、誰かと思ったら先日黒焦げになった竹炭屋じゃないの」

 

二人の喧嘩は日常茶飯事だ。

みんな逆に安心したのか、賑やかな宴会の雰囲気にもどっていた。

 

「今度はお前を黒焦げにしてやんよ!」

 

二人の喧嘩が日常茶飯事ならそれを止めるふたりも決まっている。

 

「こら!妹紅……こっちに来なさい!」

「え〜………慧音〜……」

 

「姫様も変な突っ掛かり方をしないでくださいよ。」

「えーりん………」

 

「「(全く、世話がやける………)」」

 

 

 

 

 

妹紅が慧音に連れて行かれ、先程までの賑やかな雰囲気を取り戻した会場。

 

 

 

 

 これで一安心だと考え、一人で飲んでいた悟に輝夜が語りかけてきた。

 

「初めて見ることになったわね。それが貴方のリアルの姿ね…………」

 

「てるよさんですか………はい、そうですよ。」

「なんでこんな回りくどい事をしているの?」

 

 てるよはサトルがわざわざ人の姿で里に入り込んでいることに疑問を持つ。

 

「まぁ、あれですよ。折角出来た新しい世界を人として楽しんでみたくなっただけです。」

「確かに、私達には永遠に近い時間が残されているからね。楽しみを増やすのは悪くないわ。」

 

「それにアインズ・ウール・ゴウンは今までもこれからも魔王みたいに持て囃されてますから、たまには冒険者としてロールプレイしたかったのかもしれません。」

 

もし、モモンガがナザリックごとではなく一人で転移していたら今の悟みたいに人里を拠点に楽しんでいただろう。

 

「今の貴方が勇者でもう一人の貴方が魔王……

なら私が囚われのお姫様をやってあげようかしら?………」

 

にこりと笑って輝夜が言った。

サトルは少し考える

 

「…………魔王を退治できるお姫様は遠慮したいですね。」

「あら、残念。」

 

輝夜は追加の酒をサトルのお猪口に注いだ。

 

「まさか、リアルの姿でこうして飲み交わせる時が来るとは思っていなかったですよ……」

 

「そうね……ユグドラシル時代もあんまし会話してなかったし……」

 

サトルは辺りを見渡して言った。

 

「ここの連中は良いですね………

新参者の私達にも対等な立場で接してくれる………

何より、関係性が良い………

敵ではありながら同族であり仲間である………

かと言って馴れ合いはせず一線は越えない………」

 

 そうでなければこんな宴会なんて開かれないし、冗談や揶揄いが混じる雑談を交わせるわけがない。

 

「こんな関係になれたのは最近だけどね。

弾幕ごっこ……私達の戦いは少女達の遊びと称されることがあるわ。

悔やんだり恨んだりするときもあるけどそれは遊びの中での話……遊びの借りは遊びで返すのが心情ね………」

 

「まるでゲームの世界だな………」

「そうよ。遊び(ゲーム)よ……」

 

 敵であり、ライバルであると同時に遊び相手でもある。

 そんな関係がここの連中である。

 

「まぁ、お互いが妖怪同士だから遊びがかなり過激だけどね……」

「時間を操れる不死身のアンタが一番エグイけどな………」

 

「そうそう、ゲームで思い出したけど。

今度、その姿で良いから遊びに来なさいよ。

ウチに外の世界のゲームが沢山あるから相手になってね。

『一人じゃゲームもつまんないわ』……」

 

 サトルはふと、ユグドラシル時代の孤独期の事を思い返した。

みんないなくなってしまったナザリック……

 

 一緒に遊べる仲間がいるから楽しいんだ。

 

 仲間であり敵であるライバル達がいるから熱くなれるんだ。

 

 そして幻想郷に流れ着いた今、またかつての輝きを取り戻そうとしていることにサトルは気付く。

 

幻想郷(ここ)には『ナザリックの面々(仲間)』がいる。

 

 そしてライバルであり、仲間でもある彼女達がいる。

 

 そんなこの世界に有り難みをシミジミと感じながら酒を口に運ぶサトルであった。

 

「何、いい雰囲気だしてんだ!輝夜ぁぁ!

