終わりと始まり   作:空丘ルミィ

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主「私が来た!」

ルミィ「ま た お 前 か。何で主さんがここにいるんです?振り返り回はまだだというのに」

主「ハッハッハ、私が来る時はだいたい決まっているのだよ。何と今回はコラボ回だぁ!」

ルミィ「え、まだ2周目が完結してないのにコラボして大丈夫なん?」

主「大丈夫だ、問題ない」

ルミィ「…はあ。まあいいや(諦)それで、今回は誰の作品とコラボするんだ?」

主「ぴぽさんという方の『日常の中にチョコより甘い香りを』とのコラボです」

ルミィ「え、それって結構有名な人じゃないですか・・・?」

主「そうですね。っと、そろそろ本編行きましょ」







(時間軸はぴぽさんの『日常の中にチョコより甘い香りを』の高校3年生編をベースにしています。あと若干のネタバレを含むので本編と『日常の中にチョコより甘い香りを』の読了後に見ることを薦めます)










番外編:甘彩

 

 

 

 

 

 

日菜さんが羽丘学園を卒業して3ヶ月ほど経った。僕は羽丘学園の3年生に進級し、生徒会の書記になった。日菜さんは以前僕に言ったとおりに大学に進学せず、芸能事務所でPastel*Palettesとして活動していた。そんな時、日菜さんからトーク番組に出てみないかと話を持ち掛けられた。社長に確認を取ってみたところ、「緋翠くんは最近頑張ってくれているから出てみたらどうかね?」と言われた。その隣で日菜さんが目を輝かせていたので僕は渋々そのトーク番組に出ることにした。番組名は『pastel talk TV(パステルトークテレビ)』。Pastel*Palettesのメンバーとゲストでトークをする番組らしい。今回のゲストは日菜さんが声をかけたらしい。大丈夫なんだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月7日

 

 

 

 

 

日菜「pastel―!」

 

緋翠「と、talk TVー…」

 

日菜「もー、そんな調子だと緊張してゲストの人とお話しできないよー?あ、この番組はゲストの人たちとお話して新しい一面を知る番組でーす!あたしはPastel*Palettesのギター担当の氷川日菜だよー!それであたしの隣にいるのはー…」

 

緋翠「どうも、日菜さんが所属している事務所で働いています氷川緋翠といいます。今日はよろしくお願いします」

 

日菜「それじゃあ自己紹介も終わったからゲストの人、どうぞ―!」

 

日菜さんがそう言うと、カーテンの幕が開いて今日のゲストがやってきた。名前は一宮潤(いちみやじゅん)さんと牛込りみさんだ。牛込さんとは以前やまぶきベーカリーでバイトをしていた際に知り合って、偶に個人練習を見たりしている。だけど僕はその隣にいる一宮潤さんのことは何も知らない…いったいこの二人はどういう関係なんだろうか?

 

潤「一宮潤です。今日はよろしくお願いします」

 

りみ「う、牛込りみです!今日はよろしくお願いします!」

 

日菜「それじゃあ今日はこの二人のゲストと一緒にpastel talk TVを盛り上げるよー!まずは簡単に自己紹介よろしくー!」

 

潤「改めまして、一宮潤です。僕は『circle』というライブハウスでバイトをしています。そして、隣にいる牛込りみの彼氏です」

 

緋翠「なるほど、牛込さんの彼氏さんでしたか。ちなみに年齢はいくつでしょうか?」

 

潤「17ですね。確か緋翠くん…でしたか。あなたはいくつですか?」

 

緋翠「僕も17です。ということは同い年ですか。牛込さんと同い年だということは山吹さんから聞きましたが」

 

潤「でしたら敬語は結構ですよ。といっても僕も敬語なので言えた義理じゃないですが」

 

緋翠「お互いが話しやすい感じで大丈夫ですよ。気楽に話しましょう」

 

日菜「もー、あたしを置いてけぼりにしないでしょー!それで、二人はどうやって知り合ったの?」

 

りみ「えっと…私が自動販売機の前で固まっていたら潤君が来たのがきっかけ…だったよね。」

 

潤「うん、それで自販機の釣り銭が切れていたから僕が代金を出してりみにジュースを奢ったんだっけ。」

 

日菜「へぇー!るんってくる出会いだね!」

 

緋翠「いや、ただ自販機の前で出会っただけじゃないですか。僕たちの出会いに比べたらまだいい方ですって」

 

