白石、給料日を迎える。
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遂に2つ目のデッキが完成する
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夢の中で試運転のデュエル
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デュエルで誰か倒される
第14話 2つの風
ある昼下がりの事、白石は部屋で回覧板を読んでいた。
「デュエリスト襲撃事件か、なかなか物騒な事件が起きてるようだな」
『蒼殿もデュエリスト、他人事では無いので気を付けて下さい』
「そうは言っても、この事件夜しか起きてないし、いつもの時間帯なら亡霊と夢の中でデュエルしてるじゃないか」
『それもそうでしたな! ならば安心ですな!』
「回覧板も読み終わったし届けてくるよ」
そう言って部屋を出る白石を眺めつつ、亡霊は一抹の不安を感じるのであった。
◆◆◆
ある路地裏に真っ黒な服装に身を包んだ男が居た。
「相棒、ここに痕跡が無いか調べられるか?」
相棒と呼ばれた存在はここには無いとばかりに首を横に振る。
「そうか、それなら次をあたるか……」
男は路地裏を後にする。 その後ろを大きな三つ叉の角が特徴的な青い巨体のドラゴンが歩いていた。
◆◆◆
デュエリスト育成学校では全校集会が開かれていた。 校長が壇上に立ちざわめく生徒達を静める。
「皆さん、静粛に。 近頃起きているデュエリストを対象にした襲撃事件を受けて警察と相談した結果、明日よりしばらくの間、本校を休校とする事を決定しました。 また、事件は夜間に起きている為、夜間の外出を禁止します。 寮に住んでいる生徒はもちろん、自宅から登校している生徒も休校中の夜間外出を禁止します。 学校が再開する場合は連絡網を回しますので次の人へ伝え忘れが無いようにお願いします。 私からの連絡は以上です」
校長が壇上を去り、次の教師の連絡が入る。 そうして時間が過ぎていき、20分程で全校集会が終わった。
所変わって中等部の教室。
「明日からしばらく休校になるけど、明里は何か予定ある?」
やや明るめの髪をした女子生徒が背の低い女子生徒に言う。
「あたし? とりあえず明日は師匠の所に行って稽古付けてもらおうかと思ってるかな」
「師匠って言うと、確かデュエリスト・マンションの人だよね?」
「そうだよ、この前の実技試験の時に来てたけど結局勝負できなかったから腕が上がったかわからなくてね」
「そっか、それならわたしも腕試しで行ってみようかな?」
「奏も来るの? それなら師匠に連絡入れとくね」
明里は携帯を出すとメールを作成して送信した。 返答は直ぐに返ってきた。
「もう返信着たよ。 大丈夫だって」
「わかった、明日は楽しみにしてるね」
◆◆◆
翌日、明里と奏はひよこのカードショップの前に集まっていた
「おはよう、明里。 あれ、師匠さんは?」
「おはよう、奏。 師匠はまだ来てないと思う……」
「おや、2人ともおはよう」
師匠ことカミュがカードショップから出てきた。
「師匠!? もう来てたんですか?」
「君達が来る少し前くらいかな、立ち話も何だし店内に入ろうか」
3人は店内に入って行った。
◆◆◆
昼過ぎになり、明里と対戦していたカミュは試合後に2人に食事に行かないかと誘った。 だがしかし、2人ともデュエリストとしての何かが囁くのか誘いを断りデュエルする事を選んだようだ。 カミュもそれに付き合う事にした。
「カミュさん、次はわたしと対戦お願いします」
「いいよ、奏さん。 やろうか」
「「デュエル!」」
カミュ LP 8000
奏 LP 8000
デュエルディスクにランプが灯る、選択権はカミュが得たようだ。
「ボクは後攻を選ぶよ」
「わかりました、それならわたしのターン。 モンスターをセットしてカードを2枚伏せターンエンド」
「ボクのターン、ドロー。 魔法カード〈おろかな埋葬〉を発動、デッキから〈SR三つ目のダイス〉を墓地へ。 〈SRビーダマシーン〉を通常召喚」
赤いマントと身体中のビー玉が特徴的なモンスターが現れた。
