遊戯王 ChaosBreakers   作:黒羽01

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第3話 蛇の星の拳士、友との約束

「……朝……か」

 

陽の光が窓から差し込み目を覚ます。

 

「すぅ……すぅ……」

「っ!?」

 

目を覚ましてすぐに視界に入ってきた紫苑の寝顔を見て驚く。

……昨日なんやかんやで紫苑が泊まったけど……また潜り込んでいたとは。

 

「こ、この距離は……」

 

しかも思いっきり抱きつかれているから……き、昨日よりも近いし……柔らかい。

……俺も反射的だったのか寝ている間に抱きしめ返していたし……妙に落ち着く。

なんかデジャヴを感じるが……まぁいいか。

 

「んぅ……ゆぅ……くぅん……」

 

お、おお、おおお、落ち着け!!? 俺!!!

艶めかしい声に動揺するが、これは寝言……寝言なんだ!

……声が漏れていた紫苑の唇を見る。

……艶やかで……綺麗な唇。

……い、今なら……バレないか?

……いやいや、落ち着け! 紫苑が眠っている間に済ませていいのか!!?

……だがこんなチャンスは滅多にない……はず。

 

「紫苑……」

 

衝動を抑えきれず自分の唇を紫苑の唇に近づける。

 

 

 

 

 

ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!!

 

「っ!!?」

 

ベランダに通じる掃き出し窓が叩かれる音がしたので反射的にそっちを見る。

……そこにいたのは……幼い顔立ちのピンク色のふわふわした髪の少女、紫苑と瓜二つの少女で、こちらをジト目で観ていた。

ゲームやファンタジー物の世界だったら、ドッペルゲンガーとか別の世界の同一人物とかあったかもしれないが……紫苑は双子の姉妹で、紫苑が姉だとすると今そこにいるのが妹の方。

……彼女の名は吾妻 成美(あづま なみ)

何故ここに……というより、ここ2階なのだが……どうやってそこに……。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「いやぁ、朝から両手に花とか……本当にごちそうさん、ゆ~う」

「茶化すなって……思わず張り倒したくなる」

「暴力はいけません、くくくっ」

 

ムスッとしている成美、顔を赤くして上の空な紫苑、朝の出来事を聞いて百人中百人がイラっとする顔で煽ってくる燕……朝からいろいろあって若干疲れている俺にとって思わす頭を抱えたくなる通学風景だった。

 

「本当に仲良しなのですね」

「いや、アレはちょっと違うと思うが……どうだろうな」

 

後ろの方では美月と士郎がそんな会話をしていた。

……燕だけでもいいから引き受けてくれ。

 

(悠ったら姉さんばっかり構って……)

「ん? 成美、何か言ったか?」

「……何でもない!!」

「あ、おい!」

 

突然成美がスタスタと早歩きをして先に行ってしまう。

 

「本当、ああいう関係って羨ましいな……俺らにも春が来ないかねぇ……」

「そもそもおちゃらけてばかりのお前にそういう相手がいるのか?」

「……ノーコメントで、てかそう言う士郎はどうなの? いるの?」

「ノーコメントの奴に答える義理はないが……いると言えばいる、いないと言えばいないな」

「な、なんだか曖昧ですね」

 

何やら後ろの方で話が盛り上がっているような……。

 

「もう何年も前の話だ……格闘技を習っていた頃に知り合った女の子がいた……しかし仲良くなってしばらく経ったある日突然倒れたことがあった……命に別状はなかったが当時の俺はとても心配していた……だからある約束をしたんだ、強くなって何があってもお前のことを守ると」

「あら、ステキな話です」

「だがある日その子が引っ越すことになったんだ、だからもう一つ約束した……お互いに大きくなったらまた会おうって」

「よくある恋愛物語そのものじゃん、それに士郎が格闘技をやっていたのって幼少の頃だろ? そんなに月日が経ったらその子も約束を忘れているんじゃないか?」

「だからいると言えばいる、いないと言えばいないと前置きしておいただろう……再会して約束を果たしたいと思うが、叶わなくても仕方ないと割り切れる……そんなもんだ」

 

