Fate/Grand Order 案①『間桐桜に転生したら』   作:ら・ま・ミュウ

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『私はロリにして頂点』『……』

人の文明は蹂躙され、地に耳を当てれば獣が足踏みする音が絶えることはない荒野。その魔獣すら消えてしまった今、そこは一片の草木も残さ無い命の消失した死の大地となった。

 

―――私は、誰だ。

 

黒い蹄が土を抉る。

 

ここは何処だ。私は何のために呼ばれた。何を成せと言うのだ。

 

右を見ても、左を見ても何もない。

“それ”が歩いてから既に三日は経っている。体力の限界もさることながら、喉の渇きを潤せず、身を寄せる木陰すらない其所では何よりも孤独が恐ろしかった。

 

我が父…我が主……分からぬ。分からぬ。

 

自分は人を超越し神を統べる、尊き御方に創られ、素晴らしき主に従える運命にあったという。

しかし、御方()とは誰なのか。犬か猫かそれとも神なのか。少なくとも人でないということしか思い出せず、主に関しては僅かに残る御方の記憶が、主へ従えと命ずる……最早何も覚えていなかったほうが幸せに思えるほど朧気だった。

 

……もうすぐ、日が沈む。何処か休める場所を……ハァ、そんな場所はなかったな。

 

記憶は欠損、神性は無いモノとして召喚され、挙げ句の果てに魔力不足。

既に、色々と諦めた。消えるというなら仕方ない。

半身が埋まるほど、土を掘って体に被せる。

 

この季節は冷える。…もし次があるのなら、贅沢は言わない。主と一緒に…暖かな暖炉の前で眠りたいモノだ。

 

孤独に耐え、訳も分からず足を動かしていた獣の一生は間も無く潰える。

 

「――グガランナ、なぜ貴女がこんな所に、」

 

筈だった。

 

孤独に耐え続け、何か変わると足を止めなかったからこそ、その願いは報われる。

 

「並行世界からの強い干渉を受けて調査に来ただけなのですが……流石にこれは」

 

毛布を両手に、ゆっくりと抱き上げられる彼=グガランナ

その目に映ったのは、小さいながら大きな魔力を宿した、そしてとても悲しげな瞳をした童女である。

 

――そうか、私はこの方の為に喚びだされたのか。

 

地獄の中でまさに仏でもみたかのような、強い感情に支配されるグガランナが真に従える主を見つけた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「ほーれ、ビーフジャーキ―ですよ~」

 

主がお目覚めになられた。

そう報告を受けて、カルデア(偽)の中央管制塔に駆けつけた藤丸とマシュが見たのは、黄金の外骨格で覆われた小型の生物にハイライトのない目をした幼女が乾いた牛の肉を与えている所だった。

 

夢の中の幼女と姿形が一致している為、彼女がアサシンとペルセウス、そしてキャスターのマスターであることは間違いない。

 

「君は何者なんだ?」

 

「私ですか?…私は桜ですが。」

 

「桜さん…いえ、ちゃん?」

 

「桜ちゃんは止めて下さい。蟲に喰われて死にますよ?」

 

「じゃあ、桜さんで。」

 

呼び名が落ち着いた所でマシュが口を開く。

 

「桜さんは先輩と同盟を結ばれたのですよね?」

 

「はい」

 

「でしたら、この特異点攻略へ協力してくれるという事に…」

 

「今さら裏切りませんよ。桜陣営はカルデアへの支援を惜しみません。勿論、貴女方が裏切るようなことがあれば話は別ですけど。」

 

そこで黄金の生き物が威圧するようにマシュを睨み、とても鋭い殺気に心臓が縮こまる。

桜陣営と敵対すれば、とても恐ろしい事になるだろう。

マシュは本能で感じ取った。

 

『横からすまない』

 

ドクターが通信機器から桜さんに話しかけ、幾つかの問答の後、正式な契約が交わされる。

 

先輩…これは、正しい選択なのでしょうか?

 

どの特異点よりもスムーズに事が進み、誰一人の犠牲もなく聖杯を獲得するまでの目処はたった。

しかし、マシュだけは桜陣営の底知れない“何か“に恐怖を抱く。




『むぅぅぅぅ!!!』

『約束通り連れてきたよ』

『あら、やっとね。
フフっ本当に小さい頃の妹じゃない…』

『むぅ!?むぅぅ…ぷはっ姉さまが何故ここに!?』

ナデナデ

『あぅ……止めてください』

『これで、大きい方もいれば楽園ね』ボソッ


ウルク

「大変だ!ギルガメッシュ!アナが拐われっ」

「フハハハハ!飲め歌え!オレが許す!
備蓄が少ない?兵の士気が緩む?ぬかせ!我が友の帰還を祝わずして何が王か!」

ワーワー!

エルキドゥ様!

今度こそ本物だー!

これでウルクは安泰だぞ

ワーワー!

「……ギルガメッシュ?」

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