天空(そら)の彼方に響く旋律 -穢れた七世界の中で生き抜く戦士達-   作:室谷 竜司

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Episode13. ようやく俺にも念願のチームメイトができました!

 俺たち4人は、西7寮のエントランスまで戻ってきていた。

 そして、持っていた荷物一式を一度備え付けのテーブルの上に置く。

「改めてみても、結構買ったなぁ。 申請が受領されるまでどうしようかなぁ。 ちょっと考えなしすぎたかな……。」

「わたしの部屋に保管しておく……のはちょっと今は難しいかも……。」

「私の部屋なら空いていますよ。 3階の一番遠い部屋でよければですけど……。」

「あ、未来って303号室だったんだ。」

 ここにきて初めて未来の部屋番号を知った。まぁ、知ったところで何があるというわけでもないのだが。それでも、一応同じ寮生として知ってはおきたいだろ?特に理由とかなくても。

「はい。 そうなんです。」

「そりゃ、通りで気づかないわけだ。 俺、101だから。」

「そうだったんですね。 真反対の部屋では、気づかないのも仕方ありませんよね。」

「さっき、RSOの組織長には文句言ってきたから。」

「組織長さんと面識がおありで?」

「まあね。」

 俺はそう短く答える。未来も、ふむふむと頷くだけでそれ以上は聞いてこなかった。別に、俺の過去の話をしてもいいのだが、態々大っぴらにする必要もないだろう。聞かれたら答える、くらいがちょうどいい。

「うーん、それじゃあ、お願いしてもいいかな? 未来ちゃん。」

「わかりました。 では、後で私の部屋に持っていきましょう。」

「ありがとうね。 本当に助かります。」

 彼方の荷物についてもどうやらまとまったみたいだな。

「それでさ、みんな。」

 すると、小雪がおずおずと話を切り出してくる。俺を含め3人が小雪の方へと視線を送る。

「せっかくだからさ、今日みんなでお夕飯一緒にどうかなって思って。」

 小雪から発せられたのはそんな提案だった。

「おお、いいね! ワタシは賛成だよ!」

「ええ、私も賛成です。 とても楽しそうです。」

「うん、いいんじゃないかな。 でも、飯はどうするの?」

 全会一致だった。普段飯は一人で食べているので、誰かと一緒に食卓を囲むということは俺としても嬉しいものである。

 だが、そこで問題なのは、どうやって飯を用意するかである。宅配にするのか、誰かが作るのか、それともいっそのこと外食なのか。まぁ、挙げればいろいろあるな。

「その辺は任せてよ! わたしが作るから!」

 ドンと胸をたたいてみせる小雪。確かに昼間食べさせてもらったオムライスは滅茶苦茶うまかったから、そんな小雪の手料理をもう一度食べることができるというのは願ったりかなったりである。

 でもなぁ、それだと小雪一人に負担をかけてしまうことになりそうで、なんだか申し訳ない気もする。しかし、これだけやる気を見せている小雪に水を差す気にもなれない。

「いいのか?」

「もちろんだよ! わたしこれでも、料理は大好きなんだ!」

「お昼に食べたオムライスもすっごくおいしかったもんね。 また食べられるのは嬉しいなぁ。」

「そんなにおいしいんですか? それは気になりますね。」

 まぁ、小雪が大丈夫というのなら任せてしまっても問題なさそうだ。ところどころで手伝うくらいはしたいが。無論、手伝えることがあるのかどうかというのはわからないけどな。何せ、料理の手際には自信がないから。

「じゃあ、お願いしようかな。」

「お任せ荒れ! そしたらみんな、何が食べたい?」

 それから、俺たちは少しの間何が食べたいかを話し合うこととなった。これを決めておかないと、材料の買い出しに行くことすらできないからな。

 結果、定番……というべきかはわからないが、カレーを作ることで落ち着いた。

 そして、俺たちは夕飯の買い出しをするために再び外へと出ることになった。

 

 

「よし、頑張って作っちゃうよ!」

 買い物から帰り、材料を用意し終えた小雪は、キッチンにスタンバって気合を入れる。そんな小雪の格好は現在、白いエプロンを着用している。結構可愛らしいデザインのやつだ。いかにも女の子らしいな、ああいうの。眼福です。

