告白されたら高校生活が変わりました!   作:オオル

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お久しぶりです!オオルです!今回の前編的なやつだと思ってみていただきたいです!

ここ数日だけでゲームに大金をつぎ込んでしまった…。今後の課金は控えめにしたいところですね笑笑

ではどうぞ!

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フォローよろしく!

誤字脱字は後日訂正します。多分多い気がします。


幼馴染が犯人だと疑われたことありますか?

 午前中の授業全て寝て過ごした俺達は貴重な昼休みに担任から生徒指導室に呼び出された。

 

 俺は人生の中でも生徒指導室に呼び出されることなんてないと思っていたが…まさかとうとう呼ばれるとはな

 

 恐らく俺一人だけ寝てたなら怒られなかったであろう、過去に何回も寝てたし

 

 でも今回は訳が違った。変態幼馴染数人と凛、そして柊優までも寝ていたとのこと

 

「……お前らな、授業はちゃんと受けろと朝言ったばかりだろ」

『………………………………………………』

 

 後ろの7人が寝ていたことで各教科の先生達の怒りが爆発、怒鳴り散らかしていたようだが俺達にはそのような記憶は一切ない。

 

 怒鳴られていたなんて遊達から聞かされて初めて知ったことだぞ

 

 そんなことでも起きないくらい俺達は熟睡してたったわけ、そりゃあんな夜遅くまで遊んでたら眠くもなりますよ

 

「……退屈な授業をする先生が悪い」

「おっ言うな凛、流石ひなりーん★(笑)だ」

「ッ!」

 

 凛に100の精神的ダメージ、立ち直るにはおにぎりを食べなければならない。

 

 柊優と巴は??と首を傾げながらしゃがみこむ凛を後目に担任へと視線を切り替えた。

 

「先生、俺は…悪くないんだ」

「夜桜、何か理由があるのか?」

「…………はい」

 

 柊優のやつは蘭のやつをすごく睨みつけ数秒後にはいと答えた。が、そう見えたのはどうやら俺だけのようだ。

 

「理由は?」

「……とある知人から作業が終わるまで寝るな、寝ると…と脅されてました」

「飛んだ友人だな、そんな奴とは縁を切れ」

「ええ、ご最もです」

「…………………………………………」

 

 蘭のやつは明らかにおかしい笑みを浮かべながら柊優を眺めていた…が、これまた俺にしかそう見えてなかったらしい。

 

「よしこの際だ、全員昨日何をしてたんだ?言ってみろ」

「!な、なんでそんなことを聞くんですか?」

「いやな、疑ってるわけじゃないんだが…ここ最近不審者がこの地域でよく目撃されるからな、まさかではないが、万が一お前達だったりしてーなんて」

「要は夜遅くまで不審なことやってるから眠たいんじゃないか、と聞きたいってところですか?」

「ああ、まさにその通りだ」

 

 巴がそう問うとその通りだと担任は返事をする。昨日の夜なんて人に言えることしてねーよ、てか最近巷で噂の露出魔さんともろ一緒にいたわ、なんなら襲われそうになったわ

 

「私は昨日家でオナ…」

「……おな?」

「オナ…中の子と通話をしてました!」

「それは同じ中学の子と通話してたってことか?」

「はい、残念ながら進級できなかった子なんですけどね、今は他校で元気にやってるそうです」

「ほう、それは何より、それはそうと上原お前はよく進級できたな」

「えへへ、頑張りましたから」

 

 照れるひまりを見て俺も思った。

 

 なんでこのバカが進級できてそいつは落ちたんだよって、でもよくよく考えるとオナ、なんて言ってたし途中で嘘を吐いたんだろう、

 

 本当は夜遅くまで自慰行為をしてたんだな、あの電気マッサージ器を使って

 

「ひなりーん★は」

「……私は楓凛と一緒に映画を見てたわ」

「なるほど」

 

 凛は本当に映画を見てたんだろう。でもひなりーんと呼ぼのはもうやめてやってくれ、そのうちガチで泣き出すぞ

 

「あたしは今朝言った通り勉強してた」

「美竹は、まあ、うん、そう言ってたな、はい次」

 

 蘭は盛大にスルーされていくーなんでなんだ!?

 

 大方夏コミにて販売する同人誌の作成にでも追われてたんだろう。結構ギリギリって前に言ってたしな

 

 んで柊優はその付き添い、寝たら…と脅され起き続けていたってところか

 

「さて、神崎、青葉、宇田川、お前達は何をしていた?ああ、ちなみに嘘なんてつくなよ」

『…………………………………………』

 

 なんて答えればいいんだよ、もうこんなの嘘つく以外ないじゃないか!

