夕飯の時間帯になったので初投稿です。
始まりと言うことで若干短めだけど許して。
それでは。
稲作戦隊米レンジャー第1話『真っ赤なかまど!無敵米レンジャー』
大きな悲鳴が、
続いて聞こえてくるのは、どどどっ、どどどっ、というリズミカルな足音と、大きな鳥が羽ばたくようなばっさばっさという音。
暫くは音のみが聞こえるだけだった
『ヒヒィィィィィ!!』
『ガァァァァァアアアッ!!』
それは、二体の
一体は青い鬣が美しい白馬。しかし、その下半身は途中から馬のものから魚類のひれへと変化しており、何とも言えない不気味さを演出している。
迷宮の下層、『水の
その白馬を追うのは、灰色の岩石で形作られた悪魔の石像とでもいうべき怪物であった。まるで怒り狂ったような歪んだ表情のそれの名は
逃げるケルピーと、追うガーゴイル。しばらく続いたそのデッドヒートは、頭上から強襲したガーゴイルにケルピーが抑え込まれるという最悪の形で決着がついた。
藻掻くケルピー。必死に暴れることでどうにか抜け出そうとしているが、強靭な石の体をもつガーゴイルは痛痒を感じない様子でケルピーを何処かへと引きずっていく。
そして彼らがたどり着いた場所は、かまどや調理台などが立ち並ぶ、厨房の様な場所であった。埃一つ無くきれいに整頓された清潔感のある壁には、傍から見ても上等だと分かる包丁や鍋などがフックに吊るされていた。
解体用の包丁を見て自らが辿る運命を悟ったのかカタカタと震えだすケルピーに、ガーゴイルは醜悪な笑みを浮かべて詰め寄る。そして愉悦を隠せない表情のまま、ゆっくりと口を開いた。
『ヒッ……』
「グハハハハハ……美味ソウナ馬ダ。寝過ゴシテ朝ゴハンモマダダッタカラナ。余スコトナク肉ヲ削ギ落トシ、ステーキニシテバターヲタップリト塗ッタバゲットト一緒ニ貪リ食ッテヤロウ……ジュルリ、涎ガ止マラナイ」
どことなく棒読みで、まるで文を読み上げているかのような口調で話すガーゴイル。彼の言葉を聞いたケルピーは哀れなほどにカタカタと震え、その瞳には涙すら浮かんでいた。
まさに絶体絶命。
助けに来てくれる存在にも心当たりはなく、このまま恐ろしいガーゴイルに
「「「「「待てッ!!」」」」」
救いの声が聞こえた。
「何者ダッ!?」
『ヒヒン!?』
即座に反応し、厨房の入り口を振り返るガーゴイル。ケルピーは希望に目を輝かせ、自分を救いに来てくれた存在を潤んだ眼で見つけようと辺りを見回した。
そして、厨房の入り口。
何故か強い逆光となっているその場所には、五人の影があった。
いや、五人というのは間違いか。その影はそれぞれ人ではありえないほどに歪んでおり、まさに「異形」と呼ぶべき存在達の集団であったからだ。
彼らは、それぞれが鮮やかな「色」を纏っていた。ある者は炎のような赤緋の鱗を。ある者は湖のように澄んだ蒼い鱗を。またある者は美しい黄金の羽毛を。ある者は森のような深い緑の体皮を。そして、ある者は闇よりも深い黒い毛皮を。
正に「五人五色」。謎のカラフル集団は、綺麗に揃った「とうっ!」という掛け声を上げると、無駄に洗練されたフォームでその場から飛び上がり、ガーゴイルたちの前へと着地した。黒の異形が着地するとその重量からか、ずん、と迷宮が揺れ、ガーゴイルが少し体勢を崩す。
「わ、きゃっ」
「お、おい、アステリオス。ちゃんと軽く着地しろって言われただろ」
「……すまない」
ガーゴイルと同じように青の異形が転びかけ、赤の異形から黒の異形が小声で注意された。しょんぼりと肩を落とす黒の異形。妙に締まらない初登場に終わった彼らは、気を取り直して陣形を組みなおし、ガーゴイルとケルピーに向き直った。
そして、バババッと謎のポージングを決めながら高らかに名乗りを上げた。
「炊飯ならお任せ!熱い炎の稲作レッド、リド!!」
その言葉と共に、赤の異形、