 そんな俺たちだが、今いるのは小雪の部屋である。まぁ、当然と言えば当然かもしれない。それに、俺や彼方は昼間に一度訪れている。だが、よく考えるとここは異性の部屋である。今更になって緊張感がこみ上げてくる。

 こういう時に堂々としていられないのが情けない。どうしてこんなに臆病な性格になってしまったのか、本当に疑問である。

 きっと今の俺の状態を目にした世のプレイボーイ様方は、俺のことを「コイツ、童貞臭いwww」とか罵るんだろうなぁ。ど、童貞で何が悪いっていうんだい!童貞はすなわち穢れなき清純な状態ってことなんだぞ!

 くっ、言い訳している自分が悲しくなってくる……。

「みんなは、辛いの好きかな?」

 キッチンから、小雪が不意にそんなことを聞いてくる。

「うーん、あんまり辛すぎるのは無理かな、ワタシは。 激辛じゃなければ平気だよ。」

 その問いに最初に答えたのは彼方だった。女性に対する偏見が多くて申し訳ないのだが、俺の中で女性は総じて辛いものに強いというイメージがある。だから、彼方の回答を少しだけ意外に思ってしまった。だが、普通はそんなものなのだろう。

「私は……、すみません、辛いのは少し苦手で……。 多少なら問題ないんですけどね。 でも、皆さんにお任せします。」

 もっと意外な答えが返ってきた。天留さん、辛いものとか普通に食べられそうなものだと、勝手に想像していたので、俺は思わず驚きの声を挙げそうになる。

「あっはは、奇遇だね、未来ちゃん。 実はわたしも、辛いのはあんまり食べられないんだ。」

「そうだったんですね。 よかった、私だけじゃなくて。」

「じゃあ、レンくんは?」

「俺はまあ、人並みくらいには食べられるかな。 彼方と同じで、激辛レベルになると厳しいものがあるけど。 それに、そこまで辛い物を好んで食べないしな。」

「ワタシもそうかも。 だから、今日作るカレーはあんまり辛くないのでいいんじゃないかな。」

 俺も彼方も、辛くないカレーに賛成する。

 日本風のカレーは辛くない方がおいしいと感じることもあるし。流石に、インドカレーは辛いに限るけど。

「了解。 それじゃあささっと作っちゃうね。」

 そう言って小雪は、準備していた材料を一口サイズに刻み始める。そこだけ見ても、手際が良いことがよくわかる。手慣れてるな。

「小雪ちゃん、何か手伝おうか?」

「うーん、それじゃあそこにおいてある鶏肉を軽く痛めてもらってもいい?」

「はいはーい。 これだね。」

 キッチンに入った彼方は軽く手を洗うと、パックに入った鶏肉に手を伸ばし、コンロにセットされていたフライパンに入れていく。

 そして、コンロに火を点け、鶏肉を炒め始める。

 そんな彼方も手際が良かった。もしかして、彼方も料理が得意だったりするのだろうか。うらやましい限りだ。

「出遅れてしまいましたね。」

「だな。 でも、俺が手伝おうとしても正直邪魔にしかならなそうだったから。」

 キッチンに視線を向けながら、俺は自嘲気味に笑う。

「お料理が苦手なんですか?」

「得意じゃないかな。 未来は?」

「実は私、火事が苦手なんです。 だから、普段はどうしても簡単に作れるものしか食べていないんですよね。」

「そうなんだ。 俺もそんな感じだよ。 レトルトって、ホント楽だよなぁ。」

「わかります。 つい頼ってしまいますよね。」

 どうやら、話が分かる人だったみたいだ。

 にしても、未来が料理できないっていうのは少し意外だ。割と何でも器用にこなせそうなイメージがあったもんでな。

 そのまま二人で、キッチンをせわしなく動き回る彼方と小雪の姿を遠い目をしながら見つめていた。

「彼方ちゃん、ニンジンってこのくらいの大きさで大丈夫だと思う? わたしはいつもこんくらいだから、他の人はどうかなって思ってさ。」

「うーん、そうだねぇ……。 ワタシはそれくらいでいいと思うよ。」

「ホント? オッケー。 そしたらこのまま切っちゃうね。」

