新春まで残りわずかなのにオーブがないよう………。
ルシファーとウリエル率いる天使達は怪物達との交戦を暫く見ていると再び睦月が呼びかける。
「そろそろここから離れるぞ。巻き込みはごめんだからな。」
「そうだな………。よし、ズラかるぞ。」
先程のルシファーの放った電撃がこちらまで来たら一瞬にして消し炭になるだろう。
二人は天使達や怪物達に気付かれぬようにその場を後にした。
「……………。」
「ルシファー?どうかしたのか?」
「………いや、何でもない…………。」
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「FOO↑!何とか抜け出せたな………。やめたくなりますよ〜。」
「その割には余裕そうじゃんアゼルバイジャン。」
などと駄弁りながら二人は来た道とは逆の方面に向かっていた。
改めて確認すると、ここはモンスターストライクの世界で間違いないだろう。
よくよくあの怪物達を見ると、降臨クエの道中で見たことのある取り巻きのモンスターだった。
もしかすると普段はボール絵でファンシーな感じだが、中で起きているのはあんな感じの阿鼻叫喚の戦いになっているのだろうか………。
ルシファーのあの電撃は明らかにプラズマだったし………。
「あ、そうだ。お前今スマホ持ってない?」
「唐突だな………何でそんなこと聞く?」
「いや、お前が目覚める前に何かないか適当にポケット漁ったら、こんなのが入ってた。」
そう言いつつポケットから出してきたのはゴロリも困惑するような変わった形の端末だ。
横から見るとへの字に曲がっており、スマホで例えると内カメラの位置する部分に小さな丸い窪みがある。
でもこれ何処かで見たことあるような………。
「兎に角、確認してくれ。」
「いやいや、そんな突然スマホがそんなものに変わっているわけが………。」
ポケットに手を突っ込むと長細い感触がしたので、それを取り出す。
悲しいかな、睦月と全く同じ形で、全く同じ白の端末だった。これがフラグ回収というものなのですねわかります。
「これ、何処に電源スイッチがある?」
「俺もそれを探しているだけどなぁ。」
360度どこをどう見てもそれらしきものは一切無かった。あるのは丸い窪みぐらいだけ。
しばし思考していると、睦月がある提案を勧める。
「S○riみたいに呼び掛ければ?」
「そうか………じゃあ、HeySi○i、ここ何処か教えて?」
……………。
いつまで経っても聞こえるのは風が吹く音だけ。肝心の端末はウンともスンとも言わない。
「何もねぇじゃねぇか!」
「いや、もしかしたらGoog○e先生かも………。」
「じゃあ………OK Goo○le。現在地を教えて?」
…………。
いつまで経ってもry
「やっぱ駄目か………。」
「遊んでない!?君、俺で遊んでない!?」
「そんなことねぇよ。………多分(小声)。」
「聞こえてんだよ!」
やいのやいの言っていると、いきなりポーンと音を立てる。恐る恐る液晶を見ると二つの丸い点と矢印が写っていた。察するに、この丸い点は翼と睦月のことだろう。じゃあこの矢印は?
もしかしたらこの矢印は『この通りに進め』という意味ではないのか?
そう思って矢印とは反対側に歩き始めると矢印はしつこく向こうを指す。
そうと決まれば二人は矢印の通りに進み始めた。
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矢印の方向へ歩いている途中、翼があることを思い出して話し出す。
「なぁ、今思ったんだけどよ。もしかしてアイツも俺達みたいにここにいるのかな?」
「アイツ?」
「ほら、去年の行方不明事件。朝起きて来ないから部屋に行ったら居なくなってたってヤツ。」
「ただの家出だろう?」
「だけど警察が総出で捜査したけどまだ見つかってないっておかしくないか?」
「転々と移動してんだろ………っと矢印はここを指してるみたいだぜ。」
画面に目を移すと丸い点が赤くなった。大雑把に言えば金属探知機と同じ感じだ。
どうやらここに何かがあるらしい。二人は近くに落ちていた石を使って掘ってみた。
ザクッ………ザクッ………カキーン
「お?なんか当たったぞ?」
「もっと掘ってみるぞ。」
鋭利な石で懸命に掘ってようやくそれが姿を現した。
「おい………これって………。」
「あぁ………間違いない………。」
掘り返して出てきたもの。
