鬼滅に注ぐ鎮魂歌の雨   作:星天さん

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第5話

蝶屋敷で治療を受けてから約二週間が経過した。

ベッドで寝ているとカナヲがひょっこりと俺の病室に来て無言で見つめられるだけだが来てくれたり、よく手合わせをしてくれる悲鳴嶼さん(カナエから聞いたんだが悲鳴嶼は胡蝶姉妹を鬼から救ってくれた恩人らしい)が見舞いに来てくれたり、同期で偶に任務を一緒にこなす伊黒と不死川が嫌味と説教をしにやって来たりと退屈な日々を送らずに病人生活を送った。

 

「今日で時雨君のあばらは完治したからもう大丈夫よ!」

 

俺は鬼の蹴りによってあばら骨数本にヒビが入っていたらしい。あの時、咄嗟に衝撃を弱める為に後ろに下がっておいて良かったと胸をなで下ろした。もし、後ろに下がっていなかったらヒビでは無く完全に折れているか粉砕してたかもしれない。

 

「二週間でヒビが治るなんてどんな体の構造をしているんですか神山さん」

 

「体が丈夫なのが取り柄だから早く治ったのかもな!」

 

治癒の早さについてそう答えるとカナエは苦笑いをして、しのぶは頭に手を置いて溜め息を吐いていた。そんな変な事を言ったかなと腕を組んで考えていると外から大声が聞こえてきた。

カナエとしのぶは病室から出て客の対応に向かってしまい暇になったから新しく作ってもらった隊服に着替えて、時雨金時を持って体を動かそうと病室を出ようとしたらカナエとしのぶが帰ってきた。

 

「あら?時雨君、もう任務に行こうとしてるの?」

 

「病み上がり何ですから直ぐ任務には行かせませんよ?」

 

「いや、鈍った体を動かそうと思って蝶屋敷にある道場に行こうと思ってな。それより客の対応しなくていいのか?」

 

「さっき来たお客は時雨君に用があるそうよ?」

 

カナエがそう言うと胡蝶姉妹の後ろにある扉が勢いよく開かれて見覚えのある顔の男と見知らぬ女の子が入ってきた。

 

「時雨殿!見舞いに来た!」

 

「何時も元気だな杏寿郎」

 

燃え盛る炎の様な髪色をしていて勢いよく入ってきたのは歳が一つ下の煉獄 杏寿郎、鬼殺隊を支える九つの柱の一人『炎柱』だ。

杏寿郎が炎柱の継子になっている時に任務を一緒にこなしたり、煉獄家に連れてかれて夕餉をご馳走になったりして親しくなった。

 

「瑠火さんは元気にしてるか?」

 

「母上は元気だ!時雨殿こそ、もう体は大丈夫なのか?」

 

「おう、今から鈍った体を動かしに行く所だが……後ろに居る子は誰だ?」

 

「この子は俺の継子だ!甘露寺!時雨殿に自己紹介しなさい!」

 

杏寿郎の後ろに隠れていた女の子は恐る恐る前に出てきた。出てきた女の子の髪色は桜色でとても珍しい髪色をしていた。

 

「し、師範の継子の甘露寺蜜璃です!き、鬼殺隊には将来を共にする殿方を探しに入りました!」

 

「俺は神山時雨。宜しくな甘露寺!」

 

甘露寺と自己紹介している後ろで杏寿郎がカナエとしのぶに声がデカいから静かにしてくれと叱られていた。

 

「あの、私が鬼殺隊に入った理由についてどう思いました?」

 

「ん?別にいいと思うぜ?」

 

「理由が不純で呆れないんですか?」

 

「甘露寺が決めた事に呆れないし、不純だから鬼殺隊に入ってはいけないって決まりなんて無いから甘露寺がしたいようにしていいと思うぞ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

甘露寺と話しているとカナエとしのぶに怒られていた杏寿郎は解放された。カナエとしのぶから叱られ終わった杏寿郎は鈍った体を動かしに行く俺にある提案をした。

 

「時雨殿!鈍った体を動かすなら手合わせをしないか!」

 

「手合わせか……いいぜ!」

 

「甘露寺!俺と時雨殿の手合わせをしっかり見ておくように!」

 

「は、はい!」

 

「手合わせなら道場に案内するわね! 」

 

「二人とも……特に病み上がりの神山さんが無理をしないように私と姉さんも見ていますから」

 

五人で病室を出て道場に向かおうとすると廊下の角でカナヲがひょっこりと出てきてこちらを見ていた。カナエがカナヲの所に言って何かを話したあと、カナヲを軽々と抱き抱えてきて戻ってきた。

 

「カナヲも連れていきましょう!」

 

