い い ね ?
2月23日
【午前7時:緋翠の部屋】
緋翠「今日は紗夜さんの通う花咲川学園と日菜さんが通う羽丘学園の説明会の日か…学校なんて行くの2年ぶりだな…あんまり気乗りはしないけど」
(ドンドンドン!)
日菜「ひーすーいーくーん!あーさーだーよー!」
緋翠「(はいはい…今行きますよ)」
(ガチャ)
日菜「おはよー緋翠くん!今日は午後からよろしくね!」
緋翠「はい。午後からは、ですけどね。午前中は紗夜さんのいる花咲川学園に行きますから」
日菜「あれ?緋翠くん、スケッチブックは?」
緋翠「学園にスケッチブックを会話のために持っていくのもあれなのでこれからスケッチブックは絵を描くために使いますよ。」
日菜「そっかー!おねーちゃーん!緋翠くんがー!」
緋翠「日菜さん、さすがに自分で話しますからやめてください」
【午前7時15分:氷川家リビング】
紗夜「おはようございます緋翠くん。さっき日菜が私に言いたいことがあったようですたけど何かあったんですか?」
緋翠「…別に、僕が自分の口から話しただけですよ。本当に日菜さんは勢いで行動するので」
紗夜「そうですか・・・え?緋翠くん、あなた今言葉が・・・」
緋翠「僕が何も話せないだなんて一言も言っていませんよ。昨日紗夜さんたちに行っていた通り、僕は小さい殻に閉じこもっていただけなんです。それよりも紗夜さん、今日は午前中の間よろしくお願いします」
紗夜「え、ええ…今日はよろしくお願いします緋翠くん。午前中の間と言いましたが午後から何か予定があるんですか?」
緋翠「実は、昨日日菜さんに羽丘学園というところの説明会が今日あると話を受けて、午後からはそっちに行こうかと思っています。」
日菜「そういうことだから今日は遅くなっちゃうかもっては言っておくね!」
紗夜「私も今日の説明会が終わったら生徒会の仕事で遅れるから帰りは遅くなりますね」
緋翠「となると、今日は説明会が終わったらしばらく家に僕一人…ですか。昨日日菜さんに色んな所に連れまわされたのでこの辺の土地勘はつかめましたから連絡をもらうまでその辺をぶらぶらとしてますよ」
紗夜「大丈夫ですか?一人で出歩いて」
緋翠「僕も小さい頃はよく一人でよく外を歩いていましたから大丈夫ですよ。紗夜さん、花咲川の説明会は何時からですか?」
紗夜「午前8時からですね、そろそろ行きましょうか。学園への道のりは知らないでしょうし私が案内しますよ」
緋翠「お願いします。それじゃあ日菜さん、僕は行きますね」
日菜「行ってらっしゃーい!」
僕と紗夜さんは家を後にした
【午前7時40分:通学路】
紗夜「緋翠くん、こっちに来てから2日経ちましたがどうですか?」
緋翠「そうですね、やっぱりまだ1週間も経ってないので慣れも何もないって感じでしょうか。これから慣れればいいだけですよ」
紗夜「そうですか。緋翠くんが学校に通うようになればもっと見識が広がるので緋翠くんさえよければ花咲川にどうでしょうか」
緋翠「さすがに羽丘の説明会まで聞いてから決めますよ。そのために両校の説明会を受けるんですから」
紗夜「それもそうですね。あ、花咲川学園が見えてきました。」
緋翠「ここが花咲川学園ですか。3階建てで屋上も結構広そうですね」
紗夜「ええ。校内には・・・いえ、これ以上は説明会の時に聞いてください。それでは体育館への道のりを・・・」
僕は紗夜さんに教室から体育館へのルートを聞いた
【午前8時30分:体育館】
学園長「それでは、これで私からの説明は終わります。それではこの後、学園の生徒会の人たちが皆さんを案内します。何組かに分かれて案内してもらってください」
緋翠「(なんだかちょっと適当な感じがするなこの学園長…こんなんで大丈夫なのか?)」
それから僕たちは何組かに分かれた。一組3人に対して生徒会のメンバーは2人体制だった。
紗夜「今日はよろしくお願いします。私は花咲川学園の風紀委員、氷川紗夜です」
??「わ、私は花咲川学園の・・・せ、生徒会長の白金・・・燐子…です…」
緋翠「はい、今日はよろしくお願いします。ところで、一ついいですか?」
燐子「何で・・・しょうか…?」
緋翠「僕以外の二人がトイレに行ったあと戻ってきてないんですが?」
??「すみません、遅れちゃいました。六花(ろっか)を待っちゃって…」
六花「ご、ごめんなさい明日香(あすか)さん!メガネを落としちゃって…」
