腐り目、Cクラスに入るってよ   作:トラファルガー

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契約書作成

「ここでどうですか?」

 

石崎が見つけたスポットは綺麗な砂浜だった。周囲には岩場などもあり、中々遊びが楽しめそうだ。

 

試験に使うには日光が強過ぎて最悪のスポットだが、バカンスを楽しむ場合には良いスポットだ。

 

「中々良い砂浜だな。ここをベースキャンプにするぞ」

 

「はい。それでリーダーについてはやっぱり龍園さんですか?」

 

「それは後で決める。お前らはテントの設置をしろ」

 

「は、はいっ!」

 

石崎はそう言って走り去っていく。それにより龍園は手元にある紙に文字を書くのを再開して、やがて書き終える。

 

「とりあえず契約内容だが、精査を任せる」

 

言われて龍園からAクラスの葛城に取引を持ちかける際に用意した契約書を受け取る。

 

契約内容

 

①CクラスはAクラスに対し、200ポイント相当の物資を購入して譲渡する。尚、購入する物資はAクラスが決める。

 

②CクラスはBクラスとDクラスのリーダーを探り、得た情報を全てAクラスに伝える。

 

③Cクラスが①と②を達成した後、Aクラスの生徒全員が龍園翔に毎月2万プライベートポイントを譲渡する。本契約は本校の卒業まで継続する。

 

④下記に署名した者は、本契約内容に同意したものとする。

 

 

 

 

って感じの内容の契約だった。中々大胆な作戦だ。成功したら龍園は坂柳を除いたAクラスの生徒39人から毎月2万、計78万ものプライベートポイントが貰えるのだからな。

 

しかしこの契約書には欠点がある。それは少々攻撃的過ぎる事だ。

 

「ちょっと契約内容を変えるぞ」

 

言いながら俺は内容を訂正して、龍園に見せる。

 

 

 

契約内容

 

 

①Aクラスの生徒全員が龍園翔に毎月1万プライベートポイントを譲渡する。本契約は本校の卒業まで継続する。

 

②CクラスはAクラスに対し、200ポイント相当の物資を購入して譲渡する。尚、購入する物資はAクラスが決める。

 

③CクラスはBクラスとDクラスのリーダーを探り、得た情報を全てAクラスに伝える。

 

④Cクラスが②と③を達成した場合、Aクラスの生徒全員が龍園翔に毎月2万プライベートポイントを譲渡する。本契約は本校の卒業まで継続する。

 

⑤下記に署名した者は、本契約内容に同意したものとする。

 

 

「こんな感じでどうだ?」

 

「なるほどな。リーダー情報が手に入らなくても最低39万ポイントが手に入るわけか」

 

俺は確実性を重視するからな。リーダー情報手に入らなくてプライベートポイントが貰えないとかマジで泣くわ。

 

そして葛城はこの契約を受けるだろう。葛城派は葛城が生徒会に落ちた事で勢いが弱まってるし、この試験で坂柳派を抑え込みたいだろうし。

 

加えてこの契約についてだが、葛城もリーダー当ての難しさを理解してるだろうから④が達成されるとは思ってないだろう。よってこうは①と②だけを重視する事になるが、その場合向こうが得だ。

 

こっちが200ポイント分の物資を用意したら、Aクラスは本来持ってる270ポイントを1ポイントも消費しなくても1週間過ごせるだろう。それを考えるとAクラスが得をするのは明白だ。

 

まあそれはあくまで俺達Cクラスが契約外の場所で裏切らなかったらの話だけどな。俺と龍園は坂柳との約束もあるので容赦なく裏切るつもりだ。

 

閑話休題……

 

ともあれ、向こうからしたら良い取引だし多分上手くいくだろう。

 

「俺は確実性を重視するんだよ。ついでに言うなら契約書をもう一回見てみな。性格が屑なお前なら俺が張った罠に気付くぞ?」

 

「あん?……ああ、なるほどな。やっぱりお前も屑だな」

 

まあ否定はしない。少なくともお利口さんじゃないのは確かだし。

 

「ただ他クラスのリーダー情報はどうやって手に入れるんだ。俺達は目で見ただけでどうにかなるが、葛城は多分キーカードを要求してくるぞ?」

 

リーダーを見抜くのはまだしも、キーカードを盗むのはリスクがデカい。バレたら即失格だし。

 

「当然わかってる。だからCクラスの中から……そうだな、金田と伊吹に怪我をさせてからスパイとして送り込む」

 

う、うわぁ……コイツ息をするように怪我をさせるって言いやがった。俺も屑って自覚はあるが、龍園はそれ以上だな。

 

「止めろと言っても止めないだろうから何も言わないが、俺は殴らないからな」

 

流石に手を出す事に関しては抵抗が生まれてしまうから、やりたくないのが本音だ。

 

「そのくらいは俺がやる。んでリーダーについてだがお前なら誰にする?」

 