「うん、よろしく。 その間にワタシは、お湯でも沸かそうかな。」

 きっと、あれだけ手際よく料理ができれば、もう少し料理を楽しいと思うことができるんだろうなぁ。あの二人みたいに。

「あ、そうでした、レン君。」

 不意に、未来が何かを思い出したように俺に話しかけてくる。

 俺は首をかしげながら、未来に視線を戻した。

「彼方さんは、これからどうなさるんですか? 確か、沖月には通うんですよね? それまで、どちらで寝泊まりをされるのでしょうか。」

「あー、そのことか。 一応、昨日は成り行きで俺のところに留めちゃったけど、できれば未来化小雪のどちらかに頼みたいんだよな。 流石に、同室に男女一緒にってのはちょっと心配だから。」

「レン君なら信頼できると思いますけどね。」

「うーん、ちょっと微妙かも。 彼方、少し常識が抜けているというか、無防備すぎるときがあるんだよね。」

 俺は昨日会ったことを思い出しながら、未来に不安要素を伝えた。

「なるほど、流石のレン君でも意識してしまうってことですね。」

「ま、まぁな。 昨日もいろいろあって……。」

 俺は深いため息を吐く。やはり、異性と同室で二人きりというのは、どうしても気を張ってしまって、精神的疲労が激しい。

 あと、俺の理性がどこまで続くのかもわからない。正直、いつ我慢の限界が来てもおかしくない状況にあるということは自覚している。

「あらあら、相当お疲れのようですね。」

 未来が心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。

 その優しさが、なんだかとても嬉しかった。

「やっぱりわかるよな。 結構、ハプニング多かったんだよ。」

「でも、そういうの男の子的には嬉しいものなんじゃないんですか?」

「どうかなぁ。 実際目の当たりにしてみると、やっぱり焦るよ。 嬉しくないって言ったら嘘になるけど。」

「フフッ、やはりレン君もちゃんと男の子なんですね。」

「そりゃそうです。」

 つい、恥ずかしいことまで話してしまった。

 でも、今まで異性との接点がなかった俺からすると、昨日今日の出来事はとても刺激的だった。そりゃもう、ものすごくな。これが世にいう、ラッキースケベというものなのだろうか。

 今でも、彼方とのハプニングのあれこれを鮮明に思い出すことができる。経験ゼロの俺からすれば、刺激が強すぎる。俺の意思とは関係なく、身体の一部が反応してしまいそうになる。いや、流石にここではまずい……。

 俺は脳裏にちらつく彼方の姿を振り払う。

「どうかしましたか?」

「い、いや、なんでもないんだ。」

「そうですか。 あまり無理はなさらない方がいいと思いますよ、私は。」

 この人、絶対今の俺の状況を見透かしている。口角少し上がってるし。くそぉ、なんかいじられてばかりだな、ホント。もしかして俺、自分で思っていたよりいじられ属性アリなのかな……。

 このままだと、また彼方の痴態を思い出しかねないので、なんとか話を変えたいところだ。つっても、なんかいい話題あったかなぁ……。というか、コミュ障(仮)の俺が他人と会話する時点で珍しいこと過ぎて、乾いた笑いがこみ上げそうになる。

「あ、そういえばさ、昨日5限自習だったじゃん。 そん時に未来、なんか本を読んでたように見えたんだけど、何四で他の?」

「あー、あれですか。 実は私、リージェルに関する実験器具とか機械とかに興味があるんです。 昨日読んでいたのは、そのカタログですよ。」

 ほほう、こりゃまた珍しい。というか、そんなカタログが世の中に出回っていたのか。初めて知った。

「へえ、どんなのがあるの?」

 興味本位で聞いてみることにした。

「例えば、リージェル発見当時に組み立てられたリージェル検出装置と、現代の検出装置の違いだったり、これまで作られてきた実験器具の数々だったりが掲載されているんですよ。 こういうのって、眺めているだけでも楽しいんですよね。」