……意外な士郎の一面に軽く驚いた。

そんな騒がしい朝の一幕を終えてエルリア校に到着した。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「さぁて実技科目の時間だが、入学試験で見せてもらったがまぁバラつきがある」

 

入学して初めての実技科目。

俺たちのクラスは校内の大きなデュエルフィールドに集められていた。

本来は講義の開始時に配られたデッキでデュエルを行ってその内容を見るという内容らしいが、最初の内は各自のデッキを使うとのこと。

 

「そこで皆の実力を確認したいが1人1人見ていくと時間がかかる故にそれは日を追ってやることにして……今日は2人に見せてもらう! 蛇崎と富竹、前に出てこい!」

 

呼ばれた2人はデュエルフィールドの中央に向かいそのまま対峙する。

士郎と同じクラスの富竹……確か名前は富竹 直樹(とみたけ なおき)だったか……2人は握手を交わして距離を取る。

 

「へへっ、互いに良いデュエルをしようぜ!」

「あぁ……こちらこそよろしく頼む」

「「デュエル!!」」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

蛇崎士郎 LP8000 手札5

 

富竹直樹 LP8000 手札5

 

 

 

 

 

 

さて、いきなり指名されてデュエルすることになったのだが……。

まぁ、いつも通りやることに変わりはない。

……後攻故に相手の出方を見るか。

 

「先攻は俺だ! 《空牙団(くうがだん)剣士(けんし) ビート》を召喚!」

 

空牙団(くうがだん)剣士(けんし) ビート LV3 ATK1200

 

毛皮を被った小さな戦士が現れる。

 

「お、富竹は空牙団か……展開に長けたデッキを使うんだな」

 

先生の言う通り、空牙団は展開が容易なデッキ。

下級モンスターが手札から後続を特殊召喚する共通効果を持っているから成せる技。

 

「制圧って訳じゃないが数は並べさせてもらう! 《空牙団(くうがだん)剣士(けんし) ビート》の効果発動! 手札の同名以外の空牙団の団員を特殊召喚する! 《空牙団(くうがだん)舵手(だしゅ) ヘルマー》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)舵手(だしゅ) ヘルマー LV3 DEF2000

 

船員のような恰好の魚人が現れる。

 

「他の空牙団の団員が特殊召喚されたことで《空牙団(くうがだん)剣士(けんし) ビート》の効果発動! デッキから同名以外の空牙団の団員を手札に加える! 俺は《空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール》を手札に加える! そして《空牙団(くうがだん)舵手(だしゅ) ヘルマー》の効果発動! こいつも手札の同名以外の空牙団の団員を特殊召喚できる! 《空牙団(くうがだん)闘士(とうし) ブラーヴォ》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)闘士(とうし) ブラーヴォ LV4 ATK1900

 

両手に鉤爪を装備した赤いトサカのリザードマンが現れる。

 

「他の空牙団の団員が特殊召喚されたことで、手札の空牙団カード《空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ》を捨てて《空牙団(くうがだん)舵手(だしゅ) ヘルマー》の効果発動! 1枚ドロー! デッキの上から10枚を裏側で除外して魔法カード《強欲(ごうよく)貪欲(どんよく)(つぼ)》を発動! デッキからカードを2枚ドロー! 《空牙団(くうがだん)闘士(とうし) ブラーヴォ》の効果発動! 手札の同名以外の空牙団の団員を特殊召喚する! 《空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール LV8 ATK2800

 

長剣を携える青い竜が現れる。

英雄……メインデッキに入る空牙団のトップか。

 

「《空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール》の特殊召喚に成功したから効果発動! 俺のフィールドに存在する他の団員の数だけデッキの上からカードをめくり、1枚を手札に加える! 俺のフィールドには《空牙団(くうがだん)剣士(けんし) ビート》、《空牙団(くうがだん)舵手(だしゅ) ヘルマー》、《空牙団(くうがだん)闘士(とうし) ブラーヴォ》がいるから3枚をめくる! ……《空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ》を手札に加えて残りはデッキに戻す!」

 

フィールドには既に4体のモンスター。

そして既に下級モンスターの後続召喚効果も使い切った。

手札はサーチしたモンスターを含めて4枚。

……リンク召喚か。

 