紗夜「案内っていっても時間も限られてるので早くした方がいいですよ。時間は待ってくれませんから」
六花「す、すみません!」
明日香「すみません。これから気を付けます」
燐子「それでは・・・行きましょう…」
【1階】
紗夜「ここが来年度からあなたたちが通うことになるかもしれない教室です。」
緋翠「教室は1学年5クラスなんですね」
紗夜「はい、花咲川と羽丘学園は東京で数少ない高校なのでよく県外からも来るんです」
明日香「そうなんですね。1クラスも結構多いんですか?」
燐子「はい…私たち2年生も1クラス30人ほどいますので・・・」
六花「そんなにいるんですか!?」
緋翠「ここは東京でも数少ない高校って言ってましたし、それほど人気があるという事なんでしょうね。」
紗夜「ええ。今年の受験者は400人を超えていましたから」
明日香「400人ですか・・・想像つきませんね。」
六花「400人は多いですね…緋翠さんはどう思いましたか?」
緋翠「んー…何とも言えないかな。僕も中学は受験したけどそこまで多くなかったし、高校は受験してないからなぁ…」
明日香「え、そうだったんですか?」
緋翠「うん、ちょっと事情があって高校は受験しなかったんだよ。といっても来年度入学するっていっても2年生からだろうけど」
六花「え?緋翠さんって年上だったんですか!?」
緋翠「ん?ああ言ってなかったっけ。僕は16だよ。」
紗夜「そこ、無駄話してないで早く行きますよ。まだ案内するところはあるんですから」
それから僕たち3人は紗夜さんと燐子さんに学園を案内してもらって僕たちは屋上で弁当を食べた後花咲川学園を後にした。
【午後12時40分:花咲川学園校門前】
日菜「あっ!緋翠くんこっちこっち!」
緋翠「どうも日菜さん。今日はよろしくお願いします」
日菜「うんっ!るんって来ちゃった!」
そう言って日菜さんはまた僕の手を引いて羽丘学園まで走っていった…
【午後1時:羽丘学園体育館】
日菜「…というわけでこの後は羽丘学園生徒会長、氷川日菜と!」
??「羽丘学園の副会長、は、羽沢つぐみが学園内を案内します!」
緋翠「…(日菜さん、羽丘学園の生徒会長だったんですか。ああいう生徒会長で大丈夫なんでしょうか・・・っと、いきなり僕のいる組ですか。それじゃあ行きますか)」
日菜「それで、ここが学食だよ!学食のおばちゃんたちが作るエビフライ定食はおいしいからぜひ食べてね!」
??「ふっふっふ…これからの宴、この宇田川あこも楽しませてもらうぞ!」
六花「あこちゃん、今日のことを楽しみにしてたんですね」
緋翠「そうみたいだけど、あそこまで楽しみにしてるのを見るのは初めてだけど…うん、これはぶっとんでるね。」
つぐみ「あはは…あこちゃんはいつもあの調子なので慣れるには結構時間かかりますから・・・」
緋翠「あれ?羽沢さんとあこさんって知り合いなんですか?」
つぐみ「知り合いっていうか、幼馴染だよ。でも私、あこちゃんの言ってることはまだあまりわからなくて・・・」
緋翠「大丈夫です、僕は全く分かってないので」
つぐみ「それは大丈夫じゃないですよ!そ、それで気になったんですけど緋翠くんは午前中紗夜さんのところに行ったらしいですね?」
緋翠「羽沢さんって紗夜さんとも面識があるんですね」
つぐみ「はい、私の実家は『羽沢珈琲店』っていうところで半年に1回くらいのペースでお菓子教室を開いてるからその時に紗夜さんに会ったんです」
緋翠「なるほど…今度僕も参加していいですか?」
つぐみ「はい!当日参加も受け付けてますのでぜひお越しください!」
緋翠「その時はよろしくお願いします」
日菜「ねー、つぐちゃんと緋翠くんは何を話してるのー?」
緋翠「秘密です」
日菜「ちぇー・・・それじゃあ次に行こ―!」
緋翠「えっ、ちょっと日菜さん…だから自分で歩けますから腕を引っ張らないでくだs…」
結局僕は日菜さんに一人手を引かれて羽丘学園を何周も連れまわされていた…その場にいたあこさんと羽沢さん、朝日さんはただ見ているしかなかったという・・・うん、やっぱり日菜さんには気を付けよう。
その後はもう一度体育館に集まって学園長から改めて挨拶してもらって学園の亜説明会は終わった。日菜さんと羽沢さんは生徒会の仕事があるとかで学園に残り、僕は一人で外をぶらぶらすることにした。
【商店街】
