カルナ(個性)のヒーローアカデミア   作:クルミ割りフレンズ

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 アンケート終了しました。活動報告にある通り結果イコール使い処になるかは分かりません。あくまでも今後の展開を考える一つの資料であるといことです。

 キャラも口調や言動、キャラ同士の呼び方が間違っている場合がありますのでご指摘ください。


戦闘訓練

 個性把握テストが終わり指を怪我した緑谷出久に話したい事がある為カルナは付き添った。

 

「あの、陽神君?話したい事って?」

 

「緑谷、お前の個性についてだ。あの時実技入試の時から感じていた、お前の個性は酷くお前自身に適合していない。まるで突然体に宿ったかのようだ。」

 

「!?」(そんな、もしかしてバレた!?いやまさか陽神君の前で個性を使ったのは今日も入れてたった2回!確かに違和感を覚えられる事はあってもこんなアッサリ…!)

 

「個性とはあくまでも身体機能の一部、確かに生まれながらに強力な個性を持つ者はいるだろう。しかし個性そのものの強力性と出力は別だ。いくら強力な個性であろうとも鍛えなければ宝の持ち腐れだ。」

 

「俺の個性とて同じだ、最初からあれ程の出力があった訳ではない。個性が目覚めた時期から個性と肉体両方を鍛えたからこそ今の俺がある。」

 

「お前の個性は一見して増強系に見えるがあそこまでの出力が出せるのにも関わらずお前の体はそれと比例するように損傷している。緑谷お前の個性は本当にお前のモノなのか?

 

「ひ、陽神君!僕が個性を使うと何であそまで傷つくのかは言えない…!でもこの個性は最近発現したんだよ!だから…その、あの。」(本当の事は言えない、でも嘘も言えない。これで誤魔化せれるかな?)

 

 

 

「嘘は言っていないようだな。緑谷、俺は別にお前を攻め立てたい訳では無い。」

 

「えっ?」

 

「何を不思議そうな顔をしている?単純な話、折角出来た友人を心配するのが不思議か?完全治癒の個性でも持っていない限り激しい肉体の損傷はいつか完治しなくなるだろうと思ってな。このままではお前はまともに腕を振る事すらままならなくなるかもしれんぞ。」

 

(そうか、陽神君は僕の事を心配してくれて、友達だって言ってくれて。それなのに…僕は。)

 

「それにお前はヒーローに対して並々ならぬ熱意を持っていると見える。そんなお前が腕で一度攻撃しただけで周りの助けが必要になる役立たずに成る事はとても憚られる事なのではないか?」

 

「ありがとう…陽神君。こんな僕の事を心配してくれて。だからさっきの事だけどさ、やっぱり言えない。でも、それでも僕の事を友達だって思ってくれる?」

 

「愚問だな、誰しも言えぬ秘密の一つや二つはあるものだ。その程度の事で見放す程俺は狭量ではない。あらためて緑谷、俺の事はカルナで良い。」

 

「うん!だったら僕の事も出久って呼んでよ! あっ保健室ってここだね。送ってくれてありがと、カルナ君!」

 

「構わない、ではまた後でな出久。俺は一足先に教室に戻っている。」

 

 

 

 所変わって1-Aの教室、カルナと緑谷を除く全員が戻っておりその内2名は既に下校し、他の者達は今日の反省会をしている。

 

「あーあ、爆豪の奴下らねぇとか言って帰っちまったな~。轟は轟で自分の反省点は自分で分かってるとか言って同じように帰っちまうし。」

 

「まぁそう言うなって上鳴!あいつらは少しとっつきずらいけど悪いやつじゃなさそうだしよ!」

 

「そうは言うがよ~切島。っとそろそろ陽神の方は帰ってくんじゃね?」

 

「10分は経つし確かにそろそろ、っと噂をすればってやつだな。おー陽神お帰り!」

 

「あぁ今戻った、緑谷もその内戻ってくるだろう。…それにしてもお前達は何をしていたんだ?」

 

「反省会やってんだよ。切島がやろうって言い始めてさ。あっ俺上鳴電気!よろしくな陽神。」

 

「陽神カルナだ。それにしては2名ほど見当たらないが?」

 

「爆豪と轟だな、あいつら両方とも帰っちまった。」

 

(なるほどな、それにしても反省会か。自分達の良かった点、悪かった点を客観的に見ているのか。やはり雄英(ここ)来る者達は皆向上心が高いようだな。)

 

 

