海に映る2つの月   作:空丘ルミィ

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ドーモ、ドクシャ=サン。ソラオカ=ルミィデス。

今日も元気(?)に投稿を頑張っております。まあ、適度に投稿ペースが変わるかもしれませんが、楽しみにしてくれると嬉しいです。

それでは、本編へどうぞ


プロローグ:変化

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は海月宥凪(みつきゆうなぎ)。去年の末までは高校生だったが、高校1年の時の卒業式の前の月から学校に通わなくなり、高校を中退した。それからというものの、学校というものに縛られず一人自由気ままに一人暮らしを満喫している真っ最中だ。一応学歴はあり、学生としては高校2年生扱いだ。まあ学校には今通ってないから2年生も何もないんだが。

今日は日曜日で、学校に通ってる人は休日という安らぎの日だ。俺は今、適当に商店街をふらついている最中だ。

 

 

 

 

 

 

 

5月7日

 

【午後2時:商店街】

 

宥凪「今日も人の通りが少ないな、まあ騒がしいことと面倒事が嫌いだからこういう雰囲気はいいんだけど。今日もいつものようにあそこに行くか」

 

そう言って俺は足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【羽沢珈琲店】

 

(カランカラン)

 

??「いらっしゃいませ…あ、宥凪さん!」

 

宥凪「よ、つぐみ。いつものを頼む」

 

つぐみ「わかりました!席についてお待ちください!」

 

この子は羽沢(はざわ)つぐみ。喫茶店、羽沢珈琲店の看板娘でいつも俺の接客をしてくれる子だ。昔はよく一緒に遊んでいて、他に4人ほどつぐみに幼馴染がいるが、つぐみ達からしたら俺は5人目の幼馴染だとか言われている。

 

つぐみ「お待たせしました、ブラックコーヒーとタルトです」

 

宥凪「ありがとな。それじゃあいただきます」

 

 

 

 

 

 

宥凪「うん、今日もいい苦みと程よい甘さだな。」

 

つぐみ「いつもありがとうございます、宥凪さん。もうすっかり常連さんですね」

 

宥凪「今は学生じゃないから、自由気ままに人生を過ごしてるからな。ここのコーヒーもおいしいし足が進むんだよ」

 

つぐみ「私はまだブラックコーヒーは飲めませんから、頑張って飲めるようにならないと…」

 

宥凪「そんなに急がなくても徐々に慣れていけばいいさ。俺だって最初はブラックコーヒーは飲めなかったんだし。それよりも蘭たちは元気か?」

 

??「呼んだ?」

 

つぐみ「あ、蘭ちゃんいらっしゃい!」

 

宥凪「いつも通りの来店だな蘭」

 

蘭「まあ、いつも通りだし」

 

こいつは美竹蘭(みたけらん)。つぐみや俺の幼馴染で、黒髪のショートカットに赤メッシュを入れている。普段はツンとした性格だが、弄られたときとかはすぐデレる程に感情がわかりやすい。俺のことは『ユウ』と呼んでいる

 

蘭「ユウもいつもの頼んでるんだ。」

 

宥凪「まあ、ここのコーヒーは他の所よりおいしいからな。そういう蘭だっていつものブラックコーヒーなんだろ?」

 

蘭「な、なんでわかったの!?」

 

宥凪「だって蘭、ブラックを頼むときはつぐみにアイコンタクト取ってるしな。あと頼んだのは糖分控えめのクッキーと…」

 

蘭「…いくらユウでもそれ以上言ったら怒るよ」

 

宥凪「おっと、悪い。それじゃあ蘭を怒らせると怖いし俺はそろそろ行くよ。これ代金」

 

つぐみ「ありがとうございましたー!」

 

蘭「またね、ユウ。」

 

俺は羽沢珈琲店を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宥凪「さて、寝覚めのコーヒーも飲んだし次は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【北沢精肉店】

 

??「あっ、いらっしゃいなぎくん!」

 

宥凪「今日も元気だなはぐみ。北沢印のコロッケ二つ頼む」

 

はぐみ「北沢印のコロッケだね!お父さん!」

 

はぐみの父「あいよー!北沢印のコロッケだね!」

 

 

 

こいつは北沢(きたざわ)はぐみ。北沢精肉店の看板娘でいつも元気いっぱいで商店街のムードメーカー的な存在。俺のことは「凪くん」と呼ぶ。はぐみも小さいころから遊んでいた幼馴染のような存在。たまーにだが、他にお客さんがいないのを確認した後は「凪にーちゃん」と呼ぶことも。だが・・・