〈SR(スピードロイド)ビーダマシーン〉 攻撃表示
星2/風属性/機械族/ペンデュラム/効果モンスター/スケール1
ATK/200 DEF/100
「ビーダマシーンが召喚に成功した時、デッキから『スピードロイド』モンスター1体、〈SRドミノバタフライ〉を手札に加える。 この効果の発動後、ターン終了時まで風属性モンスターしか特殊召喚できない」
ビーダマシーンがマントの内側から1枚のカードを取り出し、カミュに渡す。
「自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、手札から〈SRタケトンボーグ〉は特殊召喚できる。 攻撃表示で特殊召喚」
大きな竹蜻蛉が飛来し、変形するとトンボのような目が特徴的なモンスターになった。
〈SRタケトンボーグ〉 攻撃表示
星3/風属性/機械族/効果モンスター
ATK/600 DEF/1200
「タケトンボーグをリリースして効果発動。 デッキから『スピードロイド』チューナーモンスターを1体特殊召喚する。 デッキから〈SR赤目のダイス〉を攻撃表示で特殊召喚」
再びタケトンボーグが変形すると、どこかへと飛び去ってしまったが入れ替わりに赤い目が特徴の6面体のサイコロ型モンスターが天井から降ってきた。
〈SR赤目(あかめ)のダイス〉 攻撃表示
星1/風属性/機械族/チューナー/効果モンスター
ATK/100 DEF/100
「赤目のダイスの効果。 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分フィールドの『スピードロイド』モンスターを1体を対象とし、1~6までのレベルを宣言して発動する。 対象のモンスターのレベルはターン終了時まで宣言したレベルになる。 ビーダマシーンのレベルを6にする」
赤目のダイスが発光し、ビーダマシーンの色が青から赤に変わる。
「レベル6になったビーダマシーンにレベル1の赤目のダイスをチューニング! シンクロ召喚! レベル7、〈クリアウィング・シンクロ・ドラゴン〉を攻撃表示で特殊召喚」
赤目のダイスが光の輪になるとその中をビーダマシーンが通過すると、風を纏い透き通る翼を持ったドラゴンが現れた。
〈クリアウィング・シンクロ・ドラゴン〉 攻撃表示
星7/風属性/ドラゴン族/シンクロ/効果モンスター
ATK/2500 DEF/2000
「バトルフェイズ、クリアウィングでセットしたモンスターを攻撃」
クリアウィングが回転しながら風を纏い、1つの竜巻となりモンスターに突撃する。
「セットされたモンスターは〈音響戦士サイザス〉、ダメージステップでリバースカード〈仁王立ち〉を発動してサイザスの守備力を倍にします!」
伏せられたカードの裏から、音響機材に腕を生やしたようなモンスターが現れる。 迫り来る竜巻を前にサイザスは仁王立ちで耐える事を選んだようだ。
〈音響戦士(サウンドウォリアー)サイザス〉 守備表示
星4/風属性/機械族/リバース/効果モンスター
ATK/1200 DEF/1900
〈音響戦士サイザス〉 DEF/1900→3800
カミュ LP 8000→6700
「ダメージステップ終了後、サイザスのリバース効果発動。 デッキからサイザス以外の『音響戦士』モンスター1体を手札に加えます。 〈音響戦士ギータス〉を手札に加えます」
サイザスは手にした鍵盤で音楽を奏でると、それに反応したのかエレキギターに腕の生えたモンスターがやってきて奏の手札に加わった。
「バトルフェイズを終了してターンエンド」
「エンドフェイズにサイザスの守備力は〈仁王立ち〉の効果で『0』になります」
先ほどの仁王立ちの影響で身体中にヒビが入ったサイザスは満身創痍の一言に尽きた。
〈音響戦士サイザス〉 DEF/3800→0
「わたしのターン、ドロー。 〈音響戦士ベーシス〉を通常召喚」
ベースギターに腕の生えたモンスターが現れた。
〈音響戦士ベーシス〉 攻撃表示
星1/風属性/機械族/チューナー/効果モンスター
ATK/600 DEF/400