 カルナは気付いていないがこのメンバーが反省会をしようと思ったのはハッキリと垣間見たカルナとの差が原因だという事を。

 その後緑谷が指の怪我を治療され戻って来たのを区切りとして反省会はお開きになった。

 結果としては皆殆ど自身の個性に対する理解度が足りていなかったという事だった。常日頃から展開されている異形ならばまだしも、未だにそこまで使ったことが無い又は個性の応用力が足りなかったと結論付けたのだ。

 

 クラスメイト達はその後は普通に帰る者、せっかく出来た友人と仲を深める為に寄り道しようという者と様々だ。

 カルナは三奈や緑谷達に一緒に帰ろうと誘われた為共に下校している。メンバーはカルナ、三奈、緑谷、麗日、飯田だ。

 

「それにしてもさ~カルカルとカルカルの個性があんなに凄いなんてビックリしたよね~。」

 

「確かにそうだな。ぼ、俺も足の速さには自信があったのだがあそこまで差を付けられると寧ろ清々しかったぞ。」

 

「俺自身己の実力に対して確かな自信を誇っているが結局は自己理解と鍛錬だ。今の自分に満足出来ぬのならば日々の鍛錬しかあるまい。」

 

 最初は初対面に近いような者も居たため会話は少々硬く特に女子に対して免疫を持たない緑谷は顕著だった。しかしそこは元気溌剌な三奈と麗かな雰囲気を醸し出す麗日、そして時折ぶっこまれる真面目な顔したカルナの天然発言ですぐに打ち解けられた。

 

「ちょっと気になってたんだけどさ、芦戸さんは陽神君と前から友達だったの?ほら今朝からずっと陽神君の事”カルカル”って呼んでたでしょ?」

 

「俺と三奈が知り合ったのは雄英受験の時だ、お互い肩がぶつかってしまってな。その時に何かの縁だと思い連絡先を交換して友人になった。」

 

「そうなんだ!それにさ、カルカルって初見の人が見てもカルカルって感じしないでしょ?カルカル、結構勘違いされそうな人だから少しはギャップが出ていいかなって思ってさ。」

 

「そうなんやー、確かに陽神君はカルカルって感じせんからギャップあるな~。」

 

 そんなほのぼのした会話をしながらカルナ達は各々帰路についた。

 因みにカルナ女性陣に語られた自身のイメージについて少しショックを受けていた。

 

 

 

 国内トップクラスのヒーロー育成機関である雄英高校だが実際はヒーロー科目が無い午前中は必修科目である通常の授業が執り行われる。

 

「はい、じゃあこの例文の中で間違っているのは?」

 

(((普通だ…!))) (クソつまんねっ。)

 

 その授業担当はそれぞれ雄英教師のプロヒーロー達に割り振られているのだがヒーロー科目と比べると如何せん普通なのだ。

 偏差値79という学校ではあるが、それを突破して入学して来た者達にとっては普通すぎて物足りない、退屈だと感じる生徒はいるのだ。有名プロヒーローとはいえどやはり授業自体は通常通りなのである。因みに現在は英語で担当教師はプレゼント・マイクである。

 

 

(授業は滞りなく進み、こうして昼食を食べている訳だが…美味いな。出久がテンションを上げて語っていたがクックヒーロー・ランチラッシュだったか。好物のカレーライスを注文したがファミレスで出てくるような物とは比べ物にならないな。毎日通っていたら舌が肥えてしまいそうだ。)

 

 カルナは緑谷、麗日、飯田と共に学食へと昼食に来ていた。三奈も誘ったのだが新しく出来た友人と共に食べる約束していた為今日は別だ。

 ランチラッシュが運営するこの食堂は料理は絶品かつ安価という事で直ぐに混雑してしまった。

 

「ふぅ、とても美味だった。毎日通いたいものだが一人暮らしの身としては自炊も考慮しなければいけないな。」

 

「カルナ君は一人暮らしだったのか?親元を離れ自ら自立を促すとはとても素晴らしい事だとぼ、俺は思うぞ!」

 

「一人暮らしは何も俺だけでは無いだろう。俺は自宅からでは難しいからそうしているだけだ。」

 

「でも僕も凄いと思うよ。掃除とか他の家事も全部やらなくちゃいけないってのは少し難しいと僕は思うな。」

 

 この様に和気あいあいと会話を楽しんでいる。また、カルナから名前で呼んでくれと言われた為麗日と飯田はそう呼ぶことにした。

 こうして午後のヒーロー科目の為に英気を養っていたのである。

 

 

 

「わーたーしーがー、普通にドアから来た!!」

 

