死神の刃   作:迷い鶴

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僕の表現力ではこれで限界です。


二人の覚悟

「行ってしまったわね」

松本乱菊はゆっくりと座りながら呟く

 

「せやなぁ、ホンマに真っ直ぐ綺麗に育っとるわ」

「ギンと違って正直者だけれどもそれでも貴方と似たようなこと言ってたわね」

「でも、髪の色は完全に乱菊よりやで?」

「ほっほっほっ、子供の成長は早い。市丸ギン、松本乱菊。あの子に一番感謝しているお主らだからこそ、しっかりと親として接してあげなさい。それが市丸ギン。裏切りの罰じゃ。ちゃんと向き合ってお主の全てを伝えよ、よいな?」

そこには総隊長としての表情とまるで孫を見るような表情が合わさったような顔をした山本元柳斎重國が立っていた。やはりこの男は少し変わったのだとわかり、少し不思議な感覚になるギン

 

「ありがとうございます。総隊長。」

「ふふふ、でもあの子の事だもん私達の始解の使い方を理解しているのなら直ぐに使いこなすんじゃない?」

「無窮瞬閧やったか?砕蜂や夜一さんが使っとった技は、アレも教えて貰えるように頭下げに行かんとなぁ。やる事がいっぱいで大変やわ」

 

やれやれとした風貌を見せるも口元は自然な笑みを浮かべていた。あの頃の貼り付けたような笑みではなく。最期にみせたあの笑みのように。

 

「ほな、見してもらおうかな。ボクの神槍を使いこなせとるか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょい待ちぃ、十二鬼月」

「ほう……?」

 

俺はボロボロになりながら、血を垂れ流しながら立ち上がる。血が溢れて口からも垂れる。もうボロボロで立つことが辛いけれどもそれでも

 

それでも……!

「負ける気はしねぇなぁ……!」

「もうボロボロで救いようの無い貴様に何が出来る?」

 

 

「逆転……!!」

俺な顔を見て嬉しそうにするこの女はどこまでも……

「私は見誤って居たようだな。名を名乗ろう。十二鬼月が下弦の壱。絹だ。下弦の壱として全力で相手をしよう。」

どこまでも鬼なのだろう……鬼は……いや、絹は鬼には似つかわしくない優しげな笑みを浮かべ、その獲物である羽根を広げる。羽根だけでなく爪も伸び肌が黒くなっていく。

 

「ワイの名前は護廷 斬魄。未来を変える死神や……!!」

覚悟を決める。それこそもう負けることは許されない。俺は護廷十三隊を背負っているのだ。そしてあの市丸ギンの斬魄刀に松本乱菊の斬魄刀を持っている。あの護廷十三隊の隊長と副隊長の魂を背負っているのだ。負けれない。否、負けるはずが無い。

 

「血鬼術 黒翼巨爪」

「射殺せーーーーーーーーーーーー『神槍』!!!」

 

一瞬で伸びる刀身が巨大な爪と翼を突き抜けるモノの数センチが届かない。一撃で仕留められなかったのは俺の落ち度だ。最速最長の斬魄刀である神鎗が止められたのは正しく実力だろう。四枚ある翼の内三枚を貫くも歴戦の鬼だけあるのか翼の角度を変えることで刺しづらく、また刀身を捕まれかけたのだ。引かざるを負えない状況まで持ち込まれるとは闘い上手と関心をしてしまう。

 

「まさか、刀まで妖術とは……」

「神槍・乱舞」

 

音速の十連撃、これが神殺槍であれば一撃で終わっていただろう。神殺槍の真骨頂は刀の中身である毒だ。一撃刺されば再生を許さず、確実な死をもたらす。ただの神槍で出来るのは脇差し百本分伸ばすだけ。だからこそその速度を最速にして刺し抜きする。単純な技だ。だからこそ強い、だからこそ怖いのである。だがしかし、流石は下弦の壱と言えるだろう。急所を的確に守り、鬼の余力で近くまで駆け抜けてくる。

 

「舐めるなぁ!!!」

「唸れ『灰猫』!!」

 

刀身が一瞬で煙になり、斬魄の周りが煙に包まれる。

「猫輪舞!!!」

その叫びと同時に一気に煙が溢れ出し、絹を包み込む。しかし相性が悪かった。しかも壊滅的に……危険だと瞬時に判断した絹は再生させた羽根を大きく振り回し風を起こし灰猫の煙を吹き飛ばす。だがその瞬間に羽根を大きく切り刻み大ダメージを与える。