「ベーシスの効果。 1ターンに1度、フィールドに表側表示で存在する『音響戦士』モンスター1体を対象として発動。 対象のモンスターのレベルをわたしの手札の枚数分ターン終了時までアップします。 わたしの手札は3枚、ベーシスのレベルを3つアップさせます」
ベーシスは自身の弦を調整していたが、やがて調整が上手くいったのか音楽を奏始めた。
〈音響戦士ベーシス〉 星1→4
「レベル4のサイザスにレベル4になったベーシスをチューニング! シンクロ召喚! レベル8、〈クリムゾン・ブレーダー〉を攻撃表示で特殊召喚」
ベーシスが光の輪を作り出す。 サイザスはそれを通過して光の中に消えると、赤い双剣士が代わりに現れる。
〈クリムゾン・ブレーダー〉 攻撃表示
星8/炎属性/戦士族/シンクロ/効果モンスター
ATK/2800 DEF/2600
「バトルフェイズ、〈クリムゾン・ブレーダー〉でクリアウィングを攻撃」
炎を纏った双剣がクリアウィングを襲う。
「その攻撃宣言時に墓地の三つ目のダイスを除外して発動。 その攻撃を無効にする」
振り下ろされた双剣とクリアウィングの間に三つ目のダイスが入り込む。 双剣は三つ目のダイスを易々と切り裂き爆散させた。
「バトルフェイズを終了してターンエンドです」
「ボクのターン、ドロー。 魔法カード〈スピードリバース〉、墓地の赤目のダイスを対象に発動。 攻撃表示で特殊召喚」
床から赤目のダイスが登場する。
「レベル7のクリアウィングにレベル1の赤目のダイスをチューニング! シンクロ召喚! レベル8、〈クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン〉を攻撃表示で特殊召喚」
赤目のダイスが光の輪となり、クリアウィングが通過する。 翼などが水晶のように透き通ったドラゴンが現れる。
〈クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン〉 攻撃表示
星8/風属性/ドラゴン族/シンクロ/効果モンスター
ATK/3000 DEF/2500
「バトルフェイズ、クリスタルウィングで〈クリムゾン・ブレーダー〉を攻撃」
翼に光とエネルギーが集まる。 集めたエネルギーを推進力に使い、クリスタルウィングは音速を超えるスピードで〈クリムゾン・ブレーダー〉にぶつかる。
「このカードがレベル5以上の相手モンスターと戦闘するダメージ計算時に発動する。 そのダメージ計算時のみ戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分、自身の攻撃力をアップする!」
双剣を盾代わりに使いその身を守る〈クリムゾン・ブレーダー〉にクリスタルウィングは拳を全力でぶち当て守りを崩す事に成功する。 その隙を突いて空いているもう片方の手で真紅の鎧を貫き爆散させる。
〈クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン〉 ATK/3000→5800→3000
奏 LP 8000→5000
「バトルフェイズを終了してターンエンド」
「わたしのターン、ドロー。 スケール7の〈音響戦士ギータス〉を左側のペンデュラムゾーンにセッティング、1ターンに1度、手札1枚を捨てギータスのペンデュラム効果を発動。 デッキからギータス以外の『音響戦士』モンスターを1体特殊召喚する。 デッキから〈音響戦士ピアーノ〉を守備表示で特殊召喚」
ギータスがエレキギターをかき鳴らすと腕の生えたピアノ型モンスターが現れる。
〈音響戦士ピアーノ〉 守備表示
星3/風属性/機械族/チューナー/効果モンスター
ATK/900 DEF/1300
「スケール1の〈音響戦士マイクス〉を右側のペンデュラムゾーンにセッティング、これでレベル2~6までのモンスターを同時に特殊召喚できる。 ペンデュラム召喚! 手札から〈音響戦士マイクス〉(2枚目)を守備表示で特殊召喚。 これでターンエンドです」
腕の生えたマイク型モンスターが現れる。
〈音響戦士マイクス〉 守備表示
星5/風属性/機械族/ペンデュラム/効果モンスター/スケール1
ATK/2300 DEF/1100
