Re:Imagination Orga   作:T oga

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イセスマ編最終話です!

それはそうとリゼロ2期楽しみですね。
エキドナの声優がめちゃくちゃ気になる件について



First´World-4『旅立ちの世界』

「本当に行ってしまわれるのですか?オルガさん、三日月さん」

 

フレイズを倒した次の日。ブリュンヒルド公国から旅立つ俺とミカを見送りに来たユミナがそう口を開いた。

 

「あぁ、この世界で俺らのするべき事は終わったからな」

「するべき事、って……?」

「フレイズと戦うのがオルガ達のするべき事だったの?」

 

リンゼとエルゼの問いにミカがこう答える。

 

フレイズ(アイツら)もそうだけど、多分皆に会う事も俺達のするべき事だったんだと思う」

「三日月殿と手合わせ願いたかったでござるよ……」

「あぁ……俺、模擬戦とか苦手なんだ」

「ミカは手加減っつーのを知らねぇからな」

「そうでござるか……。残念でござる」

 

八重はそう言ってガクッと項垂れた。

 

「別にこの世界に居座っても誰も文句言わないと思うわよ。神殺しの呪いがあるわけでもないんだし、別の異世界に旅立たなきゃいけない理由はないでしょう?」

 

リーンはそう言って、俺達を引き留めようとするが、俺達の答えは決まっている。

 

「俺達は元の世界に戻りたいんだ。だからこんなところで立ち止まる訳にはいかねぇ……!」

 

それに神殺しの呪いってなんだよ……?

 

 

「オルガくんと三日月くんは何を言っても聞かないのよ。仕方ないのよ」

 

恋愛神がそう言いながら空から降りてくる。ちなみにこいつは神界への案内役だ。

 

異世界へ行く為のカメラがあるアドモス商会の扉が神界と繋がってるからな。

 

この世界から旅立つにはまず神界を経由しなくちゃならねぇ。

 

 

「……んじゃ、行くわ」

 

俺のその言葉と同時に、恋愛神が神界への【ゲート】を開く。

 

「じゃあね。オルガ、三日月。別の世界でも頑張りなさいよ」

「オルガさんと、三日月さんが、元の世界へ戻れる事を、心からお祈りしています」

「あぁ、ありがとな」

 

まず、エルゼとリンゼが見送りの挨拶をくれる。

 

「拙者ももっと腕を磨いて、三日月殿より強くなるでござるよ!」

「うん。俺とバルバトスも……まだ止まれない」

 

八重も三日月に別れの言葉を告げる。

 

「もしかしたらまたどこか別の世界で会えるかも知れないわね。前の目玉魔族の時みたいに」

 

目玉魔族って何の事だよ?

まぁ、別の俺に関する事なんだろうが……。

リーンは俺らにその記憶はないって分かって言ってるんだよな……?

 

 

「では、先の戦闘での事後処理でお忙しい冬夜さんの代わりに、ブリュンヒルド公国第一王妃であるこのユミナ・エルネア・ベルファストが神界までお見送り致します」

 

その第一王妃って言う必要あったか?というツッコミが最初に浮かんだが、その後に言葉の意味をしっかりと理解し、俺は驚いてユミナに聞いた。

 

「はぁ!?神界までついてくるのか!?」

「はい。そこまで見送るのが客人であり、ともに戦った仲間であるオルガさんと三日月さんへの礼儀だと思います」

 

俺は大きくため息をついてから、渋々承諾した。

 

「はぁ……分かったよ。神界のルール的にも問題ないんだよな?」

「ユミナちゃんは半神である冬夜くんの眷属だから問題ないのよ」

 

半神?眷属?

この世界は最後まで良くわからねぇ事ばかりだったが……もういい。

 

「とにかく問題ねぇんだな。それじゃ行くぞ」

「うん。行こうオルガ」

「はい。神界までお見送りします」

「じゃあ、レッツゴー!なのよ!!」

 

恋愛神の開いた【ゲート】を潜り、俺とミカ、それと何故かついてきたユミナはあの雲海の上に畳と卓袱台(ちゃぶだい)が浮かぶ神界へとやってきた。

 

その神界には神の爺さんの他にもう一人、卓袱台(ちゃぶだい)を囲む者が居た。

 

「来たね。オルガ、ミカさん……ってユミナぁ!?」

「やっぱり、オルガさん達についていくつもりでしたね!冬夜さん!!」

 

