ゼルダの伝説〜異世界の兵士共 NS(イセカイのツワモノドモ ニュー・ストーリー)〜 作:油揚げパン
ちょっとした、”
「……気の所為でなければ、イタミ殿の傷が昨日より増えている様に見えるが……?」
リンクとは別に、来賓室へと訪れていたピニャ殿下。だが、この前に若干寝不足気味になりそうな程の”決死の作戦”を考えたにも関わらず……彼女の顔は、噴火直前なデスマウンテンの如き”真っ赤な怒り”で再び染まり切っていた。その理由は明白だ。彼女達、
「右目は元々あったしぃ」
「ワタシの爪でもないニャ」
【……まぁ、”ハイラルの魔物”が入ったワケじゃあないよな……】――ハイラル時代、サリアと会うために赴いた『森の聖域』や、打倒
「わ、わたくしが…やりました……」
ほんのり涙を滲ませつつ、赤面した表情で恐る恐る”小さな挙手”をしながらそう呟くボーゼス。その言葉を聞いたピニャ殿下は、気絶しそうになるのを何とか堪えつつ……キッ! ……と、”トアル意外と苦労人で
「リンク殿はミュイ伯爵令嬢が、甲斐甲斐しく面倒を見てたと言うのに……またお前は……ッ!」
「ちっ、違います! 姫様! 確かにイタミ殿にはしてしまいましたが、リンク殿には……」
「ここに来て言い訳とは、見苦しいぞ! ボーゼスッ!?」
リンクにも
一方のミュイ伯爵令嬢と言えば……冤罪に合うボーゼスに申し訳ないと思いつつも、その事がバレない様に装うも、背中は冷や汗でビッショリとなっていた……。 助け舟を出せないリンクは痺れを切らしたのか……この冤罪騒ぎの原因である彼女に、視線を向ける。しかしながら、その合った視線は即座にプイッ! ……と
「(フォルマル家は亜人に詳しく、理解があるとは聞いていたが……まさか、ミュイ伯爵令嬢までとは……多少問題はあったと言えど、
はぁぁぁぁ……この始末、どうしてくれよう……」
そんな彼女の気苦労を知る由もなく……冤罪とは言え、拉致された伊丹隊長を連れ帰るのが目的だった富田自衛官は、この
「〈私達は隊長を連れて帰りますので、そちらの事はそちらへ……〉」
「我々は隊長を連れて帰る。そちらの事は我々に関係ない」
その言葉に再び、”死神の鎌”が自分や帝国の首に近づいてきた感覚を思い出したピニャ殿下は、必死の形相で引き止め出す。
「そっ、それは困るッ! も、もう朝だ。そうだ! 朝食を用意しようッ! 帝国一豪華な物をなッ!? それに、和解の意を込めて……豪華な晩餐なども含めた、騎士達との歓談の場を……ッ!」
ピニャ殿下の必死の形相に、その真意は分からずとも少々引き気味な気分になってしまう富田ニ曹。そんな彼もそうだったがそれを聞き、
「〈申し訳ないですが、伊丹隊長は国会で参考人
「イタミ隊長は
その言葉を聞いたピニャ殿下はそれはもう
「(元老院に報告!? こんな少部隊の隊長が、
イタミの報告一つで自衛隊が動くと判断したピニャ殿下の決断は、それはもう……”
「此度の協定違反、ケングン団長か上位の指揮官に正式に謝罪をしておきたい。……よっ、宜しいか? イタミ殿……?」
「え!? え〜と……招致まで時間が無いですし、車も狭いので……リンクも乗るから、後一人位なら……」
「あれ? そう言えば……エポナは?」
「先にアルヌス行ったみたいで、駐屯地から連絡があったわ。家が牧場だったり……動物好きな隊員が世話しようとも、ほとんど言う事を聞かず暴れて大変だから、早く抑えてくれ……って」
ふと、思い出したリンクの疑問に栗林が応えてくれた。全く……!
「一人……か。ならば、妾だけで行こう。ハミルトン、しばらく妾の代行をせよ。騎士団の者達は、お前に任せる」
「ちょ!? 殿下一人で行かせる訳には参りませんッ!」
「そうですよ殿下ッ! 我々も同行するよう、どうかお考え直しをッ!」
「しかし……一人しか乗れんと言っておるぞ」
リンクも同様な思いであったが……彼女達の”真意”を知らないイタミ達は、『どうでもいいから早くしてくれ』……って顔をしていた。
「あ、じゃあこうすれば……」
◆
数時間後……。アルヌスの丘に繋がる、テッサリア街道を駆け抜ける高機動車の中では……?
「イ〜ヤ〜//! ハ〜ナ〜シ〜テ〜///ッ!」
「コラ!
……一応の
「〜! 〜! (
「フフ、ボウヤにはお似合いよぉ……? それに、満更でも無さそうだしぃ」
「〜〜〜///ッ!」
……少し前の”イタリカ攻防戦”時の