 

宥凪「今日も元気いっぱいだな。最近のバンド活動はどうだ?」

 

はぐみ「とっても楽しいよ!凪くんも一緒にやろうよ!」

 

宥凪「俺は騒がしいのが苦手だって何度も言ってるよな…?」

 

はぐみ「あれ、そうだっけ?」

 

そう、はぐみはとてもと言っていいほど勉強や記憶力がダメで、去年なんかはテスト勉強に付き合ってほしいって言って俺の家に上がり込んで1日中勉強を見てやったりもした。

 

はぐみ「はい、凪くん!北沢印のコロッケお待ち!」

 

宥凪「ああ、ありがとな…あれ?俺が頼んだのは2つだったよな?」

 

はぐみ「お父さんからの奢りだって!いつも買ってくれてるお礼だよ!」

 

宥凪「ならそういう事にしておくか。また今度時間がある時に買いに来るよ」

 

はぐみ「いつもありがとねー!」

 

 

俺は北沢精肉店を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【宇田川家前】

 

(ピンポーン)

 

??「はーい・・・って宥凪さんじゃないですか!いらっしゃい!」

 

宥凪「あれ、巴が出てくるのか。あこは今日バンド練習は休みとか言ってたような気がしたんだけど」

 

巴「あこならまだ寝てますよ。昨日も徹夜だったみたいで…」

 

俺を出迎えてくれたのは宇田川巴(うだがわともえ)。つぐみや蘭たちの幼馴染で、蘭たちの中では一番身長が高い。男勝りな性格で俺とよく気が合うが、大の祭り好きで商店街で行われる祭りの際には和太鼓を叩いたりする。よく男と間違われたりもする。俺のことは蘭と同じで『ユウ』と呼ぶ

 

宥凪「まあいないものはしょうがないな。ほら、はぐみのところで買ってきたコロッケだ」

 

巴「おっ、サンキュー!ユウは気が利くな!」

 

??「むにゃむにゃ…おねーちゃんおはよー…」

 

巴「おはよう、あこ。といってももう昼だから今はこんにちはだけどな」

 

宥凪「まあ、俺にとってはおはようでも構わないけどな。おはようあこ」

 

あこ「あっ、宥にいだ!おはよー!」

 

部屋から出てきたのは宇田川(うだがわ)あこ。巴の一つ下の妹で、巴がいなかったときとかは遊び相手になっていたことが多かった。今はRoseliaというバンドのドラム担当で、オンラインゲームの『Neo Fantasy Online』で『聖堕天使あこ姫』というユーザー名でログインしている。空いた時間を使ってあこと一緒にやることが多く、『聖堕天使の契約悪魔』とか呼ばれ始めた

 

あこ「あ!コロッケのいい匂い!」

 

宥凪「さっきはぐみのところでコロッケを買ってきてな。はぐみの親父さんの奢りだってよ。あとでお礼を言っておけよ?」

 

あこ「はーい!あ、宥にい、一緒にゲームしようよ!」

 

宥凪「別にいいぞ、今日はどのゲームで対戦する?」

 

あこ「それじゃあスマ〇ラで!あこもあれからたくさんのキャラを使って特訓したんだよ!」

 

宥凪「負けないぞ。伊達に高レート帯で連勝を重ねてないから今日も完勝させてもらうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

結果はというと、何度か1ストックは失ったものの俺の全戦全勝だった。あれから俺も最高レート帯に潜ったりして連勝してたからな…少し大人げなかったような気がした…その後はあこに『大人げないよ宥にい―!』とか言われてポカポカ叩かれたのは言うまでもない

 

宥凪「おっと、思ったより長居しちゃったな。今日はもう帰るよ」

 

巴「またな、ユウ。」

 

あこ「次はぜーったいに負けないからね宥にい!」

 

宥凪「今度対戦する時までにまた腕を上げておけよ―」

 

そう言って俺は宇田川家を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【路地裏】

 

宥凪「そういやここもあったな。あまりこういうところは何かトラブルが起こるから来ないんだが、静かに過ごすにはいいところなんだよな…」

 

(ガタッ)

 

宥凪「ん?何の音だ?壁に何かを打ち付けたような・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラの悪い男A「おい嬢ちゃん、暇ならオレ達と遊ぼうぜー」

 