ペンデュラム召喚、自身のペンデュラムゾーンの両方にペンデュラムカードを置く事で初めて使えるようになる召喚方法。 両側に置いたペンデュラムカードに記載されている『スケール』を元に、その間の数字のレベルを持つモンスターを手札と自分のEXデッキに表側表示で存在するモンスターの中から選んで同時に特殊召喚できる。 ただし、基本的に1ターンに1度しかペンデュラム召喚は行えず、EXデッキからモンスターを呼び出す場合は片側のEXモンスターゾーンに特殊召喚するかリンクモンスターの持つリンクマーカーの先にしか特殊召喚できないなどの制約がある。 因みに、フィールドを離れたペンデュラムモンスターは持ち主のEXデッキに表側表示で加わる。
「ボクのターン、ドロー。 バトルフェイズ、クリスタルウィングでピアーノを攻撃」
クリスタルウィングがピアーノに急速接近し、片手で掴み上げると床に叩きつけ爆散させる。
「バトルフェイズを終了してターンエンド」
「わたしのターン、ドロー。 モンスターをセットしてターンエンド」
「ボクのターン、ドロー。 墓地から〈スピードリバース〉を除外して墓地の〈SRタケトンボーグ〉を対象に効果発動。 手札に加える。 〈SRシェイブー・メラン〉を通常召喚」
ブーメランがフィールドに飛んで来て、変形するとモンスターになる。
「手札の〈SRタケトンボーグ〉は風属性モンスターが自分フィールドに存在しているので特殊召喚できる。 さらにリリースして発動。 デッキからチューナーモンスター〈SR-OMKガム〉を守備表示で特殊召喚」
タケトンボーグが変形して飛び去ると、小型の箱が落ちてくる。 箱は変形してモンスターになった。
〈SR-OMK(オーエムケー)ガム〉 守備表示
星1/風属性/機械族/チューナー/効果モンスター
ATK/0 DEF/800
「レベル4のシェイブー・メランにレベル1のOMKガムをチューニング! シンクロ召喚! レベル5、〈HSRチャンバライダー〉を攻撃表示で特殊召喚」
シェイブー・メランが光の輪を通過すると、巨大な剣が下半身のモンスターが現れる。
〈HSR(ハイスピードロイド)チャンバライダー〉 攻撃表示
星5/風属性/機械族/シンクロ/効果モンスター
ATK/2000 DEF/1000
「シンクロ素材となって墓地へ送られたOMKガムの効果発動。 自分のデッキの上から1枚墓地へ送り、そのカードが『スピードロイド』モンスターだった場合、OMKガムを素材としてシンクロ召喚したモンスターの攻撃力を1000ポイントアップする。 墓地へ送られたのは、魔法カード〈スピードリフト〉、パワーアップは無い」
墓地からOMKガムが出てきて、背中に背負っている箱から1枚のカードを出す。 その後、再び墓地へ戻って行った。
「バトルフェイズ、チャンバライダーは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる! チャンバライダーでマイクスを攻撃」
チャンバライダーがブースターを吹かして突撃する。
「チャンバライダーが戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。 攻撃力を200ポイントアップする」
〈HSRチャンバライダー〉 ATK/2000→2200
マイクスが加速したチャンバライダーによって跳ね飛ばされ破壊される。
「破壊されたマイクスをEXデッキに表側表示で追加します」
「続けて、チャンバライダーでセットされたモンスターを攻撃。 ダメージステップ開始時に攻撃力がさらに200ポイントアップ」
〈HSRチャンバライダー〉 ATK/2200→2400
ブースターがさらにチャンバライダーを加速させる。 セットされたモンスターをカードごと貫いて破壊する。
「セットされたモンスターは〈クリッター〉、モンスター効果は使いません」
「懸命な判断だね、クリスタルウィングでダイレクトアタック」
奏 LP 5000→2000
「バトルフェイズを終了してターンエンド」
「わたしのターン、ドロー。 魔法カード〈サンダーボルト〉、カミュさんのフィールドに存在するモンスターを全て破壊します」
