「お姉ちゃん」
「はい?」
「作文って、難しいよね」
「まぁ確かに」
「言葉選びとか、間隔とか」
「私たちにはあまりない才能だからね」
「お姉ちゃーん」
「はいはい泣かないの、無い物ねだりをしても仕方ないでしょ?」
「上手くなりたいなぁ」
「まずは意欲を持続させる特訓でしょ?」
「作家さんってさ」
「ん」
「何考えて生きてるのかな?」
「ん?」
「小説でも漫画でもさ、続けるって結構大変だと思うんだ」
「まぁここでのやつも未だに10話以上続いた試しがないわね」
「連載って何が必要なのかな~」
「…作品に対する愛情って話はよく聞くけどね」
「それ私が平たいって言ってる?」
「そんな捉え方もあるかもね」
「社会人やりながら書いてる人っているのかな?」
「探せば割と出てくるんじゃない?」
「あああぁぁぁぁ!」
「うるさい、今何時だと思ってるの?」
「書けないよおぉぉぉ!」
「黙って深呼吸して落ち着きなさい、人が折角うとうとしてたのに」
「ふー、ふー、ふー」
「…とりあえずココアいれてあげるから、飲みながら話しなさいな」
「…美味しい」
「そう、良かったわ」
「…すごく良い感じのワンシーンを思いついたの」
「珍しいわね」
「そのシーンに辿り着くために、ストーリーも考えたの」
「頑張ったじゃない、それで?」
「いざ書こうとしたら頭の中でぐちゃぐちゃになっちゃって…」
「昔からイメージの表現が苦手だったものね」
「私には無理なのかな…」
「沸き上がった情熱のままでは難しいかもね」
「どうゆうこと?」
「1度浮かんだことをそのまま全部書き出して、後から落ち着いて組み立てるのよ」
「でも時間おいたら、そのときの気持ち忘れちゃう」
「忘れないように全部吐き出すのよ、こう思ったとかこうしたいとか」
「出来るかな?」
「やってみなさいな」
「略語ってあるじゃん」
「例えば?」
「KYとかJKとか」
「そうゆうこと、それで?」
「お手洗いってなんでWCなの?」
「water closet、水洗の小部屋って意味ね」
「すっごーい、なんで知ってるの?」
「今みたいな唐突な質問のせいね」
「つまり私のお陰で、雑学に明るくなったと」
「…そのポジティブさがたまに羨ましいわ」
「で?夜中に何よ?」
「助けてください…」
「用件を簡潔に述べよ」
「怖くて眠れないので抱き枕になってください」
「たしかいくつかぬいぐるみ持ってなかった?」
「こんなときは人肌に限るんだよ」
「ホラー実況なんか見続けるからこうなるのよ」
「ごめんなさい…」