 

「ちなみに神崎、お前昨日の夜家にいなかったよな?」

「ッ!な、何故それを!」

「嘘だぞ、簡単な罠にハマるな」

「…………はっ!」

 

 馬鹿か俺は!何故それを!?なんて答えたら家にいなかった、と言ってるものじゃないか!

 

「…………………………………………」プププ

 

 ひまりの野郎が手で口を隠しながら笑って俺を見てくる。殺意が沸くが今は我慢だ、何とかしてこの窮地を乗り越えなければ!

 

 俺はモカと巴にちらっと視線を向け行動に出た、要は俺に合わせて適当に話を合わせろって意味を込めて視線を送った。

 

「……昨日はボールで遊んでました」

「ボール?」

「はい、モカと巴と3人で、な?、な!?」

 

 2人にそう俺はバレない程度で必死に問いただした。俺の意を酌んでくれれば上手くやり過ごせれるのに…彼女達はとんでもない行動に出た。

 

 モカと巴は顔を合わせたあとニヤリと笑い、真顔に戻ったのと同時に先生に話し出す。

 

「いや、アタシとモカは確かに一緒に遊んでました」

「はい、でもれーくんとなんか遊んでませーん」

「……と言ってるが?」

 

 クソ野郎共が、俺を見捨てやがった。

 

 もうこいつらが露出魔とドM野郎ですって言いたい!でも!散歩させてたの俺だし言えない!

 

「神崎、お前嘘ついてるんじゃないのか?」

 

 嘘なんてついてないっての、あーリサさんも俺に嘘ついてるって言われた時こんな気持ちになったのかな?

 

 嘘ついてないのに嘘つき呼ばわりされるなんてなんとも不愉快なものだ、身をもって学んだよ

 

 一度ボールで遊んだと話した、ならもう突き通すしかない!

 

「ボールで遊んでました」

「ボールで何をしてたんだ?」

「投げたボールを1人で取りに行ってました」

「ほう、お前は自分で投げたボールを自分で拾いに行ってたのか…」

「はい」

「お前頭おかしいだろ」

『ブフー!』

 

 俺以外の生徒が一斉に笑いだした。もうなんとでも思え、俺は今ここから抜け出すことしか考えてない。

 

「時には1人でそんなキチガイ行動をしたくなる夜だってあるんですよ」

「わかった、ならその際に露出魔など目撃はしなかったのか?」

「…………………………してないです」

 

 こればっかりは嘘なんだよなー現に目の前にいたし、なんなら今右隣にいるし

 

「よし、これで疑いが晴れたな、よかったよかった…でだ、お前らに頼みたいことがある」

「?俺達に頼みたいこと?」

 

 なんだいきなり、先程までの空気と打って変わって急にシリアスな雰囲気になったような…気がする。

 

「ああ、何度も言うがここ最近露出魔などの目撃情報がたた寄せられている、中には被害にあった生徒もいるそうだ」

「……はあ、なるほど?」

「それでだ、お前達にはその露出魔を捕まえて欲しいんだ」

「ん?」

 

 捕まえて欲しい?俺達学生が?

 

 いやいや、そんなことするのは警察達の役目でしょ!?なんで俺達がしないといけないんだよ!?てか露出魔俺の右隣にいるし!?

 

「訳が分からない、何故私達が露出魔なんて変態を捕まえないとならないのか、ちゃんと理由を説明して欲しい」

「凛ちゃんよく喋るね」

「う、うるさい!」

 

 凛が言わなかったら俺が聞いてたところだ。本当にわけがわからん、今さっきの話から急に展開変わりすぎだろ

 

「実はな今朝朝礼でこんなやり取りをしてだな…」

 

 と回想シーンに突入した。

 

 

 

「では続いて地域問題についてです、担当の先生よろしくお願いします」

 

 教頭先生がそう言うと担当の先生(レイ達の担任)が前に出てきた。

 

「どうも、先日の不審者の件ですが…またも昨日目撃情報をいただきました」

「またか?ここ数日でかなりの頻度だな、それで?今回もあれか?」

「ええ、あれです」

 

 あれとは露出魔なんて単語を職員室で言えないものだから伏せて言う。

 

 もちろん教員達はみな意味を察しているためザワついていた。

 

「もうここまで来たんだ、警察達には早急に捕まえるように話すべきだ、被害者もいるのだからな」

「それもそうですね、警察には早急に対応するようにと話してみます」

 

 レイ達の担任は内心面倒臭い仕事を増やすなクソハゲメガネと文句を言っていた。

 

「……あのー1つ話があります」

「?どうしました、理科の先生」

 