「現れろ! 大空を舞うサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は種族の異なるモンスター3体! 戦士族の《空牙団(くうがだん)剣士(けんし) ビート》、水族の《空牙団(くうがだん)舵手(だしゅ) ヘルマー》、爬虫類族の《空牙団(くうがだん)闘士(とうし) ブラーヴォ》の3体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! 空翔ける牙よ、餓狼となって大義をを示せ! リンク召喚! 現れろ! リンク3《空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ》!!」

 

空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ LINK3 ATK2400 ↑ └ ┘

 

小さな戦士、魚人の船員、赤いトサカのリザードマンが出現したサーキットに入ると、桜吹雪と共に巨大な刀を携える狼の獣人が現れる。

 

「《空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ》のリンク召喚に成功したから効果発動! リンク素材にした3体とは異なる種族の団員をデッキから特殊召喚できる! 獣族の《空牙団(くうがだん)飛哨(ひしょう) リコン》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)飛哨(ひしょう) リコン LV2 DEF500

 

望遠鏡を持つ小さな獣人が現れる。

 

「下級の空牙団モンスターが現れたという事は……」

「そうだ! 《空牙団(くうがだん)飛哨(ひしょう) リコン》の効果発動! 手札の同名以外の空牙団の団員を特殊召喚する! 《空牙団(くうがだん)撃手(げきしゅ) ドンパ》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)撃手(げきしゅ) ドンパ LV2 DEF1000

 

スリングショットを持つ小さな獣人が現れる。

 

「《空牙団(くうがだん)撃手(げきしゅ) ドンパ》の効果発動! 手札の同名以外の空牙団の団員を特殊召喚する! 《空牙団(くうがだん)伝令(でんれい) フィロ》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)伝令(でんれい) フィロ LV1 DEF0

 

黄色い小さな鳥人が現れる。

 

「速攻魔法《烈風(れっぷう)空牙団(くうがだん)》を発動! 墓地の空牙団の団員を守備表示で特殊召喚する! 《空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ LV5 DEF2400

 

狙撃銃を携える鳥人が現れる。

 

「《空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ》の特殊召喚に成功したから効果発動! 俺のフィールドに存在する自身以外の空牙団の団員の数×500のダメージを相手に与える! 俺のフィールドには《空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ》、《空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール》、《空牙団(くうがだん)飛哨(ひしょう) リコン》、《空牙団(くうがだん)撃手(げきしゅ) ドンパ》、《空牙団(くうがだん)伝令(でんれい) フィロ》の5体がいる! よって2500のダメージだ!」

「くぅっ! 先攻でバーンダメージか」

 

8000-2500=5500

蛇崎士郎 LP5500

 

狙撃銃から銃弾が5発連射して放たれる。

……無視できないダメージ量だな。

 

「現れろ! 大空を舞うサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は効果モンスター2体! 《空牙団(くうがだん)飛哨(ひしょう) リコン》と《空牙団(くうがだん)撃手(げきしゅ) ドンパ》の2体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろ! リンク2《ペンテスタッグ》!」

 

ペンテスタッグ LINK2 ATK1600 ↑ ↓

 

2体の小さな獣人が出現したサーキットに入ると、電子的な見た目のクワガタが現れる。

 

「これで、フィールドが空いたな……《空牙団(くうがだん)伝令(でんれい) フィロ》の効果発動! 手札の同名以外の空牙団の団員を特殊召喚する! 《空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ LV7 DEF2800

 

薄紅色の手足と触手を持つ魔法使いが現れる。

 

「《空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ》の特殊召喚に成功したから効果発動! 俺のフィールドの自身以外の空牙団の団員の数×500のライフを回復する! 俺のフィールドには《空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ》、《空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール》、《空牙団(くうがだん)伝令(でんれい) フィロ》、《空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ》の4体がいる! よって2000のライフを回復する!」

 

8000+2000=10000

富竹直樹 LP10000

 

……ライフ差4500か。

……燃えてくる。

 

「へへっ、後攻だったらいろいろカードを破壊して《空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ》の効果で3枚ドローしてバックの準備ができたかもしれないけど、まあ仕方ないよな……俺はこれでターンエンド!」

 

 

 

 

 