「おう!カナヲも一緒に行こうか!」

 

カナヲも連れて道場に向かった。

道場に行く道中で俺とカナエで順番にカナヲをおんぶしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時雨達は道場に着き、カナエ、カナヲ、しのぶ、甘露寺達は時雨と煉獄の邪魔にならないように離れて二人を見ていた。

時雨と煉獄は道場の真ん中で木刀を構えて間合いをとっていた。

 

「それでは・・・始め!!」

 

カナエが試合の合図をしたと同時に時雨は煉獄よりも早く動き出した。時雨は両手で握っていた木刀から手を離し、木刀は重力に従い下へと落ちていく。

 

「時雨蒼燕流攻式三の型・遣らずの雨」

 

「よもや!?」

 

「「「木刀を蹴り飛ばした!?」」」

 

「炎の呼吸肆ノ型・盛炎のうねり!!」

 

煉獄は時雨が放った時雨蒼燕流の技に度肝を抜かされたが、直ぐに立て直し、自分に向かってくる木刀を弾き飛ばした。時雨は煉獄が弾き飛ばした木刀を空中でとり次の型に入った。

 

「時雨蒼燕流攻式一の型・車軸の雨!!」

 

「炎の呼吸弐ノ型・昇り炎天!!」

 

炎と雨がぶつかり合い、技を放った両名は後方に吹っ飛んだが、膝をつくことなく立っていた。時雨と煉獄の顔には笑みが零れていた。カナエ、カナヲ、しのぶ、甘露寺の四人はそんな二人を見て、ただただ凄いとしか言葉に表せなかった。

 

「よもや!木刀を蹴って飛ばしてくるとは凄い流派だな時雨殿!度肝を抜かされた!」

 

「俺も初めて親父から教わった時はかなり驚いたぞ」

 

「煉獄さんから話に聞いてたけど、呼吸を使わずに渡り合ってるなんて凄いわ!」

 

「行くぞ杏寿郎!! 時雨蒼燕流攻式攻式五の型──」

 

「こい!時雨殿!」

 

煉獄は時雨の攻撃を防御しようと木刀を構えて時雨の攻撃に備えた。時雨は左手に木刀を持ち煉獄に打ち込んだが……煉獄の木刀に衝撃が来る事がなかった。

煉獄は時雨の木刀を握っていた左手を見るとその手には木刀が握られてなかった。

煉獄は直ぐに時雨の右手に視線を向けていると左手で持っていた木刀が握られていて攻撃態勢に入っていた。腹に時雨の攻撃が当たる直前に煉獄は防御できる態勢では無い為、咄嗟に後ろに飛びダメージを最小限に抑えた。

 

「楽しいな時雨殿!正直、病み上がりで鈍っていると思っていたが全然そんな事は無かった! 」

 

「杏寿郎も強くなってるな!攻撃をくらう直前に後ろに飛んだろ?流石は柱だ!」

 

「次の型で決着をつけさせてもらうぞ時雨殿!」

 

「いいぜ!これ以上続けるとカナエとしのぶに怒られそうだし次の型で最後だ!」

 

時雨と煉獄は最後に繰り出す技で決着をつけるといい、次の型を構えて二人は走り出した。

 

「時雨蒼燕流攻式九の型・渦巻く雨!!」

 

「炎の呼吸玖ノ型・煉獄!!」

 

雨と炎が強く衝突して熱気が道場中を満たした。

技を放った二人は膝を着いたり、倒れ込んだりせずに技を放った状態で固まっていた。

 

ピキッ……ピキピキピキピキ!!

 

「よもや!見事だ時雨殿!」

 

「いい運動になったぜ杏寿郎!」

 

煉獄の木刀にヒビが入り折れてしまい、手合わせの勝者は時雨だった。最後に時雨と煉獄は互いの頭を下げて礼をして手合わせを終えた。煉獄は時雨にまた挑戦すると言い、カナエとしのぶ達に帰る事を言い甘露寺と共に蝶屋敷を出て帰って行った。

 

「時雨君、お疲れ様」

 

「病み上がりが出来る様な動きではありませんでしたよ時雨さん」

 

「まあ、柱とはいえ歳下の杏寿郎に負ける訳には行かないと思っただけだよ」

 

その後、カナエが俺の体の柔軟性を良くすると言い出して体の関節を色んな所に曲げられて扱かれていた。

カナエに痛いし……それに当たっていると訴えても少し怒ったのか顔を赤くしてニコニコと微笑みながら大丈夫よと言いやめてくれなかった。




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

カナエについて

  • このまま戦わずに蝶屋敷にいる
  • 肺が少し回復して呼吸が使えるようになった

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