シリアス多めと書いたので早速シリアス入ります。
いやまぁ私がシリアス大好きなのでほのぼの系よりもシリアスのほうが書きたくなるだけなんですけどね!(書けるとは言っていない)
ではどうぞ!
ハクダンシティジムは、アサメタウンやメイスイタウン出身のトレーナーのほとんどが一番最初に挑むポケモンジムだ。
カロスリーグの現チャンピオンもこのジムから始めたこともあって、最初に挑むジムとしてここを選ぶ者は少なくない。
そして、アサメタウン出身の少女もまた、その一人だった。
多くの観客が見守る中、フィールドにバトルの終わりを告げる声が響く。
「ピカチュウ、戦闘不能! よって勝者、ジムリーダー、ビオラ!」
だがしかし、結果は少女の負けだった。
初めてのジム挑戦。それだけではない。勝った者や負けた者、これから挑む者やただバトルを見に来た者。これほど多くの人々が見ている中でバトルするのも、彼女にとっては初めての経験だったが故に、緊張のあまり頭が真っ白になてしまったとしても、それはある意味当たり前で、言ってしまえばよくあることだ。
もとよりポケモンジムというのは、旅をするポケモントレーナーの前に必ずと言っていいほど立ちはだかる試練だ。だからほとんどの場合、ジムトレーナーは挑戦者に敗北というものを教え、それを経験とさせる。だから、普通なら彼女が責められる要素など全く以て存在しない。
そう、普通ならば。
少女の両親は、共にカロス地方でも一、二を争うトレーナーである。毎年行われるカロスリーグの最後に行われるリーグ優勝者とチャンピオンの戦いが、十数年前からほぼ毎回夫婦である二人の一騎打ちになると言えば、その実力が分かるだろうか。
故に、そんな二人の愛娘である少女にかけられた期待は大きく、それは幼い彼女にとって
何度バトルに勝っても、初めて会ったポケモンともすぐに心を通わせられる才能を見せても、それを周りは「あの二人の娘だから」と、少女自身を見ることがなかった。
唯一の救いは、少女の両親だけは、彼女自身をちゃんと見て、彼女の実力や才能を認めていたことだ。
だが、晴れて12歳になって旅を始めた今、少女の心を支えてくれた両親はいない。
そうやって迎えた初めてのジム戦は、緊張のあまりほとんど何もできずに敗北。そんな少女に向けられたのは、観客たちの失望した声だけだった。
「なんだありゃ。情けねぇバトルしやがって」
「本当。チャンピオンの娘とは思えないわね」
「すげぇのは親だけかよ」
期待外れ。あの二人の娘なのに。
決して大きな声ではなくとも、それはフィールドを後にする少女の耳に届き、その心を抉った。
ジムを出た少女は、顔を俯けたままポケモンセンターへと向かい、受付でポケモンを回復させると、心配するジョーイの声に応えることなく併設されている宿へ行き、自分が借りている部屋に入った。
電気もつけずにドアを閉めると、ベッドに横になり、膝を抱える。
「……っ、ぅくっ……うう……」
必死で抑えていた涙があふれ出し、枕を濡らした。
悔しかった。周りの期待に応えられないばかりか、失望さえさせてしまったことが。最初のジム戦で情けなく敗北してしまったことが。何より、大切なポケモンたちを勝たせてあげられなかったことが。
悲しかった。誰も自分を見てくれなかったことが。
ボールの中にいる二匹のポケモンは、何もできずに少女が泣いているのを黙って見ていることしかできなかった。
「……ごめんね……」
一緒に勝ちたかった。勝たせてあげたかった。
『フォコ……』
『ピカァ……』
負けたのは自分のせいだと、自分を責めるような謝罪の言葉を、ポケモンたちは否定しようとボールの中で首を横に振る。だが、それは少女には見えないために伝わらない。
「……ごめんなさい………」
その言葉は誰に向けたのか。両親に対してか、或いは期待を裏切った人々に対してか。かすれた声で、少女は何度も謝罪の言葉を繰り返した。
この時、少女──ティーナの旅は、おおよそ考えうる限り最悪の形で、終わりを迎えた。
ふぅ~。(謎の達成感)
というわけで二つに分けたプロローグでした。
次回からは本編のほうに入っていきますが、第一話の前書きで言った通りthe 不定期更新を絵にかいたような感じになります。
え? 他の二作も同じだろって? 細けぇことはいいんだよ!(モチベが上がらないだけですごめんなさい)
というわけで次回お楽しみに!