天空(そら)の彼方に響く旋律 -穢れた七世界の中で生き抜く戦士達-   作:室谷 竜司

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Episode26. 西7メンバー+αで焼肉パーティーをすることになりました。

「ねえねえ、せっかく響ちゃんとアリスちゃんがチームに加わったんだし、みんなでパーティー的なことしない?」

 特訓を終えるとすぐに、彼方からそんな提案が飛んできた。

「響ちゃんも一人暮らしだったよね?」

「はい、そうですけど……。」

「パーティーかぁ。 楽しそうだね! アタシは賛成!」

「そうですね。 食事は、一人よりも皆さんと一緒の方が楽しいですからね。 そういうことなら、是非私も参加したいです。」

 アリスと星永さんが、彼方に同意の意を示す。まぁ、星永さんは結局俺が家まで送っていくつもりだったし問題ないだろう。俺と彼方・小雪・未来に関しては、昨日も集まって食事はしたが、こういうのは何度やってもいいものだしな。

「俺もそれでいいと思う。 小雪と未来は?」

「いいよ。 やろやろ。」

「ええ。 私も賛成です。」

「うん、まとまったね。 じゃあ決まり!」

 全員からの同意を得た彼方は、嬉しそうに頷いた。

「んで、何をするの? またなんか作る?」

 小首をかしげながら、小雪が全員に問いかける。確かに、小雪の料理は滅茶苦茶おいしいと思う。だが、流石の小雪でも、この6人分の夕食を用意するというのは大変なのではないだろうか。昨日から立て続けに小雪にばかり食事を用意させるというのも、こちらとしては心苦しくも思うしな。それに、今日は対抗戦に向けての特訓だって行っていたのだ。疲れだってあるだろうし、今日は小雪にもゆっくり休んでほしいと俺は思っている。だから俺は、みんなに一つ提案をしてみることにした。

「小雪も今日は疲れてるだろ? だからさ、今日は焼肉パーティー的なのをやらないか? ホットプレートなら用意できるから、エントランスででもどう?」

 焼肉なら、特に料理の腕とかは関係ないだろう。それならば、小雪も少しくらいは休むことだってできるはずだ。それに、激しい運動とは言えなくとも、特訓で少なからず身体を動かしているので、今日はがっつり行きたい気分だと思う。まぁ、あくまで男の感性であって、女はどうなのかわからないけど、少なくとも、腹は減っているはずだろう。そういったことを考えての焼肉である。

「あっ、いいねそれ! ちょうどお腹も減ってたからねぇ。」

「肉!? アタシも食べたい!」

「焼肉ですか、いいですね。 それなら、料理できない私でも少しはお手伝いできそうですし。 小雪さんにお任せしてしまうのは心苦しく思っていたところですからね。」

「わたしのことは気にしなくてもいいんだけどね。 でも、焼肉かぁ。 最近食べてなかったし、いいかもね。」

「はい、なんだかとても楽しそうです。」

 うん、これは全員同意とみてよさそうだな。そうと決まれば、まずは買い出しだな。肉やら野菜やらを買ってこないと始まらない。

「よし。 それじゃあ買い出しに行ってくるよ。 みんなは休んでいてくれ。」

「えっ、そんな、レンくん一人に任せるなんて悪いよ!」

「アタシ、まだまだ元気あるよ? ついていくよ。」

「わ、私も、ついていきたいです。」

 おっと、これはどうしたものかなぁ。買い物なら、俺のテレポート能力があるからすぐに終わるんだよなぁ。あ、でも、誰か一人くらい連れて行った方がいいのかな?俺の一存だけで買うものを決めるのも変な話だしな。それに、小雪辺りを連れていけば、何か良い食品の見分け方みたいなものも教わることができるかもしれないし……、って、それだと本末転倒か。せっかく小雪を休ませようと思って提案したのに、結局それでは小雪に働いてもらうことになってしまうからな。うーむ、どうしようか。

「もしかしてレンくん、テレポート使おうとしてるの?」

「あ、まぁね。 その方が楽だし。」

「でしたら、レンくんとあと誰か一人が買い出しに行く、というのはどうでしょう? それで、残りの人たちで、その後の作業を分担する。 そうすれば、誰か一人が大きな負担をすることもないと思いますよ。」