「火加減湯加減オ任せあレ!!風を操る稲作イエロー、レイ!!」
黄の異形、
「は、はいぜん?を、頑張ります!稲作ブルー、ウィーネ!」
青の異形、
可愛い。
そして、彼女の足元からしゅばばっ、と勢いよく水が噴射し、驚いたウィーネは「ひゃん!?」と悲鳴を上げてその場から飛びのいた。
可愛い(2回目)。
「盛り付け調理なんでもござれ!稲作グリーン、レット!!」
緑の異形である
「寡黙な食材調達員。稲作ブラック、アステリオス」
そう言って手に持った白銀の大剣を地面に突き立てる黒の異形は、先日迷宮都市を熱狂の渦に叩き込んだ激闘の立役者、アステリオスだ。
自らの憧憬に打ち勝ち更なる再戦を確約して隠れ里へと帰還したアステリオスは、
そうして名乗りを終えた5人は、更にポージングを変えて口上を続けた。
「「「「「今日も今日とて田んぼを耕す!!大地が僕らに叫んでる!!」」」」」
「行くぞっ!!」
「「「「応っ!!」」」」
リドの合図に、他の4人が頷いた。
何が起こるのかと警戒した様子を見せるガーゴイルを他所に、5人は綺麗な横一列に並び、一斉に片手を突き出す。
そして─────
「五人そろって─────」
「米レンジャー!!」
「稲作ファイブ!!」
「ライスフィーバーJ!!」
「ライスマン!!」
「炊飯ジャー!!」
「少シハ名前ヲ揃エル努力ヲシタラドウダッ!!!?」
─────全員がバラバラの名前を叫んだ。
思わず突っ込んでしまうガーゴイル。しかし、そんな彼の叫びを意に介すこともなく、米レンジャー(暫定)隊長のリドは満足げな様子で頷いた。
そして、歯ぎしりでもしそうなほどに苛ついた様子のガーゴイルに声を掛ける。
「やい、そこのグロ……パン派ガーゴイル!!お前は何か勘違いをしているぞ!!」
「勘違イ?イッタイ何ノコトダ!!」
リドの言葉に顔を顰めながらそう返答するガーゴイル、もといグロス。リドは彼の言葉にフン、と鼻を鳴らすと、グロスの背後でうるうるとこちらを見つめているケルピーを見た。
そして、物事を知らない子供に自慢げに話すような口ぶりで口を開いた。
「お前は馬肉をパンで食べようとしていたようだが、それは大きな間違いだ。いいか、グロ……パン派ガーゴイル。馬肉はな─────
─────米に合うんだ」
『ヒィィンッ!?(お前ら助けに来てくれたんじゃないの!!?)』
まさかの展開に嘶くケルピー。自らを助けに来たのだと思っていたら、まさかの敵だったという救いのないオチである。これはひどい。
哀れ食材となることがほぼほぼ確定してしまったケルピーを他所に、グロスとリドは互いに熾烈な
「ソレハ違ウ!!ソレハ違ウゾリドォ!!焼イタ馬肉ノアッサリトシタ風味ハ、コッテリトシタバターヲ塗ッタバゲットニコソ相応シイ!!アッサリ目デアルモノノシッカリトシタ脂モノッテイル馬肉ト甘辛ノタレヲカケタ野菜ヲ挟ンダ特製サンドウィッチの美味サト言ッタラ……アア、モウ我慢ナラン!!」
「うぐっ、結構美味そうだなって思っちまったじゃねえか……けどよ、パン派ガーゴイル!……めんどくさいからグロスでいいや。グロス!馬肉は焼くよりも生で食べたほうが美味いと、そして米と酒と一緒に飲み食いした方が一番美味いと、俺っちは思うぜ!!」
「……ナンダト?」
「アステリオス!!」
「……承知した」
『ヒィン!?』
ぐわしっ、と首根っこを掴まれ、引き攣った悲鳴を漏らすケルピー。カタカタと高速で振動するケルピーを、アステリオスは何処かへと引きずっていく。引きずられ、地面に跡を残す大剣がケルピーの未来を暗示していた。
そして、哀れなケルピーがアステリオスと厨房の入り口から外に出て、しばらく。
『ヴォォォォオオオオオッ!!!』
『ヒィィィン!!!』
ドッ!!!!という鈍い音が厨房まで届き、ケルピーの断末魔が迷宮を貫いた。
