今回は友奈・一目連フォームの初戦闘回です
本日二度目となる樹海での戦闘。
友奈は前回の倍以上のバーテックスの群れを相手に圧倒していた。
「オリャーッ!」
友奈がおもいっきり拳を突きだすとそこから暴風が吹き荒れ星屑達を吹き飛ばす。
すると、近くにいた進化体がラグビーのボールに似た物体を飛ばしてくる。たが、飛んでくるスピードはさほど速くなかったため友奈は危なげなく避けた。飛んできたものは、そのまま地面に落ちて、爆発した
「うわぁ…あれ爆弾なんだ…」
爆発したところを見るとクレーターになっていた。
(爆発の威力もかなり強そうだ……って!)
「あぶなっ!」
爆心地をばかり見ていたためかいつの間にか接近していた星屑に噛まれそうになる友奈。
慌てて避けて星屑を殴って吹き飛ばすと今度は爆弾が飛んでくる。友奈はそれをまた避けるがその時、友奈はあることを思い出した。
(あ…そう言えば樹海のダメージって現実の世界に反映されるんだった……じゃあ、避けたらヤバくない?)
そこまで考えた途端友奈は血の気が引いた。ヤベーイッ!と思いながら友奈は頭を抱えた。
(ど、どうしよう!避けたらダメだし、叩いたら爆発しちゃうし!ほんとどうしたら…)
この間にもさらに爆弾が飛んでくる中、突進してきた星屑を暴風で吹き飛ばす。その光景を見て友奈は閃いた
(そうだ全部まとめて風で吹き飛ばしちゃえばいい!)
それはただのごり押しだったがそれが今、友奈が考えつくなかで最善の策だった
(…脳筋みたいな方法をだけど、今はこれしかない!)
友奈は飛んでくる爆弾の前に移動してすぐに、右足に風を集中させる。
そして、十分に風を圧縮させた段階で右足を回し蹴りするように振るう。すると、今まで以上の規模の暴風が向かってくる爆弾を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた爆弾が星屑に当たって爆発、別の爆弾も巻き込んで大爆発した。
「ケホッ!ケホッ!……すごい煙」
煙が晴れると星屑の大群は全滅、進化体の方もボロボロになって転がっていた。
「よしっ!大成功!」
友奈は進化体にとどめを指すため地面に降りて近付こうとしたときだった。
「わわっ!?なんか針みたいなの飛んできた!?」
突然友奈に向かって針のようなものが飛んでくる。
それを友奈は慌てて横に移動して避ける。
飛んできた方を見ると2体の大型バーテックスの内の一体が大きな口を開けていた。
「また、飛び道具持ちかぁ……しんどいなぁ…」
そう言いながらも友奈はやるしかないと構える。
そして、大型バーテックスからまた針が射出される。
「よっ!」
飛んでくる針を避けながら友奈は大型バーテックスとの間合いを詰める。すると、後ろの方から金属同士がぶつかったような音が聞こえた。
(?…なんの音?)
不思議に思い後ろを見ると針が迫ってきていた。
「えーっ!!なんでぇーっ!?」
驚愕しながらもよく見るといつの間にか展開されていた盾のようなものに針が反射されていた。友奈は慌てて上に飛んで針を回避する。
(なんか今日、緊急回避すること多くない?)
そんな事考えている間にも針はどんどん友奈に向かって飛んでくる。それを友奈は前後左右上下に飛び回って避ける。そして、避けながらも間合いを詰めていき、ついに…
(よし!ここまで近づければ!)
