海に映る2つの月   作:空丘ルミィ

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話す

ことが

なくなって

しまいました(笑)


3話:無自覚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月28日

 

 

今日は昨日こっちに引っ越してきたメイと一緒に花咲川学園に通う日だ。昨日俺は寝る前に部屋で白鷺さんたちに連絡を取った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は昨日に遡って…

 

5月27日

 

《Rain》

 

宥凪「夜分遅くにすみません、海月です」

 

千聖「あら、こんな時間に連絡を入れるなんて珍しいわね」

 

花音「何かあったの?もしかして明日は用事があって学校にはこれないってこと?」

 

宥凪「いえ、逆ですね。ちょっと明日は学校に行く前の寄る所があるので先に二人で学校に向かっててください」

 

千聖「海月くんが学校に来る前に寄り道?珍しいわね」

 

花音「私たちもついて行こうか?」

 

宥凪「いえ、すぐ済む用事なので大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございます。」

 

千聖「そう?気を付けてくるのよ。それじゃあお休みなさい」

 

花音「お休み。千聖ちゃん、海月くん」

 

宥凪「お休みなさい、白鷺さん、松原さん」

 

《Rain終了》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻って

 

5月28日

 

【午前7時30分:海月家リビング】

 

宥凪「さて、うまく誤魔化せたかな。白鷺さんたちには悪いけど」

 

メイ「兄さん?何をしてるんですか?」

 

宥凪「ああメイか。いや、ちょっと昨日の夜にクラスメイトと連絡を取ってたんだよ」

 

メイ「もしかして、一緒に学校まで行けるんですか!?」

 

宥凪「いいや、逆だ。メイのことはクラスメイトには伏せてある。それよりも、似合ってるなその格好」

 

メイ「えへへ、ありがとうございます兄さん。それじゃあ行きましょう!」

 

宥凪「ああ。(さて、これからがある意味大変だ…クラスメイトはおろか他の学年の人にも会わないようにしないといけないからな。)」

 

俺たちは家を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前7時45分:花咲川学園前】

 

宥凪「なんとか誰にも出くわさずに校舎までたどり着けたな…あとは校舎内に先生たち以外の誰もいないことを祈るしか・・・」

 

メイ「ここが兄さんの通っているハナサキガワガクエンですか!ワクワクです!」

 

宥凪「それを言うならドキドキじゃ・・・まあいいか。とりあえずメイが来ることは学園長に伝えてあるからとりあえず裏門に行っておいてくれ」

 

メイ「わかりました!それではまた後で!」

 

メイは校舎の裏門に走っていった

 

宥凪「やっと行ったか…さて、俺も校舎に入ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前8時:2ーA】

 

千聖「あら、おはよう海月くん。買い物は終わったのかしら?」

 

宥凪「ええまあ。」

 

花音「何を買ったの?」

 

宥凪「まあ、小物ですけど結構人気なので早めに買っておかないと売り切れちゃうんですよ。」

 

千聖「意外ね、海月くんって小物とかも買うのね」

 

宥凪「別にいくつあっても困りませんし。」

 

花音「それより聞いた?この学校にまた転校生が来るんだって」

 

宥凪「へえ…そうなんですね。(まあ俺は知ってるんだけど、黙っておいた方がいいな。ただどのクラスに入るかまでは聞いてないんだけど)」

 

千聖「今月の頭に海月くんが転入してから一ヶ月が経とうとしているのにもう一人来るなんて今月はイベントが目白押しね」

 

宥凪「そうですね。どこのクラスに来るんでしょうね・・・ざっと見てきましたけど、他のクラスにも席が一つ空いていたようなので」

 

千聖「教室にかばんを置いたと思ったら教室の外に出て行ったのはその確認のためだったのね」

 

宥凪「噂は玄関でめちゃくちゃ聞こえたんで何事かと思いましたよ」

 

花音「広まりすぎて隣のクラスのお話が聞こえるからね・・・あ、先生来たよ」

 

 

 

 

 

 

先生「あー、コホン。今日は皆さんに嬉しいお知らせがあります。今日からこの学園に転入してきた生徒がこのクラスに入ると先ほど学園長から連絡が入りました。」

 

宥凪「(ゑ?まさか…)」

 

先生「それでは、入ってきてください」

 

(ガラガラ)

 

メイ「おはようございます!」

 

宥凪「(やっぱりかあああああ!!)」

 

先生「えー、それでは自己紹介をお願いします」

 

メイ「はい!私の名前は桜庭メイと言います!昨日フランスのホームステイから帰ってきました!父は日本人で、母はイギリス人のハーフです!至らぬ点があるかもしれませんがよろしくお願いします!」

