ゼルダの伝説〜異世界の兵士共 NS(イセカイのツワモノドモ ニュー・ストーリー)〜   作:油揚げパン

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帝都の地下

 リンク達が八王子で待ちぼうけされている頃の帝都、カーチス銀行長の話を聞いたデュシー候は、自衛隊によって崩壊した元老院でマルクス伯爵へ直談判をしていた。

 

 「マルクス伯爵殿!いったいどう言う訳ですか!」

 

 「…何か問題でも?」

 

 「大アリです!カーチスから伺いました!帝都に身を捧げて15年、発展の為に身を削って来たのに何故私が裏切り者にされるのですか!?しかも私に直接では無く!唯の銀行に証拠の押収とばかりに金目の物を全部持って行き、店主の娘まで攫うとは…これでは唯の強盗ではありませんか!!!」

 

 「…事情はわかった。しかし、デュシー候…主戦派だったお主が講和派の為に色々と動いているの聞いている。…何故だ?」

 

 「伯爵様も見られたでしょう!?元老院の者には人質を取られている者が多くいます!私もそうです。皇帝は負けてはならないと言われるなら、今は講和を進めてニホンの懐を探り、今後帝都がより多くの物を手に入れる為にも…」

 

 「もうよい、デュシー殿が帝都を思って行動をしてるのは良くわかった…おい、地下の管理魔道士にカーチスとやらの娘の確認を取って来い、生きてたらこれ以上手を出すなと伝えといてくれ」

 

 「承りました。すぐに伺います。」

 

 マルクス伯爵は後ろにいたウォルデル秘書を呼び、使いを出させた。

 

 「あ、ありがとうございます。何とお礼を申したら良いか…」

 

 デュシー候は少し安心したようだ。

 

 「安心しなさい、デュシー候が私の味方であるかぎり悪い様にはせん…味方であるかぎり…な」

 

 デュシー候は顔を青くしながらその場を後にした。

 

 ◆

 

 帝都の最下層、牢獄の更に下の広場には拷問の道具や人体実験、魔道士の表に出せない魔法の知識や実証実験場になっていた。

 

 「…相変わらずイヤな所だ…オイ!」

 

 ウォルデル秘書は近くの拷問官に声を掛けた。

 

 「ヒッヒッヒ…これはこれは…いったいどのようなご用件でぇ?」

 

 黒いローブで全身を隠し、返り血が固まって斑模様になっているツルツルな仮面をつけた拷問官は訪ねた。

 

 「最近ゾルザル閣下が連れて来たカーチスとか言う銀行員の娘がここ最近きたはずだ。マルクス伯爵様から手を出すなと言われている、娘は何処だ?」

 

 「…その娘なら、ハイラルから来た魔道士のはずです…こちらへ…」

 

 

 ウォルデル秘書は拷問官に連れられて奥へ向かって行った。

 

 

 ◆

 

 偶に聞こえて来る悲鳴の中、奥に進むと第六魔導研究室の所に来た。

 

 「…何故研究室に」

 

 「もうゾルザル閣下はあの娘を破棄されましたので…ここのはずです…」

 

 「ここでは何をしている?」

 

 「…『魂による強化人間』の研究です…どうぞ」

 

 そしてウォルデル秘書は部屋の中に入った。

 

 

 そこには魔法陣の真ん中に目の形が独特な仮面が置かれ、周りには人間を縛る為の革ベルトが付いた魔術の模様が描かれた柱があった。

 

 『…珍しい…こんな所にいったいどんな御用で…』

 

 そこには黒いボロボロのローブを深く被り、目の所が怪しく赤色に光る魔道士がいた。

 

 およそ人間の声の様に聞こえない男か女かも判らない声で語る魔道士

 

 「…ふん、マルクス伯爵様からゾルザル閣下様が連れてきた女を連れに来たんだが…何だこれは」

 

 『…ハイラルの魔道と帝都での魔道を組み合わせて作った精製装置です…フヒ…人の魂を薬にする道具ですよ…』

 

 「魂を薬…だと?」

 

 『フヒヒ…魂…ハイラルでは[ポウ]と言いますが…これは薬になります。…魔力が少ない者は多くの魔力を使える様になり、死にかけた者は命を吹き返す妙薬…しかし、薬はそのままでは長くて1日しか持ちませんからねぇ…』

 

 「……あの仮面は!?」

 

 『…アナタも好きですねぇ…娘と一緒に渡された仮面ですよ…まさか[ムジュラの仮面]とは思いませんでした…フヒヒヒ!』

 

 「…(コイツ…ここの拷問魔道士の中で飛び抜けてヤバい!)…ムジュラの仮面だと何かいい事でもあるのか?」

 

 『…ムジュラの仮面は…悪魔の仮面と言われ、付けた者を乗っ取り魔人にしてしまう仮面…でも、幸いこの仮面の邪気は殆ど無いので触媒に丁度良く、私好みに魔力を込める事が出来る…もう100人分は魔力が籠もってますよ…』

 

 「ヒャ…100人…」

 

 『フヒヒヒ!…砂漠に落としたグラスの水の様に魂を吸収しますからねぇ…これは良い物になります…あのニホンに勝つ為にはまだ魂が足りませんが…今でもあの仮面を付けたらあの炎龍の新生龍と素手で殴り合い出来る位の魔力は貯まりましたかねぇ…』

 

 その事を聞いて思わす下がる秘書は本来の目的を思い出したのだった。

 

 「新生龍と…殴り合い…!そうだった、ゾルザル閣下様が連れて来た娘は!?」

 

 『…あの娘ならもう仮面の中ですよ。『破棄していい』って言われてましたからねぇ…殿下もなかなか良い趣味ですなぁ…前歯何か無かったですよ…私が兵士だった時代でもなかなか居ませんでしたよ…』

 

 「………わかった」

 

 そしてウォルデル秘書は戻って事の次第をマルクス伯爵に報告するのであった。

 

 

 

 




赤目の魔道士…ハイラル城門のポウを買い取ってくれる元兵士

 ポウにのめり込み過ぎて危険人物認定されてハイラルから追放、ある場所で再度研究を始めるが崩壊してしまい、また旅をしている時、悪所でゾルザル閣下と出会い、研究内容をはなすとゾルザル閣下は気に入り、現在地下の魔道拷問官兼魔道具開発をしている

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