蛇崎士郎 LP5500 手札5

EXモンスターゾーン

★空き

メインモンスターゾーン

空き

空き

空き

★空き

空き

魔法・罠ゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

フィールドゾーン

空き

 

富竹直樹 LP10000 手札0

EXモンスターゾーン

空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ ATK

メインモンスターゾーン

ペンテスタッグ ATK

空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ DEF

空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール ATK

空牙団(くうがだん)伝令(でんれい) フィロ DEF

空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ DEF

魔法・罠ゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

フィールドゾーン

空き

 

 

 

 

 

「空牙団の展開力はやはり侮れないな……迎撃用の無効効果が使えなくても数で防ぎきるつもりか……さて、蛇崎にこのライフ差を覆す算段はあるのか?」

「ライフ差はともかく……これ程本気を出せる盤面は考えられない」

 

相手の手札は0枚。

空牙団カードを墓地に捨てて発動する無効効果は手札が無いため使えない。

空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータの自身以外の空牙団モンスターを効果の対象にできない効果も、対象にしなければいいだけの話。

……俺にとってはチャンスでしかない。

 

「俺のターン、ドロー! 《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ヴァイオン》を召喚!」

 

V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ヴァイオン LV4 ATK1000

 

青紫色の幻の戦士が現れる。

 

「お、蛇崎はHEROデッキか……いやぁ懐かしいな」

「召喚に成功した《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ヴァイオン》の効果発動、デッキからHEROモンスターを1体墓地に送る……《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャドー・ミスト》を墓地に送る! 墓地に送られた《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャドー・ミスト》の効果発動、デッキから同名以外のHEROモンスターを1体手札に加える……《D-HERO(デステニーヒーロー) ディアボリックガイ》を手札に加える! 墓地のHEROモンスターを除外して《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ヴァイオン》の効果発動、《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャドー・ミスト》を除外してデッキから《融合》を手札に加える! 手札の《D-HERO(デステニーヒーロー) ディアボリックガイ》を捨てて《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ファリス》の効果発動、手札から自身を特殊召喚!」

 

V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ファリス LV5 ATK1600

 

紫色の幻の戦士が現れる。

 

「墓地の《D-HERO(デステニーヒーロー) ディアボリックガイ》を除外して効果発動、デッキから同名モンスターを1体特殊召喚する!」

 

D-HERO(デステニーヒーロー) ディアボリックガイ LV6 DEF800

 

黒い翼の生えた悪魔の風貌の戦士が現れる。

 

「開け! 蛇星を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は戦士族モンスター2体! 《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ファリス》と《D-HERO(デステニーヒーロー) ディアボリックガイ》の2体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろ、リンク2《聖騎士(せいきし)追想(ついそう) イゾルデ》!」

 

聖騎士(せいきし)追想(ついそう) イゾルデ LINK2 ATK1600 └ ┘

 

2体の戦士が出現したサーキットに入ると、金髪の女性と銀髪の女性が背合わせで現れる。

 

「リンク召喚に成功した《聖騎士(せいきし)追想(ついそう) イゾルデ》の効果発動、デッキから戦士族モンスターを手札に加える……《天融星(てんゆうせい)カイキ》を手札に加える!」

「……ん? 《天融星(てんゆうせい)カイキ》?」

「戦士族の融合サポート……HEROでも使えるか」

「デッキの装備魔法カードを墓地に送り《聖騎士(せいきし)追想(ついそう) イゾルデ》の効果を発動、墓地に送った枚数と同じレベルの戦士族モンスターをデッキから特殊召喚する……《レプティレス・アンガー》と《妖刀竹光(ようとうたけみつ)》を墓地に送り《TG(テックジーナス) ストライカー》を特殊召喚!」

 

TG(テックジーナス) ストライカー LV2 DEF0

 

青色の機械のような装甲を纏う戦士が現れる。

 

「……レプティレス?」

「……ほぉ、そう来たか」

「開け! 蛇星を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体! 《聖騎士(せいきし)追想(ついそう) イゾルデ》と《TG(テックジーナス) ストライカー》の2体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろ、リンク2《水晶機巧(クリストロン)-ハリファイバー》!」

 

水晶機巧(クリストロン)-ハリファイバー LINK2 ATK1500 └ ┘

 

