12月24日
今日はパスパレのクリスマスイベントの日だ。僕はというと、最近仕事を頑張っているという社長とマネージャーさんの粋な計らいで僕も参加することになった。僕は芸能人でも何でもないのに参加していいんだろうか…まあ手ぶらで行くのもあれなので放課後や仕事の休憩時間、休日の空いてる時間を使って書いていた絵ハガキを持っていくことにした。
【午前10時:芸能事務所】
緋翠「本当に僕が参加していいんでしょうか…」
彩「社長さんもマネージャーさんも参加していいって言ってたから大丈夫だよ!それにほら、緋翠くんはこれまでイベントに参加したことがなかったからお客さんに顔を覚えて貰えるかもだし!」
緋翠「僕はただの一般人なんですが・・・」
千聖「いいのよ。私たちも緋翠くんの頑張りはよく知ってるから努力が実ったってことなのだから」
緋翠「は、はあ…」
日菜「あたしは嬉しいけどねー!緋翠くんとこうして一緒のイベントに出れるんだから!」
イヴ「私もヒスイさんと一緒にお仕事できるなんて嬉しいです!一緒に頑張りましょう!」
麻弥「ジブンたちも精いっぱいサポートしますから緋翠くんも頑張りましょう!」
緋翠「はあ…まあ何も持ってこないよりマシなのでとりあえず絵葉書を持って来たので日菜さんたちもどうぞ」
日菜「え、いいの!?」
緋翠「日ごろからお世話になってますから。ちょっと早めのクリスマスプレゼントになりますが…」
千聖「ありがとう緋翠くん、少し早めでももらえるのは嬉しいわ。」
彩「あ、これってもしかして私たちの練習風景!?」
緋翠「はい。皆さんの頑張っているところを絵にしてみました。気に入ってくれると嬉しいんですが…」
イヴ「とても嬉しいプレゼントです!ありがとうございますヒスイさん!」
麻弥「これ、ジブンの家のアルバムに入れておきますね!」
緋翠「アルバムに入れるのは…まあいいですけど」
彩「そういえば緋翠くん、今日のイベントの段取りは聞いてる?」
緋翠「ええ、まあ一応は。商店街に行ってファンやお客さんたちと話したりするんですよね?」
千聖「ええ。ちなみに今日の緋翠くんはパスパレのマネージャーということになってるからお客さんも寄ってくるかもしれないから対応はちゃんとね」
緋翠「はい、わかっています。」
日菜「それじゃあレッツゴー!」
僕たちは商店街に移動した
【午前10時45分:商店街】
緋翠「さて…これからは一旦別行動ですかね?」
千聖「そうね。ここから私たちは一旦別行動だからそれぞれの仕事をこなしましょう。」
イヴ「ブシドーの精神で頑張ります!」
日菜「ファンの人たちも商店街のお客さんたちもるんってさせちゃおー!」
麻弥「あはは・・・適度に頑張りましょうか。」
緋翠「ですね。このイベントが終わったらパスパレのみんなとクリスマスパーティなので羽目を外しすぎないようにしないとですし」
彩「それじゃあみんな、頑張ろうね!」
僕たちは一度解散し、各自仕事にとりかかった
緋翠「さて…と、仕事っていってもなにをすればいいのかはさっぱりなんだよなぁ…適当にふらふらしてるか…」
ひまり「あっ!緋翠くんだ!こんなところで何してるの?」
緋翠「あ、上原さん…(いや、こういう時は確か・・・)あなたもパスパレのファンの方ですか?」
ひまり「え、え!?緋翠くんどうしたの!?」
モカ「あれ―?ひーちゃん何も聞いてないのー?今現在ひーくんは芸能人モード中なのでーす」
ひまり「モカ、芸能人モードってどういうこと!?」
モカ「今日は日菜先輩たちパスパレのクリスマスイベントの一環で商店街に顔を出してるんだよー。それでひーくんは今日パスパレの一員として頑張ってるんだってー」
ひまり「えー!?何でそんな大事なこと言ってくれないのー!?」
モカ「だってひーちゃん、モカちゃんたちが話していたのにぐっすり寝てるんだもんー。」
ひまり「あっ…」
緋翠「あのー・・・ところであなたももしかしてパスパレのファンの方ですか?」