緋翠「こんな時間から賑わっているんだな、さすが商店街。でも僕にはお金がないしなぁ…どこかバイトできるとことかないかな・・・ん?なんかパンの香りが・・・ここかな?えっと、『やまぶきベーカリー』?パン屋さんか。ちょっと寄ってみよう」
【やまぶきベーカリー】
(カランカラン)
??「いらっしゃいませ!」
緋翠「こんにちは。なんだかパンのいい香りがしたので足が向いたんです。ここってパン屋さんなんですか?」
??「はい!あ、私の名前は山吹沙綾っていいます!」
緋翠「僕の名前は緋翠っていいます。今は紗夜さんと日菜さんの家にお世話になっています」
沙綾「緋翠くんだね。よろしくね。ここに来るのは初めて?」
緋翠「はい。今日は花咲川学園と羽丘学園の説明会に行ってきてその帰り…というわけではなくちょっと外をぶらぶらしていたらパンのいい香りがしたのでここに来ました」
沙綾「ふふっ、ありがとう。そうだ!お近づきのしるしにこれ、どうぞ」
そういって山吹さんは僕に紙袋を渡してきた
緋翠「これは?」
沙綾「ここで作ってるパンだよ。といっても今日の売れ残りだけど…」
緋翠「でも僕、お金は持ってきてませんよ?」
沙綾「あはは、いいよそんなの。キミとは仲良くできそうだからその印にってことで」
緋翠「…そういう事なら貰っておきますね、ありがとうございます。」
沙綾「そういえば緋翠くん、こっちにはいつ来たの?」
緋翠「来たっていうよりは流れ着いた…って感じですね。ちょっと前に向こうから目的もなく歩いていたらここに来て、日菜さんたちに拾われた・・・そんな感じですね」
沙綾「緋翠くん、苦労してるんだね…緋翠くん、うちでバイトしてみる気はない?」
緋翠「バイト、ですか?こういうのは履歴書とか面接とかあるんじゃ?」
沙綾「あはは、大丈夫だよ。うちのお父さんもお母さんも結構気楽に話せるからすぐに採用してくれるって」
緋翠「で、当の山吹さんの親御さん達は何してるんですか?」
沙綾「今厨房でこの話を聞いてるころじゃないかな?」
緋翠「えっと・・・それじゃあ」
沙綾「多分、向こうでは即採用してるところじゃないかな?」
緋翠「…山吹さんの両親って結構フリーダムですね。それじゃあ…ここのバイト、来週からでいいですか?さすがに明日いきなりっていうのも心の準備がありますし・・・」
沙綾「うん、緋翠くんの時間の合う時でいいから来てくれると嬉しいよ。」
(ピロリン♪)
沙綾「緋翠くん、ケータイなってるよ」
緋翠「多分日菜さんからですね。今度またここに来た時はよろしくお願いします」
沙綾「うん、いつでも待ってるよ」
僕はやまぶきベーカリーを後にした
【午後6時:氷川家リビング】
緋翠「ただいま戻りました。」
紗夜「おかえりなさい、緋翠くん。」
日菜「おっかえりー!今日はお疲れさま!」
緋翠「日菜さん、今後は僕の手を引っ張っていかないでください・・・僕の手がいくつあっても足りません」
紗夜「日菜…あなた」
日菜「テヘッ♪」
緋翠「可愛い顔しても無駄です。」
紗夜「さて、本題に入りましょう。緋翠くん、どちらの高校に入るか決まりましたか?」
緋翠「そうですね…花咲川学園は何だか自由そうな学校なのに比べて羽丘学園は勉強に特化したような受験校って感じますね。ただ『今決めてください』って言われても来週には決めておきます。」
日菜「ブーブー」
紗夜「そうですか。急いで決める必要はないので気楽に決めてください。」
緋翠「はい、後悔のないように決めておきますね。」
日菜「それじゃあご飯にしようおねーちゃん!」
紗夜「まったく、いつもあなたは…それじゃあご飯にしましょうか」
それから僕たちは夕ご飯を食べ、羽丘での説明会の後どこで何をしていたのか話をした。日菜さんなんかは『いいなー!あたしもパン屋で仕事したーい!』と言っていたり、紗夜さんは『緋翠くんがパン屋さんでバイト…ですか。社会勉強をするにはいいいバイト先ですね。頑張ってください』と言ってくれた。確かにコンビニとかでバイトをするよりは今後の仕事先を決めるにはうってつけだろうと思った。まあ、今は花咲川学園に通うか羽丘学園に通うかの問題があるからまずはそっちから…かな。
いかがだったでしょうか?
今回から(ようやく)緋翠くんが会話に参加しました。え?割と遅くないかって?うーん…遅くないな!(キリッ
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