TSロリエルフの稲作事情   作:福岡の深い闇

9 / 9
米ディ……(諦め)


またやっちゃったぜ。
1話完結って難しいなぁ……


今回は皆さん気になっていたあの人が登場します。
ほんのちょこっとだけ。


え?この人が本編に絡むか?そんな事ありませんよ。ええ、はい。

それでは史上最大ガバリティの第……何話目だ?
どうぞ!!



-追記-

えー、予想外に大豆ガチ勢の方が出てきたので、次の話の予定を繰り上げてこちらで少し大豆の理屈(言い訳)予想のヒントを出しておきますね。

一つ目、客観的に見たリリアの状態。
二つ目、ニニギ・ファミリアの皆から見たリリア。
三つ目、オラリオにおける極東系ファミリアの立場。
四つ目、この作品でリリアが今までに食べたもの。
五つ目、原作九巻における命の発言。

以上です。


冷や奴定食、絹ごしで食うか?木綿で食うか?(前編)

はじまりは、些細な事であった。

迷宮(ダンジョン)の探索を終え、怪物(モンスター)の魔石やドロップアイテムを換金したニニギ・ファミリアの団員達、伊奈帆、穂高、千恵の3人は、自分達の拠点(ホーム)である日本家屋を目指して大通りを歩いていた。今日は運良く換金性の高いドロップアイテムがよく落ちたため、その懐は暖かい。3人ともほくほくとした表情で威勢の良い声を張り上げる出店を冷やかしながら帰路を行く。

 

「あ、エルフだ」

 

と、穂高が呟き、他の2人がそちらを見ると、そこには背格好の似た2人のエルフの少女が肩を並べて歩いているところであった。どうやら食材を買った帰りらしく、肩からは様々な野菜やパンがはみ出して見えていた。同じ長い山吹色の髪を結った2人のエルフを見た彼らは、拠点(ホーム)で米をにこにこしながら炊いて自分達を待っているであろう自分達の家族(ファミリア)のエルフを思い浮かべた。

 

「リリア、ちゃんと待ってるかな」

「この時間帯だし、米炊いて待ってるよ」

「あの子達姉妹なのかなー、やっぱりエルフって良い顔してるよねー」

 

オラリオ最大派閥のロキ・ファミリア、その拠点である【黄昏の館】へと向かう2人のエルフの姉妹を見送りながら、3人ともが思い思いの言葉を呟きながら歩く。

大通りをある程度進んでいると、徐々に店の趣が変わり始めた。大陸系の食材や衣服などが売られていた出店から、様々な国や地域の食材や衣服、果てには武器防具まで売られている露店へと。

これが伊奈帆達がいるオラリオが世界の中心とも呼ばれる原因の一つ。交易エリアだ。

様々な地方からオラリオの経済力を目当てにやってくる行商人達が軒を連ねる、いわば商売の激戦区。日々安定した商売を行なっている大通りの出店達とは違い、行商人達は皆博打のような日々を送っている。仕入れた品物が客の目に留まれば儲けは出るが、留まらなかった時は悲惨なことになる。特に、極東や極寒の北方から来た者達など、ここに来るまでに少なくない路銀を使っている者なら特にだ。

そのため、ここでは客足が衰え始める夕方になっても未だ商売の芽を諦めきれない者達が必死に物を売ろうと画策して来る。それを次々に躱しながら、伊奈帆達はお目当ての行商人の下へと辿り着いた。

 

「お婆ちゃん、来たよー」

 

千恵がそう声を掛けたのは、齢60を超えようかという1人の老婆。千恵の声を聞き、ひえっひえっひえっと独特の笑い声をあげながら振り向いたその老婆は「待ってたよ」と言い、その目を細めた。

彼女の名はリンカ。行商人を始めて40年以上の大ベテランであり、主に極東の品物を扱う事から伊奈帆達極東系ファミリアに贔屓されている行商人だ。彼女から極東由来の味噌や漢方、干物などを購入していた彼らは彼女の背後にある一つの大きな袋を見つけた。麻で作られたその袋は、先ほどリンカがごそごそと弄っていたものだ。

 

「お婆ちゃん、あれ何?」

「ああ、これの事かい?」

 

その人当たりの良さからリンカとの交渉相手となっている千恵が彼女にそう問いかけると、リンカはずずっと重たそうな音を立てるその袋を抱え、千恵の前に持ってきた。袋の口を開け、千恵が覗き込むとそこには数え切れないほどの粒が入っていた。

 

