アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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風神-3

 

 

 

-ナザリック地下大墳墓-

-第10階層-

 

 依頼通り、早苗がナザリック地下大墳墓にやってきた。

 

 今は、サトルに扮したパンドラズ・アクターが案内している。

 

「凄い豪華な場所ですね。

第10階層って事は上に九階層もあるんですか?」

 

「ええ、今回は客人としてきたから直接この階層に入る許可が出たけど、侵入者として入ったら大変だ。」

 

「魔法屋さんに話をつけて正解だったようですね。

……ところで、おにいさん雰囲気変わりました?」

 

 一瞬、正体がばれたからと身構えたが、まだ本人も確信に至ってないようなので冷静に対処した。

 

「…少し、髪を切ったからそのせいですかね。」

 

 パンドラズ・アクターはいじってさえいない髪を触りながら言った。

 

 そして、大きな扉の前に到着するとパンドラズ・アクターは言った。

 

「では扉の向こうにはそれでは自分はここで待っていますので…」

 

 早苗は扉の向こうに今まで感じたこともない重圧を感じ取りながらも扉を開けた。

 

 そして、閉じる際パンドラズ・アクターのセリフを聞いて驚く事となる。

 

「ごゆっくどうぞ…お嬢さん。」

 

 なんとも様になった雰囲気は先ほどまで自分と一緒にいた存在とは思えないものであった。

 

 扉は閉まり残されたパンドラズ・アクターは一人呟く。

 

「私の変化術に紫様の式神の二重掛けとはいえ能力無しで見破られそうになるとは…

神の力…流石はアインズ様が警戒なさるだけはある…

 

…また、面白いことになりそうですね。」

 

 最後の一言はパンドラズ・アクターの茶目っ気。

 彼はアインズの影とし幻想郷のあらゆる存在と関わっている。

 

 案外、この世界を楽しんでいるのは彼なのかもしれない。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 早苗は最後の違和感を気にしながらも目の前の相手に集中することにした。

 

「ようこそ、山の巫女よ…

どのような要件かな?…」

 

 ザ・魔王の姿がそこにあり、そのそばには守護者の半数が集まっていた。

 

「はじめまして、わたしは守屋神社の巫女で東風谷早苗といいます。

前置きが長いのは好きではないので単刀直入に言いますと…」

 

 サクサクと話を進めようとする早苗にデミウルゴスが口を挟む。

 

「アインズ様の前で失礼ですよ!

まずは…『平伏したまえ!』…」

 

 失礼な態度をした早苗に《支配の呪言》をかける。

 

キリッ!!

 

 早苗はそれを眼力だけでレジストした。

 いや、気合だけで押し返したと言った方がいい。

 

「やめろ、デミウルゴス。

…部下が失礼をした。話を続けてくれ…」

 

 アインズがデミウルゴスを止め話を再開させる。

 

(やはり、ただの小娘ではないようだな)

 

 アインズの目的の一つが達成した。

 今のやりとりは事前にアインズとデミウルゴスで打ち合わせしたやりとりである。

 

 デミウルゴスの《支配の呪言》は低レベル用のスキル、東風谷早苗の推定レベルには到底効かない。

 

 問題はそれにどう対処するかをみたかったのだ。

 

 どうも、彼女と接していると幻想郷に在住する強者の雰囲気ではなく、今時の普通の女子高生にしか感じ取れない。

 

 ただ、神様から力を与えられただけの勘違い系であればあしらうのは簡単だ。

 だが、そういうわけではないようだ。

 

 早苗は話し出す。

 

「では改めて…

 

私達と秘密裏に同盟を結びませんか?」

 

「だが、断る!!!」

「ふぇ!?」

 

 アインズは即座に提案を断る。

 

 早苗がこのナザリックに用があるとしたら理由は二つしかない。

 

 同盟か戦線布告か。

 サトルの情報で後者の可能性は低いという話だからその話しは予想の範疇だ。

 

 そして、同盟の末の利益で相手が他を全て献上してでも得たいものは信仰心だ。

 

「大方、ナザリックを悪者にして敵対勢力を弱らせ信仰を得る話なのだろう。」

「…全てお見通しですか…」

 

 逆に妖怪が欲するのは人々の恐怖心だからお互いwin-winなのだが、

 アインズは今、新たな力として神様の力というものに興味がある。

 

 その力の源である信仰を簡単に手放すようでは奴らにいつまでも使い走りにされるのが目に見えていた。

 

 奴らには興味がある。

 しかし、従う気も敵対する気も無い。

 故の回答だ。

 

 そして、アインズが彼女たちと馴れ合わないのにはもう一つ理由があった。

 

「我れは『悪』だ…

だから悪役を演じる事に抵抗はない。

…だが、我々が悪役を演じるに足りる存在は守矢神社ではない。

 博麗神社の巫女だけだ。」

 

 相手の意思が硬いことを感じた早苗は引き下がる事にした。

 