りみ「日菜先輩と緋翠くんはどんな感じで出会ったの?」

 

緋翠「僕と日菜さんは少々特殊な出会いをしまして…僕は元々こっちに住んでいたわけじゃないんです」

 

潤「え?緋翠くんは県外から来たんですか?とすると引っ越し先が日菜さんの家だったとか、ですか?」

 

日菜「うーんっと…結構複雑なんだー。緋翠くん、これ話しても大丈夫?」

 

緋翠「いえ、僕が話しますよ。僕は…県外からここまで歩いてきたんです。」

 

潤「…歩いて?」

 

緋翠「…はい。」

 

僕は日菜さんと出会ったきっかけを包み隠さず話した

 

潤「…それはひどいですね。聞くだけでもつらいです」

 

りみ「大丈夫?潤君」

 

潤「大丈夫だよ、りみ。」

 

緋翠「それで、二人はどのように仲良くなっていったんですか?」

 

りみ「えっと、circleで練習する時に再会して私たちは連絡先を交換したよね。」

 

潤「うん。それで家に帰ってから姉さんが家に来てからりみが僕にLINEを送ってきたタイミングが悪かったのか、姉さんに見つかって焦ってその日は寝たけど次の日は寝坊しちゃってバイトを休むことになったんです・・・」

 

緋翠「姉さん?」

 

日菜「おねーちゃんのことだよ、緋翠くん。おねーちゃんとあたしは潤君の親戚なんだー!」

 

緋翠「偶に帰りが遅くなっていたと思えば一宮さんのところに行っていたんですね」

 

りみ「でもその日、潤君がバイトを休んでるって聞いて私は何かあったのかなって電話をしたんだよね…それで潤君は甘いものが食べたいって言っていたから沙綾ちゃんの家がパン屋だって教えたら潤君と一緒に沙綾ちゃんのところに行くことになったんだよね」

 

潤「うん、でも山吹さんは僕の話を聞かずにりみを強制的に案内役に抜擢したんだったよね?」

 

りみ「う、うん…潤君は暑い中ずっと待っててくれたんだよね…暑くなかった?」

 

潤「めちゃくちゃ暑かったよ…山吹さんも山吹さんで笑顔で手を振ってたし…でもやまぶきベーカリーで山吹さんが『チョココロネが焼き立てだよ』って言っていた時はりみの目がキラキラしてたなぁ…」

 

りみ「だ、だって沙綾ちゃんの家のチョコロネおいしいんだもん!」

 

緋翠「たしかに山吹さんのところのチョココロネはおいしいですよね。僕も何度か買って帰るんですが、おいしすぎてすぐなくなっちゃうんです」

 

潤「なるほど、最近チョココロネが少なかったのはそういう事だったんですね」

 

緋翠「はい。といっても僕が山吹さんにチョココロネを余分に作ってもらってるので他に買っていく人がいるんだと思いますけど…青葉さんとかが」

 

りみ「そ、それで沙綾ちゃんのところでパンを買って出ようとしたら沙綾ちゃんに『デート、楽しんできてね!』なんて言われちゃってとっても恥ずかしかったよ…」

 

潤「…だね。それで、少し困ったところに羽沢さんが来て羽沢さんの家にお邪魔してパンを食べることにしたんだけど、Afterglowのみんなに会ったんです」

 

りみ「その時、ひまりちゃんが潤君に話しかけて、私はちょっとだけ嫉妬しちゃったんだよね…二人が仲良く話してたから・・・」

 

潤「僕はトイレに行ってたからわからなかったけどそんな事話してたんだ。それで、僕がトイレから戻ってきて羽沢さんの家を出たんです」

 

日菜「それで、どうしたの?」

 

りみ「それから少しだけ話して、私を家に送ってくれたんです。その時に潤君をまたお出かけに誘うって約束したんです」

 

緋翠「それはよかったですね。僕も日菜さんと一緒にお出かけした時はちょっと似たような感じでしたし」

 

潤「なるほど、でも日菜姉さんのことですし手を引っ張られたでしょう?」

 

緋翠「…はい。日菜さんは今でもデートの時は僕の言うことを聞かずに手を引っ張っていきますよ…」

 

牛込さんと一宮さんの出会いはどこでもある出会いだったようだ。僕たちとの出会いよりは9割9分もマシだったようで安心した。もうあんな悲劇は見るのも聞くのも嫌だからな…

