拝啓、お母様。南雲くんと結託しました。敬具   作:爆砕肉団子

30 / 41
暫くはトークコーナーおやすみです。なんで作ったんだ、ってね。私も思いました。思ってから後悔しました。


なんでここに先生がっ!?

街に入ってすぐにテンプレのように、ユエとシアの美貌に惹かれた豚男が、護衛に命令してハジメを痛めつけようとした。しかし例のごとくユエがその男、なんでもランク”黒”のレガニドと言うやつをのしてしまい、ハジメが豚男を気絶させた。そしてギルドに騒ぎが回り、俺達は事情聴取を受け、おばちゃんから貰った手紙を出すと、今度は支部長のイルワが出てきたのだ。支部長が出てくるくらいすごい手紙だったらしいそれを書いた人に俺はめちゃくちゃ軽く当たっていたのだが、今から土下座でもしに行こうかと考えた。

 

「御託はいい、本件を話せ」

 

無駄にイルワが話を長引かせようとしているような気がしたので、俺はその話をぶった斬った。

 

その内容を話せば、北の山脈へ魔物の調査へ行った冒険者パーティーについて行った伯爵家三男のウィル・クデタという男を、伯爵が探している。理由は冒険者になると飛び出して言った、という擬似的な家出なのだが、遣わせていた連絡員も消息不明となり、大事になった次第らしい。

 

対価にユエとシアにステータスプレートを作り、そこに表記された内容について他言無用を確約すること、更に、ギルド関連に関わらず、イルワの持つコネクションの全てを使って、俺達の要望に応え便宜を図ること。という二つのことを約束させて、交渉成立と相成った。

 

もちろん今回のことをしっかりと一切不問にするのは忘れていない。

 

京達がいなくなった後。にイルワに声をかける。

 

「支部長.......よかったのですか?あのような報酬を........」

「.......ウィルの命がかかっている。彼ら以外に頼めるものはいなかった。仕方ないよ。それに、彼等に力を貸すか否かは私の判断でいいと彼等も承諾しただろう。問題ないさ。それより、彼らの秘密........」

「ステータスプレートに表示される〝不都合〟ですか.......」

「ふむ、ドット君。知っているかい?ハイリヒ王国の勇者一行は皆、とんでもないステータスらしいよ?」

 

ドットは、イルワの突然の話に細めの目を見開いた。

 

「!、支部長は、彼が召喚された者.......〝神の使徒〟の一人であると?しかし、彼はまるで教会と敵対するような口ぶりでしたし、勇者一行は聖教教会が管理しているでしょう?」

「ああ、その通りだよ。でもね......およそ四ヶ月前、その内の一人がオルクスで亡くなったらしいんだよ。奈落の底に魔物と一緒に落ちたってね。そして、それを助けに行った一人がまた亡くなったと」

「.......まさか、その者が生きていたと?四ヶ月前と言えば、勇者一行もまだまだ未熟だったはずでしょう?オルクスの底がどうなっているのかは知りませんが、とても生き残るなんて........」

 

ドットは信じられないと首を振りながら、イルワの推測を否定する。しかし、イルワはどこか面白そうな表情で再び京達が出て行った扉を見つめた。

 

「そうだね。でも、もし、そうなら........なぜ、彼は仲間と合流せず、旅なんてしているのだろうね?彼らは一体、闇の底で何を見て、何を得たのだろうね?」

「何を.......ですか.......」

「ああ、何であれ、きっとそれは、教会と敵対することも辞さないという決意をさせるに足るものだ。それは取りも直さず、世界と敵対する覚悟があるということだよ」

「世界と......」

「私としては、そんな特異な人間とは是非とも繋がりを持っておきたいね。例え、彼が教会や王国から追われる身となっても、ね。もしかすると、先生もその辺りを察して、わざわざ手紙なんて持たせたのかもしれないよ」

「支部長.......どうか引き際は見誤らないで下さいよ?」

「もちろんだとも」

 

スケールの大きな話に、目眩を起こしそうになりながら、それでもイルワの秘書長として忠告は忘れないドット。しかし、イルワは、何かを深く考え込みドットの忠告にも、半ば上の空で返すのだった。

 

 

 

 

依頼で向かう街の料理に米が使われているということで目の色を変えた俺とハジメは、バイクを爆速で走らせた。その速度は、制限なしの高速道路のみで許される時速200キロ越え。

 

