転生ポケモントレーナーは欲のままにガラルに来たが、ポケモンに愛されて大変です   作:炎龍天狐

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迷子の迷子のチャンピオン

「………なんかすっげぇ見覚えあるやついるんだけど?」

 

ホップに自分の秘密を明かした翌日。

 

彼に言われて、確かに自分は自宅にいすぎだと思った鏡花は、自身の両親の許可をもらい、2人のポケモンであるピカチュウとイーブイを連れて、ワイルドエリアへとやってきていた。

 

ピカチュウとイーブイは、久々に骨のあるポケモンたちと戦えそうだと言う理由から、やる気満々の状態で、鏡花の頭と肩に乗っている。

 

腕の中には自分のマホイップであるアキザクラが収まっておりご満悦だ。

 

しかし、そんなポケモンたちとは裏腹に、鏡花の表情はかなり微妙なものだった。

 

なぜなら、彼女の視線の先では、見覚えがありすぎるマントがゆらゆらと揺れており、そのマントを羽織っている存在は、辺りをキョロキョロと見渡しては、首を傾げているのだから。

 

(いや、何やってんだあのチャンピオン……。)

 

呆れ顔を見せながらあっちにふらふら、こっちにふらふらしているガラル地方の無敵のチャンピオンの背中を眺める。

 

なぜここにいるんだとツッコミたくなる。

 

『気のせいじゃなければ、あれ、チャンピオンだよね……?』

 

どうしたものか……と考えながら、うろちょろしているチャンピオンを見つめていたら、鏡花の腕の中にいたアキザクラが、あれ……と指差しながら鏡花に声をかける。

 

鏡花は苦笑いを漏らしながら、チャンピオンだな……とポツリと呟いた。

 

「なんでワイルドエリアにいるのやら……仕事か? いや、だとしたら、リザードン出して向かってそうだよな……。休憩中か? 何にせよ、ありゃ確実に迷子になってやがるな……。」

 

方向音痴のチャンピオンの姿を見ながら小さく呟いた鏡花は、ソルガレオをその場に出し、その背中にまたがる。

 

どこに行こうとしているのかはわからないが、あのままではたどり着くまで時間がかかると思い、足がかりになることを考えたのだ。

 

(ダイマックスバンド……つけてきちまってるけどまぁ適当に話を逸らして誤魔化そう。)

 

「ソルガレオ。あそこにいるでかい迷子に近寄ってくれないか? 何がしたいのかわからないが、拾った方が良さそうだからな。」

 

『方向音痴のチャンピオンってどうなんだ……?』

 

溜息混じりの指示に、ソルガレオは微妙な反応をこぼしたあと、のっしのっしと歩みを進める。

 

迷子のチャンピオンはこちらに気づいていないのか、自分のスマホロトムを見ながらここはどこだったかを確認しているようだった。

 

「何してんだよチャンピオン。迷子か?」

 

ある程度チャンピオン、ダンデに近寄った鏡花は、呆れたような声音でダンデに声をかけた。

 

「うわ!? って、キョウカとソルガレオか! ビックリしたぜ……。」

 

急に声をかけられたダンデは肩をびくりと震わせたあと、慌てて背後に視線を向ける。

 

それにより見慣れた姿が視界に入ったため、ホッとしたように言葉を紡いだ。

 

「ビックリしたぜ……じゃねぇよ。何してんのさこんなところで。さっきから同じところを行ったり来たりしてたから気になっちまったよ。」

 

そんなダンデに呆れたように告げれば、あー……と濁したような言葉を紡ぎ、口を開けたり閉じたりを繰り返す。

 

彼の視線には、鏡花に抱かれているアキザクラの姿があった。

 

「……何? マホイップ捕まえようとしてんの、オタク?」

 

その様子から、彼がここにいる理由を察した鏡花は、ひょっとして……と、思い当たる推測を口にした。

 

すると、ダンデは目を丸くしたあと、苦笑いをこぼす。

 

「ああ……実はそうなんだ……。マホイップは捕まえたことがなかったからな。」

 

鏡花の問いかけに肯定の言葉を返す。

 