戦士たちが現れたサーキットに入ると、青い水晶でできたロボットが現れる。

 

「リンク召喚に成功した《水晶機巧(クリストロン)-ハリファイバー》の効果発動、手札・デッキからレベル3以下のチューナーモンスターを守備表示で特殊召喚できる……《レプティレス・ヒュドラ》を特殊召喚!」

 

レプティレス・ヒュドラ LV2 DEF0

 

下半身が蛇の幼い少女が現れる。

 

「魔法カード《融合》を発動、手札・フィールドから融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地に送りEXデッキから融合モンスターを融合召喚する……俺は手札の《天融星(てんゆうせい)カイキ》と《パラサイト・フュージョナー》を融合! 蛇星に導かれし戦士よ、今こそ力を束ねて修羅と成れ! 融合召喚! 現れろ、レベル12《覇道星(はどうせい)シュラ》!!」

 

覇道星(はどうせい)シュラ LV12 ATK0

 

3つの顔に仮面を着けた多腕の戦士が現れる。

 

「……待て、《覇道星(はどうせい)シュラ》の効果って……」

「確かに、本気を出せる盤面だったな」

「バトルフェイズに移り、《覇道星(はどうせい)シュラ》の効果発動、相手フィールドの表側表示のモンスターの攻撃力を0にする!」

 

空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ ATK2400→0

ペンテスタッグ ATK1600→0

空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ ATK1600→0

空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール ATK2800→0

空牙団(くうがだん)伝令(でんれい) フィロ ATK0

空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ ATK1200→0

 

得物を握っていない2つの手に赤い光球が現れると、光球から波動が発せられる。

波動を浴びたモンスターは力を失ったかのように地に伏して衰弱していった。

守備力は変化しないから守備表示のモンスターに対しては一見意味が無いように見える。

……だが、攻撃力が0であることが俺にとっては重要なこと。

 

「《覇道星(はどうせい)シュラ》で《空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴ》を攻撃! モンスター同士が戦闘を行うダメージ計算時に《覇道星(はどうせい)シュラ》の効果発動、互いのモンスターの攻撃力はそれぞれのレベル×200アップする!」

「レベル分……ってリンクモンスターにレベルなんて無いぞ!?」

「レベルが無ければこの効果の恩恵は受けられないな……もっともあったところで、先程の効果の影響下で戦闘破壊するにはレベル12で相打ち狙いしかないが……」

「くっ!!?」

 

覇道星(はどうせい)シュラ ATK0→2400

2400-0=2400

10000-2400=7600

富竹直樹 LP7600

 

覇道星(はどうせい)シュラが手に持つ得物で、空牙団(くうがだん)大義(たいぎ) フォルゴを横振りで薙ぎ払い、最後に突きをかます。

 

「《水晶機巧(クリストロン)-ハリファイバー》で《空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファール》を攻撃!」

「っ!!?」

 

1500-0=1500

7600-1500=6100

富竹直樹 LP6100

 

水晶機巧(クリストロン)-ハリファイバーが空牙団(くうがだん)英雄(えいゆう) ラファールにタックルをかます。

地に伏している状態で避けられる訳もなくそのまま直撃を受ける。

 

「《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ヴァイオン》で《ペンテスタッグ》を攻撃!」

「っ!?」

 

1000-0=1000

6100-1000=5100

富竹直樹 LP5100

 

これでライフ差は埋められた。

後は……。

 

「メインフェイズ2に移り……レベル4の《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ヴァイオン》にレベル2のレプティレスチューナーモンスター《レプティレス・ヒュドラ》をチューニング! S召喚! 現れろ、レベル6《レプティレス・ラミア》!」

 

レプティレス・ラミア LV6 ATK2100

 

数多の蛇の頭を持つ女性が現れる。

 

「S召喚に成功した《レプティレス・ラミア》の効果発動、相手フィールドの表側表示で存在する攻撃力0のモンスターを全て破壊して、破壊した数だけデッキからカードをドローする」

「……《覇道星(はどうせい)シュラ》の効果で俺の団員たちは皆攻撃力が0になっているんだが」

「勿論全部破壊だ、3体破壊したので3枚ドロー!」

 