なんとか針と盾のコンボを潜り抜け友奈は大型バーテックスのそばに到達した。
「一気に決める!」
ドライバーにセットした2つのウォッチのボタンを押す。
『フィニッシュタイム!』
『一目連!』
「よっ!」
そして、ドライバーのロックを外して回す。
『ストーム!タイムバースト!』
「オォォォッ!」
友奈は自分と大型バーテックス2体を囲うように巨大な竜巻を発生させるとおもいっきり跳躍する。
「連続!救世主パァーンチ!!」
そして、竜巻のせいで身動きがとれない大型バーテックス2体に風の力で加速させた連打を叩き込む。
「これで……フィニィィィィッシュ!!」
最後は竜巻のエネルギーも集中させた飛び蹴りを全力で大型バーテックスに叩き込んで2体とも蹴り抜いた。
「ふぃ~…」
2体の大型バーテックスを蹴り抜いた後、ゆっくりと降りながら友奈は上を見上げるとバーテックスが光になって天へ昇っていっていた。
「さすがにもう来ないよね…?」
二度あることは三度ある。そんなことわざを思い浮かべながら、友奈は今日はもう来ませんように…と祈るばかりだった。
☆☆☆☆☆****
あの後、すぐに樹海化が解かれて、また私の部屋に戻っていた。
「やぁお疲れ我が救世主、その様子だと新しい力『精霊ライドウォッチ』はおきに召してもらえたようだね」
「精霊ライドウォッチ?…それってこの中に精霊の力が入ってるってことですか?」
「その通りだ我が救世主、かつて君達が切り札と呼んでその身に降ろしていた精霊の力。そして、その力を十全にかつ安全に使えるようにしたものだ」
「へぇ~」
私はウォズさんの説明を聞きながら、さっき使った精霊ライドウォッチ…名前を付けるなら一目連ライドウォッチを見ていた。ふと、戦闘前にウォズさんが話していた内容を思い出して気がついた。
「あっ!もしかして、みんなの力を継承するっていうのはみんなの精霊の力が入ったウォッチを集めることですか!」
「さすが我が救世主、鋭いじゃないか。継承とはつまりその精霊ライドウォッチを集めることだが……ひとつ問題がある」
「問題ですか?」
「それはその肝心の精霊がライドウォッチの中に入っていないのだよ」
ウォズさんは困ったように肩をすくめる。
「え…じゃあどうすればいいんですか?」
ウォズさんは持っているタブレットのような端末を操作して、四国の地図を画面に映すと3ヶ所にピンを立てる
「今ピンを立てた地域は彼女らの精霊がいる可能性が高い地域だ。ここへ行って彼女らの精霊を見つけライドウォッチにその力を移す。まず、ここから近い地域……森林地帯になるがここから行くべきだと私は思う。」
「なるほど…」
ウォズさんから今後どう動くべきか聞いていた時だった。
「…ちょっと待ってください」
いつの間にか起きていたひなちゃんがウォズさんに声をかけた。
「私も一緒に行かせてください…」
「ひなちゃん…」
「私、怖いんです。ここで友奈さんの帰りを待つのが……もし、若葉ちゃん達の時のように帰ってこなかったらと思うと、とても……だから、お願いします。私も連れていってください」
ひなちゃんはそう言うとウォズさんに頭を下げる。……ひなちゃんの言いたいことは、私もすごくわかった。私だってもう自分の知らない所で友達を失うのを見たくない。だから、自分の手の届く所にいてほしいと思うから。
チラッとウォズさんの表情を見ると私は思った。
(うわ、すっごい嫌そうな顔してるよ…これはウォズさん断りそうだな……よし!)
そして、ウォズさんが口を開く
「ひなた君、それはできな」
「いいよ!ひなちゃん!行こう一緒に!」
私はウォズさんの言葉を遮って、ひなちゃんの手をとりながら言った。
(ウォズさんごめんなさい。でも、私もひなちゃんには近くにいてほしいから!)
「友奈さん…!」
「待ちたまえ我が救世主。この旅はかなり過酷で危険なものだ。巫女であるひなた君には無理だ」
ウォズさんは無理だと言うが私は首を横に振る
「大丈夫です!ひなちゃんは私が守ります!だから私からもお願いします!ひなちゃんと一緒に行かせてください!」
そう言って私はウォズさんに頭を下げた。少し間をおいてウォズさんはため息をつくとこう言った。
「……好きにしたまえ我が救世主、出発は明日の午前9時。急で悪いが旅支度をしっかりしておきたまえ」
「ウォズさん…!」
ウォズさんはそのまま私の部屋を出ていった。
「やったね!ひなちゃん!」
「友奈さん……ごめんなさい。私がわがままを言ったばかりに…」
「いいよ、いいよ!私もひなちゃんの不安な気持ちはよく分かるもん。それに私は『救世主』だから、ひなちゃんの心も救わなきゃ!と思ったから」
「フフッ…ありがとうございます。……これからもよろしくお願いします。友奈さん!」
「うん!こちらこそよろしく!ひなちゃん!」
「では、さっそく旅支度の方を始めましょうか」
「じゃあ、一緒にやらない?私、こういうの初めてだから分からなくて」
「ええ、いいですよ。まずは…」
私は、ひなちゃんに教わりながら旅支度を始めた。どんな旅になるだろうかとわくわくしながら
☆☆☆☆☆
友奈の部屋を出た所でウォズはノートを開き誰かに語るようにこう言った。
「かくして、我が救世主こと高嶋友奈とその先導者である私…ウォズ。そして、予定にはなかった巫女の上里ひなたを入れた三人による、継承の旅の幕が上がりました。今後、我々がどのような未来を造り出すか…」
そこで、ウォズはノートを閉じる。
「ぜひ、お楽しみに」
そう言うとウォズは立ち去っていった。
次回 謎の森林火災と燃える円盤
一目連でできること
友奈「スカートめくり」ピラッ
ひなた「きゃ!…やめてください!精霊で遊ぶのは!」
一目連ライドウォッチ
友奈の切り札『一目連』の力を内包したウォッチ。ジクウドライバーのD'3スロットにセットして使用する。使用すると切り札使用した時と同じオプションが装着される。見た目こそ勇者時代と同じだか、力の方は勇者時代とは比べ物にならないもう程強化されている。また、本来の切り札にあったデメリットは無くなっている