腐り目、Cクラスに入るってよ   作:トラファルガー

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オリエンテーション

Cクラスの教室に入ると既に教室の大半の席が埋まっていた。黒板を見ると座席表が貼られているので確認すると俺は廊下側1番前だった。少なくとも名前順ではないな。

 

(しかしこのクラス、明らかに不良な生徒が多いな)

 

見るからに柄の悪い生徒が多い。特徴的なのは黒人の巨漢と男子にしては髪が長いヤツだ。特に後者はクラスでも一際ヤバいオーラを放っている。座席表を見ると龍園翔と書かれているが、コイツとは関わらない方がいいな。

 

俺は自分の席に座って本を読み始める。HRまでまだ時間があるからな。

 

しかし……

 

「えっと……なんか用事か?」

 

隣に座る銀髪美女が俺をジーっと見ているので思わず質問してしまう。チラ見なら無視するがガン見されると気になってしまう。

 

「あっ、すみません。それはエラリー・クイーンの『Yの悲劇』ですか?」

 

「そうだが?」

 

「いえ。海外小説を読む人は中学の時は余り見なかったので。お好きなんですか?」

 

「まあな」

 

「そうなんですか!私も大好きで……」

 

俺が肯定するとその女子はテンションを上げて色々話してくる。これには俺も予想外。文学少女といったら眼鏡をかけた少女ってイメージだが、銀髪美女が文学少女とはな……

 

呆気にとられていると彼女はハッとしたような表情になって謝ってくる。

 

「あ、勢いづいてすみません。私は椎名ひよりと言います。貴方のお名前は?」

 

「……比企谷八幡だ」

 

「そうですか。これからお隣同士よろしくお願いします」

 

「……ああ」

 

そう言いながらも余り乗り気じゃない。元々他人と関わりたくないタイプだし。

 

すると始業のチャイムが鳴り、同時にドアが開いてスーツ姿の男性が入ってくる。この人が担任か。

 

「新入生諸君、入学おめでとう。君達Cクラスの担任の坂上数馬で、担当科目は数学だ。この学校では3年間クラス替えがないので長い付き合いになるだろう。今から1時間後に入学式があるが、この学校の特別なルールを説明しておきたい。入学前のパンフレットである程度の内容を知っていると思うが改めてプリントを配るので後ろに回してくれ」

 

言いながら坂上先生は俺や椎名など1番前の生徒に資料を渡すので後ろに回す。

 

「次は学生証カードを配らせてもらう。このカードはこれからの生活で1番重要なものになる。簡単に言うとクレジットカードのようなものだ。敷地内にあるものは全て学生証カードの中にあるポイントで購入が可能だ。カラオケなどの娯楽の為の代金を払うのもポイントでやり取りする」

 

紙幣を持たせないことで金銭トラブルを未然に防ぐといった事も対応しているのだろう。

 

パンフレットを見ると使い方は非常に簡単で機械に認証してもらうだけ。提示したり、タッチしたりするだけで良いらしい。無くさないように注意しないとな。

 

「それから今から言うことが重要だ。ポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。君達全員にはあらかじめ10万ポイントが支給されているはずだ。そしてこのポイントは1ポイント=1円の価値がある」

 

坂上先生の言葉に教室内が一気にざわつき始める。まあ仕方ないことだろう。何せいきなり10万ポイント……つまり10万円のお小遣いを貰ったのだからな。普通の高校生なら驚かないはずがない。

 

しかし俺は嫌な予感しかしない。坂上先生は毎月1日にポイントが振り込まれると言ったが、毎月1日に10万振り込まれるとは言ってない。

 

ハッキリ言って毎月10万をノーリスクで貰えるなんてあり得ないからな。

 

「ポイントの支給額に驚いたかね?この学校は実力で生徒を測る。これは入学を果たした君達に対するご褒美のようなものさ。ただし、卒業後にはポイントは全て回収することになっているのでずっと貯めようとは思わない方が良い。それとそのポイントは譲渡も可能だ。ただし強奪はよしてくれ。この学校はイジメなどに厳しいからな。これである程度の説明は終わった。何か質問はあるかな?」

 

坂上先生がそう言うので俺は手を挙げる。正直言って目立つのは嫌いだが、この学校についての情報が少ないので少しでも情報を手に入れておきたい。

 

何せ俺達はこれから3年間も親の力を借りず、自立して生きていかないといけないからな。

 

「2人か。ではまず龍園君から聞こう」

 

2人と言われてチラッと周りを見ると龍園って男も手を挙げていた。マズイな、まさかクラスで1番やばそうな奴も挙手しているとは。

 