レプティレス・ラミアの蛇の頭の目が空牙団モンスターたちを捉えるとそのまま石化していき砕け散る。

 

「俺はこのままターンエンドだ」

 

 

 

 

 

蛇崎士郎 LP5500 手札6

EXモンスターゾーン

水晶機巧(クリストロン)-ハリファイバー ATK

メインモンスターゾーン

レプティレス・ラミア ATK

空き

覇道星(はどうせい)シュラ ATK

空き

空き

魔法・罠ゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

フィールドゾーン

空き

 

富竹直樹 LP5100 手札0

EXモンスターゾーン

★空き

メインモンスターゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

魔法・罠ゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

フィールドゾーン

空き

 

 

 

 

 

「最初はHEROデッキかと思ったが……《覇道星(はどうせい)シュラ》への布石に過ぎず、攻撃力を0にしてレプティレスモンスターで暴れまわる……おまけに手札は6枚ときた」

「くっ……手札を温存できなかったのがここまで響いてくるとは……」

 

空牙団、確かに展開に長けたカテゴリだ。

……彼の言う通り後攻だったのなら手札も確保してより安定した布陣を展開できただろう。

先攻でもモンスターゾーンを埋められる程だから容易に想像できる。

ペンテスタッグを採用していたという事は守備でも関係なしに攻撃するつもりだったのかもしれない。

……あの布陣なら団結の力を装備させてもいいだろう。

……だがそれも手札があっての事。

1枚からの展開はほぼ無理に近い。

 

「俺のターン! ドロー! ……まだだ! まだ終わってない! デッキの上から10枚を裏側で除外して魔法カード《強欲(ごうよく)貪欲(どんよく)(つぼ)》を発動! デッキからカードを2枚ドロー!」

「この状況でそのカードとは……既にデッキの底が見えているではないか……《水晶機巧(クリストロン)-ハリファイバー》を除外して効果発動、EXデッキからSチューナーモンスターをS召喚扱いで特殊召喚する……《フォーミュラ・シンクロン》を特殊召喚!」

 

フォーミュラ・シンクロン LV2 DEF1500

 

スポーツカーを模したロボットが現れる。

 

「S召喚に成功した《フォーミュラ・シンクロン》の効果発動、カードを1枚ドロー!」

「魔法カード《ブラック・ホール》を発動! フィールドの全てのモンスターを破壊する!」

 

フィールドに突如発生したブラックホールがフィールドのモンスターを飲み込んでいく。

 

「融合召喚した《覇道星(はどうせい)シュラ》が相手によって破壊された場合効果発動、EXデッキから《覇勝星(はしょうせい)イダテン》を融合召喚扱いで特殊召喚する!」

 

覇勝星(はしょうせい)イダテン LV10 ATK3000

 

三又の槍のような得物を持つ戦士が現れる。

 

「融合召喚に成功した《覇勝星(はしょうせい)イダテン》の効果発動、デッキからレベル5戦士族モンスターを手札に加える……《V・HERO(ヴィジョンヒーロー) ファリス》を手札に加える!」

「……だったら俺は速攻魔法《烈風(れっぷう)空牙団(くうがだん)》を発動! 墓地の空牙団の団員を守備表示で特殊召喚する! 《空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ》を特殊召喚!」

 

空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ LV7 DEF2800

 

薄紅色の手足と触手を持つ魔法使いが現れる。

 

「……俺はこれでターンエンド!」

 

 

 

 

 

蛇崎士郎 LP5500 手札8

EXモンスターゾーン

覇勝星(はしょうせい)イダテン ATK

メインモンスターゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

魔法・罠ゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

フィールドゾーン

空き

 

富竹直樹 LP5100 手札0

EXモンスターゾーン

★空き

メインモンスターゾーン

空き

空き

空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ DEF

空き

空き

魔法・罠ゾーン

空き

空き

空き

空き

空き

フィールドゾーン

空き

 

 

 

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

俺の手札を9枚。

……覇勝星(はしょうせい)イダテンがいるなら手札を一気に捨てて高火力で捻じ伏せるというのもアリだが……生憎残っているモンスターは守備表示。

……ならせっかく出してもらったんだ……利用させてもらう。

 