 

緋翠「そ、それで二人はそれからどうしたんですか?」

 

潤「どうしたもなにも、りみに宿題を見てもらったり朝ごはんを一緒に食べたりしましたよ。でも、僕が秋帆のことをしゃべったらりみは涙を浮かべたみたいで…母さんはりみが僕のことが好きなんじゃないかって言って・・・僕はなんとか母さんを落ち着かせてりみにLINEを送ったんだ。でも」

 

りみ「私は潤君のことが好きだったんだけど、もしかしたら潤君は秋帆ちゃんって人のことが好きなんじゃないかって思っちゃって…お姉ちゃんに迷惑をかけちゃった…でも私は潤君のことを諦めきれなくて、後日紗夜先輩に準君の誕生日が近いって聞いて・・・誕生日プレゼントを買ってあげたいって思ったんです」

 

緋翠「好きな人のために誕生日プレゼントを買うなんて素敵ですね。何を買ったんですか?」

 

りみ「か、買えなかったんです・・・買おうと思っても、渡すとなると緊張しちゃって…」

 

 

緋翠「あー…それはよくわかりますね…僕も日菜さんにプレゼントを買おうと思ったんですが日菜さんは好きなものが言いすぎて何を買うのかや悩みましたよ…紗夜さんには新しい筆箱を、日菜さんには紗夜さんにプレゼントした筆箱とは違うデザインの筆箱をプレゼントとしました。双子ですしお揃いがいいかと思いまして」

 

潤「いいですね。ちなみに僕も日菜姉さんと紗夜姉さんからギターのプレゼントをもらいました」

 

緋翠「それは高かったのでは?」

 

潤「毎年紗夜姉さんと日菜姉さんは割り勘でプレゼントを買ってくれてるので素がやっぱり心配になりますね…」

 

日菜「でも潤くん、喜んでくれたじゃん!でもギターの弦の数を間違えたのはショックだったなー」

 

潤「しょうがないじゃないですか…僕はバイトこそしてますがギターを見たことはあまりなかったので間違えますよ…」

 

緋翠「それなら今度、僕と日菜さん、山吹さんと牛込さん、一宮さんの5人で音合わせをしてみませんか?」

 

潤「いいですね、今度予定があったときにでもやってみましょう」

 

僕は今日知り合ったばかりの一宮さん僕、それと日菜さん山吹さんと牛込さんと今度セッションをする約束をした。去年の合同文化祭の時以来だな…一応練習は重ねてるけどセッションする時のために放課後を使ってcircleで練習しておこう

 

りみ「そ、それで私と潤君は誕生日パーティーが終わってから部屋で話してたんだけど、潤君は秋帆ちゃんが書いた手紙を私に見せて・・・私は泣いちゃったんだ。そ、それで…私は潤君にこ、告白して・・・」

 

潤「でも、僕にはまだ『好き』っていう気持ちがわからなくて、返事は保留にしちゃったんです」

 

緋翠「返事を保留…ですか。」

 

日菜「あたしの時もそんな感じだったよねー」

 

りみ「ひ、日菜先輩たちはどんな感じだったんですか?」

 

緋翠「一言で言うなら・・・ハプニングです」

 

潤「ハプニング?」

 

緋翠「羽丘の生徒会で生徒会の仕事を手伝っていた時に、日菜さんが無茶をしてバランスを崩したんです。その際にキ、キスをしまして…」

 

りみ「そ、それは…保留したくなっちゃいますね…」

 

緋翠「ま、まあこれは一旦頭の片隅にでも置いておいて…それから二人はどうしたんですか?」

 

潤「あれから日にちが経った後、りみからの返事を保留にしたのを教えたら紗夜姉さんに説教を受けましたよ…1時間ほどですが」

 

りみ「そ、それから私は潤君とお出かけして・・・でも潤君は私を車から守るために突き飛ばしてくれて…でも潤君は私の声にも応じないで倒れたままで…近くを通りかかった紗夜さんとリサさんが通りかかってくれなかったら潤君危なかったから・・・」

 

潤「それで、僕は気がついたら河原に座っていたんだ。そこで僕は秋帆に会ったんだ」

 

緋翠「そう言えば秋帆さんという人が好きだったとか一宮さんは言っていましたね。あれ?でも気を失っていたのに河原に座っていた…?もしかして秋帆さんという人は・・・」

 