虹色に煌く水晶玉。大きさはビーダマぐらいだが、間違いなくモンストのオーブだ。
「何でこんなものが………。」
「あと5つ集めたら帰れるとか?」
「ドラ○ンボールじゃねぇんだぞ。折角ここに来たんだし、やっぱガチャだろ。」
「どっち道足りねぇよ!大体どうやってコレを端末に移すんだよ………。」
そこで二人は何かを思い出す。
例の端末の丸い窪み………もしかすると…………。
端末を取り出して恐る恐る窪みにはめ込む。オーブ?は綺麗にピッタリ収まった。
数秒後、突然画面が数字の羅列で埋まった。そしてまた数秒後に羅列が消えるとオーブの部分から扇型の光が出た。
「な、何だ!?」
「多分スキャナーか、何かだろう………。」
睦月の言う通り光、というよりレーザーサイトは頭から顎にかけて降りると消えた。
今度は画面中央部に黒いアプリアイコンサイズのようなものが出た。流石の睦月でもこれはわからなかった。しかし翼は迷わずそれを押した。
その瞬間、指が少し熱くなったが、アプリアイコンが黒から緑になった。恐らく指紋認証か何かの類だろう。
それを確認した睦月も同様にする。認証後、バーのようなものが出るも、数秒も経たずに満タンになる。
そして画面から緑で『Welcome to Master』と文字が浮かび、画面中央に4つのアプリが出た。
「………え?アプリこれだけ?」
「アプリストアどころか、『設定』もないぞ。」
出ているアプリは『SEARCH』、『CUSTOM』、『STEALTH』。そしてアプリ名に『G』と付いているものだけだ。
他のアプリは英語で書かれているのに最後のアプリだけ『G』と一文字だけ打ってあった。
『STEALTH』よりもこの『G』というのが一番気になった。こういう何なのかわからないというのが余計気になる………。
「どうする、これ?」
「………同時に押してみるぞ………。」
彼も気になっていた為、1、2の3で押すことになった。
「じゃあ………いくぞ………。」
「……………。」コクッ
「1………。」
「2の………。」
「「3ッ!」」
若干強めにそのアプリを押した。瞬間、画面から眩ゆい光が溢れ出た。光は二人を包み込む勢いで輝きを増す。
「何の光ぃっ!?」
「うお眩しっ!」
対して驚いていないような驚き方をし、やがて目の前が真っ白になって何も見えなくなった。
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う………?
い、一体どうなったのだろうか?
目を開けるが目の前は真っ暗だ。何かないかと手探りをしようとするが………。
手の感覚が………無い………?
そう思ったその時である。
耳元から駆動音のようなものが入った。
「うあっ!?なに!?なに!?!」
『CPG設定完了、ニューラルリンゲージ、イオン濃度正常、メタ運動野パラメータ更新…………。』
「ちょ、怖い怖い!耳元で囁かんといて!」
しかも結構近い距離で聞こえる上に、早口で言ってるから余計怖い。
耳を塞ごうにも感覚が無いので塞ぎようがない。
『原子炉臨界、パワーフロー正常、全システムオールグリーン。』
ようやく打ち止めっぽい用語が出て、囁き声は収まった。聞いていただけで疲れが出て嘆息をつく。
しかしほっとしたのも束の間、急に目の前に画面が現れる。画面にはいくつかの英単語が並んであった。
General
Unilateral
Neuro - link
Dispersive
Autonomic
Maneuver
(Synthesis System)
「え、何これは…………全っ然読めねえ…………。」
高校生でも10人中10人はわからないと言うと断言出来る。だが、横に並んである大文字の並びを見て思い当たる。
「…………グンダム?いや違う、これは…………。」
すると画面が光り出してまた目の前が真っ白になった。
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光が晴れるとようやく元の景色が視界に映った。ものの数分の出来事なのにやけに懐かしく感じた。
そういえば睦月も同じ光に包まれたが大丈夫だろうか?場所は別に変わっていないからすぐそこにいる筈。
そう思って体を180度旋回するとあり得ないものが映った。
全身が白基調で、背中に青紫のバインダーを搭載し、体の各部にも青紫色が入っており、体に曲線が多く白いV字アンテナ…………。
間違いなく『
そんなのがどうしてここに?