本来の高速道路より100キロオーバーで余裕で捕まる速度に、ユエもシアも顔を風圧で歪めていたが、日本人としては譲れない。そもそもここは異世界なのでいくら飛ばしても問題ないというのはある。

 

「行くぞぉぉぉハジメぇぇ!!俺は風になるぅぅぅぅ!!フォォォォォォ!!」

「飛ばせ飛ばせぇぇぇ!!戦争じゃぁぁ!!」

 

久しく食べていない日本食に狂喜乱舞しながら俺達は狂乱のテンションでウルの街へたどり着いた。即座に水妖精の宿を探し、ユエ達を半分引きずりながらそこに駆け込む。

 

「け、京さん........ハジメさん..........ヤバいです」

「風強い.......景色がぐるぐる.........」

 

横で伸びている二人を完全に無視して、俺達はメニュー表を血眼になって見定める。すると、お冷を運んできたウェイトレスが近づいてくる。

 

「ご注文はお決まりで..........」

「ニルシッシルで(天丼で)!!」

「「......あ?」」

 

ウェイトレスの言葉を遮って頼んだ俺たちの声が重ねる。そして、頼んだ物が違うことに、俺達は互いにガンを切った。

 

「おいおいハジメさんよぉ。ここに来てインド料理アレンジのイギリス発祥なものを食べるたぁどういう了見だァ?」

「あぁん?お前こそご家庭のソウルフード、小学生が好きな料理1位にもなったことがあるカレーを頼まないとはどういうことだよ、アァ?」

 

バチバチと火花が散る視線の戦いに、ウェイトレスは顔を引き攣りながら申し訳なさそうに言った。

 

「ろ、論争中失礼致します..........実は、香辛料の在庫が残りわずかでして............今日が最後になるので当店ではニルシッシルをオススメしております」

「「なん........だと..........?」」

 

二人して言葉が重なった。某ネタなのだがここに知る者はいないだろう。流石にユエ達も...........知らないよな?

 

「いつもならこのような事がないように在庫を確保しているのですが......ここ一ヶ月ほど北山脈が不穏ということで採取に行くものが激減しております。つい先日も、調査に来た高ランク冒険者の一行が行方不明となりまして、ますます採取に行く者がいなくなりました。当店にも次にいつ入荷するかわかりかねる状況なのです」

 

その言葉に、俺達は我に返る。その高ランク冒険者達というのは、ウィルがついて行った一団のことだろう。とりあえず今日は遅いので休むことにしたが、明日の早朝から取り掛かった方がいいかもしれない。

 

「んじゃ、俺もとりあえずニルシッシルで」

「かしこまりました。.........そちらのお客様方はどうなされますか?」

「.......ハジメと京と同じもので」

「私も同じものでお願いします!」

「かしこまりました」

 

ウェイトレスがメモをすると、奥へと消えていった。その瞬間だ、シャァァ!とカーテンが引かれ、そこに俺たちの見覚えのある人物が居たのは。

 

「南雲君!刀崎君!」

「あぁ?................え?」

「..................は?」

 

そこにいた人物に、俺もハジメも言葉を失う。まさか、こんな所にいるとは思わなかったからだ。そして、カーテンの先にはどこかで見覚えのある騎士達と、クラスメイト達。ユエ達はこの状況についていけてないのか小首を傾げている。

 

「南雲君....刀崎君....やっぱり二人なんですね?生きて.......本当に生きて........」

「いえ、人違いです。では」

「へ?」

 

泣き崩れそうな先生に予想外の言葉をかけて、宿の出口へスタスタと向かおうとしたハジメ。俺は引き止めて頭をぶっ叩く。

 

「痛ぇ!」

「阿呆。頼んだんだから最後まで食うぞ」

「叱る所がそれですかっ!?.........ていうか二人ですよね!?ちょっと変わってますけど、先生分かりますよ!!」

「クッ..........」

 

諦めたようにわざとらしく頭を垂れたハジメを座らせる。すると、俺達だけを見ていた愛ちゃん先生がユエとシアを視界に入れる。

 

「えっと......あれ?南雲君、刀崎君、こちらの方々はどちら様ですか」

「待ってくれ、俺達は馬鹿みたいなテンションと依頼のせいで一日以上ノンストップで来たんだ。腹も減ってる。まずは食べさせてくれ」

 

改めて疲れた様子でハジメが言うと、その横に座るユエ達が先生を見た。

 

「.......ユエ」

「シアです」

「ハジメの女」「ハジメさんの女ですぅ!」

「お、女?」

 