「そうですか…今回(・・)は引き下がります。」

 

 新参者の守矢神社としてはナザリックの戦力・技術力・統率力が欲しい。

 

 技術力だけなら河童でも良いかもしれないが彼らは統率力がなさ過ぎて計画性がない。

 欲を言えばナザリックが理想的だ。

 

 この日を持って守矢神社・妖怪の山・ナザリックの三角関係が成立した。

 これは後々の幻想郷に大きな影響を与えるある事件の要因となる事をその時は誰も知らなかった。

 

 そしてそれから数日後、もう一つの勢力も動き出す事になる。

 

 

 

 

 近隣の森で仕事をしていた魔理沙とアウラの前に現れたのは天狗の使者。

その人物は魔理沙の知り合いであった。

 

「これはこれは魔理沙さん。ご無沙汰ですね。」

「あ……文…………」

 

「魔理沙、こいつ誰よ。」

「妖怪の山の天狗で新聞記者の射命丸文……

この間の宴会にもいただろう?」

「ああ〜」

 

「今日は何の用だ?こっちは忙しいんだぜ。

妖怪退治なら霊夢に頼めよ。」

 

 半年前なら絶対言わない言葉に文は驚く。

 

「うわっ、魔理沙さんのセリフとは到底思えませんね。

まあ、今日は魔理沙さんじゃなくて……」

 

ちらっとアウラに顔を向ける。

 

「ナザリック地下大墳墓の主人、アインズ・ウール・ゴウンにこの間の異変の件の取材と後、妖怪の山のお偉いさんからの言づけを頼まれました。」

 

アウラはキリッと文を睨みつけ、魔理沙はため息をついた。

 

「文、これはお前の好奇心か?それとも命令だからか?……」

「興味半分、任務半分くらいですかね。」

 

「なら、しょうがないか……

興味が大半なら悪い事は言わないから関わらないほうがいいぜ〜」

 

「なんのなんのこのくらい。」

 

(絶対わかってないな……)

 

※※※※※※※※※※※※※※※

 

特に敵対行動を取る様子もない二人は文をナザリックに通すことにした。

 

 

そんな様子をスキマ(・・・)から覗く人物がいた。

 

『…思ったより早かったわね………』

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

-----執務室-----

 

仕事をしていたアインズに一報がはいる。

 

「天狗の使者か……

思ったよりも早かったな。

守矢神社がいい感じにプレッシャーになっているのであろうか

新聞記者をよこしたのはあくまでも取材と銘打ちたかったのだろう。

玉座まで通せ、守護者も今、ナザリックにいるものは呼び寄せろ。」

 

 

 

-----玉座-----

 

玉座に通された文は巨大な力を持つアンデッドを前に緊張を表に出してしまう。

魔理沙は主人の名を文に紹介した。

 

「紹介するぜ……します

こちらが我らがナザリック地下大墳墓の主人、魔導王アインズ・ウール・ゴウンです。」

 

 

アインズはおおらかな態度をもって文に言った。

 

「文々。新聞の記者が私に取材と聞いた……

なあに、緊張する事はない。気軽になんでも聞いて行ってくれ、答えられる範囲は答えるぞ?…………」

 

 

「で…………では、少し前の異変につきまして、動機、経緯、結果、反省、今後の抱負などを聞いても構いませんか?」

 

「やはり、異変のことか……

半年も前の事を今更聞かれるとはな……」

「本当は宴会の時にでも聞こうと思ったのですが……上から止められていたのと、あなたの周りにはいつでも強いお姉様方がたくさんいるので……」

 

「霧雨からの話ではそういうの(・・・・・)を気にするタイプじゃないと聞いているが?」

「買いかぶりですよ。

私だって組織の一員ですから……」

 

確かに文としては周りにどんなビッグキャストが立ち並んでいようが御構い無しに話しかけるであろう。

 

それをしなかったのは文の本能が危険だと察していたからだ。

 

(あなたの周りに集まる人達の目が異様なんですよ。……特に紫さんのがヤヴァイ……)

 

アインズの周りにはアインズに対し特別な感情を抱く者が多い。

愛情だったり友情だったり、敵対心、忠誠心、ライバル意識、仲間意識、同族意識、嫉妬に恐怖心種類も様々であり、特に八雲紫の視線からはそれがどんな気持ちなのかはわからないが、異様なものを感じていた。

 

 

アインズは異変に関し、当たり障りのない範囲で答えた。

文はそれに対し少し、不満げな顔をしたが特に何も言わなかった。

 

そして、二人にとっての本題に入る。

 

 

 

「さあ、そろそろ君の言う山のお偉いさんが何を言ってきたのか聞かせてもらおうか?……」

 

「はい、勿論。…………」

 

 

 

これが妖怪の山とナザリックのファーストコンタクトであるこれから起こることのトリガーとなる出来事であった。

 

 


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