サイトウは褒められたい   作:ジュピター

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はい、いい子のマリィちゃんが今回で病みます。

それと3話を投稿してからの、お気に入りと高評価の上がり具合がえげつなくて笑いました。

皆様本当にありがとうございます、これからも励みます。


マリィは暴走する

マリィ side

 

「……………はぁ」

 

今日はジムはお休み、というか暫く休みが続く。

 

と言ってもやることがそんなにないわたしは、なんとなくシュートシティの公園に来て空を見上げていた。

 

「………暇やねー」

 

「うらー……」

 

膝にモルペコを載っけて呟く、暇な時はシンバを誘ったりしてるのだが……生憎予定が入ってた様で断られた。

 

ちょっと気分が沈んでるのもそれが理由だ。

 

思えばあのトーナメント以来、何かあればシンバと一緒に居る。

 

一緒に買い物したり、バトルしたり、特訓したり、遊んだり………ライバルとしてではなく、友達としても仲は深まっている。

 

けど………私はきっとそれ以上を望んでいる。

 

……女の子として、彼を好きになってしまった以上は。

 

こんな時にも彼のことを考えてしまい、恥ずかしさで思わずモルペコを抱き締めてしまう。

 

「……明日、何しよ」

 

明日は予定が無いようだから、シンバと一緒に居れるけど………何をしたものか。

 

「な、なんかしたらええんやろうか……お弁当とか作ったらええんかな………でもやったことないんやけど………うぅ〜」

 

そもそも料理が上手なシンバにそんなもの渡しても喜ぶのか………ダメだ、私って女子力低いんやろうか……。

 

「う、うらぁ……」

 

「……あっ!ご、ごめんモルペコ!きづいとらんかった!」

 

思わず抱き締める力を強めていたようで、モルペコの唸り声ではっとなり離した。

 

「うらら………うら?」

 

解放されて膝から地面につくモルペコが、なにかに気付いた様に別の方向を見ていた。

 

「どうしたん、モルペコ?」

 

「うら!」

 

その短い手でモルペコが見たものを指す、そこに居たのは………。

 

「………シンバ?」

 

そう、後ろ姿だがシンバが歩いていた。

 

………けど、彼一人だけじゃなかった。

 

「……誰?」

 

その隣に近い距離で一緒に歩いてた人………女の子がそこにいた。

 

茶髪のショートヘアに緑のベレー帽、グレーのケーブルニットを着ていたあいつは……。

 

「確か、ユウリって言ったっけ」

 

ジムチャレンジャーの数少ない生き残り、確か……シンバとホップの幼馴染みだったっけ。

 

彼女とは話したことはないけど、生き残りなのだから強かった気がするし………彼とも仲が良いのだろうか。

 

「………………」

 

「……うら?うらー」

 

無意識に立ち上がり遠目で街を歩く二人を見る、ユウリは彼に話しかけておりシンバはそれに答えていた。

 

思えば、私以外の女友達なんて居てもおかしくない。

 

そして………もしかするかもしれないけど………好きになってたりすることも………。

 

「………ちょっと戻ってて、モルペコ」

 

ボールにモルペコを戻し、リュックを背負う。

 

今の私は、彼らが気になって仕方なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンバ side

 

「………?」

 

ふと後ろを見る、人が歩いているだけだった。

 

「……んー」

 

「どうしたのシンバ?」

 

俺のもう一人の幼馴染みであるユウリがこちらの顔を覗くように見てくる。

 

「いや、なんか見られてるような気がしてな」

 

帽子の鍔を掴んで辺りを見渡す、こちらを見てるような人は見当たらない。

 

「そう?ていうかシンバはもうチャンピオンなんだからさ、誰が見るのも当然じゃない?」

 

「まぁ、そうなのか?」

 

確かに注目されることは多くなったが。

 

「まぁいいじゃん!とりあえず今日は私にいっぱい付き合って貰うんだからね!」

 

そう言うと俺の腕を組んでくる、昔から天真爛漫なこいつは他人にも明るく振る舞うので勘違いするヤツらが生まれるかもしれん。

 

………まぁ本人にその気はないのかもしれんけど。

 

あとデカい、何がとは言わんが。

 

「引っ付くなって、とりあえずどこ行くんだよ」

 

「ブティック!シュートシティは品揃え良いからね〜」

 

そう言って未だに俺と腕を組んでくるユウリは歩きだし、俺もそれに合わせることにした。

 

「こうしているとさ、私たちカップルっぽくない?」

 

「ないわ」

 

「即答しないでよっ!」

 

これがいつも通りだろ、と心の中で呟いた。

 

「……………」

 

歩きながらまた後ろを見る……本当に気のせいなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリィ side

 

「…………え」

 

なんや、あれ。

 

なんで、腕を組んでいるの?

 

………まさか、あの二人は………?