 筋骨隆々な男性、皆さんご存じオールマイトが今回の授業の担当だ。№1ヒーローを目の前にしてクラス全員が程度の差はあれど目を輝かせている。

 それはカルナであっても例外ではなかった。

 

(強いな、これまでは画面の中の存在が今こうして我々の前にいる。荘厳かつ優し気な気を感じるな。)

 

「本当にオールマイトだ!!本当に教師やってるんだぁ!」

 

「生で見るとやっぱり画風が違うなぁ、凄すぎて鳥肌が。」

 

「ケロッ、あれは銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームね!」

 

 憧れの存在を前にすればいくら優秀な生徒と言っても年相応な反応をする。

 

「私が執り行うのはヒーロー基礎学。ヒーローに成る為の素地を作るための様々な訓練を行う科目だ。単位数が最も多いから注意しておくんだぞ!」

「本日のヒーロー基礎学はコレ、戦闘訓練だ!そしてソイツに伴ってぇこちら!」

 

 そう言って”BATTLE”と書かれたプレートを取り出し壁を指差すオールマイト。そうすると壁が出っ張り中からケースが表れた。

 

「入学前に送ってもらった要望と個性届に誂えて作られたコスチューム!着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

 

『はーい!』

 

 コスチュームとは単なる見た目装備では無くその個性の持ち主と最も適した機能や装備を持っている。その為オーダーメイドである為個人によってその見た目や性能は大きく異なる。

 

「わぁ~!カルカルのコスチュームってスーツなんだね、似合ってるよ!」

 

「ありがとう三奈、他の者達にも言えるが良く似合っている。」

 

「確かにな、芦戸の言う通り似合ってるぜカルナ!でもよスーツって動きにくくねぇのか?」

 

「その心配は無いぞ、鋭児郎。存外に軽く頑丈で動きやすい。そも俺の個性では戦闘時には自動的にあの鎧姿に変わる為コスチュームというものはあまり意味を為さない。」

 

 そう、カルナはどんな服装であろうとも個性使用時には炎に包まれあの黄金の鎧を纏うので某知人に頼んでコスチュームを考えてもらったのだ。

 ある種あの姿こそがカルナに最も適したコスチュームと言える。因みにコスチュームのスーツはメタ的に言うと英霊正装・カルナの赤いコート無しVer.である。

 

「鋭児郎のコスチュームは個性の関係もあるのだろうが良く似合っているぞ。お前が良く言っている男らしい装備なのだろう。」

 

「へへ、サンキュー!面と向かって言われると少し照れるな!」

 

「だよね!だよね!カルカルってこういう事真顔で言うんだもん!」

 

 雑談しながら向かって行るとオールマイトに指示されたグラウンドβに着いたようだ。オールマイトは仁王立ちしながら生徒達を待ち構えていた。

 

「恰好から入るってのも大事な事だぜ少年少女! 自覚するんだ、今日から自分がヒーローなんだと!」

「良いじゃないか皆!かっこいいぜ!それじゃぁ始めようか有精卵ども!」

 

 

 その後のオールマイトの話を要約するとくじ引きでそれぞれペアを作り最終的にヒーロー組と敵組に分かれて屋内戦を行うという事だ。

 設定では敵がアジトの何処かへ核兵器を所隠しており、ヒーローはそれを処理しようとしているという何ともアメリカンである。

 ヒーロー組の勝利条件は敵組を全員確保するか核兵器にタッチ、敵組の勝利条件はヒーロー組の全員確保か制限時間までに核兵器を守り切ることだ。

 途中生徒達に質問責めされた為オールマイトはカンペを取り出し解説した。いくら№1ヒーローといえど新米教師である為仕方の無い事なのだ。

 どうやらヒーロー組はヒーローの基礎を、敵組は敵の心理を学ぶようだ。

 くじの結果は次の通りである。

 

A.緑谷&麗日

B.障子&轟

C.峰田&八百万

D.爆豪&飯田

E.芦戸&陽神

F.口田&砂藤

G.上鳴&耳郎

H.常闇&蛙吹

I.尾白&葉隠

J.瀬呂&切島

 

 次に対戦くじを引くと最初はAチームvsDチームだ。他ノメンバーはモニタールームでその内容を観戦する事になった。

 

(いきなり奇襲か爆豪、それもまた戦いの作法ではあるが。出久と爆豪は幼馴染だと聞いたが関係自体は良いものでは無いようだな。)