 まぁ、一理あるか。それでいいのか?俺には何とも言えないな。でも、変に気を使いすぎても、逆に仲間外れにされた感があるかもしれないし、そういうことを考慮するとなると役割分担をするというのが一番しっくりくるのかもしれない。流石は未来、こういう時の冷静さはとても心強い。

「なら、そうしようか。 んじゃ、誰か一人ついてきてくれ。 誰でもいいよ。」

 本音を言えば、小雪がいいのだけど……、そんなことを言うと未来がまた俺のことをからかってきそうだしな。あえて黙って成り行きに任せることにした。

 なんて考えつつ、彼女らに視線を向けてみると、誰一人として口を開こうとしていなかった。しかも、彼方・小雪・星永さんからは、何とも威圧的な雰囲気が感じられる。何だコレ、もしかして譲り合い……、いや、押し付け合いか?えっ、俺と二人で買い出しに行くの、そんなに嫌なのか?いや、それは流石にないということは俺でもわかる。少なくとも、この子たちはあからさまに人に対して嫌悪感を抱くような子たちじゃない……と思う……。星永さんやアリスに関しては、出会ってまだ数時間の仲なので何とも言えないけど……。それでも、今までの俺への態度から見ても、どうも拒絶されていたり嫌われているということはないように思える。心の中でどう思われているのかはよくわからないけど。

 だとすると、この子たちが急に押し黙って相手の出方を見るような態度をとっているのはどうしてだろうか。それと、未来に関してはいつものにやけ顔に戻っているし。何かまた面白いことでも見つけたのだろうか?そんな未来の様子に気付いたのか、それまで首をかしげて他の子たちの様子をうかがっていたアリスもなんだか楽しそうな表情を浮かべ始めた。

「フフッ、では私がレン君と買い出しに行ってきましょう。」

 そんなからかうような口調で、未来はピシッと手を挙げる。すると、それまで押し黙っていた三人は途端に目を見開いて、未来の方へと視線を向ける。すると、未来はなんか挑発的な視線で三人を見返している。

「レン君と二人で、お買い物デートに行ってきますね。」

「デート!? ただの買い出しだろ!?」

 未来の言葉に、俺は思わずツッコんでしまった。夕食の買い出し程度でデート扱いはどうなのだろうか?いや、もしかして、買い出し程度でもデートになってしまうのか?だからこの三人は渋っていたのだろうか?

「力には自信あるし、アタシが行こうかなぁ。 ミライ、どうする?」

 俺のツッコミはスルーされた模様。しかも、未来に乗っかるようにしてアリスも手を挙げる。うん、この子らはただただからかっているだけだな。よく考えれば、表情一つでそんなのはお見通しだっての。きっと、デートと言うのも冗談なのだろう。まぁ、この状況でそんな冗談をいう意味は俺にはよく理解できないけど。

「わ、私が行きます! せめてこれくらいはさせてください!」

 すると、何かに突き動かされるようにして、星永さんが買い出し係に立候補した。なんだろう、デートという言葉に感化されたようにも見えたが……、俺の気のせいだろうな。なんだかんだで星永さんも律儀というか、受けた恩はすぐに返したいと考える子みたいだしな。一応、荷物運びとかもあるから、一番大変そうなこの買い出しの係に立候補したのだろう。でも、そんなに気にすることじゃないと思うんだけどなぁ。

「それなら、ワタシが行くよ! せっかく匿ってもらってるのに、何もできていない気がするから。 せめてこれくらいはしたいな。」

「わ、わたしが行こうか? お買い物には慣れてるし。」

 立て続けに、彼方と小雪が手を挙げる。彼方の言い分もわからなくはないけど、やっぱり気にするようなことではないように思ってしまう。それならと、俺は小雪に視線を向ける。確かに、小雪が来てくれれば心強くはある。せっかく立候補してくれたのだから、このまま小雪と二人で行ってこようかな……。いや、でもなぁ、小雪に力仕事を押し付けてしまうのはどうもなぁ。

 うーむ、どうしたものかなぁ。もう、こうなったら手っ取り早くじゃんけんかなんかで決めたほうがよさそうだ。

「んじゃあさ、もうじゃんけんで決めよう。」

 そんなわけで、買い出し担当を巡った女子たちのじゃんけんが始まった。

 つっても、決着は一瞬にしてついたんだけどな。

「あっ、勝っちゃった。 なら、アタシで決まりかな。」

「あら、一瞬でしたね。」

 アリスの一人勝ちだった。じゃんけんが強いのかな?いや、でもあれって運要素強いし、狙って勝てる者ではないよな?ということは、アリスは運がいいのかもしれない。いや、からかいのための立候補だっただけで、実際は行きたくなかったなんてこともあり得るな。運は悪いのか?よくわからないな。

 そして、あっさりと敗北を期した彼方・小雪。星永さんの三人は、しょぼんと落ち込んだ様子を見せていた。いや、どうして?