若干どもりながら「えっ? えっ?」とハジメと二人の美少女を交互に見る。上手く情報を処理出来ていないらしい。後ろの生徒達も困惑したように顔を見合わせている。いや、男子生徒は「まさか!」と言った表情でユエとシアを忙しなく交互に見ている。徐々に、その美貌に見蕩れ顔を赤く染めながら。

 

「あと、京の........姉?」

「じゃあ私は京さんの妹ですねっ!」

「おい馬鹿共、勝手に根も葉もない羽を付けんな。.........いやほんとになんもないから、そこのお前らはそんな目で見ないでくれ」

 

そんなことを言っていると、次はハジメから否定の言葉が出た。

 

「おい、ユエはともかく、シア。お前は違うだろう?」

「そんなっ!酷いですよハジメさん。私のファーストキスを奪っておいて!」

「いや、何時まで引っ張るんだよ。あれはきゅ『南雲君?』……何だ、先生?」

 

シアの〝ファーストキスを奪った〟という発言で、遂に情報処理が追いついたらしく、先生の声が一段低くなる。愛子の頭の中では、ハジメが二人の美少女を両手に侍らして高笑いしている光景が再生されているようだった。表情がそれを物語っている。

 

顔を真っ赤にして、ハジメの言葉を遮る先生。その顔は、非行に走る生徒を何としても正道に戻してみせるという決意に満ちていた。そして、〝先生の怒り〟という特大の雷が、ウルの町一番の高級宿に落ちる。

 

「女の子のファーストキスを奪った挙句、ふ、二股なんて!直ぐに帰ってこなかったのは、遊び歩いていたからなんですか!もしそうなら……許しません!ええ、先生は絶対許しませんよ! お説教です! そこに直りなさい、南雲君!........あと刀崎君も!」

「なんで俺が取ってつけたように巻き込まれる!?」

 

散々、愛子が吠えた後、他の客の目もあるからとVIP席の方へ案内されたハジメ達。そこで、先生や園部優花達生徒から怒涛の質問を投げかけられつつも、ハジメは、目の前の今日限りというニルシッシル(異世界版カレー)。に夢中で端折りに端折った答えをおざなりに返していく。

 

Q、橋から落ちた後、どうしたのか?

A、超頑張った

Q、なぜ白髪なのか

A、超頑張った結果

Q、その目はどうしたのか

A、超超頑張った結果

Q、なぜ、直ぐに戻らなかったのか

A、戻る理由がない

 

そこまで聞いて愛子が、「真面目に答えなさい!」と頬を膨らませて怒る。全く、迫力がないのが物悲しい。案の定、ハジメには柳に風といった様子だ。目を合わせることもなく、美味そうに、時折俺やユエやシアと感想を言い合いながらニルシッシルに舌鼓を打つ。表情は非常に満足そうである。

 

その様子にキレたのは、先生の背後にいた男だ。

 

「おい、お前!愛子が質問しているのだぞ!真面目に答えろ!」

 

ハジメは、チラリと男を見ると、はぁと溜息を吐いた。

 

「食事中だぞ?行儀よくしろよ」

「お前らには黙って食うっていうことが無いのか?」

 

全く相手にされていないことが丸分かりの物言いに、元々、神殿騎士で自然とプライドも高くなっているのだろうその男は、我慢ならないと顔を真っ赤にした。そして、何を言ってものらりくらりとして明確な答えを返さないハジメから矛先を変え、その視線がシアに向く。

 

「ふん、行儀だと?その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じテーブルに着かせるなど、お前の方が礼儀がなってないな。せめてその醜い耳を切り落としたらどうだ?少しは人間らしくなるだろう」

 

侮蔑をたっぷりと含んだ眼で睨まれたシアはビクッと体を震わせた。ブルックの町では、宿屋での第一印象や、おばちゃんと親しくしていたこと、ハジメの存在もあって、むしろ友好的な人達が多かったし、フューレンでも蔑む目は多かったが、奴隷と認識されていたからか直接的な言葉を浴びせかけられる事はなかった。

 

つまり、俺達と旅に出てから初めて、亜人族に対する直接的な差別的言葉の暴力を受けたのである。有象無象の事など気にしないと割り切ったはずだったが、少し、外の世界に慣れてきていたところへの不意打ちだったので、思いの他ダメージがあった。シュンと顔を俯かせるシア。

 