 

「………………ッ」ギリッ

 

思わず歯が軋んでしまうほど食いしばってしまい、心に黒いものが浮かび上がってくる。

 

「………ぁっ」

 

変な声をあげて、自分の胸に手を当てる。

 

「……なに、今の………」

 

自分でも戸惑っていた………一瞬、抱いては行けない感情が浮かんだ自分に。

 

「………あ」

 

そんなことをしていると、二人を見失ってしまった。

 

………何処に、何処に行ったの………?

 

「………シンバッ…………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンバ side

 

「じゃーん!」

 

ブティックに到着し、ユウリが服を一通り選んで試着した姿を見せられる。

 

アーバンのTシャツの上にサテンスカジャン……てか。

 

「俺と全く同じじゃんか」

 

スカート以外は帽子もグローブも全て俺と全く一緒の服装だった。

 

「えへへ、シンバと同じスカジャンを見つけちゃったからつい!どーお?」

 

くるんと一回転する、スカートが浮かんで少し危ない。

 

………まぁうん、いいんじゃないか?

 

「似合ってるぞ、案外」

 

「案外は余計でしょー?でも私も気に入っちゃった、これ買いまーす!」

 

そう言うと俺の方を見て手を合わせウィンクする。

 

………こいつ、そういう魂胆か。

 

「お前最初から俺に奢らすきでいたなおい」

 

「だってシンバお金持ちじゃん、この後バトルカフェで奢るから!」

 

「金額があってねぇよ!………はぁ、まぁいいけどさ」

 

「ありがと!」

 

眩い笑顔を見せるユウリ、まぁ言われた通り俺は栄養ドリンク以外にはあんま使ってないしこれくらいなら安いもんだ。

 

店員に代金を払う、その直後ユウリに腕を掴まれる。

 

「ちょっとスマホ見てねー」

 

そう言うとユウリはスマホロトムを上にあげてそれを言われた通り見てしまう。

 

そして、カメラのシャッター音が鳴る。

 

………撮られたのか俺。

 

「それ、どうする気だよ」

 

尋ねるとユウリは小悪魔の様な笑顔になる。

 

「SNSでアップして知り合いに送ろうかなーって、彼氏に買って貰「すんません、返金って出来ます?」あー冗談!嘘だからやめてー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまた暫く色々巡り、バトルカフェで休憩していた。

 

今度はちゃんとユウリの支払いで。

 

 

 

 

………ねぇ、あれってチャンピオンじゃない?

 

………おおーこんな近くで見たのは初めてだなぁ……

 

やだちょっとかっこいいじゃん…………

 

 

 

 

「(見られてんなぁ………)」

 

マホイップの姿をしたケーキを食べながら思う、チャンピオンになってからは何かと注目されることは多くなった、ちびっ子からとかも憧れの対象になって握手を求められたりもする。

 

………やっぱあの時の視線もこういうものだったのだろうか。

 

「モテモテだねー……シンバ」

 

「まぁ、ダンデさんみたいになってんのかもな、憧れの対象になるのは悪い気はしないけど」

 

「ふーん………」

 

「………ユウリ」

 

「なにー?」

 

「なんか不貞腐れてないか?」

 

そう、先程までは楽しそうだったのだがカフェに入ってからなんだか不機嫌だ。

 

アイスココアをストローでぶくぶくさせながらスマホを弄っていた。

 

「別にー………こうなることを考えてなかっただけー」

 

「いや、だからといってなんでお前が不貞腐れるんだ?」

 

「朴念仁!」

 

「えぇ?」

 

いきなり罵声させられる、なんだってんだ……?

 

「………あ、あの……シンバさん」

 

そんな中、俺より年下な男の子が俺に近寄ってくる。

 

「ん?」

 

「えっと、ジムチャレンジの頃から見てました……あの、ファンです!握手してもいいですか?」

 

「そうか……ありがとな」

 

席からたち、しゃがんでその差し出された手を握る。

 

男の子はとても嬉しそうだ。

 

「ぼ、僕も大きくなったらジムチャレンジします!シンバさんのようなポケモントレーナーになりたいです!」

 

「そっか、頑張れよ」

 

なんというか、今ならダンデさんの気持ちが少し分かる気がする。

 

「あの!こっちも写真とか撮っていいですか!?」

 

「俺も握手してください!後サイン!」

 

男の子を皮切りに色んな人達が俺に迫ってきた。

 

「あぁ待って下さい!一旦外出ましょう!」

 

店内では迷惑を掛けてしまうので、外に出て対応することにした。

 

………サインとかどうすりゃいいんだ?

