俺、チャンピオンになります   作:イニシエヲタクモドキ

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取り敢えずカットby主人公

ヴァイス視点

「ポケモン図鑑を手に入れろ」

それが俺達に出された最初の任務だった。

…まぁ任務というにはハードルが若干低い気もするが。

ダンデのありがたーい言葉を聞いて、今俺達はポケモン研究所に向かおうとしていた。

が。

「柵が、空いてる…?」

「あそこにいたウールーは!?」

状況を説明してくれた二人に感謝。

要するにアレだ。

主人公には必須な強い奴との遭遇イベントだ。

ま、俺は主人公になれるような人間じゃないからな。スタコラサッサだぜ。

「何立ち去ろうとしてんだよヴァイス!さっさと行くぞ!」

「待ってせめて手持ち連れて行かせてぇぇえええ!!」

泣き喚きながら、六つのモンスターボールをポケットに、俺は渋々まどろみの森へ入っていったのだった。

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ヴァイス視点

「き、霧が濃いなぁ…」

あくまでウールーの心配をしている二人と対照的に、俺は周囲に気がいっていた。

…どうせお前らだけいい思いすんだろ!!

怒りを全て道中のポケモンにぶつける。

無論前に出ているのはサザンドラだ。

トライアタック、舐めるなよ?

「…しっかしなんなんだ?さっき聞こえた鳴き声って」

「さぁ?とにかく今はウールーだろ?…っと、霧がさらに濃く…」

開けた場所に来た俺達だったが、霧に周囲を囲まれて前後不覚に陥ってしまった。

「お前らー、動くなよー」

「なんでそんな慣れた感じなんだよ…」

しょうがないだろ、お前らと年季が違うんだよ。

目が慣れてきた(!?)ので周囲を確認してみると、先程までいなかったはずのポケモンがいた。

「……うっそだろお前」

「「ウルォード!!」」

なんでザシアンとザマゼンタが同時に出てくるんですかねぇ!!

唐突に戦闘を開始させられて、少し苛立ってしまった。

タイプは覚えて…る。

確か、はがねかくとうとはがねフェアリーだった気がする。

…フェアリー死すべし、慈悲はない。

「行っておいで、ルカリオ」

流石にあの二匹相手にサザンドラを出すわけにもいかないので、素直にルカリオを出す。

「る、ルカリオだ…!」

「サザンドラといい、なんであんなに強者の風格があるんだ…?」

目の前の見たこともないだろうポケモンよりも、知っているルカリオの方が珍しいらしい二人。

負けじと二人もポケモンを出し、俺のルカリオの隣に立たせる。

「よぉしヒバニー!にどげりだ!!」

「サルノリ!こわいかお!!」

ヒバニーはまだわかる。昨日も使ってたよな?

…だがサルノリ、テメーは駄目だ。

なんでお前こわいかお使えるんだよ。うそなきといいなんなの?

「なっ!?攻撃が、効かない?」

「変な壁に拒まれてるみたいだ…」

「よし、なら…ヒバニー!フェイント!」

「そぉい!?なんで使えんだよソレ!!」

さも当然と言わんばかりに指示したマサルに、俺はやれるというような目で頷いた後、ヒバニーはフェイントを仕掛けた。

説明のしようがないくらい霧が濃かったので、何とも言えないのだが。

「ダメだ、また防がれた…」

「守るとかじゃないのか…」

「はぁ…ルカリオ、インファイト」

一応俺も攻撃しておくか、という野次馬精神で指示すると、ルカリオは一瞬で二匹の前に移動し、霧が晴れるレベルの風を起こしながら拳を振るった。

…速すぎて、見えませんでした。

どうせ見えない壁に防がれる…そう思ったが。

バズンッ!!と低い音がなったかと思えば、ザシアンとザマゼンタは吹き飛ばされていた。

見たところ、ダメージも負っているようだ。

……は?

「す、すげぇえ!!流石ヴァイス!」

「サザンドラもだけど、あのルカリオも強い!!」

かなり褒め称えてくれる二人だが、俺の方がもっと驚愕していた。

……負けイベとちゃうの?

「ウルォード…」

なんか弱々しい声をあげ、ゆっくりと立ち去って行った二匹。

…ま、また俺何かやっちゃいました?

「すげぇ!あの二匹を追い払っちまった!」

「やっぱり越え甲斐がある!」

なんかキラキラした目でこちらを見てくる二人に、実は想定外でしたなどと言えるわけもなく…

「け、計算通りだ!!」

「「すげぇ~/すっごい!!」」

俺は、嘘をつくのだった。

…ちなみに、ウールーはちゃんと見つかりました。

そしてしっかり説教されました。

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ヴァイス視点

はい、なんやかんやで研究所までつきましたぁ~!

…一番道路のポケモンたち、俺のサザンドラの風格に気圧されて逃げていったんだぜ?泣けるだろ?