(先ずお互いに戦いへの心意気からして既に違う。出久は恐れながらも立ち向かう勇気を示しているが、爆豪はおそらく一方的な蹂躙劇を想定していたのか動きが単調で私怨見え見えだ。出久が簡単に対処し投げ飛ばせれたのもこれが原因か。いや、それだけでは無いな。幼馴染、これまでずっと爆豪のやり口を見続けて来たからこそ見切れた…か。)

 

(飯田の方はメット被っているためよく分からんがあの奇妙な動きとふんぞり返り、麗日の唇の動きから真面目に悪に成りきっているという事か。このままいけばおそらく…。)

 

「カルナさん、先ほどからずっと口を噤んでおりますが如何かなされたのですか?」

 

「単純にAとD両方の唇の動きを読んで内容を確認していた。」

 

『!?』

 

 何でもない事のように答えるカルナにその場の全員が驚く。

 

「凄いねカルカルそんなこと出来るんだ!」

 

「陽神少年、君は読唇術が使えるのかい?」

 

「日本語ならば可能だ、出久と爆豪は言わずもがな飯田は自分なりに真面目に敵に成りきっている。」

 

 その言葉に何とも「飯田らしい。」と全員が納得する。真面目が服を着て歩いているような男だ、真面目に悪ぶっているという状況を思い浮かべて苦笑する。

 

 しかし、その間に状況は急転した。

 爆豪の個性は手のひらから爆発性の物質を分泌させそれを爆破させるというものだ。爆豪が付けている籠手はその物質を溜める事が出来ピンを引き抜く事でそれらを一気に爆破できるのだ。爆豪はそれを態と出久にギリギリ当たらないように撃ちその威力を見せつけたのだ。

 

「相当頭に来ているようだな。何が原因かは知らないがあれほどまでの妄執を抱えておきながら狙いを態と外すとは見事な芸当だ。」

 

「おいおい、何冷静に解説してんだよ。あんなモン何度もやってたら緑谷死んじまうよ!」

 

「上鳴の言う通りだぜ先生、爆豪の奴止めねえと緑谷が危ねえ!」

 

「むぅ、いやしかし。」

 

 上鳴と切島の言う事は最もだがオールマイトは決めあぐねていた。なぜなら、

 

「その心配は無いだろう鋭児郎、上鳴。爆豪は怒りと私怨に取りつかれているが部分部分で冷静だ。奴がしたいことは緑谷の殺害では無く己が実力を見せつける蹂躙劇だ。つまり一見して怒り狂っているが態と攻撃を外すなど妙にみみっちい。」

 

⦅みみっちい!?⦆

 

「うむ陽神少年の言う通りだろう、しかしアレは何度も撃たせる訳に行かないな。」

 

 という事でカルナによって爆豪の真意をバラされオールマイトによってあの大爆発はもう一度行えば失格になると言い渡された。

 再度キレたが今度は「殴り合いだ!」と向かって攻撃するが最初と違い爆豪はトリッキーな動きで出久を翻弄した。

 

「そんなタイプには見えねえが以外と繊細だな。」

 

「えっ?」「どういう事だ?」

 

「目くらましを兼ねた爆破で軌道変更、そして即座にもう一回。」

 

「左右の爆破力を微調整しながら行っていますわね。」

 

「才能マンかよ、やだやだ。」

 

「単なる才能だけでは無いだろう、やって出来た事ではあるのだろうが並々ならぬ努力が伺える。」

 

 爆豪と緑谷の戦いは白熱するかに思われたが勝敗はあっさり決まった。緑谷が麗日と取った連携によって核兵器を回収したからだ。

 勝ちこそヒーロー組だが緑谷の取った行動は核兵器回収という設定で行くならとても褒められたものでは無い。故に飯田が今回のMVPとなった。緑谷は言わずもがな、麗日は随所に見られた気の緩み。爆豪は私怨丸出しのデタラメな爆破による建物損害、よって最も核兵器を守っている敵に成りきれていた飯田がMVPであると八百万に回答された。

 全部言われた事にオールマイトは少ししょぼくれた。

 

 続く第2試合はBvsIだったが轟のビル全体を凍らせるという力業で難なく終わった。モニター室まで冷気がやってきた為カルナが炎を出して皆に暖を取らせていた。

 第3試合はGvsJ、第4試合はGvsCと進んだ。

 

 

 

 そして第5試合EvsFだ。最後となった試合、個性把握テストで規格外な記録を出し続けたカルナの試合ということで注目があつまる。

 

「ここまでの試合皆凄かったよね、ヒーロー組も敵組もさ。」

 

「ああ、皆素晴らしい試合だった。だからこそ俺達も彼らに見せれる戦いをしよう。では、行くぞ三奈。」

 