……ユミナがついてきた理由が分かった気がする。

 

 


 

 

「いいじゃんか。僕もオルガやミカさんとまた旅がしたいんだよ」

「ダメですよ、冬夜さん!国はどうするんですか!?また昨日みたいにフレイズが現れたら?誰があの世界を守るんです!?」

 

さっきから冬夜とユミナはこの調子だ。

 

俺は二人を置いてさっさと次の異世界へ行きたいんだが、神の爺さんは自分との連絡の為に冬夜を俺らについていかせたいらしい。

 

冬夜もそれを承諾した為、この神界で俺とミカを待っていたのだが、ユミナは冬夜がこの世界を離れる事に反対のようだ。

 

「ユミナさん、冬夜君は【異空間転移(ゲート)】が使えるし、異世界間でもスマートフォンで連絡を取れるようにする。もしユミナさん達の世界に何か問題があっても連絡すれば冬夜君ももちろんすぐに飛んで行くじゃろう。なぁ、冬夜君」

「うん。神様も言ってるようにユミナでも高坂さんでもレリシャさんでも誰かが連絡をしてくれればすぐに【異空間転移(ゲート)】で駆けつける。だから……」

「そういうことじゃないんです!!」

 

ユミナが叫ぶ。その目は涙で潤んでいた。

 

俺は何も言えない。冬夜も神の爺さんも恋愛神もユミナの涙の前に言葉を出せずにいた。しかし、その静寂をミカが破る。

 

「冬夜は多分、俺やオルガと一緒に異世界へ行かなきゃいけない理由があるんじゃない?フレイズの事で」

「……え?」

「は?」

 

ユミナと俺はそのミカの言葉を聞いて、すっとんきょうな声を上げてしまった。

 

それに対し、冬夜は小さくため息をついてからこう呟いた。

 

「……さすがはミカさん。何でもお見通しだなぁ……」

 

俺は素直に疑問を口にする。

 

「どういうことだ?」

 

すると冬夜はちゃんと異世界へ行く理由を説明し始めた。

 

「実は……エンデとメルが僕らの世界からいなくなったんだ」

「えっ!?」

 

ユミナが驚くが俺は正直ピンと来ない。

誰なんだよ……エンデとメルっつーのは?

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

「正直ピンと来ませんね……」

 

冬夜とユミナからフレイズの事を改めて教えてもらったがやはり理解に苦しむ。

 

とりあえず分かったのはメルってのがフレイズの女王でエンデはそいつの彼氏って事くらいだ。

 

「前の戦闘で上級種も支配種も現れなかったのに違和感を覚えたんだ。それでバビロンの城に幽閉してたメルに話を聞きに行こうと思ったら、そのメルが居なくなっていたってわけ」

 

前の戦闘はあれでフレイズの数が少なかったようだ。あいつらよりももっと大きな上級種ってフレイズとフレイズを束ねる幹部クラスの支配種って奴らが居るらしい。

 

「メルさんは冬夜さんの【プリズン】で外に出られないようにしてたはずです!そんな事ありえません!」

「あまり心配掛けたくなかったから言わなかったんだけど……まぁ、帰ったらバビロンの城を確認してみて。とにかくメルが居なくなったのが問題だ」

「おそらく何者かに場所を知られて別の世界へ連れて行かれたのじゃろう。それが支配種なのか別の何者かなのかは分からんが……ともかく別の世界でフレイズが現れる可能性も出て来たんじゃ。だから冬夜君をオルガ君と三日月君についていかせたいと思ったんじゃよ。フレイズ(あやつら)は厄介で神々(ワシら)も何とかしたいとは思っとる……。だから冬夜君をオルガ君達の旅に同行させて貰えんかのう?」

「俺とミカは別に構わねぇよ。なぁ、ミカ?」

「うん。後はユミナ次第だけど」

 

俺らはユミナの顔を見る。確かに好きな人と別れるのは辛いのかもしれねぇが、国王と第一王妃の両方が居なくなるのは流石に国としても問題あるだろう。

まだ知り合って三日ほどだが、それが分かってないユミナじゃねぇとは思う。

 

「……わかりました。冬夜さんがオルガさん達の旅に同行するのを認めます」

 

少し悲しそうな表情をしながらもユミナは渋々承諾した。

 

 