それを聞いた鏡花は、なるほど……と呟いたあと、考え込むように腕を組む。

 

「あ、ハシノマ原っぱに行ってみないか? 確か、あそこにはマホイップが出てくる巣穴があったはずだけど。」

 

そして、ゲームで得ていた知識を記憶から引っ張り出しては、ダンデにキョダイマックスしたマホイップが出てくる巣穴がハシノマ原っぱにあったことを教える。

 

「それは本当か!? それならすぐに向かおう!!」

 

するとダンデは、鏡花の情報提供を聞いて、すぐに向かおうと走り出そうとする。

 

だが、彼が走り出した方角は原っぱ方面ではなく見張り台跡地方面。

 

全然違う方角だった。

 

「ソルガレオ。そこの猪突猛進の方向音痴チャンピオンを咥えろ。全然違う方角に向かってら。」

 

慈悲なき指示をソルガレオに出す。

 

ソルガレオはやれやれと言わんばかりに首を左右に振ったあと、ダンデの服の襟首を咥えて持ち上げる。

 

「ぐえっ!!」

 

襟が喉に来たのか、ダンデからガマゲロゲが潰れたような声が漏れた。

 

「そのまま背中に投げ飛ばせるか?」

 

それを確認した鏡花は新たな指示をソルガレオに出す。

 

ソルガレオは小さく頷いたあと、ぐわっという効果音がつきそうな勢いでダンデを宙へと放り投げた。

 

うわぁあぁあぁあぁああ!?

 

思い切り投げ飛ばされたダンデは悲鳴を上げながら空高く舞い、少ししてかなりの落下速度で地面の方に落っこちてくる。

 

その姿を確認した鏡花は、少しだけソルガレオに前に出るように指示を出した。

 

ソルガレオは少しだけ前に出たあと、その場で待機する。

 

ドサリと大きな音を立てて、ソルガレオの背中にダンデが乗った。

 

「ごふっ!! は、腹が………っ」

 

……どうやら腹を打ちつけたらしい。

 

随分と痛そうな声が背後から聞こえてきた。

 

「ったく……変な方角に行くんじゃない。」

 

「だからってこれはないんじゃないか……? もう少し優しくできなかったのか……?」

 

ソルガレオの背中に着地したダンデを確認した鏡花が注意する様に言葉を紡げば、ダンデは拗ねたような声音で言い返す。

 

鏡花は小さく鼻を鳴らしたあと、ロトム、と小さく言葉を紡いだ。

 

すると、ダンデのスマホロトムがふわりと姿を現して、マップを表示する。

 

「ん。ありがとさん。じゃあソルガレオ。ハシノマ原っぱまでサクサク向かうぞ。ダンデ。どこでもいいから捕まっといて。ソルガレオははがねタイプ持ちではあるが、伝説のポケモンだから、結構スピードが出るから。」

 

マップに一回視線を向けた鏡花はソルガレオにサクサク向かうと指示をしたあと、ダンデにしっかりどこかに捕まっとけと声をかける。

 

ダンデは捕まるところがほとんどないんだが……と思いながら、鏡花の背中を見る。

 

それにより、鏡花がソルガレオの立髪に手を置いてる様子に気づいては

 

「すまない。」

 

鏡花に謝罪の言葉をかけたあと、彼女の腰回りに手を回した。

 

「ん? ああ……まぁ確かに捕まる場所あまりなかったな。別に構わないけど。」

 

腰回りに感じた違和感に気づいた鏡花は、視線を一旦自分の腰へと落とす。

 

そこに巻きつくダンデの逞ましい褐色の腕を見ては、思い出したように呟いたあと、別に構わないと返す。

 

『普通逆なんじゃ……』

 

『ピカチュウ、そこはつっこんじゃダメ。』

 

一部始終を黙ってみていたピカチュウとイーブイは、普通、女性が男性にするシチュエーションでは……それはつっこんじゃダメ、とコントのような会話をする。

 

鏡花の腕の中にいるアキザクラは、ダンデの近さにぷくっとむくれるのだった。

 

 

 

 

 




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