・ネコと猫、そしてカメラ
梅雨入り目前のある日、相方が子猫を2匹連れ帰ってきた。
トリマーの仕事絡みで引取り手を探していたのだが、一目で気に入ったとかでウチに来る事になった。幸い、今住んでいるマンションはペット可、自分も猫を飼っていた経験もあるので二つ返事でOKを出した。
折角同居人が増えるのと、何かしら記録する遊びがしたかったので安いデジタルカメラを購入。自分の暇潰し程度に使えれば良いので廉価版の一つ上程度の機種。素人には少々勿体無いかと思いながらも店員に勧められるままに購入してしまった。
さて、肝心の新しい同居人は雪の様に白い子猫とややグレーがかった黒い子猫。当初はこのどちらかがウチに来る予定だったのが、相方の物々しい悩み方を見かねて両方引取りなさいと自分が許可した。
経験上、猫は多頭飼の方が躾が楽。互いに遊んでいるうちに幾らかの力加減ややってはいけない事を覚えてくれる。
とは言え、トイレや食事、爪研ぎなどは人間が教えなければならない。運が良かったのか、二匹ともすんなりと覚えてくれて最初は思ったよりは手が掛からなかった。
一月程経つと一回り位は大きくなり、ヤンチャ盛り。面白いのは、相方がそれに混ざって遊んでいる所。やっぱりネコなんじゃなかろうか。
同居人が増えた事で変化が幾つかあった。
自分がソファーに座っていると真先に黒が膝の上に乗ってくる。
その跡を追って白がやって来て何とか膝にスペースを確保して居眠りを始める。…自分はそんなに世話をしている訳では無いのだが、空きあらばこの2頭は自分に手がえとやって来る。
そして、その状況を見た相方が拗ねる…流石に猫を追い払いはしないが、ずるいずるいと言いながら背後から抱きついて来たりする。そう言う日の夜は自分に抱きついて、まるで抱き枕に抱きついているかの様な状態で離してくれない。
こんな性格だったとは昔は思わなかった。
暇潰し様に買ったカメラで色々なモノを撮る。無論日常を撮るので被写体に猫達が含まれる。ただ、レンズを向けると近寄って来てレンズに鼻をくっつけたがる。好奇心なのだろうが、レンズが汚れるとクリーニングが面倒なのでこちらが逃げる。思いつきで、相方も撮ってやろうとレンズを向けると、此方もレンズに鼻を近づけてくる…イヤ、貴方ネコじゃ無いんだから。
「何故に鼻を近づけますかね?」
一度理由を聞いた事が有るが、何となくとか思いつき、とはぐらかされてしまう。
(後で分かった事だが、カメラを退けたらそのまま押し倒してからかうつもりだったらしい)
自分のノートパソコンの写真フォルダには色々な写真が保存されている。
月や星、夜景に景色。猫達の写真と相方と出掛けた時に撮ったポートレート。
密かに気に入っているのは、相方が自分の膝枕で寝ている側で白と黒が仲良くくっついて寝ている写真。
今の自分にはこれだけの大切なモノがある。何となく嬉しく感じる一枚。
店員に煽てられて良かったかな、と思いながら。
今日も相方と猫達の遊んでいる風景をファインダー越しに見つめながらシャッターを切っている。
ーー了ーー
ちょっとした思いつきでさらさらっと書いてみました。ものの30分程度で書き上げた作品です。
キャラクターが気に入っているので、何か思い付いたら追加するかもしれません。
では、また…