誤字修正しました。リリマルさん、ありがとうございます
「失せろォ!」
怒声と共に一体の人形が店から放り出される。灰色の髪色と血を思わせる真っ赤な瞳が特徴的な女性型の人形。
バッテリー残量が少ないのかヨロヨロと起き上がり店前から移動する。
「どこに行っちまったんだよ……アニキ……」
人形はフラフラと宛もなく彷徨う。すると何処かでみた後ろ姿を見つける。
「何ィ!? キャベツ一玉百円やとぉ!?」
そう、また
アニキ……? と彼女が困惑するのも無理はないだろう。何故なら現役では考えられない姿をしているのだから。
「買い占めたらァ!」
そう大声を上げてスーパーの店内に入っていく。彼女はしばらく放心していたが気を取り直してあとを追いかける。
店内に入っていった彼女は"アニキ"を探す。どうやら既にレジに行っていた様で会計を済ましている。
「アコギな商売しとりまんなぁ……」
「はい……?」
急いで追いかけた彼女は嬉しそうな表情を浮かべて話しかける。
「アニキ……ッ!」
名前? を呼ばれ振り返る指揮官は振り返る。
「お前……シカゴかッ!? ──あ、ポイントカードあります」
感動の再開の瞬間でもポイントを付ける事を忘れない。流石
そして二人は店を出る。ある程度歩き指揮官はペットボトルのリサイクルBOXに移動してカードを翳しペットボトルを投入していく。
「今の今まで何してたんだよアニキ! 散々探し回ってたんだ!」
だが指揮官は何も言わずにペットボトルをリサイクルBOXに押し込んでいく。
「パクられた奴も何人かいるが……組は解散、兄弟達は皆バラバラになっちまった……」
指揮官はスーパーで買った食材をママチャリの買い物かごへと入れる。
「なんでヤクザやめたんだよ!! アニキ……ッ!」
指揮官はタバコを取り出して火を付ける。一息吸い込み口から紫煙を吐き出す。
「場所……変えよか」
「……!」
シカゴはゴクリと唾を飲んで表情を引き締める。
そうして彼らが向かったのは料理教室である。
そう、料理教室である!!
シカゴはエプロンを身に着けている。彼女の豊満な肉体がエプロンにより強調される。
それを周りのおば様たちはカップルかしら~と噂をしている。
「は~い、今日はチーズコロッケを作りま~す」
指揮官は真剣そうな表情をしてノートをメモに取っていく。
そして教えの通りにテキパキとこなしていく。それに対してシカゴは中々に苦戦している様だ。
「シカゴ、ちょっと貸してみぃ……」
シカゴの調理途中の具材を借りてテキパキと下準備していく。指揮官は途中何かに気がついた様でシカゴを呼んで手を重ねて一緒に調理する。
「えぇか? これはこうするんや。そうすればもっと上手くなる」
「へっ!? あ、アニキ……ッ!?」
顔を真っ赤にして離れようとするが周りのおば様たちはくっつけようとして来る。
そうしてシカゴにとっては長い間、彼の腕の中で顔を真っ赤にしていた。
「よし、完成や!」
指揮官はとても綺麗に揚げたチーズコロッケをバランス良く盛り付けている。
周りのおば様たちやシカゴもお~、と言った反応をする。
「お~……じゃないだろッ!! 何をしてるんだアニキは!!」
シカゴは着ていたエプロンを床に叩き付ける。
「アタシ達は
シカゴは指揮官の服の襟元を掴む。
「シカゴ……」
指揮官はシカゴの襟元を掴む手を優しく離す。そしてテーブルに置いてあったチーズコロッケを手に持つ。
「俺はもう足を洗った……今は指揮官や──俺は俺のやり方で
そう言い手に持ったチーズコロッケを差し出す。それを聞いたシカゴは唖然とした表情でフ……フフ……と危なげな笑いを浮かべる。
「フ……フフッ……フハハハハ!!! ふざけるなァ! 何が暴力じゃ何も守れないだ! 平和ボケしたのかッ!!」
シカゴは今まで胸の内に溜めてきたものを一気に吐き出す。そして差し出されたチーズコロッケを振り払ってしまう。
振り払われたチーズコロッケは重力に引かれ床に落ち散乱してしまう。その瞬間、人形の目にも止まらぬ速さで腰の入ったビンタが飛んでくる。
それを受け身を取れずに吹き飛ばされた彼女は窓ガラスを突き破り道へと飛び出し、何度も転がり壁に激突してようやく止まることができた。
シカゴは何をされたのか理解が及ばずポカンとしている。その隙に指揮官はシカゴに詰め寄り馬乗りになりビンタを何度も食らわせる。
「ぼ ぼ 暴力! 」
その後シカゴは【ケジメ】として指揮官の部下となったのであった。
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日刊が続いてて草生える。感想と評価ください(強欲)