「誰にするも何も普通に考えて島に残る俺かお前か金田か伊吹だろ」

 

そんでキーカードを地面に埋めれば他クラスにはバレない……待てよ。

 

「良い考えが浮かんだ……するのはどうだ?」

 

「なるほどな。そいつは使えるし採用する。ミスっても俺達にダメージはないからな。リーダーはお前がやれ」

 

「了解した」

 

俺がリーダーか。ま、龍園の作戦を実行するなら島に残る連中は派手に動けないし、そこまで重要ではないだろう。

 

「とりあえず俺は契約書を葛城に見せてくるからお前は坂上の所に行ってリーダー申請をしろ。それと申請前に他の連中に向けて、俺が戻るまでポイントを使わないように厳命しとけ」

 

龍園はそう言ってから森の中に入っていくので、俺はクラスメイトが集まっている場所に向かうとスポットの機械があり、その近くで皆がマニュアルを見ていた。

 

「あ、比企谷。龍園さんは?」

 

「野暮用で席を外してる。それと龍園からの伝言だ。「俺が居ない間にポイントを消費して買い物をしたら二学期以降、買い物をした奴を虫けら以下の扱いにする」だ、そうだ」

 

石崎からの質問にそう返すとマニュアルを見ていた面々が震え上がる。これで勝手にポイントを使う馬鹿は現れないだろう。

 

「リーダーについては誰が?」

 

「龍園は俺にやれって命令してきた。だからちょっと報告に行ってくるが、1人で行くと逆の意味で目立つから何人か付いてきてくれ」

 

単独行動は危険だ。まして俺がリーダーをやるのだから。

 

「私は行きます」

 

そう言うとひよりが真っ先に手を挙げる。その際に一部の女子がニヤニヤ笑いを浮かべて苛立つが我慢する。

 

我慢しながら志願者を待っていると金田とアルベルトも同伴してくれる。アルベルトがいるなら襲撃は受けないだろう。

 

「そんな訳だからちょっと行ってくるが、石崎はクラスメイトを抑えとけよ」

 

「わかった」

 

石崎か頷いたのを確認すると俺達は皆に背を向けてスタート地点に戻るが途中である存在を発見する。

 

「おいおい……Dクラスはまだ方針すら決めてないのかよ?」

 

スタート地点の砂浜に近づくと騒ぎ声が聞こえてきたので俺達は手頃な岩陰に隠れる。岩の向こう側ではDクラスが揉めているようだが……

 

 

「どうやらトイレについて揉めているようですね」

 

ひよりの言う通り、耳を澄ませばトイレについて揉めているのがわかる。男子はポイントが勿体ないから支給された段ボールトイレで済ませると言って、女子はポイントを消費して仮設トイレを購入したいと反論している。

 

「馬鹿だろアイツら……」

 

「比企谷氏の言う通りですな。節約は大切ですが、多少は妥協しないと反乱が起きますね」

 

金田の言う通りだ。もしも男子が段ボールトイレで我慢しろと女子に強制しまくったら、女子が「だったらリタイヤしてやるよ!」って反乱を起こす可能性もある。

 

そうなったらボーナスポイントは0になる可能性があるので、Dクラス男子は多少女子の方に寄るべきだ。ま、Dクラスがどうなろうと知った事じゃないけど。

 

そう思いながら岩陰から様子を見ていると、Dクラスの連中はとりあえず日光を遮る森の中で話し合いをしようという事になり、森に入って行く。

 

しかし判断が遅過ぎる。既にDクラス以外のクラスは移動してる。ウチのクラスに至ってはAクラスと偽りの同盟を結びに行ってるし。

 

ともあれ誰も居なくなったので俺達は先生がいるテントに向かうと坂上先生がこっちにやって来る。

 

「坂上先生。リーダーが決まりました」

 

「わかった」

 

坂上先生はそう言って懐からカードを取り出してくる。定期券に似たような造りだ。

 

「それでリーダーは誰にしたんだね?」

 

「俺です」

 

坂上先生は頷くと俺にカードを渡してテントに戻る。すると暫くしてピロンと音が鳴り、表に「ヒキガヤハチマン」と表示される。

 

それを確認した俺達は長居は無用なのでこの場を後にして、ベースキャンプにするべく砂浜に戻る。

 

するとそこには龍園も戻っていた。

 

「来たか。これでやるべき事は終わったし……バカンスを楽しむぞ」

 

龍園はそう言ってマニュアルをクラスメイトに渡す。対するクラスメイトらは開き直って試験の事を忘れたのか楽しそうに買える物のリストを見ている。

 

そんな中、龍園は俺に近寄り……

 

 

「葛城は契約を結んだ。お前には3日目から働いて貰うし、今のうちに遊んどけ」

 

小さく耳打ちをするのだった。

 

ま、その方が合理的だし、2日目の夜まで思い切り羽目を外しますか。

 

そう判断した俺は皆同様にマニュアルをチェックするのだった。

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