転生者ゼムナスが目指す新XIII機関結成   作:ペガシア

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殺っちゃったぜ!


10.異形

「・・・悍ましいな。」

 

地下に広がる蟲達を見て、呟く。

 

その大きさ、色、形は見ていて良いものではない。

 

「中々の魔術工房ね。気持ち悪いのは論外だけど。

後で綺麗に作り替えちゃおうかしら。」

 

「うへぇ、ばっちい!」

 

「蟲・・・蠱毒・・・それ以上いけない!」

 

愛歌はこの地下自体に興味を示し、ハウワクスを気持ち悪がり、プラクシズは・・・何だろう?

 

あれだけの蟲を集めるのにどれだけの労力がかかったかは知らないが、私達の拠点として必要ないものだ。

 

・・・その前に、邪魔者から消そう。

 

「お主ら、ここで何をしておる!」

 

蟲の中から、老人が姿を現した。

 

「私達の新しい拠点として、この間桐邸を下見に来た。

そこに蔓延る妖怪の退治も兼ねてな。」

 

「上の者達はどうした?殺したか?」

 

「気絶させた。いちいち殺すほど、私は物騒ではない。

当然、貴方は例外だ。ここで消えろ。」

 

この老人は、心も体も腐りきっている。

 

その様な状態になるまで何を目指したのか。

 

気になる所ではあるが、彼の存在は害でしかない。

 

「は、はは、ははははは!よく言った、青二才が。何処の魔術師かは知らんが、退治できるものならしてみるがいい。

当然、抵抗はするがな?」

 

今まで微動だにしなかった蟲達が、突如動き出す。

 

全ての蟲が私達の方へ向かってくる。

 

「ゼムナス、手伝うわ!」

 

「ハウも!」

 

「撹乱は任せてください!」

 

「いや、その必要はない。私1人でやる。」

 

「そんな、無茶よ!」

 

「これは命令だ。見ていろ、私の力を。」

 

ただの一匹もこの地下からは逃がさん。

 

皆殺しにする。

 

先ずは、ファーストステップ。

 

この地下全てを飲み込む程の暗黒空間を形成する。

 

これでもう、何処にも逃げられない。

 

次に、セカンドステップ。

 

『念動力』で全ての蟲の動きを止める。

 

これには、1秒かかってしまった。

 

より隙がなくなるよう、鍛えなければ。

 

そして、サードステップ。

 

『全方位ショット』を放つ。

 

文字通り、全方位から360度全てからショットを放つ。

 

奴らは逃げることも、動くことも出来ず、ただ受けることしかできない。

 

更に、フォースステップ。

 

『イバラビーム』、【レーザーシャワー』、『オールヴァニティ』によるレーザで、カケラも残さず焼き切る。

 

念のためだ。私は慎重なのでな。

 

最後に、ファイブステップ。

 

満身創痍のマキリ・ゾォルゲンを掴む。

 

身体中が蟲で構成されているようだが、その蟲さえ今は私の『念動力』で動くことは出来ない。

 

「き、貴様は、一体!」

 

「殺しはせん。生かしもしないがな。闇へと飲まれるがいい。」

 

闇の回廊を開き、彼を放り込み閉じる。

 

『闇の力』を持たない彼では、出ることは出来ない。

 

ハートレスとなるまで、彷徨い続けるといい。

 

「さて、終わったぞ。探索を続けるとしよう」

 

そう言い後ろを振り返ると、3人がすごい顔でこちらを見ていた。

 

「・・・何だ?」

 

どう言う感情を表しているんだ?

 

怖がられているのか?

 

「・・・凄く、カッコよかったわ!ゼムナス、やっぱり貴方は最高ね!」

 

「うん、すごくきらきらしてた!かっこいい!」

 

「不肖、プラクシズ。ゼムナス様の勇姿をこの目で見ることができ、感涙の極みであります!うっ、鼻からも涙が。」

 

怖がられているわけではないようだ。よかった。

 

突っ込みどころは沢山あるがな。

 

プラクシズ、お前の涙は赤いのか?

 


 

地下を洗浄し、地上へと戻る。

 

そこでは、ボロボロの男が待っていた。

 

もう一度、気絶させようと拳を構える。

 

「ま、待ってくれ!俺はアンタ達と争う気はない。」

 

「ふむ、そうか」

 

構えを崩す。

 

彼の言葉を信じたわけではない。

 

彼を気絶させるのに構える必要自体がないからだ。

 

「アンタらの目的は何だ?聖杯戦争についてか?」

 

「いや、手頃な家があったので我らの拠点として拝借しようと思っただけの事だ」

 

「は、拝借?」

 

「あぁ、何か問題が?」

 

「完全に開き直ってるわね。」

 

最初はムカムカしていたからだが、ここまでした以上貰うに決まっている。

 

「ここは人の家だぞ!それに、あの男が許すはずが」

 

「あの蟲の御老人の事なら、私が消した。

家主がいない家なら、私が貰っても構わんだろう?」

 

ボロボロの男、間桐雁夜は硬直した。

 

と思いきや、いきなり私を掴んできた。

 

「本当か!本当に、あの妖怪を倒したのか!」

 

「あぁ、二度とこの世界に戻ってくることはない」

 

「こ、これで桜ちゃんは!あ、アンタ達には何てお礼を言えばいいか!」

 

「礼はいらん。家を寄越せ。」

 

「いや、流石にそれ・・は。ぐ、ぐふっ。」

 

雁夜は今度は自分から倒れた。

 

家の譲渡の為に話をしたいのだが。

 

「愛歌、治療してやってくれ。」

 

「えー、私が?」

 

「この中で魔術について頼れるのは君だけだ。」

 

「頼られちゃ仕方ないわね!ピカピカにしてやるわ!」

 

「そうか、私はもう少し探索する。探し物も出来た」

 

「この人の言ってた桜って子?」

 

「あぁ、ハウワクス、プラクシズ。仕事だ。」

 

「なにー?」「何でしょう?」

 

「桜という子を探す。この屋敷の中にはいるはずだ。

手伝ってもらう」

 

「どんなこ?」

 

「ふむ、少なくともそこに転がる男よりは幼いだろう。

私はアル中の男を連れてくる。あまり手荒な真似はするな」

 

「うん、いってきまーす!」

 

「おい、フライングだぞ!」

 

仕事なんだがなぁ。

 

さて、私もアル中を連れてこよう。

 




てへぺろ!

聖杯戦争への乱入は確定しました。

次は、18時だドン!

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