ウィーネとレットが端っこの方で静かに目を閉じ、これから自分たちの血肉となる
「グロス!とりあえず俺っちたちの料理を食ってから文句は聞くぜ!!」
「ホウ、面白イ……ヤッテミロ!」
「おうともよ!レット!!」
「了解です!」
リドに呼ばれたレットが、ずずいと前に進み出る。斧を手放した彼が持っているのは、黒い液体の入った瓶。中くらいの鉢にその液体を惜しげもなく投入したレットは、続いてみりんや魚醤、
その工程をみたグロスは、彼が馬刺しのたれを作っているのだと理解した。
最後に添加されるのは、迷宮に住まう怪物たちがひと時の休息を得る『
人が作り上げた食の結晶と、迷宮で生み出された神秘のコラボレーション。地上や第18階層の『リヴェラの街』で売り捌けば間違いなく高値が付く秘伝のたれが、レットの手により生み出された。
ごくり。
グロスの喉がそのたれの香りに反応し、自然と鳴った。怪物の鋭敏な嗅覚は、そのたれが内包する高純度な旨味をしっかりと察知していた。それを舌の上に乗せた時、どのような味が口の中に広がるのか。
想像するだけで、彼の食欲は否応なしに引き立てられていく。
「お米、炊けましタ。蒸らしテおきまス」
「ナイスだ、レイ!よし、俺っちもかまどに火を点ける以外に仕事しなくちゃな」
レイからこの献立の主役である米が炊けたことの報告を受け、リドは笑顔で包丁を取る。彼の目の前には赤々とした大きな肉塊が。
馬肉だ。
アステリオスと共に血抜きから解体まで行ったこの肉は、馬刺しにおいては定番の部位である赤身。油の少ないヘルシーな味わいが特徴の、馬肉の代表選手ともいえる部位だ。
2キロほどの大きな肉塊を、リドは「まあこんな感じか?」と言いながらざっくり二等分にする。そして片方をどこからか取り出した牛刀でスライスし、とれたて新鮮な馬刺しへと変貌させる。まだ腐敗の始まっていない新鮮な肉だからか、獣特有のにおいは少なく、食べる際に不快感を覚えることはないだろう。
「よし、んでこっちは、と」
半分になったものの、それでもなお重量感のある塊であることには変わりない馬肉塊を前に、リドは大きくのどを膨らませた。更に半分にした肉塊を、バターをよく塗った二つの金属製スキレットに乗せ、手ごろな岩の上に乗せたならば、少し距離を取る。
そして、リドは喉の奥にため込んでいた火を勢いよく吹きかけた。
『ガァ!!』
ジュウウウ、と肉の焼ける音と香ばしい匂いが周囲に充満する。しかし、リドはそのまま肉の内部にまで火を通すのではなく、裏返してまた焼いてを繰り返し、表面だけを焼いたのだ。
「よっし、いい具合だな。いやー、俺っちも料理上手になったもんだ!」
かっかっか、と満足げに笑いながら、リドは若干焦げた岩の上からスキレットを回収し、調理台の所へと戻る。そして、鱗に保護された手で未だ熱を持つ肉を持つと、板の上において牛刀でスライスし始めた。
それをたれを作り終わったレットが皿の上に盛り付ければ、そこに姿を現したのは怪物ならではの工程が入った「馬肉のたたき」だ。
スライスされた玉ねぎや、大樹の迷宮で採れた薬草などの薬味も一緒に盛り付けられたたたきに付け合わされるのは、魚醤に昆布、鰹節や柑橘類を加えて作ったお手製のポン酢。さっぱりとした酸味が、肉の旨味を引き立てること間違いなしの組み合わせだ。
「米に馬刺し、馬肉のたたき……完成だぜ、グロス」
「……コ、コレガ……」
ウィーネがいつの間にか用意されていたテーブルに出来上がった献立を並べていく。その後ろでは、リドが自信満々の表情でグロスに笑いかけていた。
どこか上の空でテーブルの前に用意されていたスツールに腰かけるグロス。側に置かれたコップにウィーネが水を注ぐ。それを静かに飲み干したグロスは、手を合わせると静かに箸を取った。
まずは馬刺し。