モカ「うーん、ファンではないけど先輩にパスパレの人がいてー、モカちゃんは密に憧れちゃってまーす」
緋翠「なるほど。それではお近づきのしるしにこれでもどうぞ」
モカ「これ、絵ハガキ―?」
緋翠「はい。僕を含めパスパレのメンバーの皆さんの練習風景を描いたものですが・・・」
モカ「ありがとうございまーす。ほらひーちゃんの分も―」
ひまり「あ、ありがとうモカ…(こ、これが芸能人モードの緋翠くんかぁ…なんだか別人みたい…)そ、それじゃあまた機会があったら会いましょう!」
緋翠「はい、また機会があれば」
そういって青葉さんと上原さんはその場を後にした
緋翠「(ふう…青葉さんも言ってたけど芸能人モードって疲れるな…白鷺さんから教えてもらってよかったよ…日菜さんはその場の勢いでどうにかするだろうからな…うん、日菜さんに聞かなくてよかった・・・)」
リサ「あれ、緋翠くん?どうしたのこんなところで」
緋翠「(今度は今井さんか…今井さんなら大丈夫…だと思うけど)どうかしましたか?」
リサ「(あ、そういえば今日だったっけ。パスパレのクリスマスイヴのイベントって)ちょっと友達との待ち合わせまで時間があるから適当にふらついてみようかなーって。お兄さんは何をしてるの?」
緋翠「僕は今日パスパレのファンやここにいるお客さんに絵はがきをお配りしてるんです。」
リサ「へえー、そうなんだ。アタシも一枚貰っていいですか?」
緋翠「いいですよ。では・・・あれ、絵はがきがなくなっちゃってますね…少しだけ待っていただけませんか?」
リサ「あはは、そんなに急がなくてもいいですよ。気長に待ちますから」
緋翠「そう言ってくれると嬉しいです。それでは・・・」
5分後
緋翠「すみません、お待たせしました」
リサ「お兄さん、絵うまいんだね。…ってこれ、アタシ?」
緋翠「はい、一つ一つの絵はがきは別々の絵を描いているのでお姉さんを書いてみました」
リサ「あはは、ありがと。また一つ思い出ができたよ☆」
緋翠「喜んでもらえて何よりです。それじゃあ僕はこれで…」
リサ「ありがとねお兄さん。また会えたら今度はアタシがいるバンドの絵でも描いてもらおっかなー、なんて」
緋翠「また会えたら、ですね。それでは・・・」
緋翠「(ふう…今井さんはやっぱり対応力がすごかったな…僕も今井さんを見習わないと…っと、そろそろいい時間だしみんなと合流しよう…)」
僕はパスパレメンバーとの集合場所に足を進めた
【午後5時:北沢精肉店前】
緋翠「皆さん、お疲れさまでした。」
彩「うぅー・・・今日は噛まないって決めてたのに…」
緋翠「そう丸山さんが言うってことは今日も噛んだんですね…」
千聖「ええ…私がすぐフォローに向かったけど結局また噛んでたわね…」
日菜「あはは!彩ちゃんってやっぱり面白ーい!」
イヴ「アヤさん、ファイトです!」
麻弥「あはは・・・クリスマスだけあっていつも以上に噛んでましたね…ジブンもちらほらと見ちゃいました・・・」
彩「うぅー…」
緋翠「そろそろ行きましょうか、いい時間ですし」
日菜「そうだねー、そろそろ行こうよ!もうお腹ペコペコ―!」
僕たちは日菜さんの家に移動した
【午後5時30分:氷川家リビング】
彩「わぁー!すごい飾りつけ!」
緋翠「紗夜さんと今井さん、上原さんがやってくれたみたいです。僕たちは収録だったので準備は任せておいてって言ってました」
千聖「リサちゃんとひまりちゃんはわかるけど紗夜ちゃんも手伝ってくれたのね」
日菜「せっかくのクリスマスパーティだから盛り上がったほうがいいっておねーちゃんが言ってたんだー。さっき会ったよ!」
緋翠「紗夜さんも商店街にいたんですか?僕は見かけませんでしたが」
麻弥「ジブンは見かけましたよ。ただ声はかけませんでしたね。湊さんたちと何か話してたみたいだったので」
イヴ「そうだったんですか?私が見かけたのはハグミさんとツグミさんだけでしたが・・・」