「まぁ、決まったことだし、さっさと行こうか。」

「ほいほーい。」

 これ以上考えても、余計に混乱してしまいそうだったので、俺は思考を放棄してさっそく買い出しに出発するためにアリスに声をかける。アリスも特に嫌な顔を見せることなく返事をしてくれた。うむ、俺の考えすぎだったのかもしれないな。

「では、お願いします。」

「い、いってらっしゃい、二人とも。」

 なんて感じで残りのメンバーに見送られながら、俺とアリスは買い出しのためにテレポート能力を使っていつも利用しているスーパーまで飛んだのだった。

 

 

「わぁ、やっぱりコレすごいね! 一瞬で景色が変わっちゃった!」

「まぁ、便利だとは思う。」

 改めてテレポート能力をその身で実感したアリスは、何とも楽しそうな声色ですごいすごいとはしゃいでいる。うん、こういう反応をされると、たとえ自分の能力でなかったとしてもなんだか照れくさく感じてしまうな。俺はそんな感情をごまかすように、しきりに感心しているアリスに対してそっけない言葉を返す。

「それで、ここが目的のお店?」

「ああ。 ってか、アリスは今日ここに来たんだよな? テレポート使わずに、道案内してやればよかったな。 失念してたよ、申し訳ない。」

「いやぁ、そんなことは気にしないでいいってば。 アタシ、お腹すいたから早くお肉食べたい!」

「まぁ、それもそうか。 そんじゃ、チャチャっと買い物済ませて戻ろうか。」

 というわけで俺たちはスーパー内へと足を踏み入れた。日曜日の夕方はやはり混んでいるな。いくらリージェリストしかいない月銀島のスーパーとは言えども、この時間は流石に混雑するものである。

 俺とアリスは肩を並べて店内を移動する。必要なものは肉と野菜だな。俺はスマホを片手に、もう片方の手には買い物籠を持っている。何がほしいか、小雪と連絡を取り合って決めているところなのだ。なんだかんだで頼れるのは小雪だからな。というか、なんかいつの間にか小雪に依存してしまっている気がしてきた。

「ふむ……。 アリス、野菜のコーナーに行こう。」

「あ、うん。 わかった。」

 小雪からの返信をもらった俺は、アリスを連れて野菜売り場まで移動することにした。その道中、俺はずっと気になっていたことをアリスに聞いてみることにした。

「そういえばさ、アリスって日本語ペラペラだよな。」

「まぁね。 昔から日本が大好きだったの。 だからかな。 日本語はすぐに覚えられたんだ。 アタシ、勉強は苦手なんだけどね。」

「なるほどね。」

 先ほどのアリスの発言から、実家であるアメリスタ家が嫌いだということはなんとなくわかった。恐らく、そういった嫌なことからの逃避行動の一つとして日本文化に没頭していたのだろう。その過程で日本語を覚えたということだろうな。

「日本に到着したのも今日なのか?」

「ううん。 昨日着いたんだ。 んで、東京を観光……、というかぶっちゃけアキバに行ってたんだ。」

「あー、あそこね。 どうだった?」

「もうサイコーだったよ! やっぱり日本はいいところだね!」

 昨日のことを思い出して、アリスは楽し気に身体を揺らす。当然、トレードマーク……と思っているのは俺だけかもしれないが、金色のサイドテールも愉快に揺れ動いている。そういえば、金髪であることを気にしていなかった。けど、確かアリスは後天性だとか言っていたはずだ。なので、アリスの金髪は西洋人の資質というやつなのだろう。