 牛乳瓶の底のような分厚レンズの丸眼鏡をクイッと指で上げながら理科の教員が手を挙げた。

 

「おたくの生徒である美竹蘭、青葉モカ、そして神崎零…この3名は授業中よく居眠りをすることで有名です」

「しかもテストではそこそこいい点を取る飛んだ迷惑な生徒です」

「いるな」

「あいつらな」

「……ええ、彼女達がなにか?」

 

 なんと朝礼会議でレイ達の名前が上がった。

 

 やはり教員達もレイ達の居眠りの件については常日頃から不満を抱いてようだ。この反応で丸わかりである。

 

「彼女達がよく眠るのは何かしらの理由で徹夜しているから…つまりあれの件である可能性があるのではないなと思いますね」

「……彼女達の生活リズムが悪いため居眠りをすると考えています、それだけで決めつけるのも…」

「あの件の目撃情報、その中にこんな情報もありますよね?」

「灰色の髪をした人物であると…青葉モカと一致していませんかねえ」

「………………………………………………」

 

 そこまでの情報が来ているのなら疑われても仕方がない…のだろうか?

 

 ただ単にそう決めつけたいだけなのではないだろうか?

 

「灰色の髪の人なんてこの世には沢山います、私もその1人です」

「……ええ、そうですねー、この世にはいますけどこの地域では限られるのでないでしょうか?」

「結局先生は何が言いたいのですか?うちの可愛い生徒達を疑いたいのですか?」

「なに、私はただ可能性があると言ってるんですよ」

「それを疑いと言うんだ、貴様ふざけるのも大概にしろ、うちの生徒に何か恨みでもあのか?」

「せ、先生落ち着いてください」

 

 口調が変わった担任を宥めさせるように隣にいた教頭が額に汗を滲ませながら止めに入った。

 

「恨みなんて全先生が持ってますよ、特に青葉モカ、神崎零、この2人は授業もろくに聞かずに高得点を取る、実に不愉快だ」

「…授業態度が悪いのは認める、だが点数についてはあいつらが努力した結果だ、それに神崎は今回朝日奈とテスト勝負をしていたから高得点を取ったんだ」

 

 2年の教員の大半から恨まれているレイ、彼はそんなことを知らずに推薦をまだ狙い続けるのだろうか。

 

 夢のまた夢の話になったようだな

 

 とはいえ現に犯人はモカだ。この場合正しいのは担任ではなく理科の教員なんだが…レイ達の担任はそうは思わないはずだ。

 

 何故ならモカとレイは担任の可愛い生徒達、そんな子に疑いの眼差しを向けられるのは理科の教員達がレイやモカを不快に思うより更に不快な気持ちだ。

 

「では青葉の無実をはらせばいいんだな?」

「ええ、できるものなら」

「できるさ、青葉達に不審者を捕まえてもらう…そうすれば疑いもはれるだろ?」

 

 そこにいた全教員は思う。

 

 確かに不審者が捕まり、モカが普段通り登校してくるのなら、モカ以外の真犯人がいたってことになる。

 

 でもそれを本人にさせるのはどうかと思うのが教員達なのだ。

 

「教頭」

「は、はい!」

「うちの放送部…文化祭の予算が足りない、少なすぎる…不審者を捕まえた暁には追加で予算を要求する、ダメか?」

「い、いえ!是非!捕まえたなら予算をいくらでも分け与えます!」

 

 いいのか教頭、彼らの財力が無限となれば何をしでかすかわからないぞ?

 

 というも現に露出魔の正体はモカであるし担任の願いは叶うはずもないがな

 

「となれば放送部全員で協力して不審者を捕まえて青葉の無実を証明する、文句あるかクソども!」

『…………………………………………』

 

 もし不審者を捕まえたとなるとそれは前代未聞の出来事だ。

 

 生徒が不審者を捕まえる…他校でもそんなことを成し遂げだ生徒など過去にいるのだろうか?いやいない

 

 内心捕まって欲しいと願う教員と犯人は本当にモカ達では無いかと疑う教員、それぞれいたが最終的に担任の言ったことを受け入れたのであった。

 

「それと別件の美竹蘭の件なのですか」

「あ、それは本当にすみません、私から厳しく指導しておきます…」

 

 先程まで強気だった担任は一瞬にして弱気になるのであった。

 

 

 

「なんてことがあってだな、お前達には死んでも捕まえてもらわないと困るんだ」

「ああ、青葉だけでは無理だからお前達に協力してもらうってわけだ、わかるよな?」

「なんかめっちゃ大きな問題になってる!!??」

 

 予想以上の出来事だ、しかし俺達で不審者を捕まえることになった経緯は十分に理解した。

 

 いや正直モカだけでいいだろと言いたいところだが!何度も言おう、幼馴染が捕まるなんて死んでもゴメンだ。

 

 それはそうとしてつまりのところ…疑われているモカが捕まえることで疑いをはらすってことだな、了解了解

 

「(って!無理ゲーだろそんなの!?)」

 

 露出魔の正体はモカだぞ!?不審者捕まってるモカを差し出せって意味だぞ!?