雷撃が降り注ぎカミュのフィールドのモンスター達を破壊し尽くした。
「フィールドから墓地へ送られたチャンバライダーの効果発動。 除外されている『スピードロイド』カードを1枚、〈SR三つ目のダイス〉を対象に手札へ加える」
チャンバライダーがフィールドの隅に転がっていた三つ目のダイスをカミュの方へと吹き飛ばした。
「ペンデュラム召喚! EXデッキから〈音響戦士マイクス〉をわたしから見て右側のEXモンスターゾーンに攻撃表示で特殊召喚」
マイクスがフィールドに姿を現す。
「バトルフェイズ、マイクスでダイレクトアタック」
マイクスが超音波を発生させて攻撃する。
「その攻撃宣言時、手札の〈SRメンコート〉の効果発動。 このカードを攻撃表示で特殊召喚し、相手フィールドの表側表示モンスターを全て守備表示にする」
機械仕掛けのメンコが高速回転しながら超音波を発生させているマイクスに突撃する。 高速回転によって発生した風でマイクスを吹き飛ばし超音波の発生を防いだ。
〈SRメンコート〉 攻撃表示
星4/風属性/機械族/効果モンスター
ATK/100 DEF/2000
「バトルフェイズを終了してターンエンドです」
「ボクのターン、ドロー。 〈SRドミノバタフライ〉を通常召喚」
ドミノを羽代わりにしているモンスターがフィールドに現れる。
〈SRドミノバタフライ〉 攻撃表示
星2/風属性/機械族/ペンデュラム/チューナー/効果モンスター
ATK/100 DEF/300
「レベル4のメンコートにレベル2のドミノバタフライをチューニング! シンクロ召喚! レベル6、〈HSR魔剣ダーマ〉を攻撃表示で特殊召喚」
メンコートが光の輪を通過すると、薄い藍色の剣玉が変形してモンスターと化す。
〈HSR魔剣(まけん)ダーマ〉 攻撃表示
星6/風属性/機械族/シンクロ/効果モンスター
ATK/2200 DEF/1600
「バトルフェイズ、魔剣ダーマでマイクスを攻撃。 このモンスターは『貫通能力』を持つ」
魔剣ダーマが突撃してマイクスを破壊する。
奏 LP 2000→900
貫通能力、攻撃したモンスターの攻撃力が攻撃されたモンスターの守備力を上回っていた場合、その差分のダメージを与える事ができる能力。 接戦になった時、この能力はとても脅威になる事がある。
「バトルフェイズを終了して、メインフェイズ2。 魔剣ダーマの2つ目の効果、墓地から機械族モンスター1体、〈SRシェイブー・メラン〉を除外して発動。 相手に500ポイントのダメージを与える」
奏 LP 900→400
「これでボクはターンエンド」
「わたしのターン、ドロー。 手札を1枚捨ててギータスのペンデュラム効果発動。 デッキから〈音響戦士ベーシス〉(2枚目)を攻撃表示で特殊召喚」
エレキギターの音色に誘われたのかベーシスが音楽を奏でながらやってきた。
「ペンデュラム召喚! EXデッキから〈音響戦士マイクス〉をわたしから見て右側のEXモンスターゾーンに攻撃表示で特殊召喚」
EXデッキに行っていたマイクスも音楽に釣られて現れる。
「墓地の〈音響戦士ピアーノ〉の効果、種族を1つ宣言し墓地のこのカードを除外する事で、わたしのフィールド上に表側表示で存在する『音響戦士』モンスター1体は宣言した種族になる。 フィールドのマイクスの種族を昆虫族に変更!」
独特なピアノの旋律が流れ、マイクスを緑色の光が包み込む。
「続けて、墓地の〈音響戦士ドラムス〉の効果、 属性を1つ宣言し墓地のこのカードを除外する事で、わたしのフィールド上に表側表示で存在する『音響戦士』モンスター1体は宣言した属性になる。 フィールドのベーシスの属性を闇属性に変更!」
どこか不安になりそうな感じの音が響き、ベーシスを紫色の光が包み込む。
「昆虫族になったレベル5のマイクスに闇属性になったレベル1のベーシスをチューニング! シンクロ召喚! レベル6、〈地底のアラクネー〉を攻撃表示で特殊召喚」
マイクスが光の輪を通過すると、下半身が大きなクモのモンスターが現れた。
〈地底のアラクネー〉 攻撃表示
星6/地属性/昆虫族/シンクロ/効果モンスター
ATK/2400 DEF/1200