器用に二本の棒を用いて馬刺しを取るグロスは、そのまま用意されていたたれにそれを漬け、ぱくりと一口に放り込んだ。
そしてしばらく無言で咀嚼すると、かっと目を見開き一言。
「美味イ」
たれの味はさることながら、馬刺し自体もなかなかに美味だ。
新鮮な肉だからだろう、匂いもほぼせずほんのりと甘みを感じる馬肉の味が豊潤な旨味を含んだたれと合わさり、まさに至福ともいえる味わいを口の中に広げる。
しいて言えば触感が少し柔らかめに感じるのがグロスにとっては残念な所ではあったが、それも気に障るほどではないために問題ない。
赤身と言うだけあって脂身も少なく、あっさりとした肉にすこしこってりとしたたれがマッチしていた。
そしてここに投入するは我らが主食のKOME。すべてを受け入れ全てを慈愛で包み込む我らが主食は、馬肉の肉汁とたれを吸い込み、普段の優しい甘さとはまた違った一面をグロスに見せる。
赤身の柔らかさとはまたちがうもっちりとした触感の米は、一粒一粒が粒だっており、蒸らしを経て旨味を増したその炊き具合からは、炊飯担当であるレイの日頃の努力が見てとれた。
これはいくらでも食べられるな。
ちゃっかりと自分たちの分も用意していた稲作戦隊の方を見ながら、グロスはコップとは別に置かれていた湯飲みに手を伸ばした。ほんのりと温かさを感じるそれをのぞき込むと、無色透明な、しかし特有の匂いを発する液体が注がれていた。
【スクナビコナ・ファミリア】特製の米焼酎『大迷宮』(税込み6500ヴァリス)だ。
こくり、と湯飲みを傾けて一口。すると広がるのは、米の甘さと豊潤な香り。すっきりとした味わいの酒は、彼の五臓六腑に染み渡り更なる食欲を連れてくる。
そうして次に手を伸ばすのは、リドが作っていた「馬肉のたたき」だ。
程よく外側に焼き目のついた肉を、ポン酢に漬けて薬味と一緒にいただく。
「……アア、美味イ」
口の中に広がるのは、強めの酸味。けれども、それはたたきの味を損なうものではなく、むしろ脂身の少ない赤身にマッチしたさっぱりとした味わいへと変わる。
薬味によって、たたきはただ肉の味と食感を楽しむだけにはとどまらず、シャキシャキとした玉ねぎの食感やほんのりとした苦みを加える薬草などが味のアクセントとなって飽きを来させない。
なかなかどうして、よく出来た料理だ。
グロスは米と一緒にたたきを頬張り、馬刺しに手を付けては焼酎を飲むという完璧な日本食ムーブを決めていた。
「……美味カッタ」
「そうか、そりゃあよかった!」
しばらくして。
グロスとリドはにやりと笑みを浮かべ、固い握手を交わしていた。
「米モ良イモノダ。イヤ、米コソガ私ノ探シテイタ究極ノ食材ナノカモシレナイ」
「そうだな。米は最強の食べ物だ!」
狂信者じみた恐ろしい会話を、さわやかな笑顔でかわす二人。二人を祝福するように、迷宮の壁が淡く光を放ち、2人を照らす。
こうして、パンを主食としていた怪物がまた一人、米の素晴らしさに目覚めたのであった。
めでたし、めでたし。
「「「「「「いや、どこがッ!!?」」」」」」
【ヘスティア・ファミリア】
「……そうだな。やはりそうだよな、うん。良かった、私の頭がおかしくなったわけではないよな」
ベルたちの絶叫にうんうんと安心したように頷いているのは、この迷宮都市オラリオの創設神であるウラノスの使い走り、もとい腹心にしてかつて『賢者の石』と呼ばれ使用者に無限の命を与えると言われた伝説の
彼らが見ていたのは、拠点の壁に投影された30分ほどの映像であった。
「安全保安上の理由で作らざるを得なくなった」とフェルズが述べた「記録した映像を投影する魔道具」によって記録されたその長めの寸劇は、ウラノスが異端児たちに「人類との共生を推進する新たな取り組み、案を出してくれ」と言われた際に提出したものであった。