 

 んなことできるか!一応幼馴染だぞ!?

 

 そもそもなんで先生達はモカが怪しいって疑いを持つようになったんだよ!?

 

 居眠りだけでそうなるとは…!なんておそろしいんだ、居眠りとは!?

 

「という訳だ、なに安心しろ、捕まえれば文化祭の予算が追加で申請できる」

「まじで!?」

「ああ、教頭から言質はとってる、しらばっくれたら数少ない髪の毛むしり取ってやる」

「……………………………………」

 

 男子にとってとても大切である髪の毛をいとも簡単に引きちぎると言い出したぞこの人

 

 もし自分がその立場になったらと想像すると怖くなる…男子はな、みんな将来ハゲになりたくないと必死なもんなんだよ

 

「出来れば夜桜と宇田川にも協力して欲しい」

「俺は別に構わない」

「アタシも構わないぜ!モカの疑いをはすためなら協力するぜ!」

「ふっ、頼もしい生徒を持ったものだ」

 

 騙されるな担任、こいつがあんたの探している不審者のうちの一人、変態ドMペット志願者の残念なやつなんだぞ

 

 何が頼もしい生徒だ、恥ずかしい生徒の間違いだろ

 

「放送部全員も協力してくれ、あとは市ヶ谷に戸山、白金もお願いできるならお願いして欲しい」

「…………あ、えっと…はい」

「?どうした上原」

「い、いえ!なんでも!」

 

 ひまりはモカの正体を知ってる、だからこそ動揺するのは分かるがあまりにも分かりやすすぎだろ、疑われたらどうするんだよ

 

「青葉」

「……はーい」

「確かにお前は目撃情報の灰色髪かもしれない。でもな?先生信じてるから、お前が露出魔なんかじゃないって」

「……もーう、先生ーモカちゃんは可愛くてきゅーとですけどそんなことしませんって〜」

「だよな!信じてるからな!」

 

 信じてるからな、か…現に目の前にもう犯人がいるんだけどな、もうこのこと何回言ってることか

 

「もうダメだわ、終わりよ…私達も連帯責任で捕まってしまうわ、あはは…刑務所ではおにぎり出るのかしら」

 

 露骨に人生終わった雰囲気を出す凛の腹を軽くつねる、心は痛いが今は我慢だ

 

「ちょっと凛のやつ腹が痛いようで」

「ふむ、そうか」

「とりあえず俺達が不審者を捕まえればいいんですね!了解です!早速作戦会議を始めます!みんな視聴覚室で話そうぜ!」

 

 俺は全員を無理やり生徒指導室から連れ出しその場から離れた。

 

 その後担任は

 

「頼むぞ、お前達」

 

 と神に祈るように言う。しかし露出魔の正体が実は可愛い自分の生徒だと知ったらどうなるだろうか。

 

 それは不審者が捕まってみないとわからないことなのだ。

 

◆◆◆

 

 視聴覚室にやってきたレイは視聴覚室の防音力をいいことに大きな声で叫んだ。

 

「どうすんだよこれ!?」

「……これはかなりまずいね〜」

「何他人事みたいに言ってんだよ!?お前のせいでこーなってんだろーが!?」

「んーでもモカちゃんが全裸でうろつくのは生きていく上で必要なことだからさ〜」

「逆なんだよ、生きてく上では普通服を着るんだよ!」

 

 原始人達も動物の皮とかで服を作っていただろうが!お前は日本史で何を学んだよ!?

 

「待ってくれ、青葉さんのせいってなんなんだ?」

「!しまった、お前らもいたんだった…!」

 

 完全に柊優と巴の存在を忘れて話していた。

 

 巴と柊優はモカの正体を知らない、のに俺は知ってる前提で話してしまって…バレるようなものじゃないか

 

「それはあたしが露出魔だからだよー」

「……レイ、悪いことは言わない、自首させよう」

「あんた何あたしの親友を刑務所にぶち込もうとしてるの?」

「ごふぁ!」

 

 蘭のやつがいきなり怒りだし柊優のネクタイを掴み持ち上げていた。

 

 柊優のやつは苦しむように腕を数回振ったあと蘭の手首を強く握り無理やりネクタイから手を引き剥がした。

 

「つ、つまりはあれか?お前達は青葉さんを庇うってことか?」

「…………そう、なるね」

「……無茶だ、そのうちバレることだ。もう灰色髪って情報があるんだろ?」

「だからってモカって決まったわけじゃない!」

「蘭が必死に否定してくれてるーならモカちゃんも期待に応えて言おう。あたしは露出魔じゃないよ〜」

「もう何もかも遅いんだよ!?」

 

 どうすんだよこれ!

