ダンボール戦機《剣が向かう先》   作:赤い彗星@原作ぐぐたすガンダム小説

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序章

黎明(オペレーション デイ·ブレイク)

 

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夜、月が煌々と光り下界を青白く染める。

その光を塞ぐ雲の合間を潜り抜け現れたのは黒塗りの巨大な飛行機。

ステルス戦闘機、コードネーム『エクリプス』。

眼下には黒い海が広がっている中、黒鳥が目指す先は唯一つ。

 

『サターンを捉えました』

 

サターン。

土星という名を冠したロケットのような飛行物体。

その実真の黒幕によって、世界首脳会議へと突貫をかけている冥府への揺りかご。

オペレーターの報告を聞いた男、エクリプスに心臓部分に居座る『八神英二』は指揮する。

 

「LBX隊、1番から3番発信準備完了」

「サターンに制止ロック完了」

「ハッチオープン」

 

LBX。

ホビー用小型ロボットであり、運用方法は未だに定まっていないモノ。

八神の指示が飛ぶと同時に、LBXプレイヤー達は各々のコントロールポッド、LBXを遠隔操作する装置へと乗り込んだ。

 

携帯型のLBX操作モジュール、CCMをコントロールポッド内に接続するとCCMと同期しているLBXと繋がり、コントロールポッドには愛機が見ている世界が映し出される。

そこは射出口のような場所だった。

レバーを何度も握り、緊張をほぐそうとする少年。

 

「降下開始」

 

出撃の合図がオペレーターから伝えられる。

それと同時に、彼はニヤリと笑うと両の手のレバーを押し込んだ。

 

「ケンジ、行きますっ!」

 

3番隊隊長『斉藤ケンジ』

彼の愛機、タイニーオービットの研究者、結城から託されたアーマーフレーム『アキレス』を纏った機体は背中のロケットブースターを噴かすと飛翔する。

 

月夜に躍り出た機体。

本来なら青の装甲は赤に変更されている。

これは元々山野バンに向けて修復していたアキレス、それと同時にタイニーオービットが製品化を試みようと作り出された試作機である。

故にテスト機カラー。

 

「1番隊は真上からダイブするぞ!」

 

少年少女達が叫びながら、サターンの弾幕の中へと自機を突貫させる。

ケンジはコントロールポッドのホログラムモニターを操り、仲間へと通信を繋げると指示を出した。

 

「3番隊は右から侵入、また1番隊と2番隊の突入を支援します!!」

「了解!!」

「じゃあ、行きましょうか!!」

 

3番隊隊長であるケンジ。

紅のアキレスは戦列の前へと出ると、不慣れな空中戦とは思えないマニューバで弾幕を避ける。

後方の仲間達、アマゾネスやウォーリアー、グラディエーターなどもそれに続く。

そこに告げられたのは最初の壁の襲来。

 

「全機に告ぐ、まもなく敵のフェンス放出が始まる」

 

八神の情報。

サターンに搭載された迎撃システム、フェンスが発射される。

ここで多くの脱落者が出るだろう。

対策は講じている。

 

「アンブレラ、起動!」

 

ホログラムを操作し、自機から特殊装備アンブレラを展開。

ビームの膜のようなそれはあらゆる攻撃から全てを守る盾であった。

 

その数瞬後、今までの弾幕が遊びと言わんばかりのビームのカーテンが発射された。

あまりにも濃すぎる弾幕の密度。

攻撃を受けすぎたアンブレラはその展開をやめ、本体を灰に変えた。

 

ケンジのアキレスもそれは同じであった。

アキレスが伝える衝撃、視界の揺れが彼に襲いかかる。

それから何秒経っただろうか。

フェンスがエネルギーリチャージの為放出が止まると、それを好機と見た1番隊がサターンに最大速でスラスターを噴かせた。

 

「7機脱落、態勢を整えて」

 

そのうちの3機は3番隊のLBXであった。

残り2機となった3番隊。

ケンジは仲間の思いを背負い、ひたすら前に進む。

 

「3番隊、吸着アクションに移ります」

 

先程から見たら可愛い弾幕を乗り越え、3番隊2機のLBXは無事でサターンの外壁に吸着した。

 

「サターンに吸着、今から突入します」

 

報告、それと共にサターンの奥へとLBXを滑り込ませた。

下に降りれば、既に先行していた1番隊と2番隊が防衛のデクーと交戦している。

 

そこに割り込み、アキレスは右手に持ったビームガンを放てばデクーを一機屠る。

そのあとも連射しながら、ケンジは1番隊に通信する。

 

「1番隊!ここは3番隊が受け持ちます!君たちは先に行ってください!」

「ごめん、ありがとう!」

 

1番隊、オーディーンとパンドラを確認したケンジは、アキレスに左手に装備しているトライアンギュラーシールドを構えさせた。

それを踏み台にして、2機は宙を翔ける。

 

残ったのは1番隊に所属しているウォーリアーと2番隊、そして3番隊のみ。

混線する通信。

その中で1人の少年の声がする。

 

「····喰らえ!」

 

後方から放たれたミサイル。

フェンリル専用の必殺ファンクション『スティンガーミサイル』。

背部の角から放たれたそれはデクーの攻撃を躱し、着弾。

爆発範囲にいた敵機は木っ端微塵となる。

 

一瞬コンピューターが取り乱したのか、攻撃が緩む。

その中でケンジはオープン回線を開くと、アキレスにビームガンを捨てさせ、腰から数多の戦場を共にしてきた武器、ブロードソードを取り出させる。

 

傷だらけで、ボロボロ。

しかし丁寧に修繕されて使われてきた彼だけの信念(つるぎ)

一つ息を吸い込む。

その空気を、喉を震わせ叫んだ。

 

「全員、行きますよ!」

「おー!!」

 

ケンジはレバーを前に押し倒すと、アキレスはそれに敏感に反応し、1つ目の中心へと飛び込んでいく。

ギリシア神話の英雄、その名を冠した機体。

彼に続きウォーリアーやクノイチが突撃していった。

 

2つの勢力が切り結び合う大きくて小さな戦場。

その後方から援護射撃をするのは、スナイパーライフルを構えたフェンリルであった。

 

世界の夜明けを掛けた戦い。

作戦名『デイ·ブレイク』

夜明けまではまだまだ遠い。


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