 

 

 

 

 

 

ユウリ side

 

「…………」

 

ココアを飲みながら外のファン達に対応しているシンバを見つめる。

 

もう、折角のデートだったのに……カフェを選んだのは失敗だ。

 

「(………女の子結構いるな)」

 

ファンの中では女の人が握手したり写真を撮ったりしていると………はぁ、ほんっと…………。

 

「(………シンバは、私だけのシンバなのに)」

 

幼い頃から積み上がってきた感情が胸の内を駆け巡る、もう一人の幼馴染みであるホップは大切な友人だけど………彼は違う、私は女の子としてシンバが好き。

 

ちょっとクールな所も、バトルで熱くなるのも、優しいのも、男の子なのにサラサラで長い髪も全部全部全部全部全部…………。

 

「(………早く、終わってよ………)」

 

コップを握りしめながら未だに続くその光景を見つめる。

 

………そのコップにヒビが入ってることは最後まで気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリィ side

 

「………シンバ」

 

見失って探し続け、やっと見つけたのだが………シンバは色んな人達から握手や写真を撮られていた。

 

恐らく、ファンなのだろう……チャンピオンになった彼に人が集まるのは必然と思う。

 

………けど、今の私はその光景を見て何故か胸騒ぎが止まらない。

 

私以外にも好きな人が出来るのではと、そんな予感がしてならなくて……怖い。

 

「…………私は………私は………」

 

なぜ、こんなにも怖いの?

 

なぜ、私は彼を追い掛けてるの?

 

なぜ…………こんな時になっても………………

 

 

 

 

 

シンバの事しか考えてないの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンバ side

 

「つ、疲れた…………」

 

シュートシティの公園のベンチに座って休む、本当に疲れた。

 

途中からダンデさんみたいなかっこいいポーズとったしてくれなんて言う人も居たし………もう夕暮れじゃんか。

 

「大変だったねーシンバ、嫌なら断れば良かったんじゃない?結局最後まで対応し続けてさ」

 

「いや、なんつーか無下に出来なかったからさ………」

 

「その間、私の事忘れてたでしょ?」

 

「あぁいや、少しだけ」

 

「……ふん、シンバのばーか」

 

隣に座ってるユウリがそっぽを向く。

 

「悪かった悪かった、機嫌直せって」

 

「……ま、いいけどね」

 

そう言うと俺の方を向き、俺の髪に触れてくる。

 

「髪、ホントにサラサラだよね……ちょっと羨ましいよ」

 

「そうか?……ちょっとこそばゆいんだが」

 

「いいじゃん、私たちの仲なんだから………ふふ」

 

俺の髪を弄ってるだけなのに何故こんなにも笑顔なのか……女の子は分からん。

 

「………………ん?」

 

「どうしたの?」

 

「………いや、また視線を感じる」

 

辺りを見渡す、俺ら以外は誰も居ない。

 

気のせいじゃ、ないのか?

 

「………ねぇ、シンバ」

 

そんな俺に構わずユウリが話し掛けてくる、俺の髪を弄りながら。

 

「最近、マリィっていう子と仲良いよね?」

 

「……え?」

 

思わず変な声をあげる、こいつとマリィってあんま接点無かったよな……?

 

「どうなの?」

 

有無を言わせない様な威圧感で俺に迫る、どうしたんだ……?

 

「いや、まぁそうだけど………」

 

「どういう関係?」

 

「………ライバルで、友達だけど」

 

「……じゃあ私とは?」

 

「え?……ライバルで、友達で、幼馴染み」

 

「じゃあ、彼女より仲良いのは私だよね?」

 

「え、いや、何言って……」

 

「そういうことだよね?だって私の方がシンバといる時間が多いしマリィとは数ヶ月の仲でしょ?だってシンバの事よく分かってるのは私だもんホップやマリィよりもずっとずっと君のこと見ているんだもん」

 

どうした、いきなりどうしたんだ。

 

普段の彼女からは考えられない程の威圧感と恐怖を煽るような言葉が並べられる。

 

「………ごめん、熱くなっちゃった」

 

そう言うとユウリはベンチから立ち上がり、バッグを背負う。

 

「今日は楽しかったよ、また一緒に遊ぼうね」

 

「え、あぁ………」

 

「バイバイ」

 

そして、ユウリは去っていった。

 

「…………なんだったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリィ side

 

「……………」

 

ユウリが去ってゆくのを見つめる。

 

心の中で、危機感と恐怖が私を満たす。

 

やっぱり好きなんだ、私と同じ………いや、もしかしたら比べ物にならないくらい。

 

…………嫌だ、私も………私だって、シンバの事が好き…………。

 

明確な理由なんて無いけど、この気持ちは嘘なんかじゃない………紛れもなく本心なんだ。

 

「………あぁ、そうや」

 

本心だ、だったら負けたくない。

 

私は大の負けず嫌いなんだ、ポケモンバトルでも………恋にも負けたくない。

 

幼馴染み?過ごした時間が私より多い?

 

……………関係あるものか、それ以上に私が好きでいればいい。

 

追い抜いてみせる………絶対に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………大好き、シンバ」

 

気づかれないままその場を去る。

 

…………明日は、何をしようか。




はい、ユウリちゃんも病みましたの巻。

暫くはこっちの執筆を頑張ろうと思います。

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