「なるほどね。 確かに、見ているだけで楽しいものってあるよね。」

「そうなんですよ。 いつか、私自身もこういう研究だったり実験に携わりたいって思っています。 ささやかな私の夢です。」

「夢か。 なんかいいな、そういうの。」

 そういえば、俺には夢なんてもの、あっただろうか。リージェリストであることが発覚する前も、発覚してからも俺は遠い未来を考えたことなんてなかったような気がする。ただ目の前のことだけに意識を向けていた。成績優秀者になったのだって、特にこれからのことを見据えていたわけでなく、ただ自分の今の現状が嫌になっただけだったわけだし。

 だから、そんな夢を持つことができている未来がとても眩しく見えた。

 俺にも、これからを生きる糧が生まれるのだろうか。このまま、何もなしという状態で学生生活は終えたくない。せめて、自分にとって本当に大切な何かを見つけたい。もちろん、友人は大切な存在だ。けど、それだと何か違う。

 やはり、具体的なものは思いつかない。けど、対抗戦に参加することによって、何かを見つけることができるかもしれない。

 そのためには、早くチームメイトを見つけないとだよなぁ。先が思いやられる。

「おや? どうかなさいましたか?」

 またもや心配そうな表情で、未来が俺を気遣う言葉をかけてくれる。

 つい、ため息がこぼれてしまった。気を付けないとな。

「あ、いや、なんでもない……ってわけじゃないんだけど……、そんな大したことじゃないんだ。」

「私でよければ、お話し聞きましょうか?」

「うーん、それじゃあ……」

 俺は一呼吸おいてから、チーム対抗戦のことを話すことにした。

「実は今、対抗戦のチームメイトを探してるんだ。 けど、なかなか見つからなくてな。 去年は同じクラスだったから、愛葉たちと組めたんだけど、今年はそうもいかなくてさ。 このままだと、今年はあきらめたほうがいいのかな。」

「対抗戦ですか。 私は去年、観客側に回っていましたけど、見ていたら自分も出てみたくなってしまうみたいで、実は私もチームメイトを探していた李します。 ですが、私も芳しくないんですよね。」