よく見れば、男だけでなく、他の騎士達も同じような目でシアを見ている。亜人差別の徹底的な典型が根付いているらしい。

 

あんまりと言えばあんまりな物言いに、思わず先生が注意をしようとするが、その前に俯くシアの手を握ったユエが、絶対零度の視線を先程の男に向ける。最高級ビスクドールのような美貌の少女に体の芯まで凍りつきそうな冷ややかな眼を向けられて、男は一瞬たじろぐも、見た目幼さを残す少女に気圧されたことに逆上する。

 

「何だ、その眼は?無礼だぞ!神の使徒でもないのに、神殿騎士に逆らうのか!」

 

思わず立ち上がる男を、横の男は諌めようとするが、それよりも早く、ユエの言葉が騒然とする場にやけに明瞭に響き渡った。

 

「.......小さい男」

 

それは嘲りの言葉。たかが種族の違い如きで喚き立て、少女の視線一つに逆上する器の小ささを嗤う言葉だ。唯でさえ、怒りで冷静さを失っていた男は、よりによって男としての器の小ささを嗤われ完全にキレた。

 

「........異教徒め。そこの獣風情と一緒に地獄へ送ってやる」

 

無表情で静かに呟き、傍らの剣に手をかける男。突如現れた修羅場に、生徒達はオロオロし、先生や他の騎士達は止めようとする。だが、男は周りの声も聞こえない様子で、遂に鞘から剣を僅かに引き抜いた。

 

その瞬間、

 

「ふーん?剣を抜いてもいいのは、切られる覚悟のあるやつだけだぞ?」

 

ハジメがドンナーで撃つより早く俺が男の首筋に斬魄刀を押し当てた。いつでもどうにでもできるように始解を待機している。さらに遅れてドパン!と宿屋に銃声が響き、男の顔面横を通り過ぎ、非致死性のゴム弾が壁に叩きつけられた何事かと飛んできた店長は空気を読んだシア達があしらってくれた。

 

「きさ.....まっ!いつの間に!」

「落ち着けよ、隊長とやら?お前は痛みを知らない。ここは穏便にすまさないか?周りにも迷惑がかかる。ちなみにお前に拒否権はない」

 

そのままギリッと刃を首筋に更に押し当てる。すると赤い血がたらりと一つ下へ消えていった。「クッ!」と悔しげに男は納刀して着席する。それを確認して俺も対面の席へ戻った。

 

「いい判断だ。それでいい」

 

目が点になっていたクラスメイトや先生、他の騎士達も俺が座ることによってようやく我を取り戻した。先程のことについて追求しようとした先生の行動を見据えてか、さらにハジメがテーブルへゴトッとドンナーを置いた。

 

「俺も、多分京もあんたらに興味がない。関わりたいとも、関わって欲しいとも思わない。いちいち、今までの事とかこれからの事を報告するつもりもない。ここには仕事に来ただけで、終わればまた旅に出る。そこでお別れだ。あとは互いに不干渉でいこう。あんたらが、どこで何をしようと勝手だが、俺の邪魔だけはしないでくれ。今みたいに、敵意をもたれちゃ......つい殺っちまいそうになる」

 

「どうやら京に助けられたみたいだけどな。分かったか?」と付け加えて、再びハジメはニルシッシルを食べ始めた。先生やクラスメイト、さらに騎士も何も言わない。

 

そんな空気を突き抜くようにハジメ達がイチャつき始めた。さすがは空気が読めないハジメさん、黙って退出するとか何かあったろうに。

 

「あれ?不思議だな。さっきまで南雲のことマジで怖かったんだけど、今は殺意しか湧いてこないや.........」

「お前もか。つーか、あの二人、ヤバイくらい可愛いんですけど.........どストライクなんですけど……なのに、目の前にいちゃつかれるとか拷問なんですけど.........」

「.........南雲の言う通り、何をしていたか何てどうでもいい。だが、異世界の女の子と仲良くなる術だけは.........聞き出したい!........昇!明人!」

「「へっ、地獄に行く時は一緒だぜ、淳!」」

 

グツグツと煮えたぎる嫉妬を込めた眼で、ついさっき自分達を震え上がらせたハジメを睨みながら、一致団結するクラスメイト三人。すっかり、シリアスな雰囲気が吹き飛び、本来の調子を取り戻し始めた女生徒達が、そんな男子生徒達に物凄く冷めた目を向けていた。

 

