極指揮官道   作:瑚椒

5 / 9
CODが発売され前線勤務になったので初投稿です

リリマルさん、誤字報告ありがとうございます。修正しました


第五話

 ここはS09地区にある前線基地の一つ。

 その基地内部の洗面所に一人の男が立っていた。凶悪そうな人相をした男、傍から見れば極道者と間違われても仕方ない人相をしたこの男こそがかの前線基地の指揮官だ。

 そして彼は今、ミシンを使い何かを編んでいる。

 

「ふぅ……完成や……」

 

 指揮官は満足そうにニヤリと笑う。最早慣れた光景だがもう少しどうにかならないだろうか。

 作り終えるとコンコンとノックする音が聞こえる。

 

「空いとるから入ってきてええでぇ」

 

 指揮官がそう言うとドアが開き金髪のメイド、G36が入ってくる。

 

「ん? どうしたんや、G36」

 

「いえ、最近のご主人様の行動が目に余るものがありますので、少し注意に来ました」

 

 そう言って彼女は部屋にあるとある物達に目を向けため息をつく。

 

「最近ご主人様は物を買いすぎです!」

 

「ん? そう──言われればそうかもなぁ……」

 

 そう、指揮官の私室には趣味の物で溢れかえっているのだ。キッチン用品や掃除グッズ、中にはろくろ等多趣味過ぎるのでは? と思うぐらい趣味の品で溢れかえっている。

 

「そうかも、では無くそうなのです。少し処分してください」

 

「処分って言われてもなぁ……流石に捨てるのは勿体ないしなぁ……」

 

「そうですか。でしたら、フリーマーケットに出してみてはいかがでしょうか?」

 

露店(バイ)か……お前もアコギやのぉ」

 

 ニヤリとG36に笑みを向ける。それを物ともせずに「それでは準備をしておきますので」と言い部屋から出ていってしまう。

 そうして場所は移り変わりフリーマーケットにて、二人の女性が何か良いものはないか、と辺りを見回している。するとふと、猫をモチーフとしたポーチを見つける。

 

「見て見て、かわい~」

 

「ホントだ! カワイイね~」

 

「スミマセン、これっていくらで──」

 

 二人は顔を上げて露店の主に値段を問いかける。が、店主を見た瞬間に表情が固まる。

 

「完全手作り純度100%で二百円や」

 

 指揮官はとてもいい笑顔を浮かべる。が、その反面、二人の顔から表情が無くなった。

 

「あ、すみません。失礼します」

 

 そう言い二人はそそくさと何処かへと行ってしまう。

 そしてまた貴重な客が逃げてしまい指揮官はため息をつく

 

「店は出したものの……中々難しいシノギやで……」

 

 しかし悩んでしても商品は売れずに時間だけが過ぎていく。

 すると遠目に見知った顔が見えた。そう、シカゴとガバ子だ。二人は指揮官を見つけると手を振り露店に近づいてくる。

 

「よぉ、アニキ! 調子はどうだ!」

 

「おぉ、シカゴとガバ子か。まぁ、今んとこボウズやな」

 

「ガバ子……まぁ、今はいいや……それで? 指揮官は何を売ってるの?」

 

 ガバ子は少しゲンナリとした表情をするがすぐに切り替えて露店に並んでいる商品を一つ手に取る。

 手に取ったのは指揮官特製のセーターで前にデカデカと龍の柄が編まれている。

 

「わぁ……」

 

「お、これは自信作で──」

 

 指揮官は嬉しそうな表情を浮かべ自慢しようとするがどこからともなく悲鳴が聞こえてくる。

 指揮官達は急いで悲鳴が聞こえた方向へと駆け出す。

 そこでは明らかにカタギでは無い大柄な男がフリーマーケットの主催者であろう男を脅していた。

 

「テメェ誰に許可得て商売してんだコラァ!! 組のシマで挨拶も無しかぁ!!」

 

「いや、でも……施設許可は……

 

「あぁ!! 払うもん払ってもら──」

 

「おい」

 

 指揮官がその男に後ろから人混みを分けて近づいていく。

 

「暴力はやめとけ」

 

「何だぁ? ……アッ」

 

 ヤクザと思わしき男は振り向き指揮官の顔を見るや悲鳴を上げそうになるのをグッと堪える。

 

(こ、こいつ!? 縛られざる者(ハイウェイスター)じゃねぇか!? ひっ、ひえぇぇぇ……)

 

 足を産まれたての子鹿の様に震えさせるが、何とかプライドで崩れ落ちる事を堪える。

 

「誰だテメェ!」

 

 何も知らない入ったばかりの取り巻きが声を荒げるが、男は内心その言葉にとても怯えている。

 

「場所、移そか……」

 

「ひっ……あ、あぁ!? 上等だよ」

 

 そして指揮官と子鹿組は人気のない場所で向かい合う。

 

「俺もそっち側の人間やったからのぉ……シマがあんのは分かる……タダで帰れとは言わん」

 

 そう言い指揮官はおもむろに持ってきたアタッシュケースを開き中からとある物を取り出す。

 

「猫ちゃんピーラーや。何でも剥けるでぇ」

 

 そう言って差し出すが大きな子鹿君はポカンとピーラーを見つめるが次の瞬間物事を理解し身体、もっと詳しく言えば足を先ほどとは比較にならないほど震わせる。

 

(テメェの全身の皮剥いだろかって事!?)※違います。

 

 そして等々耐えられずに壁に手をついてしまう。

 

「ナメてんのかコラァ!!!」

 

 ゴンタやのぉ、と呟き指揮官はまたアタッシュケースから何かを取りす。

 

「ならコレもどおや?シャークミキサーや」

 

(ミンチにする気かァ!?)

 

 等々膝が許容値を超えてくの字に曲がってしまう。

 

「あ、アニキィ!? どうしたんですか!?」

 

「お前らもゴンタやのぉ……ならとっておきをやるわ」

 

 そう言って取り出されたのはアヒルのおもちゃであった。

 

(これなら……耐えれるッ!)

 

 一筋の光が子鹿君にさす。だが次の言葉でその光は失われる。

 

「お風呂にプカプカ浮かせるんや」

 

 その言葉を聞いた瞬間、子鹿君の身体は謎の衝撃により後ろへと吹き飛ばされる。

 

あの世(三途の川)に浮かべたるって事ォオオ!?)

 

「「「あ、アニキィイイ!?」」」

 

 取り巻き達は後ろに吹き飛んでいった子鹿君の元へと急いで駆け寄る。

 

「もう……勘弁してください……」

 

 そう、最後の力を振り絞って力尽きる

 指揮官はそっと先程の家事グッズを彼へと添えてフリーマーケットへと戻っていったのであった。

 

 




極主夫道!1~3巻好評発売中!皆も買おうね!ほら俺も買ったんだからさ!

ギリギリ日刊投稿出来たので褒めるついでに感想と評価ください(強欲)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。