お前もこの間コイツに殺されかけたじゃねぇか!!」

 

 輝夜と飲んでいるとまたもや妹紅が絡んできた。

 今度は明らかに酔っているのでたちが悪そうだ。

 

「そりゃあ、あなたみたいなガサツ女より私みたいな完璧美少女がお酌した方が気分がいいでしょうよ。」

「あ"ぁ"!!」

 

 確かに輝夜は美少女だが、完璧とは完全な鉄壁(不死身)という言葉通りの意味なのであろうか?

 こんなんだからギルドでもキャラ作りしてもすぐに化けの皮が剥がれるのだとツッコミたい。

 

「コイツはわたしのツレなんだから手を出すなって!」

「フッ!あって数日程度の付き合いで何を言ってるのよ」

「テメェだって同じだろ!」

 

 妹紅は知る由もないが接点こそ少なかったが輝夜との付き合いはユグドラシル時代からだ。

 

「あら?それを言うなら幻想郷で一番はじめに目をつけたのは私よ?」

 

 二人の会話にレミリアが乱入。

 皆、酔っているからいいがこんな公の場でアインズ=サトルであることを示唆する言葉はやめていただきたい。

 

「それを言うなら私たちはもっと前でありんす。」

「そうよ、ぽっと出の貴方たちには干渉させないわよ!」

 

 レミリアに対抗してシャルティアやアルベドまで加わる。

 

 このカオス状態に存在が胡散臭い彼女が追い討ちをかける。

 

「あらあら、ウチの子は結構モテるのね。

でもね…彼は私のものだからごめんね〜」

 

 

 

ブチッ!!

 

 

 何かが切れる音がした。

 紫の言葉に聞き捨てならないと言わんばかりの彼女たちが立ち上がった。

 

「調子にのるなよ隙間、黒焦げにしてやんよ!」

 

 妹紅の背中から火が溢れる。

 

「失血死もいいでありんすよ?」

 

 シャルティアが槍を構える。

 

「串刺しが一番。」

 

 レミリアも槍を出した。

 

「真っ二つもいいわよ。」

 

 アルベドが斧を振り回す。

 

「最後のトッピングは任せなさい」

 

 輝夜が自慢のシリーズゴッズアイテムを展開した。

 

 五人の壮絶な喧嘩が始まるとサトルは考えるのをやめた。

 

 「もう、どうにでもなれ…」

 

 

 

 

 

 サトルが途方にくれているとある少女が話しかけてきた。

 

「苦労しそうね。貴方も。」

「わかってくれますか。」

 

異変解決者、博麗霊夢だ。

 

「……」

「……」

 

「「だいたい、紫(さん)が悪い…」」

 

 

「ふふ…」

「ハハッ」

「商売敵だけどあんたとは気が合いそうね」

「かもしれないですね。」

 

 博麗の巫女故にあまり人とも妖怪とも繋がりを求めない霊夢と人とも妖怪とも分け隔てなく接点をもとうとするサトルの奇妙な会話であった。

 

「アンタ、あいつと同郷なんだって?」

「あいつ?」

 

「今回の異変を起こした骸骨のあいつよ。

さっきまでここにいたんだけどね…」

「……あぁ、あの人ですか。」

 

 同一人物だとバレないか本当にヒヤヒヤする。

 

「知り合い?」

「向こうはあちらでは有名人でしたからね。

お世話になった時期もありました。向こうの人が僕を可愛がってくれるのはその時の繋がりからです。」

 

 自分でも驚くほどの嘘が次々と出てくる。

 先ほどの守護者達の態度や話の食い違いを修正する様に。

…後で口裏を合わせないと…

 

「仲間にはならなかったの?」

「条件を満たしてないですからね」

 

「条件?」

「条件の一つに異形種であることが含まれるんです。」

 

 その条件を聞いた時、霊夢は確信した。

 あのラストスペルは仲間を模したのだと。

 

「あのスペルカード…」

「………」

 

 その時、霊夢はある事を思いつき、サトルに提案した。

 

「よかったら、今度アンタの魔法を見せてくれない?…」

「どうしたんですか?」

 

 霊夢は答えにくそうに言った。

 

「異変ではあいつに苦戦したからね。

……ちょっと対策……

………いや、気になってね。」

 

 異変の事が中々悔しい様だ。

 サトルは霊夢がアインズのいる高みにたどり着くと期待していた。

 

 サトルは提案を受け入れた。

 

「いいですよ…」

 

 


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