 

「……なあモカ?」

「どうしたのともちん?」

「モカがその、露出魔ってのは本当…なのか?」

「…………違うよー」

「嘘はつかなくていいんだ、もう……わかってるから」

「うん、世間的には露出魔って言うらしいね〜」

「ッ!……ちょっと、時間をくれ!」

 

 巴は視聴覚室から静かに出ていく、それはまあ幼馴染がこんな変態野郎ならそうなるだろう。

 

 分かるよ、心底その気持ちわかるよ、特につぐみの時はかなり心に来たものだ。

 

「ねえねえ、モカが普通にもうそんなことしなければ済む話じゃないの?」

「ひまり、その考えは間違ってる」

「なんで?だってモカが動かなければもう目撃情報も入らなくなるよ!?」

「だからそれがダメなんだよ」

 

 厄介なことになってやがる。今後モカが全裸でうろつかなければ露出魔の目撃もなくなり、不審者は自然消滅した…ってことになる。

 

 でも違うんだよ、自然消滅したことがダメなんだよ

 

 モカは疑いがかかってる。それを俺達に話したと先生達は知ってる、いや堂々と捕まえさせると宣言したのなら俺達に話すのは必然だ

 

 そこで話した途端はい、不審者いなくなりましたーってなってみろ

 

 やはり露出魔はモカであり恐れて姿を隠したんだ…となりモカは先生達からさらに疑いの眼差しを向けられることになるんだ。

 

 なんなんだ、なんなんだよこのシリアス展開、俺の人生にここまでのシリアスは求めてないっての…!

 

「もかは誰かに手を出したりしたの?」

「手を出すってエッチなことしたかってー?いーやんモカちゃん初めてはれーくんがいいかなってー」

「……真面目に答えて、返答次第では希望が見える」

「???」

 

 凛のその発言に俺は首を傾け聞くことしか出来なかった。

 

 返答次第では希望が見える…俺が凛より頭脳が劣っているから察せれないだけ?

 

 いや、柊優も手段があるなら言ってみろと言わんばかりで壁に背を置き腕を組んでいる。

 

「さっきの返答でわかるでしょー襲ってないよ…恥ずかしいから言わせないで欲しいな〜」キャッー

 

 とお尻を振りながら答えるモカ、視線を外にずらすと柊優も同様に視線を外に向ける。

 

 戻す際にふと目が合い「大変だなお前」と言わんばかりの視線を送ってきた。

 

 本当に大変な人生だよ、こんな変態を匿うことになったからな

 

「なら決まりだね、モカの他に露出魔がいる」

「ッ!?な、なんでだよ!」

「思い出して欲しい、被害にあってる生徒がいる…と担任が言っていた」

 

 担任が言っていた、とは先生が長々俺達に不審者を捕まえることになった経緯を説明している時に言ってたことだ。

 

 確かにモカが襲ってないのなら?他の第2の露出魔が襲っていた…?ってことになる!

 

「モカ!」

「は、はひぃ!」

 

 俺はモカの肩に手を置き顔を近づけ真剣な眼差しを向け質問した。

 

「本当に襲ってないんだな?」

「お、襲ってないって…近いって〜」

「別にお前にとってこれくらい普通な距離だろ、本当の本当なんだな?」

「……本当だってーなんなられーくんがぶっ刺して確認しなよ〜」

「ッ〜!」

 

 柊優のやつは恥ずかしいのか壁の方に顔を向け頭をリズム良く当てていた。

 

 本来であればこれが正しい反応なんだろう。

 

 てかぶっ刺した確認しろって…流石に引くわ

 

「何その反応、あんたあたしの作品見てるんだからこれぐらいなんてことないでしょ」

「……人の口から出る言葉とじゃ違うだろ」

 

 柊優のやつは結構女の子耐性ないんだな、勝手にありそうだと思ってけど恥ずかしいものは恥ずかしいようだ。

 

「となれば私達はもう1人の露出魔を捕まえて刑務所にぶち込めばモカの疑いがはれるってこと?」

「つまりそーゆうことだ、この変態が嘘をついてなければな」

「だから本当だって〜」

 

 そしてその露出魔が灰色の髪だったら尚更モカの疑いはなくなるな

 

 にしてもそう上手くいくか?もう1人露出魔がいたとしてもそいつが灰色髪とは限らないのでは?