??「え、えっと・・・私はこれからお友達と約束してて…」

 

ガラの悪い男B「そんな約束キャンセルしちゃってオレたちと遊んだほうが有意義だってー」

 

??「で、でも今日は…」

 

あー…やっぱりこういうのの一つや二つはあるのか…しかもガラが悪くて人相が悪い男が2人でおどおどしてる女の子に寄ってたかって脅迫めいたことをしてるし・・・はあ、しょうがない…

 

 

 

 

 

宥凪「そこで何してるんだ?」

 

ガラの悪い男A「あ?なんだテメーは。」

 

宥凪「偶々ここを通りかかっただけのしがない男だ。それよりお前たち、二人が狩で一人の女の子に言い迫るなんて恥ずかしくないのか?」

 

ガラの悪い男B「テメーには関係ねーよ!オレたちはこの子とこれから遊ぶんだよ!」

 

宥凪「それじゃあそこの女の子にちょっと質問するけど、このいかにも悪そうな2人組とここに今さっきここに来てこの悪そうな2人組を説教してる俺、どっちについていきたい?」

 

??「え、えっと・・・どっちかっていうと…後者のあなたの方に・・・」

 

宥凪「ほら、この子もこういってるし諦めて帰ったほうがいいぞ。あと、お前たちの顔も覚えたしこの状況を警察に通報したら捕まるのはどっちなんだろうな?」

 

ガラの悪そうな男A「テメェ・・・さっきからキレイごとばっかり並べやがって…そういうのがむかつくんだよ!」

 

ガラの悪そうな男B「おい、こいつやっちまいやしょうぜ」

 

ガラの悪そうな男A「だな。テメー、覚悟しろ!」

 

宥凪「やれやれ・・・厄介ごとは嫌なんだが(まあこの状況を警察に連絡済みだから警察が来るまでの退屈しのぎになるか)」

 

ガラの悪そうな男A「さっきから何ブツブツ言ってやがる!!オラァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブンッ!…スカッ。ブンブンッ!・・・スカスカッ

 

ガラの悪そうな男B「ちくしょう…なんでさっきから当たらねーんだ・・・」

 

宥凪「動きが単調すぎてこんなの、その辺にいるガキ大将の方がまだマシだ」

 

ガラの悪そうな男A「て、テメー…!」

 

宥凪「さて、そろそろ時間だな。」

 

ガラの悪そうな男A「何・・・言ってやがる・・・?」

 

宥凪「お前たちに付き合うのも飽きたってことだ。ついでに言うと、そろそろ警察がここに付くから警察が来るまでの間伸びててもらう。じゃ、お疲れさん。」

 

ズガッ、ドガッ、バキッ、グシャァッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

宥凪「ちょっとやりすぎたかもな…っと、そろそろか」

 

警察「すみません、警察のものですが・・・先ほど通報があった場所はここでしょうか?」

 

宥凪「はい、間違いありません。つい先ほどそこの女の子に無理やり遊びに誘ってきてた2人組がいて、言っても聞かなかったんで何発か鳩尾に拳を入れて伸びてますので連れて行ってください」

 

警察「ご協力、感謝します。この二人組は1ヶ月ほど前からこの路地裏に出没していて、何人かが脅迫されて数日間家に帰ってこないという知らせを受けてほとほと困っていたのです。」

 

宥凪「そうだったんですか。大したことはなかったので小物感しかしませんでしたがこんな俺でも助けに慣れたのならうれしいです」

 

警察「それでは、ご協力ありがとうございました。」

 

そういって警察は男二人組を連れて路地裏から出ていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「あ、あの・・・助けてくれてありがとうございました・・・」

 

宥凪「別に俺はたまたまここを通りかかっただけだよ。それより、友達のところに行かなくて大丈夫なのか?」

 

??「えっと・・・それが、恥ずかしい話、道に迷っちゃって…」

 

宥凪「それでこの路地裏に入り込んだ・・・と。待ち合わせ場所はどこですか?」

 

??「えっと・・・羽沢珈琲店っていうところです。」

 

宥凪「あそこに?それじゃあ案内しましょうか?」

 

??「いいんですか?」

 

宥凪「ここで放っておいてもまた迷ったら困りますし。あ、名前を聞いてもいいですか?俺は海月宥凪っていいます」

 

花音「私は松原花音(まつばらかのん)っていいます。助けてくれてありがとう海月くん」

 