「ほへぇ、結構品ぞろえいいんだねぇ。」

「だろ? かなり助かってるんだよね。」

「って言っても、アタシはあんまり使わないんだろうなぁ。」

「どうして?」

「アタシ、料理とか全然できないからね。」

 料理ができないのか。こういうところはお嬢様気質だな。まぁ、指摘したら本人が嫌がるだろうから、あえて何も言わないけどさ。

「これと、あとは……これとこれを……」

 なんて感じで、小雪と相談して決めた食材を買い物かごの中に入れていく。南瓜だったり人参だったり玉葱だったり、なんというかバーベキューのメニューだな。まぁ、焼肉もバーベキューも大差ないか。

「よし、次は肉だな。」

「イェーイ! 肉だぁ!」

 子供のようにテンションを挙げるアリスを引き連れて、次は肉売り場まで移動する。なんというか、子供と一緒に買い物に来ている親の気持ちってこういうものなのかな。いや、ほしいものを強請られたりしないから、ちょっと違うかもな。

「そういえば、日本には一人で来たのか?」

 またしても、気になったことを聞いてしまう。

「違うよ。 ウチ、三姉妹なのは知ってる?」

 聞いたことがある。まぁ、アメリスタ家は有名だから、そういった情報も案外出回っているんだよな。俺は首を縦に振って、アリスに話の続きを促した。

「んでね、アタシは三女なんだけど、一つ上のお姉ちゃんも実はリージェリストだったんだ。 だから、お姉ちゃんと二人で日本に来たんだよ。」

「へぇ、そうだったのか。 んで、アリスの姉はどこに?」

「アタシとは別の寮になっちゃったからね。 確か、東棟4番寮とか言ってたと思う。 エミアお姉ちゃんもアタシと同じでね、アメリスタ家の方針には反対してるんだ。 だからね、昔からアタシはエミアお姉ちゃんにべったりだったんだ。 今回の留学に見せかけた家出もね、お姉ちゃんは嫌な顔一つせずに賛成してくれたんだ。 すっごく頼りになるんだよ。」

「そっか。 いいお姉さんなんだな。」

 姉妹そろってリージェリストであることが発覚するケースは珍しい。家の方針に背いていたのも、もしかするとリージェリストとしての本能的な何かだったのかもしれないな。そんでもって、肉親の中で唯一話が通じる相手だったからこそ、アリスは姉を心のよりどころにしていたのかもな。

「ちょっと心配だな。 アリスの姉さん。」

「心配? それってどういうこと?」

「俺たちみたいな比較的穏便なリージェリストって珍しいんだよ。 基本的にリージェリストに仇成す存在は憎い、って感じの考え方をする人が多いんだ。 もし、俺たちのような考え方をする人がお前の姉さんの周りにいなかったとしたら、もしかしたら精神的にかなり追い込まれてしまいかねないなって思ってさ。」

「そ、そっかぁ。 まぁ、それが普通なんだよね……。 むしろ、レンたちに受け入れてもらえたアタシはかなり幸せ者だと思う。 お姉ちゃん、負けん気が強いところがあるから、変に気を張っちゃいそうで心配だなぁ。」

 せめて俺たちと同じ寮だったら多少はマシだったかもしれないが、どうしたものか……。東4寮には、これといった知り合いはいなかったはずだしなぁ。まぁ、何事もないことを祈っておこう。

「って、あれ? エミアお姉ちゃん?」

 不意に、アリスがそんなことを呟く。

 俺は慌ててアリスの視線を目で追っていた。すると、そこにいたのは、アリスと同じ金色の毛髪を揺らした、アリスより少し背の高い女だった。もしかして、あの人がアリスの姉さんなのか?

 向こうもこちらの存在に気付いたのか、ゆっくりとこちらに近づいてくる。何というか、アリスとは根本的にまとう雰囲気が違うことが、離れていてもはっきりわかる。なんかこう……、大人っぽいって感じ……?