緋翠「僕が話したのは青葉さんと上原さん、それと今井さんでしたね。今井さんはそんなこと言ってませんでしたが・・・」
日菜「あはは、リサちーはそんな軽々しく言わないよー!」
緋翠「そうですね、日菜さんが言っても説得力は皆無ですが・・・」
日菜「緋翠くん、それどういうこと―?」
麻弥「あはは・・・」
それから僕たちは今井さんや上原さんが作っていたクリスマスチキンやクリスマスケーキなどを食べてもりあがった。よほどみんな歩いたり喋ったりしたのか、みんなでさらに食べ物を盛り付けてテレビを見ながら今日どんな人たちと会ったのかも喋ったりした…
千聖「そろそろいい時間だし私たちはお暇しようかしら。」
彩「え?まだ私たちは時間は大丈夫だけど…」
イヴ「アヤさん、それはヤボというものですよ!それではヒナさん、私たちは失礼しますね!」
麻弥「2人で残り少ないクリスマスイヴを楽しんでくださいね!それではまた今度会いましょう!」
日菜「うん!バイバーイ!」
そう言って千聖さんたちは家を後にした・・・
【午後9時:日菜の部屋】
日菜「何だかあっという間だったねー、クリスマスイヴ」
緋翠「そうですね、なんだか時間が過ぎるのが早く感じました。でも今日ほど特別なクリスマスイヴはないですよ。こうして日菜さんと一緒に過ごすことができて・・・」
日菜「えへへ、あたしも緋翠くんと一緒にこの時間を過ごせてとても幸せだよ!」
緋翠「日菜さんと出会ったのは去年の2月の終わりごろでしたっけ。あの頃は失ったものが多くて最初は取り戻せないって思ってました」
日菜「ねー、あの頃の緋翠くんはこうして自分の言葉で話さずにスケッチブックで話してたね」
緋翠「それから紗夜さんと日菜さんが通う羽丘学園と花咲川学園の説明会に行って・・・僕は羽丘学園に通うことを決めましたね」
日菜「緋翠くんと同じ学校に通えてあたしはとーっても嬉しかったよ!それで、あたしがパスパレのみんなに合わせてから羽丘の生徒会の仕事も手伝ってくれたよね!」
緋翠「あの時の日菜さんは本当に無茶してましたよね…それであの時…」
日菜「脚立の関節部分が錆びてたのに気づかなくてあたしがバランスを崩しちゃったよね。それで緋翠くんが庇いに来てくれたんだけどその時ハプニングキスをしちゃったねー♪」
緋翠「あの時は本当に恥ずかしかったですよ・・・そして少したってから僕は日菜さんに告白してこうして僕たちは恋人同士になったんですよね」
日菜「あの時出会った頃からは想像もつかないよねー。緋翠くんは誰とも話さない一匹狼みたいな感じだったから」
緋翠「それで日菜さん…この間言っていたこと、覚えていますか?」
日菜「えっと、夢の話だったっけ?」
緋翠「はい。僕は画家になりたいと言ってましたよね?でも僕は日菜さんが言っていたことをあれからずっと真剣に考えていました。僕は…日菜さんたちと本当の家族になりたいです。日菜さん、僕と・・・結婚してくれませんか?」
日菜「・・・ん」
緋翠「・・・日菜さん?」
日菜「…うんっ!あたしも緋翠くんとずっと一緒にいたい!今までも、これからも!」
緋翠「・・・日菜さん」
日菜「緋翠くん!」
そうして僕たちはキスをする。『僕はずっと誰かに救われたかった』その願いはここにいる日菜さんと今はどこかに出かけている紗夜さんが叶えてくれた。僕に居場所を与えてくれた日菜さんには感謝してもしきれないだろう。でも今、僕はとても幸せだ。あの時日菜さんに出会わなかったら今の僕はいなかっただろう…これから僕は日菜さんと一緒に人生を歩んでこれまでの恩を返そうと思う。それが今の僕にできる恩返しだから
いかがだったでしょうか?
ちなみにタイトルですが、『おいゆめ』と読みます(適当)ぶっちゃけタイトルをどう2文字で表すのか考えるのが楽しかったのでこういうのもたまにはいいなーと思いました。
それではここまで読んでいただきありがとうございました