宥凪「それじゃあ行きましょうか松原さん」

 

そう言って俺は松原さんを連れて羽沢珈琲店まで案内した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【羽沢珈琲店】

 

(カランカラン・・・)

 

つぐみ「いらっしゃいませ…あ、花音さん!それと・・・宥凪くん?何か忘れ物?」

 

宥凪「いや、ちょっとさっき路地裏でいざこざがあってな。で、何があったか聞いてみたら松原さんが道に迷って路地裏にいたってものでここまで案内してきたんだよ」

 

??「花音、遅いわよ。何度も携帯に連絡を入れたのに不在通知ばかりだもの」

 

花音「ごめんね千聖ちゃん…携帯の充電が切れてて…」

 

千聖「何かあったのかって心配したのよ。ところであなたは誰かしら?」

 

宥凪「俺は海月宥凪っていいます。適当にふらついて路地裏に行ったらガラの悪い二人組が松原さんをナンパしていたので助けてここに連れてきました」

 

千聖「そう、花音を助けてくれてありがとう海月くん。私は白鷺千聖(しらさぎちさと)よ。」

 

宥凪「無事に松原さんをここまで連れてこれたので俺はこれで・・・」

 

千聖「あら、もう帰っちゃうの?花音を助けてくれたお礼にお茶をと思ったのだけれど」

 

宥凪「お誘いしてくれるのは嬉しいですけど、俺は松原さんを助けただけなので…」

 

花音「あ、あの!海月くん!私からもお願い、一緒にお茶しちゃ…ダメですか?」

 

宥凪「いや、ダメってことはありませんけど、2時くらいにこっちでコーヒーを飲んだばかりなので・・・」

 

千聖「(ジーッ)」

 

花音「(ジーッ)」

 

宥凪「(2人からの視線がやばい・・・これは断るに断れないな…)わかりました。ちょっとだけですよ」

 

千聖「ふふっ、ありがとう。」

 

それから白鷺さんと松原さんと一緒にお茶した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖「ねえ海月くん、あなたは学校には通っているのかしら?」

 

宥凪「いえ、去年までは通ってたんですけど今は通ってないですね。」

 

花音「何で途中でやめちゃったの?」

 

宥凪「まあ一応学年的には高校2年っていったところなんですけど、自由気ままに人生を過ごしたいってことで中退したんです。学校も結構自由だったので中退する時も先生達は止めませんでしたし」

 

千聖「高校生として戻りたいって思ったことはあるのかしら?」

 

宥凪「まあ、できることなら戻りたいとは思ってますね。ただ中退した高校にはもう通えないので今から通うにしても今から探さないとですが」

 

花音「千聖ちゃん、海月くんなら大丈夫なんじゃないかな?」

 

千聖「そうね。さっきの花音の話を聞く限りこの人は信用できそうだわ」

 

宥凪「あの、何の話なんです?」

 

千聖「私たちは花咲川学園というところに通っているのだけど、少子化に伴って共学にしようって学園長は言ってるけど、去年まで女子高だった影響か今年は男子生徒がいないのよ。だから、海月くんを特待生として花咲川学園に誘いたいのよ」

 

宥凪「俺を、ですか?でもこういうのは色々手続きを踏まないとダメなのでは?」

 

千聖「そうね、でも手続き自体はそこまで長くないわ。ただ入りたいなら早めに決めないと学園側も苦労するからできれば今返事をもらいたいところなのだけれど…」

 

宥凪「そうですね…入ってみます。」

 

花音「本当!?」

 

宥凪「まあ、自由気ままなのが俺の性格なので。これを期に新しいことにチャレンジしてみるのもいいかなと思いますし」

 

千聖「それなら、明日私たちと一緒に花咲川まで一緒に行きましょうか。待ち合わせ場所はここでいいわね?」

 

宥凪「はい、それで大丈夫ですよ。」

 

花音「それじゃあ明日はここに集合にしようか。」

 

宥凪「わかりました。」

 

そう言って俺たちは解散した。帰り際に松原さんが『助けてくれたお礼に』と言ってクラゲがプリントされた栞をくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺の新しい学園生活が始まろうとしていた・・・どんな変わった生徒がいるのかわからないけどどこか楽しみだ。

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

タグにもつけている通りハロハピメインですが今回ははぐみちゃんと花音ちゃんだけしか出せなくてすみませんでした。ちゃんと次回からは出します…(多分)

それでは次をお楽しみに!

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