「……豆?」

「大豆だよ。極東の方でしか作られてない珍しい豆らしくてね。今回は予算に結構な余裕があったから仕入れてみたんだ」

「へー、そっか大豆か!実物は久しぶりに見たから忘れてたよ、よく仕入れ出来たね!……伊奈帆、これどうする?」

「うーん大豆か……リリアはともかく、千穂なら何か作れはするだろうけどなあ……俺、豆そこまで好きじゃないんだよ」

 

珍しい食材を見つけ、団長である伊奈帆に買うかどうかの確認をする千恵。一方伊奈帆は、自分達の予算とにらめっこしながら、それを自分達の厨房担当がどう使うのかを考えていた。幸い予算には余裕がある。いつもの食材を調達したのに追加してある程度の大豆を買っても余裕はあるだろうが、買って使わないとなればそれは大きな損になる。

それと、伊奈帆は大豆がそこまで好きじゃない。

微妙な顔で大豆を見やる伊奈帆の言葉に、リンカはピクリと眉を片方持ち上げると千恵に話しかけた。

 

「リリア……っていうのは、お前さん達のとこの新入りかい?」

「え?うん、そうだよ。ちっちゃいエルフの子。お米が大好きなんだよ。ね、穂高」

「ああ。米を炊くのも上手い。今では立派な千穂の補佐役だ」

「……そうかいそうかい。なるほどねぇ……」

 

千恵と穂高の言葉に、何故か納得した様子を見せたリンカは、未だにうんうんと唸っている伊奈帆にため息を吐くと後ろの籠から小さめの麻袋を一つ出し、中に大豆をザラザラと入れ始めた。

そして袋の半分ほどまで大豆を流し込んだリンカはその袋を伊奈帆にずいっと突き出すとニヤリと笑いながら口を開いた。

 

「ほれ、これはおまけだ」

「……え?おまけ?」

「いいの、お婆ちゃん?」

「アンタらにはいつも世話になってるからね。その駄賃だよ。代わりと言ってはなんだけど、大豆をもうちょっとだけ買ってくれればいい」

 

それに、その子(リリア)には少しばかり助けられたからね。

リンカはそう心の中で呟きながらも大豆の袋を押し付けた。そして、それならと大豆を追加で購入する伊奈帆達にきちんと適正な値段で売り捌き、交渉を終えてから立ち去ろうとする彼らに声を掛けた。

 

「ああ、そうだ。嬢ちゃん」

「ん?なに、お婆ちゃん」

「そのリリアって子に伝えといてくれないかい」

 

……また髪が伸びたら声を掛けとくれ、とね。

そう言ってひえっひえっ、と何かを思い出したように笑うリンカに首を傾げながらも頷いた千恵。

その時のリンカの顔は、一世一代の大商いを成功させた商人の顔そのものであった。

 

 

 

 

 

そして、彼らが拠点へと帰宅して。

予想通り良い香りを辺りに漂わせていた拠点へと転がり込み、庭で水を浴び探索でついた汚れや汗を落とした伊奈帆達は夕食を食べていた。

今日の献立は味噌汁に白ご飯、出汁巻き卵に根菜の煮付けだ。あまじょっぱい煮付けに舌鼓を打った伊奈帆達は、探索に赴いた日の恒例となっているステイタスの更新を行なっていた。

上衣を脱ぎ、背中を晒した眷属の体に自らの血を垂らすニニギ。彼が手を動かすと、眷属の背中に刻まれた神の恩寵(ファルナ)がじわりと変化して彼らの成長を目に見える形で表す。それを用紙に写して手渡し、ステイタスの更新は終了だ。

 

「やっぱこう劇的に伸びはしないよな」

「まあ冒険とかしてないしね。というかあんな体験はもうこりごり」

「まあ今の稼ぎでも十分に生活できてるし、大丈夫だろ」

 

自分の更新されたステイタスを見ながら感想を述べあう眷属達。その様子を微笑みながら見つめていたニニギは、ふと土間で洗い物をしているはずの小さな眷属達を思い出した。少し前に神の恩寵を与えたリリアはともかく、千穂は随分と長い間更新をしていなかった気がする。

 

「……ふむ。そう言えば、千穂のステイタスを更新していないな」

「え?……あー、そっか。そう言えば千穂のステイタス更新って一年前くらいでしたっけ?」

「あの子、自分は迷宮に潜ってないからって遠慮しちゃってるからね。……ニニギ様、久しぶりにやってあげて下さい」

「とは言え、家事でステイタスって伸びるものなのか?いや、別に反対してるわけじゃないんだが」

「それはどうか分かんないじゃん!ニニギ様、千穂ちゃんとリリアちゃん呼んできますね!」

「ああ、頼んだ」

 