ちなみに今も妙に熱血な音楽(歌:レイ)と共にスタッフロールが流れており、「脚本:リリア・シェスカ」という字幕がびーっと上に流れていた。そうだろうと思ったよ。
「ただの米の布教劇じゃないですか!?なんですかパンよりも米が美味いっていうだけの劇って!!パン舐めてるんですか!?というか途中でケルピーさん殺されてませんでした!?」
「安心しろ、リリルカ・アーデ。あのケルピーは死んでいないし、何よりあの馬肉はオラリオで買った市販品だ。新鮮な上級品であることに変わりはないがな」
「む、リリ殿、それは自分見過ごせません!米はパンより美味しいのは自明の理、そういった観点から見たら、この劇は素晴らしいものだと思われますが!?」
「命様はちょっと黙っててください!」
「あのー、皆さま、そういった荒事は……はうぅ」
「け、喧嘩はやめてよ二人とも!……ヴェルフもちょっとは手伝って……」
「……馬刺しか、いいな」
「ヴェルフさぁん!?」
ツッコみどころ満載、というか突っ込みどころしかない劇に噴火寸前のリリルカ。へんな所で突っかかっていく命に、おろおろとしてばかりの春姫。ベルが何とか事態の収拾を図ろうとするも、彼一人には荷が重すぎる事態であった。
「……ゴッフ、ケホ、おえっ……あっはははははははは!!!!!稲作戦隊って何さ!!あー面白!!ふふ、ははっ、ひっ、あ、ヤバい駄目だお腹攣りそう」
「神様も笑いすぎですって!!」
ヘスティアはリドたちが登場したあたりから笑い上戸となってフェードアウト。今ではソファーの上でぴくぴくと痙攣する笑い袋となってしまっていた。神のツボを存分に押してしまったようだ。
「……そもそも、これで民衆と怪物の間にある溝が埋まるわけないじゃないですか。何を考えているんですかあの方たちは!」
「これでも当人たちは大真面目なんだ……」
「マジですか」
「マジなんだ」
フェルズの返答に呆然としてしまうリリルカ。
リリアの洗脳……もとい布教を受け、今や立派な米の狂信者となったリドたち
リリア様、恐ろしい子……!
リリルカの中で、脅威度ランキングの上位層が塗り替わった瞬間であった。
「ちなみに、これは第一話。他にも兎鍋を食べる第二話や24層産の鮮魚の刺身を食べる第三話をはじめとした全24話構成となっている」
「この狂った劇が!?あとにじゅうさんわも!!?」
「流石に君たちにこれを
「ウラノス様も、結構『神様』なんですね……」
背後にどんよりとした空気を背負うフェルズ。
骨だけの身でありながらやつれた様子を見せる愚者に、若干引き気味のベルであった。
「よし、ようやく道程の半分と言ったところでしょうか。……スゥ、はぁ。やはり新鮮なリリア様成分はイイですね。心が洗われるような心持ちです。これであと数日は戦えます」
リフィーリアは現在、迷宮都市の外へと出ていた。
大きめの鞄には、ロキがウラノスを強請って手に入れた外出許可証が入っている。
オラリオに訪れる際にもお世話になった駿馬を駆り、リフィーリアは目的地に向けて一直線に進行していた。
「レオナルド様……ライザリア様……いったい、どういうお考えで、あのような依頼を……?」
目指す場所は、ウィーシェの森。
己や妹、そして親愛なる
「……急ごう、嫌な予感がする」
エルフの従者は、自らの故郷へと突き進んでいった。
旅先で目にした、不可解な状況を問いただすために。
─────そして、リフィーリアからの連絡が途絶えたのは、彼女がウィーシェの森に到着してから一週間が経った頃であった。
お好み焼き(感想で回答はやめてくだされ)
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広島風(麺入り、麺の種類問わず)
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関西風(麺無し、その他具材問わず)