悪魔の実を食べた艦娘達   作:エイリアンマン

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神と淑女

その頃、空島スカイピア。其処ではある二つの雷が激突していた。軈て雲の大陸に降り立った二つの人影は、雷と共にその姿を現す。一人は四つの太鼓を持つ男だ。もう一人は暁である。

 

「ヤハハ!まさか私と同じ力を持つ者が居るとはな!しかも異世界から来ただと?」

 

「此れがエネルの実力ね。此れなら新世界の入り口辺りなら通用するかもしれないわ。下手したらドフラミンゴ倒せたりして」

 

暁はエネルと戦ったが、彼の実力に驚いていた。自分の保持する記憶では、彼は武装色の覇気を使えなかった。もし使えていたら、エネルはルフィを瞬殺する事は難しくなかった筈だ。下手したらミホークを除いた他の王下七武海より強いかもしれない。しかし、それはあくまでエネルが見聞色以外の覇気を使えたらの話だ。エネルはあくまで見聞色しか使えない。能力を上手く使いこなしてその範囲を拡大させ、雷を好きな所に落とすのは正に神の所業だ。

 

暁は感謝したい程だ。もしエネルの記憶が無ければ見聞色と艦娘の探知能力、そして現代機器を使った応用力は考えられなかっただろう。

 

「あんたには感謝してるわ。でも、倒す倒さないは別よ!悪いけど、私の勝ちよ!」

 

「ヤッハハハハ!神である私を差し置いて勝利宣言とは!話にならん!私の前では例え同じ自然系(ロギア)であろうと無力!故に、神なり!」

 

「あらそう。なら、私も全力でやってやるわよ!幸い此処から周囲五千メートル以内に私達以外の住人は居ない!さあ、行くわよマクシム!」

 

『うん!ご主人様!』

 

暁は腰から伸びる棒のプロペラを回転させて、上空へ飛んだ。しかし、エネルは一瞬にして暁よりも速く上空へ飛んだ。

 

「ヤッハハハハ!雷よりも速く動け───」

 

その瞬間、エネルは上空から飛来した雷に撃たれた。とはいえエネルに当たっても雷はエネルの身体を通過するだけだ。

 

一発だけではない。雷は無数に出現した。空島である事が災いしたのか、上下から無数の雷が発生。止まらない落雷の連鎖がエネルを襲う。

 

効かないとはいえエネルは驚いていた。此は自分が発生させた物ではない。

 

「貴様か!この落雷は!」

 

「そうよ。ゴロゴロの実の覚醒。マラカイボの灯台って場所があるのよ。其処は年中雷が落ち続ける場所なの。そして、その雷は音もなく降り注ぐ。見なさいよこれ。雷のカーテンだわ。ナニコレ珍百景に応募したいわよ」

 

エネルは暁の説明を、大方理解した。マラカイボの灯台とかナニコレ珍百景は解らないが、雷は時に音もなく降り注ぐ事がある。同じ雷だからこそ解るのだ。

 

エネルは周囲を見渡した。色とりどりの雷が降り注ぎ、その光景は最早カーテンだ。自分達に降り注ぐ雷だけでも百を超えている。

 

だからこそ、エネルは許せない。自分より遥かに優れた能力者の存在が。

 

「私は神なり!私を超えようとする愚か者には、罰が必要だな!」

 

「ねぇ知ってる?神を殺す神話って実はかなりあるのよ。その中で有名なのが、キリストを刺したロンギヌスの槍が・・・まああんたは知らないわよね」

 

その瞬間、エネルは全身が張り付けにされたように動けなくなった。それは、エネルもよく使う技『神の怒り(エル・トール)』だ。その技によって、十字架のように全身を拘束されたのだ。そして、手に持つ『雷治金(グロームパドリング)』を変化させた。かつて見た『エヴァンゲリオンシリーズ』に登場するロンギヌスの槍へと形を変えたのだ。黄金の槍を暁は手に取り、右腕を雷へ変えて、周囲の雷を槍に吸収させる。

 

「『ロンギヌス』」

 

「我は、神なりぃぃぃぃぃぃ!!」

 

そして、暁の投げた槍は雷へと姿を変えて、十字の雷光に拘束されたエネルの身体を、雷の最高速度で貫いた。

 

『おおっ!流石ご主人様!強いの!』

 

こうして、スカイピアを長年支配した男は、同じ能力者の少女に敗れ去り、その生涯に幕を閉じた。

 

──────────────────────

 

「暁って、やっぱり強いぴょん。それにしても、自然系(ロギア)の覚醒があれほど強いとは・・・」

 

その頃、卯月はワイパー達と共にエネルと暁の戦いを見ていた。その光景を見た者は全員、雷が降り注ぐ無人の空島を眺めていた。そして、エネルが暁に倒される光景も。

 

「暁。あの落雷を止める事考えたぴょん?あれ、収まりそうも無さそうだぴょん」

 

すると、ワイパーが「何でも良い」と口にした。始めこそスカイピアにやって来た三人を信じられなかった。暁がゴロゴロの実の能力者なら尚更だったが、エネルを倒してくれた事には感謝していた。

 

「エネルが死んだ。それが分かれば充分だ」

 

ワイパーの目的はエネルの打倒。それを暁が叶えてくれた。それだけで充分だ。

 

(吹雪達、上手くやってるかな・・・暁みたいに変な事してなければ良いぴょん・・・)

 

暁を想いながら、卯月は下界に居る吹雪達が心配になる。そして、卯月の元へ戻ってきた暁は、卯月の手を取って言った。

 

「さ、月に行くわよ」と。


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