アタランテお母さん~貴女は育て方を間違えました~   作:ら・ま・ミュウ

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プロローグ

サンザーラという紀元前から存在した魔術一家があった。

かつて時計塔のロードの席を預かるも、極東の冬木にて第二次聖杯戦争なるものに参加して以来、時計塔を離れ没落の一手を辿っている。マリスビリーが現代当主である彼女をスカウトするまでサンザーラは既に滅びた魔術家系だと古い魔術師達はそう思っていた。

 

「これは凄い、マスター適正もレイシフト適正もシステムのほぼ最高値だ!君は間違いなくAチーム行きだね!」

 

「……そう」

 

欠けた魔術刻印を宿す少女。

マリー・サンザーラ

天性の美貌を持ちながら、どこか儚く目を離せば途端に消えてしまいそうな危うさを持つ彼女は、サンザーラの現代当主にして三重元素使い、豊富な魔術回路に恵まれた一流と呼ばれる魔術師であることながら異例のマスター適正とレイシフト適正を叩き出した。

 

これだけ優秀ならば、時計塔のロードへと返り咲くことも出来よう。カルデアに人理修復のマスターとして招かれた魔術師達の誰もがそう思った。

しかし、彼女はそれを望まない。彼女には……いや、サンザーラには野心と呼べる物が元からなかった。

時計塔に在籍していたのは優秀な魔術師の遺伝子をサンザーラに取り込む為に。時期こそ重なったがサンザーラが時計塔を離れた本当の理由は彼らから種を回収し終えたから。

第二次聖杯戦争など、本来の目的を影に潜ませるFakeに他ならない。

 

そうだ。彼らは没落などしていなかった。

ただ目的の為に坦々と作業をこなして、他の魔術師達が権力争いにうつつを抜かす中、確実に悲願へと近づき……『マリー・サンザーラ』彼女が誕生した時点でサンザーラ家の悲願は達成された。

 

 

「馬鹿な、そんな事があっていい……筈がない」

 

シルクハットの紳士が額に汗をかきながら喘ぐ。

 

「私のことは、彼らに黙っておいて」

 

「了解……しました」

 

 

マリスビリーのスカウトに応じたのは、異星の神を相手に“この力”がどう傾くか調べる為。

 

人理焼却が藤丸リツカによって解消される事実もその後に現れる※※が又もや藤丸リツカによって解決される事などアニムスフィアが知り得る数百年も前からサンザーラ家は把握していた。

 

全てはどうでもよかった。完成されたサンザーラにとって全ては手のひらで踊る余興に過ぎない。

 

 

 

 

『状況の変化を確認した。

 

栄光を選ぶならば、蘇生を選べ。怠惰を望むならば、永久の眠りを選べ

 

神はどちらでもいい』

 

「……私はお母さんに会いたい」

 

マリー・サンザーラ

彼女がたった一つの願いを叶えんが為、人理とサンザーラ家を裏切るまでは。




マリー・サンザーラ
健康状態 不機嫌
魔術回路 かなり多い
魔術刻印 生命の危機を感じると自動で攻撃特化の魔術式を読み上げる(一流魔術師でも油断すると一瞬で蜂の巣)
また、刻印の状態によっては消失した部位(腕や足など)を再構成する事が可能。
魔眼持ち 能力不明
好きな物 アタランテ、アタランテ、アタランテアタランテアタランテアタランテアタランテアタランテアタランテアタランテアタランテアタランテアタランテ――
嫌いな物 アタランテを奪ったアイツ

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