「ほう、珍しいモンスターをデッキに入れているんだね」
「ええ、なかなか頼りになりますから。 アラクネーの効果。 1ターンに1度、相手フィールドに存在するモンスター1体を対象して発動。 そのモンスターをこのカードの装備カードにします。 この効果で装備できるモンスターは1体のみで、このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに装備モンスターを破壊できます。 魔剣ダーマを対象に装備カードにします」
アラクネーが糸を吐き出し魔剣ダーマを絡め取る。
「バトルフェイズ、アラクネーでダイレクトアタック」
カミュ LP 6700→4300
「バトルフェイズを終了してエンドフェイズ、〈音響戦士マイクス〉のペンデュラム効果。 除外されている『音響戦士』モンスター1体を対象にして発動。 そのモンスターを手札に加えます。 〈音響戦士ピアーノ〉を手札へ。
これでターンエンドです」
「ボクのターン、ドロー。 魔法カード〈貪欲な壺〉、墓地の5体のモンスター〈クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン〉、〈クリアウィング・シンクロ・ドラゴン〉、〈HSRチャンバライダー〉、〈SRメンコート〉、〈SRタケトンボーグ〉を対象に取り発動。 デッキに戻して2枚ドロー」
ちょび髭の生えた壺がカードを飲み込むと砕け散る、カミュは2枚のカードを手札に加えた。
「スケール8の〈SRドミノバタフライ〉(2枚目)を右側のペンデュラムゾーンにセッティング。 さらにスケール6の〈SRヘキサソーサー〉を左側のペンデュラムゾーンにセッティング」
「ここでリバースカード〈サイクロン〉を発動。 ペンデュラムゾーンの〈SRドミノバタフライ〉を破壊します」
「モンスターをセットしてターンエンド」
「わたしのターン、ドロー。 墓地の〈音響戦士サイザス〉の効果。 このカードを墓地から除外して、サイザス以外の除外されている『音響戦士』モンスターを1体対象として発動。 特殊召喚します。 〈音響戦士ドラムス〉を攻撃表示で特殊召喚」
腕の生えた赤いドラム型のモンスターが現れた。
〈音響戦士ドラムス〉 攻撃表示
星2/風属性/機械族/チューナー/効果モンスター
ATK/700 DEF/700
「ペンデュラム召喚! 手札から〈音響戦士ピアーノ〉を守備表示、EXデッキから〈音響戦士マイクス〉をわたしから見て右側のEXモンスターゾーンに攻撃表示でそれぞれ特殊召喚」
何度も呼び出されたせいかマイクスはやや疲れた印象があったが、それをねぎらうようにピアノの旋律が流れた。
「〈メタモルポット〉を通常召喚」
古びた壺が転がりながらフィールドに現れる。
「レベル2の〈メタモルポット〉、レベル5のマイクスにレベル2のドラムスをチューニング! シンクロ召喚! レベル9、〈灼銀の機竜〉を攻撃表示で特殊召喚」
2体のモンスターが光の輪をくぐり抜けると、豊富な火器を搭載した戦車のようなモンスターが爆炎を背景に現れた。
〈灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)〉 攻撃表示
星9/炎属性/機械族/シンクロ/効果モンスター
ATK/2700 DEF/1800
「〈灼銀の機竜〉のモンスター効果。 1ターンに1度、手札・墓地および自分フィールドの表側表示モンスターの中からチューナー1体を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動。 そのカードを破壊します。 墓地から〈音響戦士ベーシス〉を除外してセットされたモンスターを対象に破壊します」
砲門が一斉にセットされたモンスターに向けられる。 それらが火を噴きモンスターを跡形もなく破壊する。
「バトルフェイズ、〈灼銀の機竜〉でダイレクトアタック」
再び砲門が狙いを定める。
「墓地の三つ目のダイスを除外してその攻撃を無効にする」
除外された三つ目のダイスは砕け散ると中から何かの粒子を散布する。 粒子は苛烈な砲撃からカミュを守ると霧散した。