「あら、アリスちゃんじゃない。 偶然ね。」

「うん。 お姉ちゃんもお買い物?」

「そうよ。 買い出ししないと何もないんだもの。 それで、そちらの方は?」

「えっと、始めまして。 神奈和レンと言います。 アリスと同じ寮に住んでます。」

 アリス姉がこちらに視線を向けてきたので、俺は居住まいを正して名前を名乗った。アリス姉は、二度、三度と頷いてから、再びこちらに視線を戻す。

「そうなのね。 妹をよろしく頼むわね。 っと、忘れてたわ。 ワタシの名前はエミア=(フレミナ)=アメリスタよ。 妹共々、これからよろしくお願いね。」

 そう言ってアリス姉改めエミアさんはペコリと一礼する。なんだかんだ言っても、やはりお嬢様なのだろう。その所作の一つ一つがとても綺麗だった。

「ええ、こちらこそよろしくお願いします。」

「安心したわ。 アリスちゃんにちゃんとお友達ができて。 前のところじゃ、勉強と訓練に夢中で、ろくな交友関係もなかったんだもの。 こっちでもそうなっちゃうんじゃないかって心配してたんだから。」

「えっ、アリスがですか?」

「そうよ。 まぁ、気持ちはわからなくはなかったんだけどね。 すぐにでも実家を抜け出したかったんでしょうね。 家出の話はアリスちゃんから聞いたのかしら?」

「あ、はい。 聞きました。」

「そう。 でも、アナタのような方がアリスちゃんのお友達になってくれるのは、姉としても嬉しいわ。 どうかこの子をよろしくね。」

 そう言って柔らかく微笑むエミアさん。その表情からも、とても妹思いだということがわかる。俺は、アリスがうらやましく思えた。こんないいお姉さんがいるなんて。

「エミアさん、でいいですか?」

「ええ。 構わないわ。」

「エミアさんも、いつでもうちの寮を訪ねてください。 歓迎しますから。 恐らく、沖月の学生からの風当たりはあまりよくないでしょうし。」

「あら、ワタシにも気を遣ってくれるのね。 そういうことなら、そうさせていただくわ。 ありがとうね、レン。」

「もしお時間があるようでしたら、今から西7寮に来ませんか? これから俺たち、焼肉パーティーをするんですよ。」

「え、でも迷惑じゃないかしら?」

 エミアさんは遠慮気味にそう言った。

「そんなことないですよ。 さっきも言ったじゃないですか、歓迎するって。 それに、人数は多ければ多いほど楽しいですからね。 もちろん、無理にとは言えませんが。」

「そ、そういうことならお言葉に甘えさせてもらおうかしら。」

「わぁい! お姉ちゃんも一緒だ!」

 いや、うん。エミアさんが大人っぽ杉るのか、アリスが子供っぽ杉るのかわからないな。いや、どっちもか。周りの人にはどんな風に見えているのか……。もしかすると、家族か何かと勘違いされていそうだな。

「はいはい、嬉しいのはわかったから、あんまりはしゃがないの。 ここ、お店の仲よ。」

「あっ、ごめんなさい。」

 マジで仲のいい拇指に見えてきた……。

「そうしたら、また後で西7寮にお邪魔させていただくわね。 ひとまずお買い物をオワラセナイト。」

「わかりました。 お待ちしてます。」

「ええ、ありがとう。 それじゃ、またね。」

「うん、後でね、お姉ちゃん。」

 そう言うと、エミアさんは別のコーナーまで行ってしまった。

 アリスと同じで、エミアさんも日本語が堪能だった。エミアさんも、日本文化に興味があるのかもな。

「あれがアタシのお姉ちゃんだよ。」

「背丈はあんまり変わらないのに、アリスよりずっと大人びて見えたな。」

「えー、何それ!? まるでアタシが子供みたいな言い方だよ!?」

「いや、間違ってないだろ。」

「ひどっ!? ア、アタシだって大人だし……。 こんな風に……。」

 そう言うとアリスは、俺の右腕に自分の左腕を絡めてきた。

「お、おいっ!? 何やってるんだよ!?」

「子供じゃない証明だもん。」

 いや、まぁ確かに子供じゃありえないボリュームのものを抱えておりますがね。そういえば、エミアさんもなかなかスタイルがよかったように思う。流石は西洋人といったところだろうか。って、そうじゃないだろ……。

「わかったから放してくれ。 動きづらいから。」

「ぶぅ、わかったよ。」

 ようやく俺の右腕は解放された。一瞬、柔らかい感触が離れていくことに対して喪失感を抱きかけたが、何とか踏みとどまる。

「ったく……。 ほら、買うものはそろったから会計してさっさと帰るぞ。」

「はーい。」

 そんなわけで俺たちは、早々に会計を済ませて帰路に就くのだった。って言っても、テレポート能力を使うから、帰路も何も一瞬なんだけどな。


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