 

 いや、捕まえたら急いで髪を灰色に染めてやれば…!うおー!行けるぞー!

 

 って!行けるわけないだろ!?

 

「とりあえず襲われた生徒を探すべき」

「……そうだな、なんか今日の凛すげー、頼りになる、助かるよ」

「………………友達なら助け合う」カー

 

 顔を赤くして俺達から目を逸らして答える凛に対して、ああ、こいつはやっぱり友達思いの良い奴なんだなと改めて自覚した。

 

「りんちゃんモカちゃんのこと助けよーとしてるの〜?ありがとうーおっぱい揉んでいい〜?」

「い、今は絶対だめ!夜桜がいるから!」

「別に俺は気にしない」

「私が気にするのよ!?あと何言ってんのよあんた!?」

「……怒られた」

 

 それはまあ今言うセリフではなかったよな、気にしないとかじゃなくて凛自信が気にするんだよ

 

「とりあえず決まりだね、モカを救うにはその恐らくいるであろうもう1人の露出魔を捕まえること」

「捕まえれるかなー」

「大丈夫、囮がいるから」

「………………はっ!?」

 

 察した柊優は急いで視聴覚室を出ていこうとするも蘭に服を捕まれ逃げ遅れてしまう。

 

「確か男子生徒が襲われたんでしょ?…ならさ、悔しいけどイケメンのこいつを放っておけば来るんじゃないの?」

「お、おいおい蘭、お前は他の女に侵されるところを見たいのかよ」

「あーじゃあとりあえず本番前に柊優とレイで一発お願いしてもいい?それなら柊優も納得でしょ?」

『誰が納得するかぁ!』

 

 柊優と声を合わせ全力で否定する。

 

「わかったよ、襲われる前に助けるから、それならいいでしょー?」

「そうゆう話じゃない、俺に人権は無いのか?」

「柊優はレイの彼氏でレイはあたしの彼氏であってレイの彼女であるあたしの命令ならレイの彼氏である柊優は…」

「あー!うるさい!ややこしんだよ!」

 

 頭を掻きむしりそう答える柊優に対してひまり、モカ、凛は意外そうな視線をジーと送り続けていた。

 

「!な、なんだ?」

「いーや、夜桜君って普段はそんな感じなんだなーって」

「いつもの冷静沈着なよっちゃんじゃない感じ〜?」

「よっちゃんって、馴れ馴れしく呼ばないでくれるかな変態の青葉さん、俺は君と今後話したいとも思わないんだけど」

「いいよ、今度全裸のモカちゃんを見せてあげるから〜一瞬で虜になっちゃうよーん」

「…………レイ、お前はずっとこんなやつの相手をしてたのか」

「ああ、すごく大変だった…!」

 

 モカの恐ろしさを知ってもらったところでお昼休みももうあと数分で終わろうとしていた。

 

 お昼ご飯食べてないっての、10分休憩の時に食べるしかないか

 

「夜桜」

「……なに?」

「蘭の本当の彼氏は夜桜なの?」

「は、はぁぁぁぁあああ!?」

 

 柊優よりも大きな声で反応したのは蘭だった。心底いやそうな顔をしながら凛に近づき大きな声で言う。

 

「なんでこいつがあたしの彼氏なの!?」

「……下の前で呼びあってる、仲睦まじい雰囲気をただ寄せてた」

「……柊優はサークルのメンバーなだけだから」

「ちなみに俺は今すぐにでもこんなサークルやめたいと思ってる」

「ならやめればいい」

「…………やめれないんだよ」

「それはなぜ?夜桜はらんのことが好きだから、離れたくないからやめたくないじゃないの?」

「絶対、断じて!そんなことはない!」

 

 いつもの倍大きな声でそう言う、少し怒っているようにも見えるのは気のせいだろうか。

 

「なにそんなに嫌がってるの?もしかして図星?」

「そっちこそいいように言って絵を描いてるだけなんじゃないのか?」

「誰があんたみたいな絵に描いた薄っぺらいイケメンに恋するかっての!」

「んだと腐女子みたいなやつが何を」

「あたしをあんなヤツらと一緒にするな!」

「ほぼ一緒だろーが!」

 

 あーあ、言い合いになっちゃったよ、この2人は本当に仲が悪いな…凛は一体何を見て仲睦まじい雰囲気だと思ったんだよ

 

 蘭と柊優が大喧嘩してる中視聴覚室のドアがゆっくり開き、そこから先程出ていった巴が入って来た。

 

「モカ、そしてレイ、話がある」

『?』

 

 俺とモカは目を合わせ同時に首を傾げた。巴は着いてきて欲しいと言うもんだからそのまま着いて行くように視聴覚室を出ていく

 