「そうだったの? え、本当に?」

 驚いた。未来も参加しようと考えていたとは。

 というか、何故それを思いつかなかったんだ……。すぐ近くにいたじゃないか……。

「ええ、本当ですよ。」

「それじゃあさ、俺と組まない? 未来がよければ、だけど。」

「いいんですか? 私としてはとても嬉しいのですが……。」

「利害の一致ってやつだよ。 俺、未来とチーム組みたい。 だから、頼む。」

 俺は頭を下げる。できる限り、自分の誠意を伝えたかった。

「そんな、頭を挙げてください。 断るつもりなんてありませんから。」

「マジ?」

「こんなことで嘘はつきませんよ。 こちらこそ、よろしくお願いします。」

「ありがとう、未来。 よろしくな。」

 俺と未来は握手を交わす。

 思った以上に早く見つけられることができて、俺は少し安堵する。

 しかし、まだ一歩を踏み出せただけで、本当のチームメイト探しはここから始まる。何せ、チームを結成するにはあと5人必要なのだから。

「はぁ、よかったです。 やっと一人、チームメイトが見つかりました。」

「俺もだ。 さて、あと5人集めないといけないな。」

「そうですね。 なんとか集まるといいんですが。」

「ん? 何の話?」

 そこに、キッチンから戻ってきた彼方が声をかけてくる。

 隣には小雪もいるようだ。

「ああ、チーム対抗戦の話だよ。」

「チーム対抗戦? 何それ?」

「あー、あれかぁ。 えっとね、わたしたちが通う沖月には、毎年の恒例イベントがあるんだ。 それがチーム対抗戦って言うんだよ。」

「そんなのがあるんだ。 へえ。」

 小雪の説明に、彼方は興味深げに相槌を打つ。

「そっか、レンくんもチームメイト探してたんだ。 でも、あれ? たまに勧誘みたいなことされてなかった?」

「あ、ああ、知ってたんだ。 結局、全部断ってる。」

「え、どうして?」

「目が嫌なんだよね、あいつらの。 なんというか、身勝手な欲望丸出しでさ。」

「そうなんだ。 で、未来ちゃんと今チームを組んだと。」

「ええ、そういうことです。」

 未来は頷いてみせた。

 まだ二人だけだが、この調子なら何とかなるだろう。そんなことを俺が考えていると、小雪が再び口を開いた。

「そっか。 そういうことなら、わたしも出てみようかな。」

「と、言いますと?」

「わたし、これまではリージェルとかレジェリザムの存在が怖かったんだ。 だけどね、ちゃんと向き合っていきたいって思えるきっかけがあったんだよ。 だから、わたしも対抗戦、出てみようかなって思ったの。」

 小雪が一瞬、こちらを見た気がしたけど、気のせいか?

 まぁ、それはそれとして、リージェルと向き合うきっかけか。少し気になりはするが、あまり安易に踏み込むのもよくないだろうし、詮索するのはやめておこう。

 俺は静かに、小雪の次の言葉を待つ。

「だから、わたしも入れて。」

 案の定、小雪の口から発せられたのは、そんな言葉だった。

 というか、今の流れ的にこれ以外ありえないだろう。

 だから俺は……

「そう言うと思ったよ。 大歓迎だ、小雪。 これからよろしくな。」

 という言葉を返した。

「よろしくお願いしますね、小雪さん。」

「うん、よろしくね、二人とも。」

「いいなぁ、なんか楽しそう。 その対抗戦っていうのはさ、リージェル特有の異能力……、レジェリザムだっけ? それを使って戦うの?」

 まだ転入手続すら終えていない彼方は、取り残されて少し寂しげな表情を浮かべながら、対抗戦について気になることを質問してくる。

「まぁ、基本的にはそうだな。」

「そうなんだ。 レジェリザムって、すぐに使えるようになるかな? ワタシもみんなの仲間に入りたい。」

「個人差はありますね。 でも、早ければ1日2日で使えるようになると思いますよ。」

「ホント!?」

 彼方が目をキラキラと輝かせながら身を乗り出してくる。

「うん、未来ちゃんが言ったことはホントだよ。 ちなみに、彼方ちゃんって、自分のレジェリザムが何かとかわかる?」

 小雪が彼方へと質問を返す。

「えっと、診断を受けた時は確か……、特殊魔法……とか言われた。 えっと、何だったっけなぁ……、あ、そうそう、星魔法!」

 特殊魔法、か。結構珍しい能力だな。

 レジェリザムにはいろいろな種類があり、魔法なんかも存在する。魔法は主に、属性魔法と特殊魔法の二種類に分けられる。

 属性魔法は、火・水・風・土・光・闇・雷の計7種類。特殊魔法は、この属性に合致しないような魔法のことを言う。また、特殊魔法には、これら7種類の属性の混合魔法なんかも存在する。

「特殊魔法かぁ。」

 小雪が頬に手を置いて何やら考え事をしている。

「どうかしたの? 小雪ちゃん。」

「わたしもね、実は特殊魔法が使えるんだけど、ちゃんと使えるようになるまでに少し時間がかかっちゃったんだ。」

「そうなんだ。 うーん、大丈夫かなぁ。」

「でも、なんとなく感覚は覚えているから、教えてあげられると思う。 だから、一緒に頑張ろ!」

「うん、よろしくお願いするね!」

 二人が顔を見合わせてファイティングポーズをとる。とても微笑ましい光景に、自然と俺の頬が緩むのが分かった。

「ってことは、彼方もチームメイトとして数えていいってことだよな?」

「うん、そうしてもらえると嬉しいかな。」

「よし、わかった。 彼方も、よろしくな。」

「よろしくお願いします。」

「よろしくね!」

「うん、よろしく!」

 そんなわけで、チームメイトは思った以上にあっさりと、3人も見つかってしまった。

 あと、残るは3人。意外にも大きな第一歩目を踏み出すことができたのではないだろうか。順調という言葉がしっくりくるくらいに。

 俄然、やる気がわいてきた。こうなったら、意地でも対抗戦に出場してやろうじゃないか。

 俺の闘志に火が点いた瞬間だった。


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