「南雲君と刀崎君でいいでしょうか?先程は、隊長が失礼しました。何分、我々は愛子さんの護衛を務めておりますから、愛子さんに関することになると少々神経が過敏になってしまうのです。どうか、お許し願いたい」

「穏便に済ませられるなら、俺はどうだっていい。あと、許すも何も別に気にしてないから」

 

なんでもないと言った俺に、ハジメも小さく頷く。そうした折、その男がハジメのドンナーを見た。

 

「そのアーティファクト.......でしょうか。寡聞にして存じないのですが、相当強力な物とお見受けします。弓より早く強力にもかかわらず、魔法のように詠唱も陣も必要ない。一体、何処で手に入れたのでしょう?」

 

微笑んでいるが、目は笑っていないその男。考えていることは大体わかる。

 

ハジメが、チラリとチェイスを見る。そして、何かを言おうとして、興奮した声に遮られた。クラス男子の玉井淳史だ。

 

「そ、そうだよ、南雲。それ銃だろ!?何で、そんなもん持ってんだよ!」

 

玉井の叫びに男が反応する。

 

「銃?玉井は、あれが何か知っているのですか?」

「え?ああ、そりゃあ、知ってるよ。俺達の世界の武器だからな」

 

玉井の言葉に男の眼が光る。そして、ハジメをゆっくりと見据えた。

 

「ほぅ、つまり、この世界に元々あったアーティファクトではないと.......とすると、異世界人によって作成されたもの........作成者は当然.........」

「俺だな」

 

ハジメは、あっさりと自分が創り出したと答えた。男は、案外簡単に認めたことに意外感を表にする。

 

「あっさり認めるのですね。南雲君、その武器が持つ意味を理解していますか?それは........」

「この世界の戦争事情を一変させる........だろ?量産できればな。大方、言いたいことはやはり戻ってこいとか、せめて作成方法を教えろとか、そんな感じだろ?当然、全部却下だ。諦めろ」

 

取り付く島もないハジメの言葉。あらかじめ用意していた言葉をそのまま伝えたようだ。だが、男も食い下がる。銃はそれだけ魅力的らしい。

 

「ですが、それを量産できればレベルの低い兵達も高い攻撃力を得ることができます。そうすれば、来る戦争でも多くの者を生かし、勝率も大幅に上がることでしょう。あなたが協力する事で、お友達や先生の助けにもなるのですよ?ならば.......」

「なんと言われようと、協力するつもりはない。奪おうというなら敵とみなす。その時は........戦争前に滅ぶ覚悟をしろ」

 

ハジメの静かな言葉に全身を悪寒に襲われ口をつぐむチェイス。そこへ俺が更に口を挟む。

 

「あのさぁ、騎士さんよ。大前提として俺らがそちらに対して友好的だとか思ってるのか?それは大きな間違いだぞ?戦争とやらにも興味無いし、この世界の人間が滅ぼうがどうでもいいんだよ」

「なっ......なんてことを!」

 

平静を装っていた男は一瞬だけ怒りに充ちた表情を見せる。そこを、先生が取り直すように口を挟んだ。

 

「チェイスさん。南雲君達には南雲君達の考えがあります。私の生徒に無理強いはしないで下さい。南雲君も、刀崎君もあまり過激な事は言わないで下さい。もっと穏便に.......南雲君は、本当に戻ってこないつもり何ですか?」

「ああ、戻るつもりはない。明朝、仕事に出て依頼を果たしたら、そのままここを出る」

「どうして.......」

「なぁ、園部」

 

俺は今まで黙っていた園部に対して質問を投げかける。

 

「なっ、何?」

「そうドモんなよ。んで結局、人殺し未遂は見つかったか?」

「「.........」」

 

クラスメイト達はそれに対して黙っている。すると、下を向きながらポツリと園部が言い出した。

 

「結局........誰がやったのかも分からなくて。天之河君が全部纏めちゃったから...........」

「ほらな?未だに人を殺そうとしたやつも見つからない。クラスに潜んでるクソ野郎がいる状態で、そんなことを許容してお前らを引っ張ってる無能なリーダーがいる集団に俺達が帰りたいと思うか?」

 

話は決まったという風にハジメ達が立ち上がったのを見て、俺もそれに習う。未だに誰も喋らずお葬式状態の一団に俺は言葉を捨てる。

 

「ほんとに、気を付けとけよ。いつ首を狙われてもおかしくないんだからな」

 

俺は最後にそう言って、ハジメ達の後を追いかけた。




次回もお楽しみに。感想もお待ちしております

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。