「学校は俺達にご褒美として10万ポイントをくれたが、毎月の支給額は幾らなんだ?」

 

その言葉に坂上先生の目が細まる。やはり裏があるな。

 

「さっきも言ったようにこの学校は実力で君達を評価する。つまりはそういう事だ」

 

つまり生徒の言動や成績次第……煩い生徒は支給額が少なくなり、定期考査で好成績を挙げた生徒に対する支給額は増えるって感じか。

 

「なるほどな」

 

「では次に比企谷君の質問に答えよう」

 

坂上先生はそう言っているが龍園と同じ質問……いや。

 

「この学園にはバイトってのはあるんですか?」

 

ポイントについて詳しくわからない以上、もしあるならやる事も視野に入れておく。

 

その言葉に坂上先生はまたピクリと僅かに反応する。

 

「この学校には沢山の店があるが、店ではバイトの募集はしてないな」

 

回りくどい返し方だ。坂上先生の言い方だと店以外ではバイトがあると言っているようにも聞こえてくる。やはりこの学校には秘密が多そうだ。

 

しかし坂上先生がそう答えた以上追求はできない。俺はありがとうございますと言って質問を切り上げる。

 

「質問はもうないようなので私はもう行く。が、さっきも言ったように今から1時間後に入学式があるからそれを忘れないように。それまでは自由にしてくれ」

 

坂上先生はそう言って教室から出て行く。それを見送った俺は本を読みのを再開しようとするが、その前に尿意を感じたので教室から出てトイレに向かう。

 

そして用をたし始めているとトイレのドアが開いたのでチラッと横を見ると……

 

「よう。ちょっと話に付き合えよ」

 

龍園翔が笑いながら俺の横に立つ。質問したのは失敗だったな。

 

内心後悔している中、龍園は俺が返答する前に質問をしてくる。

 

「単刀直入に言うが、Sシステムについてどう思う?」

 

「……情報が少な過ぎるから憶測だぞ。さっき実力で生徒を評価するって言ったが、それは普段の授業態度やテストの成績、部活の貢献によって変わり、個人個人でポイントが違うと思う」

 

「根拠は?」

 

「仮に全校生徒が毎月10万も貰えるなら、学校は年に5億円以上払う事になるが、うまい話があるわけないし、教室には大量の監視カメラがあった。アレは俺達個人個人を査定する為のものだろうからな」

 

「なるほどな。ポイントの話をした際に全く浮かれてなかっただけの事あって、面白い考察をするな」

 

龍園は笑いながらそう言っているが、その口振りからして俺達クラスメイトを観察していたようだ。初日からクラスメイト全員を観察するなんて末恐ろしいな。

 

そのことから察するに……

 

「お前、この学校で派閥でも作んのか?」

 

龍園は今後デカい勢力を作る腹だと思う。理由としては俺の考察が当たっているならこの学校は馬鹿には厳しく、強者にとっては良い環境になる。

 

そして龍園は間違いなく強者の雰囲気を醸し出しているし、これからの動き次第では部下を手に入れる事も不可能ではないだろう。

 

「それは考えてるな。この学校は中々面白そうだ」

 

そう答える時点でコイツは強者の分類に入るな。

 

「そうかい。まあ頑張れ」

 

用をたし終えた俺は手を洗い、トイレを出ようとするが龍園が呼び止める。

 

「まあ待て。俺がお前に話しかけたのはお前の考えを聞く為だけじゃねぇ。単刀直入に言うが俺の下につけ。お前は中々使えそうだ」

 

「断る。俺はのんびり過ごせればそれで良い」

 

別に派閥を作ったりなんて考えてない。ポイントについて安定した供給ラインを手に入れて卒業まで平和に過ごすのが俺のモットーだ。

 

「そうかよ。ま、入学初日だから焦らねぇさ」

 

龍園は思った以上に簡単に引き下がった。

 

「……意外だな。てっきり力づくで勧誘すると思った」

 

見た目的に逆らう者は容赦しないイメージだったが、どうやら違うようだ。

 

「お前は無理矢理従わせるよりも、餌を与えた方が活躍するタイプだろうからな。まあSシステムの概要がハッキリしたら改めて声をかけるからな」

 

龍園はそう言って俺より先にトイレから出る……前に俺に紙を渡してくる。

 

「俺の連絡先だ。もしもお前が俺に有益な情報を提供するなら、それに応じてポイントを支払ってやるよ」

 

今度こそ龍園はトイレから出るがアイツからは平穏な匂いが一切しないな……マジで

 

 

 

……とりあえず登録はしとこう。しないと面倒な気がするし。

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