ゼルダの伝説〜異世界の兵士共 NS(イセカイのツワモノドモ ニュー・ストーリー)〜 作:油揚げパン
本編の補助目的のサブエピソードになります。
自衛隊と森の住人1
ここはハイラル王国にあるフィローネ地方の南、コキリの森の最南端にある名前も無いエリアの雑木林を開拓し拠点を作ったニホンの自衛隊だった。
天竺ヘの大鏡の大きさ制限により、余り大きな機材が持ち込めない自衛隊は、鉄パイプを組み合わせた簡素な高台に監視棟とヘリコプター発着出来る場所を作り、アルヌス駐屯地からの輸送の受け入れ拠点を作りあげていた。
自衛隊の移動装備がバイクやバギー等の小型モビリティがメインになっており、現在ハイラル駐屯地はパーツ事にバラバラになっている高機動車等の組み立てが急ピッチに行われている。
自衛隊はアルヌスから空輸した方が速いのではと考えたが、アルヌス駐屯地とハイラル駐屯地は遠すぎるのと高い山脈に阻まれ、電波を使っての位置特定が出来てい無い上に、直接的な通信が今は出来ていない。
しかし、リンクのお陰で陸続きになってるのは確認出来ているので、自衛隊は周辺地理を殆ど徒歩で移動しながら地理を計測していた。
その事により時間は掛かるが、森は北ヘ抜けるとハイラル南平原になり更に北へ行くとハイラル王国がある等がわかっている。
ハイラル南平原を西に向かえばハイリア湖、東に向かえば、カカリコ峡があり、そこの先はカカリコ村がある
当面はハイラル駐屯地からアルヌス駐屯地ヘの安全ルートの確保とハイラル王国の種族との交流がハイラル駐屯地の主な任務
ハイラル王国の外交官より事前に森の聖域には近づかない様にと言われているが、詳しい地理を把握したい自衛隊はかつて、リンクと共にした横島ニ尉の特別班も森の特別調査が行われようとしていた。
「長谷川曹長基準!!特別班整列!!」
「「「おう!」」」
「10:00!これよりぃ!コキリの森の地理及び資源・生態調査を行う!!01で時計合わせるぞ…3.2.1、今ぁ!」
そして特別班は腕時計の時間を合わせて森の奥へと踏み入れようとしていた。
バックアップは帰還し昇格した國光ニ曹と横島ニ尉
探索班は長谷川曹長をリーダーに峯田ニ曹、岩塚ニ曹女性自衛官(救命対応)、神田三曹に新しく班に入った趣味が釣りな元漁師な春日三曹自衛官(27才、男、新潟県民)が入った。
船を買う為の軍資金を稼ぐ為に入隊したが海上自衛隊と陸上自衛隊を間違えて応募してしまい、どうせ同じだろうとそのまま陸上自衛隊に入った。考えが単純な異色の自衛官である。新しい配置の度に大体の人に何で陸上?っと突っ込みをされるのがお約束な人だ
◆
森の中は静寂で探索班の足音だけが森に響いている…
「…しっかしアレやな、まさかゼルダの伝説の世界を探索するなんて夢にも思わんわな」
長谷川曹長が話題を振って来たので峯田ニ曹が答えた。
「それは確かにですね、守秘義務が無かったら自慢してます。」
「オレ、一回ハイリア湖の釣り堀行ってみたいッス」
「春日は相変わらず釣り好きだな…飽きないの?」
「峯田ニ曹殿の昆虫コレクションと一緒ッス…そういえば虫で思い出したッスけど國光さん虫をすり潰した奴飲んだんですよね?しかも超高度でも酸欠しなくなる奴…」
『ヤメて、あの味は思い出すのもキツイ…』
無線で國光からも話に混じって来た。
「ロフトクワガタ にソラジマカマキリ 、ラネールアント だっけ?…いったいどんな奴なんだろうなぁ…」
峯田ニ曹は影の蟲の件を全く懲りていないようだ。物凄くキラキラした顔をしている
「…あれだけ消毒液まみれにされたのに、本当男の趣味は訳分からないわ」
岩塚ニ曹女性自衛官は呆れている。
『…男の趣味で子供と大人の違いはお金の掛け方だけらしいですからね。』
「休みに池袋に入り浸ってる國光に言えるのか人の事!」
「ハイハイ、あんまり騒ぐんやないでぇ…峯田、あれ…」
長谷川曹長が指を指した先には金色に輝く二本の角があるカブトムシがいた。
「……網ヨーイ…前…確保!とったどー!!ハハハ」
「「「虫取り少年か!」」」
「思った以上に速攻やったな…コチラ探索班、峯田が昆虫を捕まえた。今映像送るで」
『了解』
峯田ニ曹へ盛大に突っ込みを入れる探索班は映像をバックアップ組に送った
『…フィラクレスカブト(♂)ですね。ハイラル王国の図鑑にあります。』
『…別の班がメスを捕まえた様だからそのままサンプルとしてキープだそうだ』
「了解、終わり…お持ち帰りOKやと」
「いよっし!…タネ?」
お持ち帰りOKになったので峯田ニ曹は大切に虫籠に入れた時だった。何処からかタネが飛んで来た。
「…」
長谷川曹長はハンドシグナルで周囲の警戒体勢に入った。
「……!クイクイ…」
岩塚ニ曹は木の上に小さな妖精と空中に浮いたパチンコを見つけた。
「…(目標2時、木の上…あれはコキリ族?)」
「…おーい!少年!危ないぞ!」
岩塚ニ曹女性自衛官と峯田ニ曹にはコキリ族の姿がはっきり見えていた。
「…誰かおるんか?」
「木の上に少年…資料のコキリ族と思われます。」
「春日…見えるか?」
「…妖精と中に浮いたパチンコしか見えないッス…」
長谷川曹長と春日三曹はパチンコと小さな妖精が飛んでる様にしか見えてない。
「…オマエ、オレが見えるのか?」
コキリ族は木から降りて来ておっかなびっくり近づくと、長谷川曹長達にも見える様になった。
「…大人は早くデテった方がいいジャラ!」
「どうしてだい?」
コキリ族の少年に峯田は聞いてみた
「森に入った人はみぃ~んないなくなる。みぃ~んなスタルフォス…あなたもイナクなるジャラ?」
「スタルフォス?」
「…どうします?長谷川曹長」
「…本部に連絡して一回戻ってハイラル王国に聞いてみよか。坊主、ここは危険って教えてくれたんやな。…良い子には飴ちゃんやるで」
長谷川曹長は大阪名物、飴ちゃんを出した。
「…アメ?」
「こうやって…袋からだして…口に放り込むんや」
「………甘ァァああああああ!」
コキリ族は飴ちゃんを口に入れ、甘さに喜んでいる。
「…ほな本部と確認してみよか!…スタルフォスっちゅう奴の事も調べなあかんし…探索班かバックアップへ、コキリ族の子から危険だから戻れって注意されてますけど…1回撤収します?」
『…了解、帰投を許可する』
「許可も出たし…戻るか」
「じゃあね…えっと名前は…」
「…ファド」
「ファド君だね、ありがとうね〜」
探索班は1回帰投する事になったが、その様子を遠くから眺めていたコキリ族のファドだった。