つい寝過ごしてしまった。
途中で愛歌を回収して、間桐邸へと戻ってる。
「おかえりー!」
「随分と時間がかかりましたね。何かありましたか?」
「いや、少し試したい事があった。それだけだ。」
「もう、私1日待ってたのよ。このこの!」
「愛歌、つつくな。雁夜、今何時だ?」
「夜の21時だ。桜ちゃんはもう寝てる。」
「ふむ、夜か。ちょうどいい。ダスク、仕事だ。」
呼びかけると空間からぬるりと1体のダスクが現れる。
「30体ほどで、この街の監視をしろ。何か有れば直ぐに私に報告しろ。隠密に徹し、見つかるな」
ダスクはコクリと頷くと、またぬるりと消えていった。
素直に言う事を聞くし、色々とできるからダスクは便利だ。
近くにある椅子に座る。
前を見ると、全員が唖然としていた。
「どうかしたか?」
「・・・あれ、なに?」
「ダスクだ」
「ゼムナス様、ダスクとはなんでしょうか?」
「あぁ、言っていなかったな。下級のノーバディだ。
主な仕事は下働き。中々、優秀だぞ」
「そんな便利なのがいるなら、早く出して欲しかったわ。」
「それは無理だ。つい昨日集めたばかりだからな。」
「試したい事とはそれでしょうか?」
「いや、他にもある。
だが、切札は最後まで取っておくものだ。」
「ふーん、気になるけどしょうがない。
見られるのを楽しみにしてるわ!」
切札は見れない方が良いのだがな。
使うのは危機的状況に陥っていると言う事だ。
「あれは、人間を襲わないよな?」
雁夜、一般人らしい質問だ。
「襲えと言えば襲う。命令しなければ襲わん」
「そうか。いきなり変なの出すから驚いたよ」
あのフォルム、結構可愛いと思うのだが。
間桐邸に来てから2日がたった。
今のところ、あちこちで殺人事件が起きている以外の変化はない。
当然、ダスクにも調査を行わせている。
ちょうど、来たようだ。
「何か見つけたのか?」
ダスクから私に情報が伝えられる。
「金髪のサーヴァントが、黒い仮面をつけたサーヴァントを倒した。倒し方は?」
「金髪の背後に波紋が現れ、そこから剣や槍が射出されていた。よくやった。ご苦労、ダスク。引き続き頼むぞ」
ダスクは敬礼をすると、消えていった。
ダスクにも個性が存在するのだな。
「ゼムナス、アサシンが倒されたみたいよ。」
「あぁ、今、ダスクから報告が入った。」
「くー、私が報告しようと思ったのに!
でっ、貴方はこれをどう見る?」
「裏があるとは思っている。
貴重なサーヴァントを使い潰しにするとは考えにくい。
それか、考えなしの馬鹿か。」
「正解よ。倒されたのは百貌のハサン。倒したのはギルガメッシュよ。百貌のハサンは、百体で1つのサーヴァント。
今回のこれはアサシンが死んだと思わせる為の見せ物ね。」
「そうか。ギルガメッシュの方は?」
「古代バビロニアの王様。
数多の宝具の原典を持つ、英雄の王。
この聖杯戦争での文句なしの優勝候補よ」
「それも、我々がいなければの話だが」
「ふふ、自信があるのね。堂々と構えているのが貴方には似合ってるわ。後、ハサンがアサシン。ギルガメッシュはアーチャーよ。」
「あれが、アーチャー?」
あの戦いの何処に弓兵の要素があるというんだ。
「疑問に思うのも仕方ないけど、アーチャーよ。」
意外と、クラスというものは判定が広いのだろうか。
倉庫街にランサーが現れたという情報が入り、私達は闇の回廊を使い倉庫街へ向かう。
「本当に、一緒に来るのか?」
「えぇ、マスター役なのだから当然よ!」
「いや、マスターなら後衛にいた方が」
「駄目よ!他のサーヴァントにはマスターが近くに居るのに、貴方にはマスターが居ないなんて!」
「ゼムナス様だけでなく、我々もだぞ。
まぁ、一理はある。強キャラアピールは大事だ。」
「いふうどうどう!」
「はぁ、分かった。
全員、自分の力を理解した上で好きなように動け。
命令は1つ。死ぬ事は許さん。」
「はい!」「了解しました!」「えぇ、分かったわ!」
「では、行くぞ。我らXIII機関、聖杯戦争へ介入する。」
闇の回廊から、1人出る。
場所は、倉庫と倉庫の間の細い通路。
眼前では、セイバーとランサーが争っている。
戦争だと言うのに正面から戦うとは、願いを叶える為にもっと血眼になって欲しい。
闇の回廊で短距離を一瞬で移動し、傷を負ったセイバーの横っ面にエアリアルブレードで切り込む。
「な!?」
直撃し倉庫の壁へと吹き飛ぶセイバー。
だが、最優と呼ばれるだけはある。
すんでのところで剣を使い防がれるとは。
「セイバー!貴様、一体何処から!」
「喋る暇があるのか?」
ランサーの後ろに回廊が開き、ハウワクスが奇襲をかける。
『後ろだ、ランサー!』
ランサーのマスターだろう男の声が響く。
即座にランサーは、横へ飛び上がり、ハウワクスの鎌がかすめる。
あと少しで一騎落とす事が出来たのだが。
「惜しかったが、タイミングは良かったぞ。」
「えへへ、ほめられた!」
「ぐっ、貴様ら何者だ!」
「大丈夫、セイバー!」
「すみません、アイリスフィール。遅れを取りました」
「突然現れたんだもの。仕方ないわ。」
あれが、セイバーのマスターか?
あのペアはマスターの事を名前で呼ぶのか。
「ハウワクス、セイバーを仕留めるぞ」
「うん、りょうかい!」
「貴様ら、2対1とは卑怯な!助太刀するぞ、セイバー!」
「卑怯汚いは弱者の戯言。騎士道精神などこの聖杯戦争で最も不要な物だ」
「何だと!」
『冷静になれ、ランサー!そんな煽りに簡単に引っかかるな!』
「ランサーのマスター、サーヴァントよりも自分を心配した方がいいぞ」
『な、何を・・・!き、貴様ら何処から!』
「マスター!くっ、すまんセイバー!」
マスターの危機にランサーが離脱する。
あちらも上手くやっているようだ。
さて、邪魔が入ったが先ずは一騎。
「下がってください、アイリスフィール!」
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
空から男の悲鳴が聞こえる。
「ひゃあ!」
咄嗟に、ハウワクスを抱え後ろへと下がる。
同時に、私達がいた場所を戦車が通り過ぎる。
下がっていなければ轢かれていただろう。
止まった戦車からは1人の大男が現れた。
「双方、剣を収めよ。王の御前である!」
王?何処かの王様か?
収める義理もないが、いいだろう。
「武器を下ろせ、ハウワクス。」
「はーい」
さて、彼は武器を下させてどうする?
奇襲か?それとも、今日はもうお開きという事か?
「余は征服王、イスカンダル!
此度の聖杯戦争ではライダーの得て現界した!」
とんでもない阿呆だった様だ。
戦闘描写は苦手。
上手い人は本当に凄いです。
あと、キャラの口調も。