「アラクネーでダイレクトアタック」
アラクネーは口から糸を吐き出し魔剣ダーマを鎖付き鉄球の如く操り、カミュに叩き付けた。 これが所謂、外道ハンマーである。
カミュ LP 4300→1900
「バトルフェイズを終了してエンドフェイズ、マイクスのペンデュラム効果で除外されているサイザスを手札に加えます。 これでターンエンド」
「ボクのターン、ドロー。 スタンバイフェイズ、EXデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在する場合に発動。 手札の〈SRビードロ・ドクロ〉は特殊召喚できる」
ドクロのような顔の付いた細長いモンスターが現れた。
〈SRビードロ・ドクロ〉 攻撃表示
星7風属性/機械族/効果モンスター
ATK/0 DEF/3000
「メインフェイズ、〈SR赤目のダイス〉(2枚目)を通常召喚」
赤目のダイスが転がりながら現れた。
「レベル7のビードロ・ドクロにレベル1の赤目のダイスをチューニング! シンクロ召喚! レベル8、〈HSRカイドレイク〉を攻撃表示で特殊召喚」
赤目のダイスから出てきた光の輪をビードロ・ドクロが通過する。 どことなく〈クリアウィング・シンクロ・ドラゴン〉を連想させるようなモンスターが出現する。
〈HSRカイドレイク〉 攻撃表示
星8/風属性/機械族/シンクロ/効果モンスター
ATK/3000 DEF/2800
「カイドレイクがシンクロ召喚に成功した場合、2つある効果の内1つを選択して発動する。 1つ目がこのカード以外のフィールドのカードを全て破壊する効果。 2つ目が相手フィールドの表側表示のカードの効果を無効にする効果。 ボクは1つ目の全体除去効果を発動する!」
カイドレイクから放たれた赤いレーザーや遠隔攻撃兵器がフィールド上のカードを破壊し尽くしていく。 無差別攻撃が止むとフィールドにはカイドレイクのみが存在していた。
「シンクロ召喚した〈灼銀の機竜〉が効果によって破壊され墓地へ送られた場合、除外されているわたしのチューナー1体を対象に効果発動。 手札に加えます。 ベーシスを手札へ加えます」
破壊されボロボロになった〈灼銀の機竜〉の中から1枚のカードが出てくる。 奏はそれを手札に加えた。
「バトルフェイズ、カイドレイクでダイレクトアタック」
カイドレイクが赤いレーザーを収束させる。
「墓地の〈超電磁タートル〉を除外して効果発動。 バトルフェイズを終了します」
収束されたレーザーが放たれる、そのレーザーに高速回転しながら突っ込んで来たカメがぶち当たり代わりに破壊される。
「バトルフェイズを終了して、これでターンエンド」
「わたしのターン、ドロー。 モンスターをセットしてターンエンドします」
「ボクのターン、ドロー。 魔法カード〈ヒドゥン・ショット〉。 墓地の『スピードロイド』モンスターを2枚まで除外して、除外した枚数まで対象を選択して発動。 そのカードを破壊する。 墓地から〈SR-OMKガム〉を除外してセットされたモンスターを破壊する!」
OMKガムが弾丸のように発射されセットされていたモンスターを貫き爆散する。
「バトルフェイズ、カイドレイクでダイレクトアタック」
カイドレイクがクリアウィングよろしく回転しながら突撃する。 その攻撃は奏をすり抜けるとライフポイントにダメージを与えた。
奏 LP 400→0
◆◆◆
「対戦ありがとうございました」
「対戦ありがとうございました!」
試合後、3人はひよこのカードショップを後にして近くのコンビニで昼食を取った。
「師匠、後でまたデュエルしましょう」
「いいよ、奏さんはどうする?」
「わたしもお願いします、さっきのリベンジもしたいので……!」
カミュはこの日、代わる代わる弟子とその友達を相手にデュエルしまくったのであった。
読んで頂きありがとうございます!
今回の対戦カードはスピードロイドvs音響戦士でした。
音響戦士はEXデッキにあるアラクネーやフィッツジェラルドなどの召喚条件に
何かしらの縛りのあるシンクロモンスターを幾つか採用したタイプになります。
具体的には一部のダークシンクロモンスターだったりします。