 

先生「えー、それではあそこの席が空いているのでそちらn・・・」

 

メイ「あ、兄さん!」

 

千聖・花音「「兄さん!?」」

 

宥凪「(昨日あれほど言ったよなああああメイいいいいい!?)」

 

先生「なんですか、あなたたちは知り合いだったんですね。ちょうど海月くんの席の隣が空いてるのでそこに座るように」

 

メイ「わかりました!」

 

メイはスタスタと歩いて席についた

 

先生「えー、これから授業を始めます・・・と言いたいところですが1時限目は親睦を深めるために自由時間にします。ですがあまり騒ぎすぎないようにしてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宥凪「(メイ…お前ぇ…)」

 

千聖「ねえ海月くん?ちょっといいかしら?」

 

宥凪「なんですか・・・?」

 

千聖「メイちゃん、だったかしら?あなたのことを『兄さん』と呼んでいたようだけどあなたたちって兄妹だったのかしら?これまでに一度もそんなことは言ってなかったわよね?」

 

宥凪「あー…すみません。やっぱりそういう質問が来ますよね。まあこの際ですし言っておきますか。その通りですよ、俺とメイは血が繋がってません」

 

花音「ならなんで海月くんのことを『兄さん』って呼んでたの?」

 

宥凪「小さいころからメイは俺に隙あらば甘えてきててな。自然と妹のような感じになって来たからメイの方から俺を『兄さん』って呼ぶようになったんだよ。まあ節度をもって接してくれるから安心してください」

 

千聖「そうなのね、てっきり彼女さんだとばかり思ってたけど」

 

宥凪「俺みたいな自由気ままな人間にこんな元気のいい子が彼女だと思いますか?」

 

千聖「…ないわね。海月くんが彼女にする人を選びそうだわ」

 

宥凪「そうでしょう?」

 

千聖「ちなみに海月くん、彼女はいるのかしら?」

 

宥凪「いいえ、いませんね。俺は自由気ままに過ごしてきたせいか一人でいることが多かったので」

 

花音「たしかに、海月くんは昼休みの時間も私たちといるか一人で過ごしてるかの二択だからね・・・彼女さんを作ろうと思ったことはないの?」

 

宥凪「まあ、思ったことはないですね。俺はあまり大人数でいるところが好きじゃないんで」

 

メイ「兄さんは昔から私以外の人と話してるところを見たことも聞いたこともないので兄さん次第ですね」

 

宥凪「何も言い返せないのが悔しいけどこれが俺の自由気ままな生き方だしなぁ…今更変えろっていう方も無理だけどそろそろこの自由気ままな生き方を変えた方がいいかもな」

 

花音「試しにやってみる?」

 

宥凪「何を?」

 

花音「今日、みんなでショッピングモールに買い物に行こうよ。」

 

千聖「いいわね、メイちゃんもどうかしら?」

 

メイ「ご一緒しても構わないのでしたらぜひ!」

 

宥凪「俺は今日もバイトは休みだから大丈夫だ」

 

花音「決まりだね。それじゃあ放課後は校舎前に集合で」

 

宥凪「わかった」

 

それからその日の授業を軽くこなし、放課後になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【放課後:花咲川学園前】

 

宥凪「おまたせ。日直の仕事が長引いちゃって」

 

花音「大丈夫だよ、私たちもさっきまでお話してたから」

 

千聖「遅くならないうちに行きましょうか」

 

メイ「はい!こっちでの初めてのお出かけなので楽しみです!」

 

宥凪「んじゃま、行きますか・・・」

 

俺たちはショッピングモールに足を進めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ショッピングモール:Sunshine】

 

花音「噂には聞いてたけどすごい大きいね・・・」

 

千聖「私は何度か収録できたことがあるけど、やっぱり慣れないわね・・・」

 

宥凪「え?白鷺さんが収録に?もしかして白鷺さんは芸能人だったんですか?」

 

千聖「言ってなかったわね。私は『Pastel*Palettes』っていうアイドルバンドのベース担当なのよ。」

 

メイ「そうだったんですね!」

 

宥凪「俺はテレビはよく見る方なんですけど白鷺さんがアイドルなんて知りませんでしたよ。」

 

千聖「普段は私は何気ない女子高生として生活しているから話す機会がなかっただけかもしれないわね。ちなみに花音と同じところでバイトしている彩ちゃんもメンバーよ」

 

宥凪「あれ、そうだったんですか?」

 

花音「うん、彩ちゃんとはよく話すんだ」

 

宥凪「じゃあ俺もこれを期にコミュニティの輪を広げてみますか。昨日も心や美咲と少しだけど話しましたし」

 