 近くの図書室に入り、畳が敷かれているところに向かい俺達はそこに座った。

 

 その際モカのやつがわざと体操座りをして俺にモカの大事なところを無理やり見せようとしてきた。

 

 もちろん俺は目をそらすが…。

 

「ふっ、さっきの話は本当だったんだな」

「ごめんねー実は超がつくほどの変態さんなのだ〜」

「………………隠しててごめんね」

 

 そのいきなり謝り出すのは反則だろ…なんなら俺に暴露した時もちゃんと謝って欲しかったものだ。

 

「いいや、いいんだよ、モカも年頃だしそーゆうのには興味持つのは当たり前だろ?」

「?うん」

 

 巴は深く深呼吸をした後俺の手を取りこう言い出した。

 

「実はアタシも変態なんだ、そして今はレイの忠実なペットだ!」

「ッ!」

「は、はぁ!?お前な、何言ってんの!?」

「ご主人様ー!だってモカは秘密を話したんですよ!?アタシも話すのが当たり前だろ!」

 

 そんな欲情した犬のようにはあはあ言いながら言われても説得力の欠けらも無いっての

 

「……ともちんがれーくんのペット?」

「ああ、近いうちご主人様専用の肉便器になる予定だ」

「ならないから!てかさせないから!?」

「…………なんだ〜ともちんもこっち側だったのー?」

「…………黙ってて悪かったな、実はアタシ痛いのが大好きな、世間的にはドMって言われるやつだ」

 

 さっきから言ってる世間的なってやつはなんなんだよ、世間的どうこうにお前らはそもそも人として終わってるからな

 

「肉便器かーともちんれーくんの相手は大変だよ〜?」

「何経験したみたいに言ってんだよ!1回もしてないからな!?」

「そんなこと言わずに!ささ!今の時間ならここ誰もいないのでちゃちゃっとアタシにマーキング(中〇し)を!」

「まじでやめてくれぇぇぇえええ!!」

 

 混ぜるな危険とはまさにこのこと、こいつらにひまりも加わったら本当に俺はこいつらに搾り取られてしまう!

 

 危機を感じたレイは急いで畳から立ち上がり走っては行けない図書室なんか無視して走り去るのであった。

 

◆◆◆

 

 さてではまず初めに被害にあったという男子生徒を探そう。

 

 そのためにもまず担任に協力を要請しなければ、なに帰りのHRにちょっと話をするようにと頼んだのさ

 

「はい、では最後の話だ」

 

 帰りのHR、週の最後のこの時間ほど早く終わってくれと思うはず。でもすまないみんな、少しだけ俺達に時間を分けてくれ

 

「朝も話したがここ最近露出魔の目撃情報が(略)そこで何か情報を知ってる生徒がいたら私のところまで来て欲しい、以上だ、神崎号令ー」

「起立、礼、ありがとうございました」

『ありがとうございましたー』

 

 なんで俺なんだよと内心思いながら号令をかけたのであった。

 

 その後身支度をする振りをしながら先生の方をチラチラ見るが生徒が一向に向かう気配がない。

 

「(そう簡単に知ってるやつはいないか)」

 

 1番期待してたのは襲われた人が誰かって知ってる人がいてくれたらよかったんだけどな

 

「……いないね」

「ああ、でもまあこんなもんだろ」

「第一もか…じゃない、露出魔に襲われたとなれば心を病んでいるはず、登校していない可能性が高い」

「…………かもな」

 

 凛は冷静にそう分析して言う。こんも凛が頼りにもなるなんて思いもしなかった。心做しか凛がかっこよく見える。

 

「りんちゃん今あたしの名前出しかけたよねー酷いよーおよよ」

「疑われるもかが悪い」

「私達友達でしょ!?」

「友達なら胸を揉まない」

「じゃあ彼氏は?」

「…………それは知らない」

「逃げたな、朝日奈」

 

 こっちはこっちで元気にやってんなー今はそれほど大きく動くことは無いから適当にやってて構わないけどさ

 

「さあさあ花金だーどっか遊び行く?」

「ならさー由明日の家行かね?てか泊まらね?」

「まじねーわ」

 

 ぐっと指を立ておーけーサインをする由明日、泊まっていいってことか

 

「なんだ神崎?お前も泊まりたいのか?」

「言っとくが俺達と泊まるとなれば眠れないぜ?」

「まじねーわ!」

 

 由明日は宿泊研修の時同様トランプを取り出し俺に見せつけながらそう行ってきた。

 