ダンデに連れられて中に入ると、ワンパチが出迎えてくれた。

初対面の俺にも十分懐いてくれてるワンパチを撫でていると、上の方から声が。

「ダンデくん今日はなに?まだみぬ最強のポケモンはどことかやめてほしいんだけど?」

…そんなこと、言ってたんですね…

ちょっと遠い目をしていると、ダンデとやたら派手なヘアメイクをした女性が話に一段落つけたらしく、俺に話を振ってきた。

知っていたことだが、あの女性はソニアと言うらしい。

それでまぁなんかいろいろ話があって、なんやかんやで博士の家まで向かうということになりました。

え?そこに至るまでの説明?

何も無かった、それでいいじゃないか。

「……で、もう旅立って大丈夫なんですかね」

「ダイマックスバンドは要らないのか?」

「おっと忘れていた」

この会話からわかるように、俺達はねがいぼしのイベントも終わらせた。

それで今、ダイマックスバンド作成をしてもらっているのだが…

…前から思ってたけど、石がバンドになるってどうなんだ?

俺は違和感があるが。

ていうかゲームと違ってパワーが溜まったかどうかなんてわかんないわけだし、ダイマックスの使いどころわかんなくない?

そんな事を考えながら就寝。

やっぱり早寝、遅起きだよね。

「……そして朝」

「昨日からなんで時間帯の説明をしてるんだ?」

「どうでもいいことに触れるんじゃありませんホップ」

「なにその口調」

二人からのツッコミを回避、ダイマックスバンドを受け取って駅へ。

……やっぱり自由な旅って大事だよね。

マイマザーのせいで自給自足になれてしまったのが祟ったか。

与えられるのはなれてない(イキリ)

「…じゃあ!行ってくる!」

ホップとマサルは母親に見送られ、笑顔で手を振っていた。

俺?親が基本放任主義だから…(震え声)

電車に乗り込み、すぐにスマホを起動した現代の若者二人をしみじみと見た後、俺もスマホを起動。

どうせワイルドエリアで下ろされるので、そこの情報を見ておこうと思ってね。

書いてあることはゲーム準拠の情報だけだったので、すぐにスマホゲームに切り替えたが。

そんなこんなでゲームすること数分。電車が急に止まり、ワイルドエリア前で下ろされた。

ウールが線路をふさいでいるんですね、わかります。

「……さて、キャンプセットももらったことだし、少し懐かしのワイルドエリアを堪能するとするか」

なんか懐かしい光景が広がっているので、少し感傷に浸ってしまった。

モンスターボールからサザンドラを呼び出し、一緒に懐かしむ。

「……思えば、俺達が最初にダイマックスポケモンと戦ったのってここだよなぁ…」

サザンドラの背に乗り、ポケモンの巣穴に目を向ける。

何故か最初に遭遇したのがフライゴンでなぁ…うん。巣穴の周辺ならダイマックス維持できるんですね。

「………お?なんか揺れてないか?」

涙すら出てきそうになっていると、急に地面が鳴動し始めた。

「…まさか…」

巣穴からゆっくりと浮かび上がってきた巨大なポケモンに、俺もサザンドラも笑みを浮かべた。

「まさか、この場所でお前に会うなんてなぁ…」

サザンドラの背から降り、帽子の鍔に手を当てる。

レッド式のかっこいいポーズその三を披露しつつ、そのポケモンの名を呼ぶ。

「…なぁ、フライゴン!」

「――――――――ッ!!」

俺が名を呼ぶと、フライゴンは呼応するように雄たけびを上げた。

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ヴァイス視点

「さて、ダイマックスポケモン相手には本当は四人で挑まないといけないが…」

協力してもらう気なんて、無い。

コイツは、俺とサザンドラだけで倒す。

「サザンドラ!ドラゴンテール!!」

まずは小手調べ。

サザンドラの尻尾が紫色に輝きだし、巨大な尾を具現させた。

その尾の形状をしているエネルギー体をサザンドラがフライゴンにぶつけると、フライゴンは絶叫した。

鼓膜が破れそうだが、それはまぁいいだろう。

追撃させようとしたが、それよりも早く、フライゴンの前に薄いオレンジ色の盾のような物が発生した。

…まずい、攻撃の勢いが増す―――!!

俺の指示が一瞬途切れたところを狙って、フライゴンは地面を強く叩きつけた。

じしん。浮遊なんて持ち合わせちゃいないサザンドラは、回避することもかなわずに受けてしまった。

「大丈夫か!?」

心配する俺に、問題ないと言うような視線を向けてきたサザンドラを信じて、ダイマックスバンドを付けた右手を掲げる。

「よぉし、あの時との違いを見せてやろうぜサザンドラ!!ダイマックスだ!!」

返事をするかのように頷いたサザンドラをボールに戻し、エネルギーをバンドから送る。

巨大なボールに変化したモンスターボールを投げると、中から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

……え、なにこれ。

耳をつんざくような声を発したサザンドラを、俺は呆然と眺めることしか出来なかったのだった。




サザンドラのキョダイマックス、ないですよね。
作るしか、ないですよね。
いないマックスと言うハッシュタグの画像を見ましたが、やっぱりヤマタノオロチを意識したやつがいいなぁということで捏造しました。


因みに足元の炎、上空の雷、吹き荒れる雪はトライアタックを意識しています。
うまく伝わってなかったらごめんなさい。

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