そして、ユミナからブリュンヒルド公国の関係者にそのフレイズの王がいなくなった話をしてから旅立ってほしいと言われた冬夜が一旦、元の世界へ戻り皆に説明をした後、再び神界に戻ってきた。

 

「……では冬夜さん。オルガさんと三日月さんもお気をつけて」

 

やはり神界まで見送りに来たユミナがそう別れの挨拶を告げた。

 

「ごめんねユミナ。国の事は任せっきりになっちゃうけど」

「はい。仕事に行く夫を待つのも妻の務めです。国と私達の世界の事はお任せ下さい。でも……連絡はこまめに頂けると嬉しいです」

「分かった。スマホで毎日連絡するから」

「約束ですよ」

「うん」

 

俺は何を見せられてるんだ……。

 

「……じゃあな。神の爺さん、恋愛神。それにユミナ」

「うむ。気をつけてのう」

「オルガくんも冬夜くんも三日月くんも別の世界でも頑張れ!なのよ!!」

「…………」

 

ユミナは何も言わねぇ……。

 

「行こう、オルガ。冬夜も後で来てね」

「……!ありがとうございます。ミカさん」

「は?」

「いいから」

 

俺が首を傾げると俺はミカに背中を押され、神界の扉からアドモス商会まで押し出された。

 

「冬夜とユミナ。二人きりにしてあげようよ」

「……そういうことか」

 

まぁ、神の爺さんと恋愛神がいるから実際は二人きりってわけじゃないがな。

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

数分後、アドモス商会の扉から冬夜がやってきた。

 

「お待たせしました、ミカさん。オルガもありがとう」

「こんくれぇ、なんて事はねぇ。いいから行くぞ!」

「うん!行こう!」

 

そして、再び俺はアドモス商会の社長室にあるカメラのファインダーを覗いた。続けてミカと冬夜も同じくカメラを覗き込んだ。

 

そこに写った景色に俺とミカ、冬夜は胸を踊らせる。

 

写っていたのは……学校だった。

 

 

 

 


 

 

 

 

緑が風に揺れる草原の中、その小高い丘の上に置かれた白いテーブルを囲む椅子に二人の少女が座っていた。

 

一人は雪を映したように儚げな純白の長髪と理知的な輝きを灯す双眸を持ち、漆黒の服を身に纏った少女。

もう一人は水晶色の長い髪と澄んだ瞳をしている美しい結晶体のドレスのようなものを着飾っている少女。

 

二人の少女はテーブルに置かれた紅茶らしきものを飲んで一息。

 

その数秒後、モノクロの少女の方が水晶の少女に話し掛けた。

 

「どうだい、ドナ茶は?」

「味はしませんね。冬夜さんが出してくれた緑茶のがおいしかったです」

「そうか、それは残念。僕の自慢のお茶だったんだけど」

 

モノクロの少女がそう肩を落とすような素振りをする。

 

それはどうでもいい、といった様子で水晶の少女はモノクロの少女にこう話をし始めた。

 

「エキドナさん、と申しましたね?あなたは何故私があそこに居る事を知っていたのですか?そしてここは何処なのですか?次元の狭間でもどこかの異世界という訳でもなさそうですけれど?」

「まず確認したいんだけど、君が結晶界(フレイジア)の女王、メル様で間違いないんだよね?」

「えぇ、「元」女王ですけれど」

「その「元」というのは他のフレイズ達は納得していないらしいよ?僕達が作った世界にも君を探してフレイズが現れた。その世界は酷い有り様さ」

「私の元部下達のご無礼は謝ります。……ですが、私をここに呼んだ本当の理由は別にあるのでしょう?その世界の事で怒っている訳ではなさそうですもの」

「その通り、良くわかったね」

「その用件、早く話してもらえませんか?私はいつまでもこんな所に居る程暇ではありません」

「そんな悲しい事言わないで欲しいな」

「…………」

 

水晶の少女(メル)は黙ってモノクロの少女(エキドナ)を睨み付ける。

 

するとモノクロの少女(エキドナ)は観念して話をし始めた。

 

「残念だけど、君は当分僕とここに居てもらう。僕の知識欲を満たす為にね……」

 

 

 




元々自分達のいた世界では通った事も無かった学校という教育施設。オルガと三日月はその学校で何を学ぶのか?

次回『学校のある世界 1/2』

お楽しみに!

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