すると向こうもこちらに気が付いたのか凝視する。そして睦月と思われる声が発せられた。
「お前………もしかして翼か?」
そういえば今の自分がどうなっているかわからなかった。だが、手を見た瞬間にわかった。
両腕に白いカートリッジが見えた瞬間これが『ウィングガンダム アーリータイプ』のものだということがわかった。そしてさっきの画面に写っていた文字を思い出す。あの単語の頭文字を横から読むと…………。
「GUNDAM…………ガンダムだ……。」
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ここまでのことを端的に言うと、俺達はガンダムの姿になっていた。大きさは本来の10分の1、つまりは人間サイズにまで収まっていた。
そして俺達の肉体はというと、拾ったオーブにデータ化して保存されており、この体の胴の中心部、ガンダムでいうコクピットに位置する部分に埋まってある。
このオーブが破壊されない限り、例え腕や脚が破壊されても痛みは感じず、そのまま戦闘続行できる。逆にオーブが破壊されてしまったら劇中同様、機体は爆散して死ぬ。と、機体のマニュアルに書いてあった。
用はこの体はワールドトリガーのトリオン体とほぼ同じということなのだ。
視界に写っている画面表示はアイアンマンを彷彿させるものだった。
「というか何でアイズガンダム?どうせならクアンタとかが良かった………。」
「申し訳ないがチート機体はNG。」
「だってこれ擬似太陽炉だぜ?戦闘中にエネルギー切れ起こすわ。」
「エネルギー切れを起こさないほうがおかしいんだよなぁ。」
再びやいのやいの言い合っているとセンサーが何かを捉えた。こっから西に何かがあるらしい。かなり反応が大きい。
「行ってみるか。」
「どうやって?」
「お前の背中にあるのは飾りか何かか?」
「羽なんて飾りです。偉い人にはそれがわからないのですよ。」
「飾りじゃ駄目だろ。」
とは言ったもの飛ぶなんてこと初めてなので上手くやれるかどうか不安だったが、意外とすんなりいけた。
顔は隠れているのに風が当たって気持ち良い。バインダーをフライトモードにして飛行している睦月が声を掛けてきた。
「なぁ、お前ウィングならアレ出来るのか?」
「アレ?…………あぁ、アレね。ちょっと待ってろ。」
バスターライフルをシールドに付けてうつ伏せになると、シールドが背中に合体して瞬時にバード形態に変形した。変形型のMSはほんとすこ。
今俺の状態はうつ伏せになっている感覚だから全然痛くない。これならゼータ系などの複雑な変形でも痛くない。そう思っていた途端、急に体が重くなった。まるで背中に誰かが乗っかったような………。
「って、お前乗ってるだろ!」
「あ〜大分楽だわコレ。」
「ちょ、やめろ!レイダーじゃないんだぞ!推進力が落ちる〜!」
その後暫く腰を痛めたのは別の話。
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レーダーが反応したポイントまで行くと、そこには別の天使達が怪物達と戦っていた。しかし若干天使側が劣勢になっているように見えた。
「押されてんな天使側…………。」
「…………しょうがねぇな、ちょっと手助けしますか。」
「お?何するん?」
一度降りてもらってモビルスーツ形態になるとウィングの主力武器とも言われるバスターライフルを構える。
「よし、ぶち込んでやるぜ。」
「おーいったれいったれ。」
バスターライフルを構えた途端、真ん中にロックオンスコープが表示される。狙いは怪物達に当たるぐらいの箇所。センサーが完全に捉えたと同時に引き金を引いた。
瞬間、銃身から野太い閃光が轟音と共に放たれ、閃光は真っ直ぐ怪物達を呑み込んだ。悲鳴に近い断末魔が聞こえた気がした。
爆煙が晴れると怪物達は跡形もなく無くなっていた。これが後8発撃てるのが怖い。
その威力が思いの外凄まじかったのか、天使がボロ雑巾の如く倒れていた。
「もしかして死んでる?」
「…………いや、生体反応がまだあるから気絶してるだけだ。」
内心ですまんなと軽く謝罪すると反応があった場所へ向かう。そこはちょっとした洞窟になっており、中にも天使がいたが、衝撃がここまで響いていたのかさっきと同様に気絶していた。これ大丈夫ですかねぇ。絶対後で捕まえろとかなんとか言われそうだから出来れば早くここから出たい。
そう考えていると………。
「お、おいこれ…………。」
「あぁ、俺もこれはにわかに信じ難い………。」
果たして目の前にあるものは現実なのか?幻覚でも見てるんじゃないかと思う。
目の前にあったのは虹色に輝く水晶体。オーブだ。しかし問題は大きさだ。この洞窟にすっぽり入るくらいの大きさで、例えるなら、お台場にあるユニコーンガンダムが目の前にあるぐらい大きい。いや、マジで大きい。
「こ、これガチャ何連はできるんだ………?」
「目視で予測すると………1千万、いや軽く1億連かと。」
「1億!」
待てよ、確かオーブ1個あたりは120円だからこれを1億セット買うとすると………。
120億!?!?!
今、俺達の目の前には120億円分のオーブがある………。そう考えると………。
「これなら5年は新春を迎えられるな。」
「ご、5年すか………。」
「それだけじゃねぇ、超獣、激獣のガチャ限全員運極は余裕として、下手すれば属性のガチャ限も全員運極出来る………。」
「ぎ○ちゃんとかこんなの見たら発狂して卒倒しそう………。」
「で、これどうする?」
問題はそこだ。流石に二人でどうにか出来るレベルじゃない。たとえガンダムの姿になっていようど、サイズは人間と同じだ。最低でも後4人は欲しい。そしたらギリギリ牽引出来るかも………。
「動くなっ!!」
突然背後から鋭い声が耳に入った。恐る恐るゆっくりと振り返ると…………。
「お前達は何者だ?」
二人にとっての天使がいた…………。
ソラカナガチャの復刻してくださいお願いします。(日笠ルシファー未所持感)