潤「・・・はい、秋帆は2年前に亡くなってるんです。僕はそのショックから立ち直れず、秋帆の写真を見るたびに過呼吸になったりしたんです。今では何ともありませんが。秋帆はどうやら霊体になって僕のことを見守っていたんです。りみが僕に告白して僕が返事を保留にしたことも見られていたみたいで…秋帆はそう言うと僕の目の前から消えて、僕は目を覚ましました。僕は車に轢かれたのだと認知していただけで、実際は目立った傷もなく特に問題はありませんでした。ただ日菜姉さんと紗夜姉さんは怒ったような顔をしていましたが」

 

りみ「そして潤君が起きてからすぐに看護師さんが来て、無事に退院することができたんだ。それから潤君と私は秋帆ちゃんのお墓にお参りしに行ったんだ。そこで私は秋帆ちゃんの幽霊が秋帆ちゃんのお墓の上に座ってて…秋帆ちゃんには未練があって、潤君の幸せが未練だったみたいで…私は潤君のことを幸せにするって秋帆ちゃんに言って・・・秋帆ちゃんは私の目の前から消えちゃったんだ」

 

緋翠「ゆ、幽霊が見えるって…そんなオカルトチックなことがあるんですね…僕はそもそも幽霊が見えるとかのオカルトは信じないので・・・」

 

日菜「そうー?あたしはるんってくるけどなー」

 

緋翠「はあ…それで、一宮さんたちは」

 

潤「秋帆のお墓参りも終わってから僕たちは帰路についたんです。それで僕はあの時のりみの言葉に返事をしたんです。僕もりみのことが好き…だと」

 

緋翠「そんなことがあったんですね…お幸せに」

 

潤「そういえば緋翠くんって名字が『氷川』なんですね。日菜姉さんに弟がいるとかは聞いてませんでしたが」

 

緋翠「ああ、それは…僕は日菜さんの家に住んでいるんです。先ほどこちらに歩いてきたのは話しましたよね?」

 

りみ「うん。でもそれがどうかしたの?」

 

緋翠「僕は日菜さんに拾われた人間なんです。路地裏で倒れているところを日菜さんに助けていただきました。それから僕は日菜さんの家にお世話になって、いつか出てまたどこかに行こうとは思ったんですが、日菜さんと紗夜さんと話すうちに自然と居ついていたんです。それで、羽丘学園に通うことになった際に僕は前の苗字の『葉月(はづき)』という名字を捨てて『氷川緋翠』として新しい人生を過ごすことにしたんです」

 

潤「そんなことが…」

 

緋翠「ですが今は日菜さんと恋人に慣れて幸せですよ。一宮さんも牛込さんとお幸せに」

 

りみ「うん、緋翠くんも日菜先輩とお幸せに!」

 

 

 

それから僕たちは世間話をしたりして、スタッフが終了間近のカンペを出した

 

緋翠「おっと、もうそんな時間ですか。時間が過ぎるのは早いものですね。今日はありがとうございました」

 

潤「いえ、僕もこんな貴重な体験をしてとても嬉しかったです。りみはどうだった?」

 

りみ「めーっちゃ楽しかった!」

 

日菜「でしょー!それじゃあみんな、まったねー!」

 

緋翠「それでは最後に…みんなの人生に彩りを、pastel talk TVでした!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに番組はPastel*Palettesのファンはもちろん、Poppin'Partyのファン、ライブハウスであるcircleの利用者からたくさんのファンレターが9割ほど送られてきた。残り1割は『私(俺)も出てみたい!』の声だった。日菜さんはどうやら視聴者のお願いを叶えようとしているらしい・・・これは白鷺さんや大和さんと協力して止めなきゃな…結局日菜さんに振り回されることには変わりなさそうだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






コラボしてくれた方

ハーメルンネーム:ぴぽ
ページ:https://syosetu.org/?mode=user&uid=252908

ぴぽさんのTwitter
ページ:https://twitter.com/PJXMTVl8TJemDW

コラボ先のお話:https://syosetu.org/novel/172914/27.html

ぴぽさんは現在、りみりんと明日香ちゃんの小説を書いている方です。りみりん好きなところがジブンと一致し、コラボ申請してみたらコラボに乗ってくれました優しい方です。

これからも私は頑張ルミィ!ぴぽさんも頑張りみりん!これからもよろしくお願いします!

(ちなみにタイトルは「かんさい」と読みます)

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