そして少し時間が経って。

千恵に連れられてやってきた千穂とリリアは、なんのこっちゃという顔をしながらニニギからステイタスの更新を受けていた。特にリリアに至ってはステイタスは更新するものだということを知らなかったらしく驚いていた。

光がぼんやりと浮かび上がる部屋の隣で、伊奈帆達は買ってきた大豆の処遇について話し合う。

というのも、大豆を見た千穂が一言こう言ったのだ。「ああ、豆腐が作れますね」と。

 

「豆腐、豆腐かぁ……」

「そういえば随分と長い間食べていないな」

「私冷や奴がいい!醤油はお婆ちゃんとこで買ってるからあるし、美味しいし!」

「……ま、そうだな。まずは冷や奴にするか」

 

とりあえず、どう作るかは置いておいてどう食べるかを話し合う。そんな彼らの姿は正しく食への探究心溢れる極東の民であった。

彼らの間でそう結論が出たその時。ステイタスを更新していた部屋から「なんで!?」という千穂の大きな声が聞こえた。何事かと急いで部屋を仕切っていた襖を開けた伊奈帆達は、更新されたステイタスが書いているのであろう羊皮紙を握りしめ、ぷるぷると震えている千穂の姿を見た。その隣には、興味無さそうに自分のステイタスをぼーっと眺めるリリアの姿もあった。

 

「ど、どうしたの千穂ちゃん……?」

「……千穂に、魔法が発現した」

 

慄きながらもそう問いかけた千恵に答えたのは、驚愕でいっぱいの千穂に代わってニニギ。

自らの主神から告げられた千穂の驚愕の事実に、伊奈帆達は思わず「ええええぇぇ!?」と口を揃えて叫んだ。

 

「魔法!?なんで!?」

「こちらが聞きたい……!」

「おめでとう!千穂ちゃん!」

「……あ、はい」

「そういえばリリアは?」

「なんかスキルが増えてました」

「「ファッ!?」」

 

自分達よりも劇的な変化を見せた2人の幼女に、思わず自分達のステイタスを思い浮かべる伊奈帆達。

しばらくその混沌とした状態は続き、ニニギが「もう遅いから寝ろ」と言うまでその騒ぎは続いていた。

 

 

 

 

 

そして、後日。

ステイタス更新時の騒ぎは無かった事にされた(無かった事にしたとも言う)。他人のステイタスは例え同じファミリアの団員であっても絶対不可侵。そのマナーにのっとった形だ。

迷宮の探索を行った次の日は休息日に当てるという団の規則に従って、家にいた彼らが向かったのは代掻きや田植えの後にお世話になった銭湯「スクナの湯」。朝からほかほかと煙突から湯気を出す銭湯を訪れた伊奈帆達は、番台にいつもの如く座っていた結愛と話していた。内容はもちろん、昨日手に入れた大豆についてだ。

 

「はあ?豆腐箱ぉ?」

「そう。スクナビコナ様なら持ってないかなって」

「あのねえ伊奈帆。アンタ達は大豆を買えたから豆腐を作ろうなんて思えたのかもしれないけど、普通オラリオ(ここ)で豆腐を作ろうなんて考えないからね?そもそもの大豆が無いのに豆腐を作る設備だけ整えるなんて、そんなこと」

「ふぉっふぉ。豆腐箱ならあるぞい」

「スクナ様ぁ!?」

 

がらっと引き戸を開けて入って来たのは、リリアよりも背丈の低い1人の老人。結愛が所属し、銭湯スクナの湯を経営するスクナビコナ・ファミリアの主神、スクナビコナだ。見ると一体いつから彼らの話を聞いていたのか、それは見事な豆腐箱がその手に携えられている。いつか大豆が手に入るかもしれない、そんなこともあろうかと、と言いたげなスクナビコナは満面の笑みだ。

結愛の驚く声を他所に、わいわいと騒ぐ伊奈帆達。ちなみに最初はあまり興味無さげだったリリアは千穂の「豆腐丼なんかも美味しいですよね」の一言で豆腐を求める狂戦士(バーサーカー)へと変貌している。

 

「仕込みはどうなっとる」

「水を吸わせる所までは昨日済ませてます」

「よしよし、じゃあウチの拠点に来なさい。豆腐を作ろう」

「やったぜ!流石スクナ様!!困った時はスクナ様に聞けと言われるだけのことはある!!」

「ほっほ、そう褒めるでない。では結愛よ、番台の仕事を頼んだぞい」

「え、ちょ!?」

 