花音「こころちゃんと美咲ちゃんと?何を話したの?」

 

宥凪「まあ、こころからは『バンドメンバーにならないかしら?』なんて誘って来たし。まあ美咲とは苦労人同士気が合うとか話し合ったりだな」

 

花音「美咲ちゃんたちがそんなことを?」

 

メイ「なんだか楽しそうですね!」

 

宥凪「これが『楽しそう』って考えることができるメイが羨ましいよ…」

 

花音「でも、メイちゃんのそのポジティブな性格を見習おうかな…」

 

宥凪「やめておいたほうがいいですよ。メイはポジティブすぎて落ち込むことの方が少ないんですから」

 

千聖「そう?そうだとしても学ぶことに関してはいいことだと思うけれど」

 

宥凪「白鷺さんがそう言うなら…別に止めはしませんけどあまり無茶はしないでくださいね」

 

花音「うん!」

 

それから俺たちは適当にふらついて服などを見て回った。白鷺さんや松原さんに少しだけ服を買ってあげたら喜んでくれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後6時30分:ショッピングモール前】

 

千聖「今日はありがとう、みんな。」

 

花音「ううん、私もみんなとここに来れてよかったよ」

 

メイ「私も、買いたいものがたくさん見つかったのでよかったです!」

 

宥凪「俺は皆さんに服を買ってあげたりとこの中で一番消費が激しかったですけどね・・・」

 

千聖「いいじゃない、海月くんに彼女ができたらこういう事もあるでしょうし」

 

宥凪「まあ、前向きに考えてみますよ」

 

メイ「それでは、私と兄さんはここで失礼しますね!」

 

花音「うん、またねメイちゃん、海月くん。」

 

千聖「また学校で会いましょう」

 

宥凪「はい、また明日」

 

俺たちは別れてそれぞれの帰路についた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【海月家への帰り道】

 

メイ「兄さん、今日は付き合ってくれてありがとうございました!」

 

宥凪「まあ、今日はメイを連れてどこかに行こうって計画してたし、クラスメイトも紹介しようかなって思ってたから同時進行できてよかったよ。」

 

メイ「それはよかったです!ところで兄さん?」

 

宥凪「なんだ?」

 

メイ「先ほど、カノジョさんという話が出ましたが、カノジョさんとは何でしょうか?」

 

宥凪「(そこからか…)彼女っていうのはな、男の人が女の子に好きだって告白して、オッケーを出した女の子のことを指すんだ。例えば、俺が今メイに告白したとして、メイがオッケーを出したらメイは俺の彼女ってことなんだ。わかったか?」

 

メイ「なるほど!わかりました!向こうで知ったことなんですが、これが好意を寄せるということですね!」

 

宥凪「向こうでどんな知識を得たのかは知らないけど・・・まあそうなるな。」

 

メイ「ふむふむ…ちなみに兄さんは今好意を寄せてる人はいるんですか?」

 

宥凪「今はいないけど、なんで今そんなことを?」

 

メイ「それは・・・」

 

宥凪「?」

 

メイ「な、なんでもないです!それでは失礼します!」

 

宥凪「ってメイ?待って・・・ってもう行ったか。なんなんだ?」

 

 

 

 

メイ・宥凪sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音・千聖side

 

花音「ねえ千聖ちゃん、聞いてもいいかな?」

 

千聖「珍しいわね、花音から聞いてくるなんて。何を聞きたいの?」

 

花音「千聖ちゃんも、海月くんのことが好き…だったりする?」

 

千聖「『私も』と聞くということは花音ももしかして海月くんのことが好きなのかしら?」

 

花音「う、うん…最初に助けてもらってから海月くんのことが気になって、それから私たちのクラスに転入してきたときに心が少しだけ締め付けられるような感覚になって…たぶんこれが『好き』って気持ちなんだと思う・・・」

 

千聖「そうね…花音がそう思うのならそうでしょうね。でも私は海月くんのことは今は好きではないわね」

 

花音「『今は』?もしかして千聖ちゃん、自分がアイドルだってことを気にしてるの?」

 

千聖「ええ、アイドルが恋愛なんてしたらスキャンダルになるのは間違いないでしょうし、もし付き合うにしても本当に好きかどうかを心で判断してから告白しないと後で後悔することになるのよ」

 

花音「そっかぁ…」

 

千聖「それにしても花音が恋…ね。いつかはするって思っていたけれど今するなんて思ってなかったわ」

 

花音「それって、私が鈍感だってこと・・・?」

 

千聖「いいえ、違うわ。さて、どうかしらね?」

 

花音「ち、千聖ちゃん・・・?もったいぶらないで教えてよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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話すことが

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