Re:Imagination Orga   作:T oga

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今回は三人称でお送りします。



Second World-3『IS(インフィニット・ストラトス)の世界 1/5』

「こうなったら仕方ねぇ!やっちまえ、ミカアァァァ!!」

 

オルガの叫びとともに三日月のバルバトスルプスが巨大化する。

 

「何っ!?巨大化だと!」

「嘘だろっ!?」

 

織斑姉弟はそのバルバトスを見て驚きの声をあげる。

 

(ひる)んでいる間に三日月はオルガをバルバトスの手の平に乗せ、操縦席(コクピット)の中へと避難させる。

 

「ちっ……!逃がすな!所詮体が大きいだけの傀儡だ。全機一斉攻撃!!」

 

千冬の号令に、専用機持ち六人が声を揃えて返事をする。

 

「「「了解!!」」」

 

 

オレンジ色のIS(インフィニット・ストラトス)──ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡを纏うシャルロット・デュノアは歯軋りしながら、その巨大化したバルバトスと対峙する。

 

「とは言ったものの……」

 

(オルガだけどオルガじゃない。朝感じた違和感はこれだったんだ……。でも………なんだろう……?)

 

同じく黒いIS──シュヴァルツェア・レーゲンを展開したラウラ・ボーデヴィッヒも心の中でこう呟く。

 

(普通に考えればあれは私の知る嫁ではない……のだが………一体なんなのだこの感じは………!)

 

シャルロットとラウラが攻撃を戸惑っている間、一夏、箒、セシリア、鈴は一斉にバルバトスルプスへ攻撃を仕掛ける。

 

最初に仕掛けたのはセシリアだ。

 

「さぁ、踊りなさい!ワタクシ、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!……最も、その巨体で踊れるのかは疑わしいところですけれど」

「ごちゃごちゃうるさいよ……」

「三日月さんの声で喋らないで下さいまし!!」

 

セシリアのIS──ブルー・ティアーズが腕に構えるスナイパーライフル『スターライトMk-Ⅲ』でバルバトスを狙う。

 

しかし、その攻撃はバルバトスのナノラミネート装甲で防がれてしまう。

 

「ビームが効かないんですの!?」

「なら、これはどう!!」

 

鈴の甲龍(シェンロン)が両肩の龍砲を放つ。

 

「箒、合わせろ!!」

「あぁ……!」

 

その龍砲の攻撃と同時に、一夏の白式と箒の紅椿もバルバトスへ接近し、それぞれの主要武器『雪片弐型』と『雨月』『空烈』を振るうが……

 

「邪魔だな……」

 

バルバトスがメイスを一振りするだけで、白式と紅椿、そして甲龍(シェンロン)も吹き飛ばされてしまった。

 

「うわっ……!」

「くっ……!」

「きゃあぁぁぁ!!」

 

吹き飛ばされた三人だが、ISのシールドエネルギーによる絶対防御のおかげで怪我はない。

しかし、簡単にいなされた様子を見て、ただでさえ攻撃を戸惑っていたシャルロットとラウラは尻込みしてしまう。

 

「ダメだよ。大きさが違いすぎる……!」

「ビームが効かないとなると、ブリッツも意味がないな……」

 

そんな中、一人生身でバルバトスに立ち向かう者がいた。もちろん、織斑千冬だ。

 

千冬はバルバトスの腕部200mm砲の砲撃をすべて避けながら近付き、高く跳躍。

IS用の剣を使って、まっすぐメインカメラを潰そうと目を斬り込む。

 

「ちっ……!」

 

バルバトスは最初、メイスを持っていない左手で千冬を掴もうと試みたが彼女の反射神経の高さから掴もうとするのを諦め、そのまま左手で目を隠し、剣を防ぐ。

 

「ダメか……ラウラ!VTシステムの使用を許可する!」

「しかし……っ!」

「構わん!それにあれは三日月ではない!!」

「は……はい!」

 

戸惑いながらも左目の眼帯に手を掛けたラウラはその眼帯を外しながら、こう叫ぶ。

 

「くっ……行くぞ、アイン!!」

 

すると、シュヴァルツェア・レーゲンは全く別の姿へと形を変える。

 

《えぇ、行きましょう!ボーデヴィッヒ特務三佐》

「……っ!?」

「あれは……!?」

 

三日月とオルガもその姿を見て驚きの声を上げる。

 

「アーブラウのエドモントンで戦ったあの時のでけぇグレイズじゃねぇか……」

「……でも、大きさはISサイズなんだね」

《また……またお前か!クランク二尉を手に掛けた罪深き子供!》

「誰、そいつ?」

《貴様ぁぁぁ!!》

 

グレイズ・アインがバルバトスルプスへと突貫してくる。

それと同時に千冬も再び動き出す。

 

「私もそちらの動きに合わせる。一夏、篠ノ之、(ファン)も同時に斬り込め!オルコット、デュノアはビーム兵装以外で援護しろ!」

 

そして、IS学園の専用機持ち&千冬VSオルガ、三日月の戦いは激化していった。

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

数分後、膠着状態にあったその戦いに終止符を打ったのはIS学園に戻ってきた冬夜の魔法だった。

 

「【マルチプル】!【光よ穿て、輝く聖槍、シャイニングジャベリン】!!」

 

その冬夜の呪文とともに無数の光の槍がIS学園の第三アリーナに降り注いだ。

 

「何だっ!!」

「くっ……!」

 

IS学園の専用機持ち達はその光の槍を避けながら後退。

 

「冬夜か!」

「ありがとね、冬夜」

「いえいえ、でも面倒くさい事になりましたね。ここは一旦、撤退しましょう」

「そうだな……」

「【ゲート】」

 

冬夜の【ゲート】でオルガと三日月を乗せたバルバトスルプスはIS学園の第三アリーナから文字通り消え去ってしまった。

 

「……消えた?」

 

箒が一言そう呟いて首を傾げる。

セシリアや鈴も同様に困惑していた。

 

「何だったんですの?鈴さん……」

「アタシに聞かれても分かんないわよ!」

「とにかく一度、教室に戻るぞ」

「分かったよ、千冬姉……」

 

ガツン!

 

「織斑先生と呼べ!」

「はい……」

 

 

そして、シャルロットとラウラは……

 

(やっぱり、オルガじゃないのかな……。でも声と姿はオルガのまんまだし、違和感は確かにあるけど……何か……)

 

(教官は、あれは嫁じゃないと言った。それは分かる。しかし、アインの反応は明らかにミカに対するものだ。ミカではあるが嫁ではない……?)

 

心の中で葛藤を繰り広げ、最終的に一つの仮説に辿り着いた。

 

「もしかして……」

「もしかすると……」

「「記憶がないの(か)?」」

 

(でも、あのオルガ。ISを展開出来なかったし……やっぱり違うのかな?展開方法を覚えてないって可能性もあるけど……)

 

(記憶がないにしても、あの巨大化したバルバトスはおかしい……。あれは……ISではない)

 

確証が持てず、さらに混乱する二人であった。

 

 

 




IS学園に追われる身となったオルガと三日月(それと冬夜)。最愛の人とどこか違う存在に悩むシャルロットとラウラ。少年少女はその果てにどんな答えを見出だすのか?


次回『IS(インフィニット・ストラトス)の世界 2/5』

お楽しみに!

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