唐突に現れて唐突に姿を消すニニギ・ファミリアの面々(+スクナビコナ)。閉められた引き戸に思わず手を伸ばしながら、結愛は如何ともしがたい怒りで肩を震わせた。

 

「アイツら……今度来た時は覚えてなさいよ……!!」

 

こうして、結愛の伊奈帆に対する感情は悪化していくのであった。

 

 

 

 

 

「うおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

「頑張れー」

「頑張れ、頑張れ」

 

粉砕する。

すり鉢に入れた吸水の終わった大豆とそれよりも少し多いくらいの水を入れ、棒を持って磨り潰す。雄叫びをあげながらごりごりと大豆を粉砕していく伊奈帆達ニニギ・ファミリア男子陣の奮闘に、千恵や千穂、リリア達はお気楽な声援を送っていた。美味しい豆腐が待っていると全身全霊をかけて大豆を粉砕した後に出来上がったのは、粉物の生地のようにどろりとした大豆の汁。

 

「これは生呉(なまご)って言うんだよ」

「へー」

 

ぜえはあ、と肩で息をする男子陣を他所に、出来上がった生呉を受け取ったリリア達は、スクナビコナ・ファミリアの拠点である古民家に備え付けられていた土間のかまどで生呉を煮込み始めた。

底の浅い鍋に生呉を注ぎながら、焦げ付かないようにしゃもじでよくかき混ぜる。そしてぐつぐつと沸騰し始めたら、薪の量を調節して弱火にする事10分。

スクナビコナが持ってきたザルにこし布を敷き、大きい丼に被せた後にその上から煮込んだ生呉を投入する。沸騰したてで熱いため、最初はしゃもじなどを使いながらこし布で生呉を絞っていく。若干冷めて手で触れても大丈夫な温度になれば、両手を使ってしっかりと生呉を絞りあげる。この時に分離する液がいわゆる「豆乳」で、こし布に残る繊維質が「おから」だ。

 

「お昼はこのおからで何か作ろうか」

「おからハンバーグ」

「……リリアちゃん、お肉食べれなかったのがそんなに堪えたんだね……」

「でもおからハンバーグは別におからだけで出来ている訳じゃないですよ?豚のひき肉も使いますし」

「……なん、だと……!?」

 

そんな会話を交わしながら、出来上がった豆乳を再び鍋の中に入れ、今度は弱火でゆっくりと温めていく。上に手をかざして十分に温まったと感じたら、ぬるま湯で溶いた()()()を加えていく。

このにがりは港町メレンで売っているもので、海水を長時間煮込み塩分を濃縮したものだ。交易エリアでわりと簡単に手に入る品で、千穂はこれを煮付けなどの灰汁取りに使用している。

 

「おー、固まって来た」

 

ゆっくりとにがりを加えた後、数回かき混ぜてから鍋に蓋をして蒸す。時々鍋の蓋を少し開けて隙間から覗いてみれば、上部に透き通った液体の溜まった白い沈殿物が出来上がっていた。この状態からザルなどに出したものがいわゆる寄せ豆腐というやつだ。

スクナビコナから借り受けた豆腐箱を水洗いした後にさらし布を敷き、水を受け止めるための大皿と豆腐箱の間に棒を数本敷いて、箱が大皿から少し離れた状態を作る。その後に固まって来た豆腐を豆腐箱の中に流し入れていく。

 

「フ○ーチェみたい」

「なにそれ」

「うーん、お菓子?」

「へー、エルフの里ってそんな名前のお菓子があるんだね」

 

プルンプルンと震える白い塊をみたリリアがそう呟き、エルフへの勘違いがまた増えていく。

そんなこんなで豆腐箱の中に作った量の半分ほどの豆腐を入れた後に、蓋をして軽めの重石を乗せ、重量で水をきっていく。この後は程よく豆腐が固まるまで放置だ。半分ほど残った豆腐はどうするのか、とリリアが不思議そうに見ていると、千恵が「これはこれで美味しいのです」と言いながら匙をリリアに手渡した。

 

「あっちで水を切っているのが木綿豆腐。こっちのぷるんぷるんの奴は寄せ豆腐ね」

「絹ごし豆腐は?」

「あれ、絹ごし豆腐知ってるんだ。あれはちょっと別の作り方だからまた今度。……というか、これが半分絹ごし豆腐みたいなものだしね」

「へー」

 