「悪いなお前達…俺達はどうしても何遂げないといけない使命があってだな」

「……確かに言われてみれば珍いメンツで集まってんな」

「夜桜に朝日奈様?それに神崎君とその幼馴染達?あれ?羽沢さんは?」

「羽沢さんは生徒会の仕事だ、本当は俺と上原さんも行かないといけないけど無理言って休みを貰ったんだ」

「まじねーわ」

 

 文化祭も近いからひまり達実行委員の仕事も忙しい中無理言って休みを手に入れたんだ。

 

 今日、もしくは明日には捕まえて来週からは文化祭に専念したいところだ。

 

「用がないなら早く帰って欲しい」

「あたし達あんた達に構ってるほど暇じゃないの、帰った帰った」

「ゆ、由明日はアタシの帰りを待っててもいいんだぞ?」ハアハア

「ままままじねーわ!!」

「お、おいおいなんだよ由明日」

「そんな押すなってーどうせ押されるならレイコちゃんみたいな可愛い子の方がいいぜ」

「……黄海、あんたしつこいよ?レイコをそう簡単に渡すわけないじゃん」

「もももういいだろ!お前ら喧嘩になる前に早く帰ってくれ!」

 

 蘭の口に手を置きそれ以上言わせないようにして遊達を帰らせようとする。

 

「ねえねえ蒼井くんー?」

「!ま、まじねーわ?」

「先生の言ってるさー露出魔について…何か情報知らないー?」

「?まじねーわ?」

 

 なんでよりにもよって由明日に聞くんだよ、こいつがまじねーわ以外の言葉発したところお前は見た事、聞いた事あるのか?

 

 ちなみに俺は数回だけあるぞ

 

「露出魔?そう言えば先輩が襲われそうになったって言ってたな」

「ッ!その話詳しく!」

「おおふ、朝日奈様が俺の目の前に…!」

 

 びゅん!と優亜の前に現れた凛に対して優亜は驚くもすぐに顔を治し俺達に話してくれた。

 

「実は俺の家ってそこそこ金持ちでな、その家絡みで仲のいい先輩がいてーその人がこないだ真っ青な顔で話してきたんだよ」

「金持ちって情報いるの?」

「いいだろ少しは自慢しても!?」

 

 まさかひまりからそんなこと聞かれるとは思いもしなかったよなー確かに飯とか食べに行った時こいつ異様に金持ってたからな

 

 なんか怪しいバイトでもしてるんじゃないかと疑ってたよ、いやすまんな

 

「その先輩は羽丘にいるのか!?」

「いるぞ、演劇部の先輩」

「……よりにもよって演劇部か!?」

 

 演劇部!話しかけやすそうでかけにくい人だなこりゃー

 

 白鷺さんとは文化祭で勝負することになってるからな、負けたらと思うと…ゾッとするところだが今はもかの件が優先か、捕まったりしたら勝負どころじゃないしな

 

 まあ演劇部の人達とは一度多分顔は合わせてるから話しかけても返事ぐらいはしてくれると思う。

 

 ほら俺瀬田さんに劇一緒にやらないかって誘われたし?その時紹介されたから顔は覚えられてると…信じたい!

 

「学校には来てる感じ〜?」

「……さあ、俺そんなに仲良くないし、なんか弦巻の屋敷パーティの時に話したぐらいだからさ」

「こいつまた自慢したよ、蹴っていい?」

「お、落ち着け蘭!」

 

 女子としてのあれが完全になくなるぞ!?それにしてもまさか優亜からこんな貴重な情報を聞き出せるとは!

 

 持つべきともは金持ちの友達だな!悪い意味じゃなくてな!

 

「んじゃその先輩をボコボコにして履かせればいいってわけではな!」

「いや言い方!普通に安全な方法で聞き出すっての!?」

「ま、まじねーわ…!」

 

 由明日は巴に怯えながら着々と帰りの身支度を行っていた。それを見ながら遊は首を傾げながらも帰りの身支度をしていた。

 

「とりあえず俺が1人で聞いてくるよ」

「えーモカちゃんも行きたいー」

「ここは私でしょ!?私と行くべきだよレイ君!」

「えーい!くっつくな!」

 

 両方からいっせいにやってきては手を取りそう言う。左側にいたひまりの胸がもろ腕に当たってたものだからかなり気持ちよかった…のは内緒だ。

 

「ここは間をとってレイと柊優の二人で行くべき」

『だからなんでだよ!?』

 

 こうして俺は優亜の言うその先輩似合うため、勝負相手の演劇部の部室へと向かうのであった。




次回続きです。モカが捕まるのか!それとも本当に他の犯人がいるのか!?その目で確かめてください!

少しでも面白いと思ったら感想と投票よろしくです!

ではまた次回お会いしましょう!

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