 炎に包まれ鎧姿にカルナはなった。前と違ったのは鎧と同じく黄金に輝く槍を持っていた事だろう。その事について三奈が聞くとカルナはこの槍も含めて自分の個性なのだと語った。

 

「三奈、はっきり言って今回の戦いの要はお前だ。俺の個性は真髄を発揮しようものなら辺り一面を吹き飛ばす事になる。」

 

「マジで!?でも、うん!任せてよ、そういう事ならアタシ頑張るからさ!」

 

「ああ囮と援護は任せてくれ。」

 

 

「まさか核の前で二人して待ち伏せだったとはな砂藤、口田。」

 

「!?」オロオロ

 

「陽神相手じゃ小細工したって無駄だと思ったからな。芦戸はどうしたんだよ?」

 

「俺の個性では巻き込みかねんから1階で待機してもらった。それにしても俺の実力を評価しておきながら真正面から来ようとはな、その心意気に敬意を示す。」

 

「そう言って貰えるのはうれしいぜ。口田守りは任せたぞ!俺は陽神を相手にするからよ!」

 

「!!」コクコク

 

 口田が核の前で震えながらではあるが守り、砂藤は個性【シュガードープ】を使って攻撃を仕掛けた。砂糖を摂取する事で力を数倍に高める個性でありカルナが槍で防ぐ度に轟音が鳴り響く。

 その光景に口田は安心し、砂藤は更にラッシュを続ける。カルナは防戦一方だ。その光景をモニター室で見守るクラスメイトが疑問に思う。

 

「カルナって近接が苦手なのか?その割には槍持ってるんだけどな。」

 

「そうですわね、先ほどから砂藤さんからの攻撃に防戦一方ですし。個性把握テストの時は炎を使っていましたし、炎あってのあの強さなのでは?」

 

「核があるからあんな馬鹿でかい炎を使えないって事か。ん?なら何で2人で攻めに行かなかったんだ?芦戸も結構身体能力は高かったんだぜ?」

 

「だよな、だって芦戸さっきから 扉の外で待機(・・・・・・)してるもんな。」

 

 

 カルナが防戦一方になってから数分が経過した。当事者である砂藤は違和感を感じていた。確かに構図としてはカルナの防戦一方、しかしカルナは全て何食わぬ顔で受け止め躱し受け流す。

 そして遂に砂藤に変調が来た。急激な倦怠感や眠気、これこそが【シュガードープ】のデメリット。早々に決めなくてはと焦り始めた時、

 

「今だ三奈!」

 

「まっかせてー!」

 

 カルナの合図を皮切りに突如芦戸がスケートの様に床を滑りながらドアから現れたのだ。芦戸三奈の個性【酸】体から酸を分泌して対象を溶かす個性。その酸を靴の裏に空いている穴から出して床を滑走したのだ。

 そしてこの時漸く砂藤達は嵌められたのだと気づいた。個性を使うと巻き込むからと言っておきながら個性など鎧と槍しか使っていなかったのだ。

 

「ひゃっほーい!!」

 

 そしてカルナの背をジャンプ台代わりに跳び上がり、核を守っていた口田を飛び越えて核にタッチした。

 

『試合終了!Eチームの勝利!』

 

「やったねカルカル!」

 

「ああ、三奈のお蔭で上手くいった。」

 

「もしかして、ずっと、これを、狙ってた、のか。」ゼハーゼハー

 

「ああ前もって口田が放ったと思われるネズミ達も炎で追い払っておいたしな。動物は炎をよく怖がる。」

「騙す様な真似をしたがこれも戦いの作法だ。俺も今回の事でこの様な屋内戦は苦手だと再認識出来た、故にお前達も今回の事を教訓にしてほしい。」

 

「ああ、それは勿論なんだが陽神だけでも勝てたんじゃないか?ずっと涼しい顔で捌いてたしよ。」

 

「!!」コクコク

 

 疲れ切った顔の砂藤と首が取れそうなほど縦に振る口田にカルナは

 

「確かに勝てただろうが、これはチーム戦だ。そこで俺単体の力で勝っても何の意味も無いだろう?」

 

 そう何気なく答えるのだった。

 




戦闘描写が本当に難しい。書いておきながらこんなのでホントにいいのだろうかと悩む今日この頃。
そしてまたしてもヒロインっぽく書けなかった三奈ちゃん。暫くは主人公とヒロインがイチャつくような作品を読んで勉強しようと思います。
いつもより長く書けて良かったです。

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