そんな会話を交わしながら匙で少し寄せ豆腐を掬い、一口いただく。

 

「美味しい」

「でしょ?」

 

すると、口の中に米とはまた違った大豆の優しい甘みが広がり、良い匂いが広がる。まだ温かい豆腐は舌に乗せた時点でほろほろと解け、噛む必要などないほどに柔らかい食感であった。小皿に少し取り分け、持って来ていた醤油をかけて食べる。

 

「あ!何勝手に食ってんだよ、俺たちにもちょっと分けろ!」

「スクナ様、こちらをどうぞ。兄さん、結愛の所にも持って行ってくるよ」

「よろしく」

「ほっほ、すまんの」

 

一足先に寄せ豆腐を味わっていた女性陣に気づき、抗議の声をあげる伊奈帆達。穂高は手際よく豆腐をいくつかに取り分けると、扉を開けて外へと向かった。番台で今も働いている結愛に寄せ豆腐を持って行ったのだ。

そうしてしばらくの間、皆でもぐもぐと寄せ豆腐をつつく。そうして食べているうちにお腹が空いてきたため、今回はスクナビコナ・ファミリアの拠点で昼食を摂ることになった。主神であるニニギを呼びに伊奈帆が戻っている間に、スクナビコナの許可を得て千穂とリリアが厨房に立つ。千恵は庭で燃料の薪割りを手伝っていた。

 

「お米は大事」

「豆腐が出来上がるまではしばらくかかるし、豆腐に合う料理って言ったら……うーん、やっぱり焼き魚?」

 

勝手が違う台所ながらテキパキと動く2人の幼女の様子に目を細めながら、スクナビコナはほっほっと笑う。やがて自分達の拠点からいくつかの食材を持って来た伊奈帆と共に姿を見せたニニギと歓談しながら、二柱(ふたり)の神は眷属が昼食を作るのを待った。

やがて昼の休憩時間となった結愛も彼らに合流して、いつもより人数の多い昼食が始まった。

伊奈帆が持って来た鯵の焼ける香ばしい匂いを感じながら、それぞれが食前の祈りを済ませて箸をつける。リリアは真っ先に米を頬張るとそれは嬉しそうににこにこと笑い、続いて今日の献立に追加されていた豆腐に手をつけた。

 

「ん、美味しい!」

「やっぱ作りたてだから風味も豊かだな」

「……美味しいじゃない」

 

そのまま醤油をつけて食べても十分に美味しく、薬味として添えられていた摩り下ろした生姜や細かく刻んだ細ねぎを上に乗せれば、また違った味を楽しめる。何故か若干悔しそうな結愛も、この時は大人しく箸を進めていた。

ニニギとスクナビコナも、穏やかな笑顔を浮かべて自分達の眷属と共に昼食を味わっている。こうしたファミリアの垣根を越えた付き合いは極東系のファミリアの間では珍しくない。そもそもが一部を除いて穏やかな神が多い極東系のファミリアは、同郷という事もあって横のつながりが強固なコミュニティであった。

 

 

 

 

 

この場にいた全員が昼食を食べ終わるこの時、この瞬間までは。

 

 

 




【リリア・ウィーシェ・シェスカ】
所属 : 【ニニギ・ファミリア】
種族 : エルフ
職業ジョブ : 第一王女(現在は出奔中)
到達階層 : 第20階層(非公式)
武器 : 《霊樹の枝》
所持金 : 100000ヴァリス

【ステイタス】
Lv.1
力 : I10
耐久 : I3
器用 : I3
敏捷 : I2
魔力 : E434

《魔法》
【スピリット・サモン】
召喚魔法(サモン・バースト)
・自由詠唱。
・精霊との友好度によって効果向上。
・指示の具体性により精密性上昇。

《スキル》
妖精寵児(フェアリー・ヴィラブド)
・消費精神力(マインド)の軽減。
・精霊から好感を持たれやすくなる。

妖精祝福(フェアリー・ギフト)
・精霊への命名実行権。
・魔力に補正。




【装備】
《小袖》
・千穂のお下がり。サイズはぴったり。
・千穂と衣服は共有している。
・防御力は無いに等しい。

《霊樹の枝》
・最高級品。
・ウィーシェの森、王族の屋敷中央にある霊樹が自然と落とした枝の中で最も大きな枝。大きさは15センチ程で純白。
・魔力との親和性が高く、精霊にとっても心地の良い居住地。
・現在は彼女の出奔に力を貸した《火の微精霊》《風の微精霊》《土の微精霊》《水の微精霊》が宿る。

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