「装備魔法《レプティレス・アンガー》を発動、《覇勝星(はしょうせい)イダテン》に装備! これにより《覇勝星(はしょうせい)イダテン》の種族は爬虫類族となり攻撃力を800アップする!」

 

覇勝星(はしょうせい)イダテン ATK3000→3800

 

「そして俺のフィールドのモンスターが爬虫類族モンスターのみの場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象に手札の《レプティレス・ヒュドラ》の効果発動、対象の攻撃力を0にして《レプティレス・ヒュドラ》を特殊召喚し、対象にしたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける……《空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ》の攻撃力を0にして《レプティレス・ヒュドラ》を特殊召喚! そして《空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ》の元々の攻撃力分の1600のダメージを受ける」

 

空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ ATK1600→0

レプティレス・ヒュドラ LV2 DEF0

5500-1600=3900

蛇崎士郎 LP3900

 

下半身が蛇の幼い少女が現れる。

 

「そして《レプティレス・ヴァースキ》は互いのフィールドの攻撃力0のモンスター2体をリリースすることで特殊召喚できる……《空牙団(くうがだん)叡智(えいち) ウィズ》と《レプティレス・ヒュドラ》をリリースして《レプティレス・ヴァースキ》を特殊召喚!」

 

レプティレス・ヴァースキ LV8 ATK2600

 

下半身が蛇の多腕の女性が現れる。

 

「攻撃力の合計は6400、ダイレクトアタックをして終わりだ」

「……マジかよ!!?」

 

5100-2600=2500

2500-3800=-1300

富竹直樹 LP0

 

蛇崎士郎 WIN

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「はい、これ悠と姉さんの弁当」

「お、サンキュー」

「ありがとう~、成美は私の自慢だよ」

 

昼休みになり屋上に集まる。

……朝にいろいろあったせいで弁当を作り損ねてしまったところ偶然成美が俺と紫苑の分を作って来ていたらしくいただくことに。

……むしろそれを届けるために朝訪れたらあの場面に出くわしたとか。

……紫苑が成美の後ろから抱きついて頭を撫でていて、成美も満更でもないのか受け入れていた。

 

「というより士郎のデッキ、どう対処すればいいんだ? どこからともなく攻撃力を0にされて吹っ飛ばされて終わりだったが……」

「まず先攻を取ってもろくに動けない、だからって先攻を譲って制圧されると盤面を取り返せない、デッキを回すキーカードが引けないと回らないし、そこを潰されるとお手上げ……以上の点を改善しようとすると40枚をすぐに超えて回せる自信がない」

 

そう言って士郎は購買のパンに齧りつく。

あぁ……確かに直樹のあの展開に加えて手札があれば妨害できたしな……。

あの状態が……士郎は今現在の自身の限界と言っているのか。

……回るとおっかないが勝率が安定しないのもまた……ということか。

 

「制圧って意味だったら美月ちゃんが一番だよね」

「え、えぇ!? そ、そんなことは……」

「謙遜することはないと思うぞー、アレをやられたらほぼ何もできないし一種の芸術だ」

 

そう、俺たちの間では先攻制圧と言えば美月の右に出る者はいない。

……ノーコストの効果発動無効、攻撃誘導に効果耐性、状況に応じて墓地肥やしや吸収効果……もはや使っているデッキのカテゴリを二度見するレベルで制圧してくる。

あの盤面を見ると燕の言う通り一種の芸術と思えてくる。

……まぁ、突破する方法自体はあるがそのためだけに特定のカードをデッキに入れるのも……と考えてしまう。

それでも美月本人は現状に満足していないらしく精進し続けていると。

 

 

 

 

 

そんな感じで今日も至って普通の一日で終わる。

……はずだった。

 




しかし、あの時の女の子はどこへ引っ越していったのだろう……引っ越し先を聞いておくべきだったか。

頼むからその図体でストーカーとか止めてくれよ。

安心しろ、そこまではしない。

し、信じていいんだよな?

次回、遊戯王 ChaosBreakers
第4話「フィアンセ登場! 竜の貴族と進化する復讐鬼、意地の頂上決戦!!」

あー、遂にこの時が来てしまったか……。

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