 

「まったく、他の下弦では確実に死んでいるな。やはり、ここで殺さねば行かんな……」

「絶望的に相性が悪いなぁ……刺しても止められ決め手にかけ、煙は吹き飛ばさせる……しかもワイはここまでボロボロ勝ち目は低い……だけどな、負ける訳には行かへんのや……!!」

 

身体が絶望的に重い……だが、ここで動かなくて何時動く。

 

「身体はボロボロ、霊力もキツい。斬魄刀も中々意味をなさない。あぁ、死にたくねぇなぁ。」

「ここに来て弱音か?いや、貴様がそんなタマではないことは分かっている時間稼ぎか?」

「いや、正直だ。勝ち目が無いのは分かっているんだ。身体技術もまだまだ、ワイは十一歳やぞ?もっと後に来てくれよ」

「私からしたら今ここで貴様と戦えたことが嬉しいぞ。脅威となる前に殺せるのだからな」

 

そう言うと絹はゆっくりとこちら側に足を進める。

しかし、神は……いや、あの男は見放さなかった。

 

『一回だけ手ぇ貸したるわ、身体貸しな?』

そう言うと問答無用で身体の権限を奪い取る。そうすることで髪の毛は一瞬で銀色に染まり雰囲気がガラリと変わる

「すいません、父さん」

その一言を最後に身体の最後の権限を市丸ギンに渡した。

 

その変わった雰囲気に一気に警戒度を上げる絹だが、今……たった今この変わった瞬間に警戒という言葉と行動は意味を成さない。

 

「息子が世話になったなぁ」

 

なぜならば、かつて護廷十三隊の全てを欺いた男の強さは本物であり……あの藍染惣右介を一番早く追い詰めた男だ。その背中に一時背負った三の数字と金盞花と言う花の持つ意味は……甘くない

 

 

 

 

「これはボクからのお礼や」

絹は瞬時に羽根の硬度を最大限まで上げ防御体勢を取る。

 

 

しかしその行為の全てが無意味だ。

 

「射殺せーー『神槍』」

剣の刺し方が違ったのかその衝撃で絹は少し離れた木に叩きつけられる。

「使い方はまだ未熟、ボクの斬魄刀の真骨頂はその速さと長さや。それを活かす戦い方をしなあかん。だからこうやって距離を取るんや、ジブンが取るんやない、相手に取らせるんや」

絹は瞬時に全力で距離を詰めに行くが、市丸ギンの前で距離なんて無意味である。また同じように距離を取られゆっくりと斬魄の皮を被ったギンが喋り出す。

 

「この解説も前にしたことがあるわ、絹さんやったか?この刀、どれぐらい伸びるか知ってる」

「知らないね」

そう応えるとギンはニッコリと胡散臭い笑みを浮かべながら嬉しそうに話を続ける。

「刀百本分や、しかしなこの刀はまだ進化するんや。どれぐらい伸びるかわかる?」

「私は問答をしに来た訳じゃないわよ」

「あれ、降参なん?つまらんなぁ」

 

そう言うとゆっくりと身体を斜めに向け刀をゆっくりと下に向ける。

 

「しゃあないな、ようわかるようにキミらの長さで教えたるわ」

 

そして下を向いていた顔がゆっくりと上げられる。ゆっくりとそして蛇のような笑みを浮かべ……

 

 

 

「3.3里や」

 

 

 

「なっ……!」

「ーーーーピンとけえへんやろ、数で聞いても。」

 

 

「だから見したる。」

 

「いくで今度は……息子とちゃう、この刀の本気や」

 

直感的に危険なのを理解したのだろう瞬時に身体全身を硬め完全防御体制を取る……だからこそ何度でも言うべきなのだろう。市丸ギンの斬魄刀、神槍の前に……防御体勢を取ろうとすることは殆ど無意味だと。

 

「卍……………………解……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死せ 『神殺槍』」




是非とも花言葉の意味と3.3里をメートル及びキロメートル変換してみてください、多分数値と合いません……
数々の評価及び、お気に入り登録ありがとうございます。私、迷彩鶴は感謝の想いで友人の前で崩れ落ちました。

是非とも、感想評価などどしどし下さい。
それでは

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